2009年8月7日(金)「しんぶん赤旗」

道州制

本当の地方自治に逆行

志位委員長が会見


 日本共産党の志位和夫委員長は6日、党本部での記者会見で、道州制や地方分権についての考えを問われ、「いま地方分権、道州制の掛け声でやられている方向は、本当の地方自治とは逆の方向を向いている」と述べました。

 志位氏は、道州制の考え方の根本に、国の仕事を外交、軍事などに限り、福祉や教育などナショナルミニマム(全国一律の最低水準)に対する責任を国が放棄して、道州あるいは市町村に全部任せるという仕組みをつくるという問題があると指摘しました。

 さらに志位氏は、道州制導入は、いまの都道府県をなくし、単位を大きくし、それに伴い無理やり合併して約1800に減っている市町村を、もっと圧縮してしまうという方向だとし、「自治体にとっても、福祉・教育・暮らしに対するサービスの大幅低下になる」と強調しました。

 そのうえで志位氏は、道州制のねらいについて「広域にした分だけ、国際競争力を題目にした巨大開発がやりやすくなる。これで一番潤うのは財界だ。だから日本経団連は道州制を一番熱心に求めている。私たちはこういう方向には賛成できない」と力説しました。

 志位氏は「本当の地方分権というなら、この間、『三位一体の改革』と称して、地方交付税の削減などで地方財源を切り縮めてしまったことを根本的に見直し、財源を戻していくことが必要だ」と強調。政府が、地方自治体が国の基準以上の福祉の施策をやったら、ペナルティーを科していることを批判し、「こういう間違った中央統制こそ撤廃し、地方自治体が住民福祉の機関として、のびのびとそれぞれの特色を生かして仕事ができる保障をすることが本当の地方自治への国の責任だ」と述べました。