2009年7月29日(水)「しんぶん赤旗」

民主党マニフェスト

四つの根本的問題点

志位委員長指摘


 日本共産党の志位和夫委員長は28日の党本部での会見で、27日発表された民主党マニフェストの受け止めを記者団から問われ、「後期高齢者医療制度の撤廃、高校授業料無償化の方向など個々には一致できる点もありますが、全体として四つの根本的な問題点があると感じています」と、問題点を指摘しました。

 第一点は、全体として、財界・大企業中心、日米軍事同盟中心の政治のゆがみをただそうという立場がみられないという問題です。

 民主党は「官僚支配の打破」はいっても、財界支配や米国支配の打破はいいません。志位氏は、「ここに、私たちとの根本的な立場の相違があります」と話しました。

 第二点は、財源の問題です。民主党の財源論には、軍事費の削減や大企業・大資産家に応分の負担を求める立場がみられません。志位氏は、「ここにメスを入れなければ財源論の答えは出てきません。必然的に消費税増税にいかざるをえません」と指摘しました。

 三点目は、憲法の問題です。

 民主党マニフェストでは、「2005年秋にまとめた『憲法提言』をもとに、…慎重かつ積極的に検討していきます」と明記しています。「憲法提言」では「憲法に何らかの形で、国連が主導する集団安全保障活動への参加を位置づけ」るとしています。

 志位氏は、「軍事的対応も含む集団安全保障活動への参加を憲法に位置づけるとなると9条の改変になります。改憲志向にはもちろん私たちは反対です」と話しました。

 四点目は、民主党マニフェストの「ムダづかい」の項目に衆院比例定数80削減が掲げられていることです。

 志位氏は、「現行選挙制度のもとで、民意を国会に反映する比例代表の定数を半分にすることになれば、国会は自民、民主でほぼ独占されてしまいます。民主主義への逆行は絶対に容認することはできません」と強調。「比例の議員が、ぜんぶ『無駄づかい』だとでもいうのでしょうか。無駄づかいをなくすというのなら政党助成金こそなくすべきです」と話しました。

 また記者団は、変化しつつある民主党の外交政策をどうみているのかと質問。志位氏は、民主党がインド洋への自衛隊派兵についてすぐに撤退を求めない立場に転じた問題でも、日米地位協定の改定に踏み込む姿勢が後退した問題でも、「これまでとってきた立場をどうして変えたのか、国民への説明が必要です」と指摘しました。

 その上で、問題の根本には、「緊密で対等な日米同盟関係をつくります」(民主党マニフェスト)などとして、本質的に従属同盟である日米安保条約から抜け出せない同党の姿勢があると指摘しました。