2009年6月6日(土)「しんぶん赤旗」

第8回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告


 志位和夫委員長が4日、第8回中央委員会総会でおこなった幹部会報告は次の通りです。


はじめに 目前に迫った総選挙――勝利にむけて活動の飛躍を

写真

(写真)報告する志位和夫委員長

 みなさん、おはようございます。CS通信、インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、心からのあいさつをおくります。私は、幹部会を代表して、第8回中央委員会総会への報告をおこないます。

 私たちは、2007年9月の第5回中央委員会総会の決定にもとづき、この1年9カ月にわたって、「何としても勝ちたい」との共通の思いをもって、総選挙勝利をめざす努力を営々と重ねてきましたが、これからの一日一日は、これまでの努力が実るかどうかのきわめて重要な一日一日となります。

 通常国会の会期は、政府・与党によって55日間延長され、7月28日までとなりました。衆議院議員の任期は9月10日が満了ですが、総選挙の投開票日は、8月上旬、または8月下旬から9月上旬までのいずれかの時期となる可能性が濃厚であります。7月12日が投票日となる東京都議選と総選挙が同日選挙となる可能性もなお排除できません。

 総選挙の投票日まで残された期間は、1カ月から2カ月、どんなに長くても3カ月であります。都議選は、7月3日告示、12日投票と、あと1カ月のたたかいとなりました。二つの選挙は、同時あるいは連続してたたかわれることになります。全国すべての支部と党員が、総選挙に総決起し、勝利にむかって活動の飛躍をはかるときであります。あわせて、都議選勝利への可能なあらゆる支援をおこなうことを心からよびかけます。

 この中央委員会総会の主題は、総選挙をたたかう政治戦略と、活動方針を明らかにし、全党が後援会と一体に、この歴史的政治戦に立ち上がる意思統一をはかることにあります。

 1、21世紀の日本の進路を示す「旗印」を高く掲げて

 報告の第一の主題として、きたるべき総選挙の歴史的意義をどうつかみ、私たちがどういう政治的構えでこの政治戦にのぞむかの基本についてのべます。

21世紀の日本の「進むべき道」が問われる歴史的選挙

 この総選挙は、21世紀の日本の「進むべき道」が問われる歴史的選挙であります。

 アメリカ発の世界経済危機のもとで、日本経済の深刻な悪化が引き起こされ、国民の暮らしは重大な打撃を被っています。日本の経済危機は、「構造改革」路線によって貧困と格差が広がるなど、社会のあらゆる分野でゆがみが深刻になっているところに、世界からの大津波が襲いかかっているだけに、打撃も不安もかつてなく大きいものがあります。それだけに、これまでの経済政策の枠組みをこのまま続けていいのか。日本経済のあり方の抜本的転換の必要性が、多くの国民にとって強く実感される状況となっています。こうしたもとで、経済危機から国民の暮らしをどうやって守り、日本経済をどういう方向に改革すべきかは、選挙戦の最大の争点であります。

 イラク戦争の失敗を大きな契機として、アメリカの一国覇権主義が大きな破たんに直面し、いま世界は大きく変わりつつあります。その波はアメリカにまでおよび、オバマ大統領が「核兵器のない世界」の追求を世界に宣言するなど、一部ではありますが画期的な前向きの変化も生まれています。こうした変化しつつある世界のなかで、これまでどおりの「日米軍事同盟絶対」の政治でいいのか。世界とアジアの平和のために、日本外交がどのような進路を選択すべきかも、この総選挙で問われる重要な争点であります。

 日本共産党は、国民の切実な関心・要求から出発しながら、21世紀の日本の「進むべき道」として、つぎの二つの「旗印」を高く掲げて選挙にのぞみます。

 第一は、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」を築く。そのために異常な財界・大企業中心の政治を転換することであります。

 第二は、憲法9条を生かし、世界とアジアの平和に貢献する「自主・自立の平和外交」に転換する。そのために異常な「軍事同盟絶対」の政治から脱却することであります。

自公も、民主も、日本の進路についての「旗印」を示せない

 それでは、自民・公明両党、民主党は、21世紀の日本の「進むべき道」について、国民の前に掲げる「旗印」を持っているでしょうか。

 自公政権がやっていることは、経済危機にさいして“選挙目当てのばらまき”としかいいようのない「対策」を繰り返すだけです。世界で平和をめぐる前向きの動きが起こっても、この政権はそれに対応する力はありません。もっぱら熱中しているのは、海外派兵、軍拡、憲法改定など、軍事のことばかりです。21世紀の日本の「進むべき道」どころか、来年の展望、選挙後の展望すら示すことができず、自らの延命のための党略に汲々(きゅうきゅう)とする――これが自公政権の末期的な姿であります。

 民主党は、「政権交代」が「最大の争点」だといいます。それでは「政権交代」をしてどうするのか。「官僚支配を打破」するといいます。それでは「官僚支配を打破」して、どんな政治がしたいのか。日本経済をどうしたいのか。日本外交をどうしたいのか。「民主党政権」が何をめざし、どういう日本をめざすのかは、さっぱり見えてきません。

 自公も民主も、21世紀の日本の「進むべき道」について、国民の前に何らの「旗印」も示すことができない。それには理由があります。それは日本の政治の行き詰まりの大本にある「二つの政治悪」――異常な財界・大企業中心の政治、異常な「軍事同盟絶対」の政治を、共有しているからであります。一方は、「二つの政治悪」の担い手の勢力であり、他方もまた、同じ流れのなかにあります。西松疑惑は、自民・民主の両党が金権腐敗という点で、その体質も共有していることを、明るみに出しました。古い行き詰まった政治の枠組みのなかで、どちらが政権の担い手になろうとも、国民に幸福は訪れないし、日本の政治の未来は開かれないということを、強調しなければなりません。

国民とともに日本の進路を探求する選挙に

 いま圧倒的多数の国民は、政治の現状に不満を持ち、わけても政治が日本の進路を示しえないことへの不満をもっています。

 朝日新聞が、この間、3千人を対象に郵送で世論調査を実施していますが、91%が「いまの政治に不満」と答え、その不満の中身として、同じく91%が「いまの日本の政治は社会の将来像を示していない」ことをあげています。いまの政治に対する国民の不満はかつてなく高まっていますが、それは自公政権の悪政への憤りとともに、「この政治をどう変えていくか」という「将来像」を、自公も、民主も示せないことが決定的な要因となっています。

 きたるべき総選挙を、こうした圧倒的多数の国民のみなさんの気持ちに寄り添い、ともに日本の進路を探求する選挙にしていこうではありませんか。

 いま日本の政治に問われている選択、今度の総選挙で問われる選択は、古い行き詰まった政治の枠組みのなかで、どちらが政権の担い手になるかというちっぽけな選択ではありません。21世紀の日本の「進むべき道」はどうあるべきかという大きな選択が問われているのであります。日本共産党こそ、その道を堂々と示す政党です。

 みなさん。国民の関心・要求から出発して、「ルールある経済社会」「自主・自立の平和外交」という、21世紀の日本の「進むべき道」――日本共産党綱領が示す道をおおいに語り抜き、この選挙を勝ち抜こうではありませんか。

 2、第一の「旗印」――「ルールある経済社会」について

 報告の第二の主題として、「ルールある経済社会」という「旗印」についてのべます。

経済危機にたちむかう政治の基本姿勢とは何か

 いま進行中の世界経済危機は、日本の経済社会のあり方を根本から問うものとなっています。経済危機のもとで、ヨーロッパでも失業は大問題となっています。しかし解雇された多数の労働者がただちに路頭に迷ってしまうという事態は起こっていません。首都のど真ん中に「派遣村」があらわれたのは日本だけであります。

 日本は、同じ資本主義国でも、国民の暮らしを守るまともなルールがない、大企業の横暴勝手な行動があまりに野放しにされている、「ルールなき資本主義」の国といわれます。くわえて、わずかにあったルールさえ、「構造改革」路線によって崩され、貧困と格差の広がりはきわめて深刻です。こうして国民生活を守る防波堤がほとんどなくなってしまっているところに、世界から経済危機が襲いかかってきたため、日本では経済危機が特別に残酷な形であらわれているのであります。

 こうした経済危機にたちむかう政治の基本姿勢としてもっとも重要なことは、何をおいても国民の暮らしを守ることを最優先の仕事にすることであります。暮らしを守るといっても、「定額給付金」に象徴される一時のばらまきは最悪であります。国民生活を経済危機から守る緊急の手だてをとりながら、社会の仕組みとして国民生活を守る防波堤を築く――雇用、社会保障、中小企業、農林水産業、税制など、経済社会のあらゆる分野で、国民の暮らしと権利を守るルールをつくることこそ、いま政治に求められている最大の責任です。いま政治がこの仕事に取り組むことは、日本経済を輸出・外需頼みから脱却させ、家計・内需主導の健全な発展の軌道にのせるうえでも、もっともたしかな道になるでしょう。

 国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をつくる、そのために大企業の横暴勝手を抑え、その社会的力にふさわしい責任と負担を求めるという方針は、私たちの綱領の経済改革の最も大きな柱をなすものですが、この方針が、世界経済危機と日本経済の危機のもとで、日本の進路を照らす指針としていよいよ輝きをまし、これまでにない広範な国民に共感を広げる状況が生まれています。ここに確信をもって、総選挙ではこの方針を太く訴え、国民的合意をつくるための努力をつくそうではありませんか。

国民の関心・要求から出発し、「ルールある経済社会」を豊かに語ろう

 総選挙では、国民の関心・要求から出発しながら、「ルールある経済社会」をつくることの意味を、イメージ豊かに、新鮮に訴えていくようにしたいと思います。その具体的内容は、すでに発表している総選挙政策、雇用、福祉、農業、環境などの個別政策で明らかにされています。総選挙政策は、適切な時期に、情勢の進展と国民の要求にそくしてさらに発展させて発表するようにします。ここでは三つの問題についてのべておきたいと思います。

雇用問題――現行法を守らせるたたかいと一体に人間らしい労働のルールを

 第一は、雇用問題についてです。この間、経済危機のもとで、大企業が競い合って「非正規切り」をすすめ、さらに雇用破壊の波は正社員にも及び、失業率は5%を超えるまでに急激に上昇し、雇用問題は一大社会問題となっています。雇用破壊を止め、誰もが人間らしく働ける労働のルールをつくることは、急務であります。

 そのさい、大企業がすすめている雇用破壊のほとんどが、現行法をもふみにじる違法・無法なものであることを告発し、現行法をきびしく守らせるたたかいと一体に、人間らしい労働のルールをつくるという姿勢が大切であります。

 「非正規切り」の大多数は、契約途中での解雇、偽装請負、期間制限違反、違法「クーリング」、業務偽装、細切れ契約の反復など、現行法すら無視した違法であります。正社員にたいして工場閉鎖や強制配転などさまざまな手法を用いて退職強要をはかることも違法であります。「サービス残業」という無法行為を強制したすえの、過労死・過労自殺などの痛ましい事態も後をたちません。

 こうした違法・無法行為を一掃するたたかいが、いま全国でわきおこっています。そうしたたたかいのなかで、日本の労働のルールの問題点も浮き彫りになってきています。労働者派遣法を抜本改正し「雇用は正社員が当たり前」の社会をつくる、同じ労働には同じ賃金・休暇が保障される「均等待遇のルール」をつくる、法律で残業時間を規制して労働時間の抜本短縮をはかり過労死を根絶する、最低賃金の大幅引き上げによって「働く貧困層」をなくす、雇用・失業保険を抜本的に充実し失業しても次の職業を安心して探せる社会にするなど、ヨーロッパではすでに当たり前になっている人間らしい労働のルールをつくるために力をつくします。

社会保障――「負担は能力に応じて、給付は平等に」が原則

 第二は、社会保障についてであります。日本の社会保障制度が、欧州などに比べてもともと低水準のうえに、年々切り下げられていることが、経済危機のもとで国民の暮らしの支えをなくし、貧困に追い打ちをかけ、将来不安をいよいよ深刻なものとしています。

 「負担は能力に応じて、給付は平等に」――これが社会保障のほんらいの原則です。ところが自公政権はこの原則を投げ捨て、「受益に応じた負担(受益者負担主義)」の名で、負担増・給付減を押し付けてきました。その結果、主要な資本主義国のなかでは日本にしかない異常な事態が、あらゆる分野で引き起こされてきました。いくつかの具体例をあげましょう。

 医療費の窓口負担が通院・入院とも3割などという国は、主要な資本主義国には存在しません。欧州の多くの国は窓口負担が無料であります。

 後期高齢者医療制度という、高齢者を年齢で区分けし、別枠の医療制度に囲い込んで差別医療をしいるなどという恥ずかしい制度をおこなっているのも、日本だけであります。

 高すぎる国民健康保険料が払えない世帯から、保険証を取り上げるという冷酷非情な政策をおこなっている国も、欧州には見当たりません。

 障害者自立支援の名で、障害者福祉にまで応益負担を持ち込み、障害が重い人ほど負担が重いという制度を導入した国も、日本だけです。

 公的年金制度で、25年間も保険料を払いつづけないと、一円の年金も受け取れないという過酷な制度をおこなっているのも日本だけであります。欧米では、受給の資格要件に加入期間がないという国も少なくありません。あっても10年から15年で年金受給資格が生まれます。

 生活保護を受ける資格のある生活水準の人が実際に保護を受けている割合(捕捉率)は、欧州諸国では7〜9割ですが、日本ではわずか1〜2割にすぎません。この背景には、制度自体の欠陥とともに、自治体窓口で保護の申請書さえ渡さず、追い返す「水際作戦」の横行があります。

 こうした世界からみても異常な日本の社会保障の貧困をただすことは急務であります。そしてこれらの異常を深刻にしてきた根源には、政府が2002年度以降つづけている毎年2200億円(初年度3000億円)の社会保障費削減政策があります。社会保障予算を削減から拡充に転換し、お金のあるなしで給付に格差をつけることを絶対に許さない、誰でも平等に必要な給付を受けられる。こうした社会保障のルールを日本でも築こうではありませんか。

税金のあり方――「税金は負担能力に応じて」が民主的ルール

 第三は、税金のあり方です。自公政権が、2011年度までに消費税増税法案を成立させる計画を明記した法律を強行するもとで、消費税増税問題は総選挙の大争点となっています。消費税増税の本質が、これまでに実施されたものを振り返っても、これからの計画でも、「社会保障の財源」のためではなく、大企業減税の穴埋めのためであることを、事実にもとづいて明らかにし、消費税増税に強く反対する論戦と運動に全力をあげるものです。

 「税金は負担能力に応じて」ということが、人類社会が到達した税金の民主的ルールですが、このルールが一番壊されている国の一つが日本であります。

 税金と社会保障による所得の再分配――貧富の格差の是正はどうなっているでしょうか。OECD(経済協力開発機構)が発表した日本経済の審査報告書では、先進17カ国の比較で、所得の再分配による貧困改善の効果が最も小さい国が日本だとされています。17カ国の平均では所得の再分配で貧困者が100人中18人から8人にまで減るのに対し、日本では17人から14人にまでしか減りません。その原因は、所得税の最高税率の引き下げで大金持ちへの減税をすすめ、そのしわよせとして低所得者に重い税金と社会保険料負担を強い、社会保障給付の切り下げをすすめてきたことにあります。

 大企業の税負担はどうでしょうか。財界は、「日本の法人税の実効税率は諸外国に比べて高い」としてさらに引き下げよと要求しています。しかし、連結納税制度や研究開発減税などの数々の大企業優遇税制、企業が払う社会保険料負担の低さという二つの要因によって、日本の大企業の税・社会保険料負担は、フランスの7割、ドイツの8割程度となっています。

 さらに、経済危機のもとで、世界各国で税制の見直しが始まっていることも注目すべきであります。アメリカでは、今後10年間で72兆円の中低所得層への所得減税をおこなう一方、60兆円の富裕層への増税をおこなう計画が提案されています。イギリスをはじめEU諸国でも付加価値税(消費税)を減税する一方、所得税の最高税率を引き上げる動きがすすんでいます。多国籍企業への課税強化の動きも強まっています。

 「大企業と大金持ちに相応の負担を」という日本共産党の主張は、大企業と高額所得者の税負担の現状からみても、いま起こっているこうした世界の流れにてらしても、当然の主張だということに確信をもって、消費税増税絶対反対のたたかいにおおいに取り組もうではありませんか。

根源には財界の横暴勝手――「財界・大企業にモノが言える党」がのびてこそ

 雇用、社会保障、税金のあり方について、私たちがめざす「ルールある経済社会」の考え方についてのべてきましたが、日本の経済社会の異常なゆがみの根源をたどると、そのどれもが財界・大企業の号令によってつくられたという事実にぶつかります。

 なぜ日本社会に、「働く貧困層」が広がり、「首切り自由」の使い捨て労働が広がったのか。1995年に日経連が「新時代の『日本的経営』」を発表し、労働者を三つのグループにわけ、「雇用柔軟型グループ」として不安定な非正規雇用労働者を増やし、人件費の大幅削減をはかることを宣言したことが、その出発点となりました。

 なぜ日本の社会保障がこんなに貧しいのか。1980年代の「臨調行革」による社会保障切り捨て以来、つねに切り捨ての号令をかけつづけてきたのが財界であります。2002年度から始まった年間2200億円(初年度3000億円)の社会保障費削減路線も「経済財政諮問会議」のメンバーだった日本経団連会長が、「社会保障については、大胆な制度改革を前提として要求基準を定めるべき」と号令をかけたことから始まりました。

 消費税増税・法人税減税の一貫した旗振り役も財界です。この間の増税論は、2003年1月に発表された日本経団連の「活力と魅力溢れる日本をめざして」と題する提言で、「消費税率16%」を、「法人税の大幅引き下げ」「企業の社会保険料負担をなくす」などの身勝手な要求とセットで打ち出したことにその根源があります。

 これらの財界・大企業の横暴にどういう態度をとるか。「財界・大企業にモノが言える党か、モノを言われる党か」――ここに日本の政党の値打ちをはかる大きな試金石があります。日本経団連から政策要求をつきつけられ、“通信簿”をつけてもらい、企業献金のあっせんをしてもらっている自民、民主の両党、「財界・大企業からモノを言われている党」では、国民の暮らしは守れません。企業・団体献金も、政党助成金も受け取らず、どんな問題でも国民の利益にたって「財界・大企業にモノが言える党」、日本共産党がのびてこそ国民の暮らしを守り、「ルールある経済社会」を築く最もたしかな力になる、このことをおおいに語り抜こうではありませんか。

 3、第二の「旗印」――「自主・自立の平和外交」について

 報告の第三の主題は、「自主・自立の平和外交」という「旗印」についてであります。

世界は大きく変わりつつある――新しい世界秩序への流れ

 世界に目を向けてみましょう。いま世界は大きく変わりつつあります。逆行や複雑さをはらみながらも、平和と進歩の方向への大きなうねりが起こっています。とりわけアメリカの一国覇権主義が、軍事でも経済でも大きな破たんに直面するとともに、それに代わる新しい世界秩序への流れが大きく広がりつつあることは、注目すべきであります。

 私たちは、地域の平和共同体という点で、ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とする東南アジア友好協力条約(TAC)の広がりに注目してきましたが、5月28日、ASEANはEU(欧州連合)のTAC加入を正式に承認しました。さらにブッシュ前政権が加盟を拒否していた米国も、7月には条約に署名する見通しとなりました。EUと米国の加入によって、TAC加入国は25カ国から52カ国に、人口の合計は世界人口の57%から68%に増え、ユーラシア大陸の多くの国々、オセアニア諸国、米国を含め、世界を覆う一大潮流となります。

 南北アメリカ大陸でも大きな変化が進行中です。この4月に、南北アメリカ大陸34カ国の首脳が参加して米州首脳会議が開かれましたが、ここでは国連憲章にもとづく平和の国際秩序にむかう大きな方向性が明らかにされました。前回会議議長のフェルナンデス・アルゼンチン大統領が、米州諸国の米国への従属の歴史を指摘し、「従属ではなく協力」の「新たな地域秩序」を建設する必要性を強調しました。これに対して、米国のオバマ大統領も、「過去の誤りを認め」「対等なパートナーシップを追求すると約束する」と応じました。長らく「米国の裏庭」といわれてきた中南米の従属の歴史に幕が下り、対等・平等の新たな友好関係が日程にのぼりつつあります。これも世界の大きな歴史的変化を象徴する出来事であります。

オバマ政権の変化と、核兵器廃絶への具体的行動を要請した書簡について

オバマ演説を受けての書簡と、米国政府からの返書

 こうした世界にあって、アメリカにも変化が起こっています。オバマ大統領が4月5日にプラハでおこなった演説は、世界に大きな問題を提起するものとなりました。それは、(1)米国大統領として初めて「核兵器のない世界」を追求することをアメリカの国家目標とすると宣言しています。(2)広島・長崎への核兵器使用が人類的道義にかかわる問題であることを初めて表明するとともに、その立場から核兵器廃絶にむけた責任について語っています。(3)そして、核兵器廃絶にむけて世界の諸国民に協力をよびかけています。

 私は、この演説を歴史的意義を持つものとして重視し、4月28日、核兵器廃絶という人類的課題の一点にしぼって、私たちの見解を伝え、具体的行動を要請する書簡を、オバマ大統領にあてて送りました。書簡では、プラハでのオバマ演説への「心からの歓迎」の気持ちを伝えるとともに、「同意するわけにはいかないこと」も率直にのべました。それは大統領が、「核兵器のない世界」をよびかけながら、その実現は「おそらく私の生きているうちには無理だろう」とのべていることであります。

 核兵器廃絶を正面からの主題にして、国際交渉に取り組むことは、戦後64年、これまで誰の手によってもおこなわれたことがありません。この歴史上初めての仕事を達成するには時間がかかるかもしれませんが、初めての仕事に取り組むときに、どれだけの時間がかかるかをあらかじめ決めることは、誰にもできないはずであります。書簡ではこうのべたうえで、米国大統領に、二つの点を要請しました。

 一つは、「核兵器廃絶のための国際条約の締結をめざして、国際交渉を開始するイニシアチブを発揮すること」であります。

 いま一つは、「2010年の(核不拡散条約)再検討会議において、核保有国によって、核兵器廃絶への『明確な約束』が再確認されること」であります。

 5月16日、米国政府から書簡に対する返書が届けられました。返書は、オバマ大統領が、グリン・デイビス国務次官補(代理)に指示し、次官補が大統領に代わって書いたものとなっていますが、書簡への感謝が表明され、「この問題(核兵器のない世界)にたいするあなたの情熱をうれしく思う」との評価がのべられています。こうした返書が送られてきたことは、核兵器廃絶に対するオバマ大統領の真剣さと熱意を示すものであり、歓迎したいと思います。また米国政府から、わが党にたいして歴史上初めての返書が送られてきたことは、アメリカ社会が大きく変わりつつあることを、示していると思います。

内外の積極的反応――人類的課題が現実のものとなる可能性

 米国大統領への書簡と、米国政府からの返書は、内外に積極的反響をよびおこしています。

 私は、米国政府から返書が送られてきたことを受けて、麻生首相と会談し、書簡と返書の内容について報告し、日本政府がこの人類的課題の実現の先頭にたつことを求めました。首相は、オバマ演説について、「すごい演説だ」と繰り返していましたが、私の要請にたいする返答は定かではありません。

 また、衆参両院議長と会談し、被爆国・日本で核兵器廃絶の国民世論を喚起していくことで一致しました。

 さらに、私たちは書簡をほとんどすべての国の駐日大使あてに届けましたが、多くの国々の在京大使や外交官から、歓迎の声が届いていることを報告しておきたいと思います。

 国民的反響も広がりつつあります。全国各地で、書簡の内容をもって自治体の首長、平和・市民団体、宗教者などとの懇談がおこなわれていますが、政治的立場の違いをこえて、多くの人々から歓迎の声が寄せられています。演説会や街頭で訴えていても、反響は非常に強いものがあると全国から報告されています。この反響の広がりは、核兵器廃絶という問題が、言語を絶する苦しみを体験した被爆国・日本国民の琴線に触れる問題であるとともに、オバマ大統領のプラハ演説を契機として、この人類的課題が空想的なものではけっしてなく、現実のものとなる可能性を、多くの人々が感じだしていることを示すものだと思います。

被爆国・日本で、核兵器廃絶の世論と運動を広げに広げよう

 アメリカに前向きの変化を促した根本の力は何か。それは、平和を願う世界諸国民のたたかいであります。先日、被爆者のみなさんと懇談したさい、一人の方が、「私たち被爆者が、核兵器のない世界をと、戦後ずっと訴え続けてきたことが、とうとう世界に届いた」とのべたことを、私たちは大きな感動をもって聞きました。

 そして核兵器問題の帰すうを決めるのも、世界諸国民のたたかいであります。8月には、原水爆禁止世界大会が開かれます。来年、2010年5月には、国連本部で、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。この会議に向けたこれから1年間の国際世論の動きは、とくに重要であります。昨年の原水禁世界大会がよびかけた、「核保有国をはじめすべての国の政府がすみやかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し、締結することに合意する」ことを求める国際署名におおいに取り組もうではありませんか。唯一の被爆国・日本で、「核兵器廃絶をめざす国際交渉を開始せよ」の声を、広げに広げようではありませんか。

 日本共産党は、戦後一貫して核兵器廃絶のためにたたかい続け、綱領にもその課題を明記した党として、この歴史的たたかいの一翼をにない、広範な人々と共同して奮闘する決意を表明するものであります。

重大な逆流――北朝鮮の核開発問題について

 核兵器をめぐっては、重大な逆流も起こっています。5月25日、北朝鮮は、2回目の核実験を強行しました。これは、北朝鮮に「核実験を実施しないこと」を求めた国連安保理決議、自らも合意した6カ国協議の共同声明に明白に違反する暴挙であります。また世界のなかで起こりつつある核兵器廃絶への新たな機運への乱暴な挑戦であります。わが党は北朝鮮の行動に対し厳しく抗議する声明を発表しました。

 この問題への対応としては、北朝鮮に核兵器および核兵器開発計画を放棄すること、6カ国協議に無条件に復帰することを求めて、国際社会が一致結束した行動をとることが、大切であると考えます。

 とくに強調したいのは、6カ国協議という枠組みの重要性であります。北朝鮮が6カ国協議からの脱退を宣言しているもとで、6カ国協議の無用論、無力論が出てきていますが、6カ国協議は、北東アジアの平和と安定に直接かかわる関係者が一堂に会する場として、ひきつづき最良の交渉の枠組みであります。この枠組みの当面の目標は、「朝鮮半島の非核化」ですが、この目標が達成されるならば北東アジア地域の平和の共同体――参加する6カ国のすべてにとって平和の利益をもたらす枠組みとして、発展しうる可能性をもったものであります。そのことは、2005年9月19日にかわされた6カ国協議の共同声明に、「6者は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束した」と明記されていることであります。ですから、困難はあっても、国際社会は、この枠組みに北朝鮮を引き戻し、再開させるために、あらゆる努力をつくすべきだと考えます。

 北朝鮮の核実験などに対して、「敵基地攻撃」論などの無法な先制攻撃論、さらには日本の核武装論など、軍事対応論が一部に生まれていますが、これらは軍事対軍事の危険きわまりない悪循環を引き起こすものであるとともに、北朝鮮に「核兵器を捨てよ」と求める立場を失わせるものでもあり、わが党は厳しくこれをしりぞけるものであります。

 いま世界で起こりつつある核兵器廃絶の新たな機運を発展させることは、北朝鮮に核兵器計画を放棄させるうえでも、いよいよ重要になっていることを、強調しておきたいと思います。

世界の前向きの変化に働きかけ、それを促す平和外交を

 世界が大きく変化しつつあるもとで、日本外交のあり方が問われています。端的にいって、世界の前向きの変化に働きかけそれを促す外交か、前向きの変化が目に入らず変化しないことを求める外交か、が問われています。

 麻生・自公政権には、世界の前向きの変化は目に入りません。オバマ大統領のプラハでの演説を受けて、この政権がおこなっているのは、オバマ大統領がのべた「核兵器のない世界」の動きを後押しすることではありません。この政権が執拗(しつよう)に求めているのは、「日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止」の確認です。唯一の被爆国の政府が、核兵器廃絶への歴史的チャンスが目の前に生まれているときに、そのための行動は何一つせず、米国の核戦力への依存の確認を迫りつづける。恥ずかしい限りであります。

 一方、この政権は、アメリカが変化していない部分では、変化を求めず、自らすすんで従属政治を続けています。日米軍事同盟を絶対不可侵のものと仰ぎ、米軍基地を強化し、自衛隊の海外派兵をすすめ、グアムに建設する米軍基地にまで日本国民の血税を注ぎ、憲法を改定して海外での武力行使を可能にする道にしがみついています。日米軍事同盟を絶対不可侵とし、憲法改定をめざすことでは、民主党もまったく同じ流れの中にあります。「軍事同盟絶対」論にたって、アメリカの前向きの変化は目に入らず、悪いところにだけ従属する――こうした政治に未来がないことは明らかではありませんか。

 日本共産党は、核兵器廃絶問題での行動が示すように、世界の前向きの変化に働きかけ、それを促す「自主・自立の平和外交」に取り組んでいる政党です。アメリカとの関係では、私たちが望んでいるのは本当の友情です。それは対等・平等の関係でこそ可能になります。アメリカいいなり政治の大本にある日米安保条約を廃棄し、それに代えて日米友好条約を結ぶ。このことを綱領に明記した党が日本共産党であります。

 みなさん。「核兵器のない世界」「戦争のない世界」にむけて、世界が大きく動きだしつつあるもとでたたかわれる総選挙で、戦前・戦後の87年間、一筋に平和を貫いてきた日本共産党の真価をおおいに広く国民に語ろうではありませんか。

 4、日本共産党の値打ちの全体像をおおいに押し出そう

 報告の第四の主題として、日本共産党の値打ちの全体像をおおいに押し出す活動についてのべます。

 総選挙にのぞむ政治戦略として、「ルールある経済社会」「自主・自立の平和外交」という21世紀の日本の進路を大きく語ることと一体に、日本共産党の値打ちの全体像を多面的に押し出すことが重要であります。党の値打ちという場合、さまざまな角度があり、それぞれの党員が自らの党への思いも込めて自由闊達(かったつ)に取り組むことが大切ですが、報告では、この間の情勢の進展にそくして四つの点をのべたいと思います。

財界・大企業、アメリカへの働きかけ――主張とともに行動で現実政治を動かす党

 第一に、日本共産党が、日本の「進むべき道」について国民の利益にたった「旗印」を掲げるだけでなく、実際の行動によって現実政治と切り結び、初歩的であってもそれを動かす仕事に取り組んでいる党であるということです。

 この点では、7中総以後の8カ月間に、私たちは党の歴史でも初めての新しい活動に踏み出しています。

財界・大企業との直接会談で、雇用への社会的責任を求める

 その一つは、財界・大企業との関係です。わが党は、昨年秋から急速に広がった「非正規切り」にさいして、日本経団連、トヨタ、いすゞなどとの初めての直接の会談をおこない、雇用に対する大企業の社会的責任を果たすことを求めました。

 一連の会談で私たちが心がけたのは、立場が対立する相手であっても、否定できない事実と道理を積み上げて、その行動の不当性を諄々(じゅんじゅん)と説き、抜本的見直しを求めるということでありました。「働く貧困層」から職を奪い路頭に放り出すことは、何より人道にてらして許されない。巨額の内部留保を抱え、株主配当をおこないながら、労働者の首切りとは、資本主義のあり方としても堕落ではないか。大企業が競い合って首切り競争をおこなえば、雇用破壊と景気悪化の悪循環を引き起こすではないか。こうした行動は、企業の未来をも危うくする自殺行為となるのではないか。このように一つひとつ話していきますと、相手も返す立場がなくなってきます。トヨタの幹部が「アメリカ的株主優先は、あまりにもどうかなと思う」「立場が異なっても意見交換によって相互の理解をはかることは有益だった」と発言したことは印象的でありました。

 中央段階だけでなく、地方党機関による企業・団体への申し入れも、全国各地で活発に取り組まれ、その総数は7千件をこえ、党の申し入れの結果、解雇を撤回させるなどの経験が全国各地で生まれていることもたいへん重要であります。

 財界・大企業に対する私たちの立場は、「大企業打倒」でも「大企業敵視」でもありません。大企業の不当な横暴をただし、その経済力に応じた社会的責任を求めることが、党綱領がいま求めている立場であります。それは日本経済の健全な発展を促すとともに、企業の発展にもつながる道であります。

 わが党の一連の取り組みは、労働者の苦難を打開するために緊急に迫られたものであるとともに、党綱領の立場を行動によって示すものとなりました。この行動に対して、少なくない経済界の人々からも共感の声が寄せられています。それは、わが党が政権を担う党へと力量を高めていくプロセスとしても意義ある取り組みであると考えます。

日本共産党とアメリカとの新しい関係――綱領の立場に立って

 いま一つは、日本共産党とアメリカとの新しい関係です。オバマ大統領への書簡を駐日米国大使に会って公式に届け、それに対して、大統領の指示で国務次官補が公式に米国政府を代表して返書を出したという一連の動きをつうじて、日本共産党と米国政府との公式の話し合いのルートが開かれたことは、重要であります。

 この問題でも、綱領が示しているアメリカに対する私たちの基本的立場は、「反米主義」ではけっしてありません。わが党は、アメリカの覇権主義の政策と行動については批判をしますが、アメリカとの対等・平等にたった真の友好関係を望んでおり、またアメリカの偉大な独立革命と民主主義の歴史には大きな尊敬を持っています。

 さらに、この間のわが党の一連の行動は、2004年に改定された新しい綱領にもとづくものであるということを強調したいと思います。新綱領では、従来の帝国主義論を発展させ、今日の世界においては、一律に「独占資本主義国=帝国主義国」とは言えなくなっていることを明らかにしました。そしてある国を帝国主義と呼ぶときには、その国が独占資本主義の国だということを根拠にするのではなく、その国が現実にとっている政策と行動の具体的内容を根拠にすべきだということを、明確にしました。

 こうした立場でアメリカのとっている対外政策の全体を具体的に分析し、綱領ではアメリカについて帝国主義という規定をしています。しかしそのアメリカについても、その将来を固定的に見ないことを綱領改定のさいに明らかにしました。そして、この立場から、アメリカのとる対外政策のすべてを頭から否定すべきものだと、先入観をもって見ることはせず、事実に即していわば「複眼」でみる――覇権主義の政策と行動は批判するが、世界の世論を反映して前向きの変化が起こったときには積極的に評価するという対応を心がけてきました。

 オバマ大統領のプラハでの演説にさいして、私たちがおこなった一連の対応は、こうした党綱領の立場を、行動によって示したものであります。この取り組みもまた、私たちが政権を担う党へと成長していくうえで、初歩的ですが意義ある一歩であるということを、強調したいと思います。

草の根のたたかいと共同して前途を切り開く党

 第二に、日本共産党が、全国に40万余の党員、2万2千の支部、3千人の地方議員を持ち、草の根で国民の苦難軽減という立党の精神にたって奮闘し、草の根のたたかいと共同して日本の前途を切り開く党だということであります。

 「困ったことがあれば共産党へ」ということが日本社会で浸透しつつありますが、わが党の草の根のネットワークが、生活相談、労働相談、職場や地域の要求実現など、国民の利益を守るために日々がんばっていることは、私たちの最大の誇りとするところであります。

 とりわけこの間の活動で特筆すべきは、経済危機のもとで襲いかかった雇用破壊に正面からたちむかい、労働者の仕事、生活、命を守るたたかいに、労働団体、市民団体と力をあわせ、全党が取り組んできたことであります。

 このなかで重要な成果もつくりだされつつあります。この間、非正規雇用労働者、正規労働者をあわせて、全国で1万人以上の労働者が、600をこえる労働組合に結集して、雇用破壊に反対するたたかいに立ち上がっています。労働局に派遣労働者の違法解雇の是正を求める申告運動が全国で取り組まれ、派遣先企業による直接雇用・正社員化をかちとった経験が各地に生まれています。違法解雇撤回を求める裁判闘争でも、宇都宮地裁、甲府地裁などで勝利判決が下されています。今年に入って「派遣村・相談活動」が全国161カ所に広がり、1万人近いボランティアが労働者の命をつなぐ活動に参加しています。これらは労働者の生活と権利を守るたたかいであるとともに、不当な攻撃にたいしては強力な社会的反撃をもってこたえる社会へと、日本社会の姿形を変えていく、大きな未来あるたたかいであります。

 人民のたたかいこそが、人間らしい労働のルールをつくり、平和な世界へのルールをつくる最大の力であることは、人類の歴史が証明しています。国民の苦難を軽減し、平和な世界をめざすあらゆるたたかいに、草の根から連帯し、未来を開く、日本共産党の役割と責任は大きなものがあります。

「二大政党」による悪政の競い合いの危険に正面からたちむかう党

 第三に、日本共産党が、自民、民主の「二大政党」による暮らし、平和、民主主義を壊す悪政の競い合いの危険に、正面からたちはだかる唯一の政党となっていることを、強調したいと思います。

 自民と民主の両党が、異常な財界・大企業中心の政治、「軍事同盟絶対」の政治を共有していることは、すでにのべましたが、「二大政党」の問題点はその両党に対立軸がない、政治の中身に違いがないということだけにとどまりません。両党の共通部分こそ問題であります。すなわち同じ古い政治の枠組みのなかで、競い合って悪政をすすめているところに、日本の政治にとっての重大な危険があることを直視する必要があります。

 消費税の引き上げは、麻生自公政権が2011年度までの増税を明記した法律を強行するもとで国政の重大争点となっていますが、もともと「年金財源のため」として3%という引き上げ幅まで提示して消費税増税の先導役を務めてきたのは民主党であり、民主党はいまでもこの立場を変えていません。

 自衛隊の海外派兵問題でも、「海賊対策」を名目に自衛隊派兵をおこなう提案を最初におこなったのは民主党であり、麻生首相が「ものすごくいいことだ」と歓迎し、新たな海外派兵の拡大として具体化されました。自衛隊の海外派兵の恒久法の早期制定のための法整備を提案し、国連の決定があれば海外での武力行使が可能となるようこれまでの政府の憲法解釈を変えると、国会の場で公式に答弁しているのも民主党であります。鳩山代表は、憲法9条2項を「現行憲法のもっとも欺瞞(ぎまん)的な部分」と敵視してそれを削除し、「陸海空その他の組織から成る自衛軍を保持する」ことを憲法に書き込み、海外での武力行使を可能にする「憲法改定案」を明らかにしています。この党が、海外派兵、憲法改定などの問題で、自民党よりも突出したタカ派的立場をしばしば打ち出していることは看過できません。

 さらに、重大視すべきは、民主党が、「衆議院の比例定数を80削減する」ことを打ち出していることです。民主党の主張は、自民党にも影響をあたえ、自民党からも「50人は削減する」との声が起こっています。現行小選挙区・比例代表並立制のもとで、民意を反映する唯一の部分となっている比例代表を削減・廃止することは、「国会議員が身を削る」ものでなく、「国民の民意を削る」ものにほかなりません。それは「国会には第1党、第2党だけあればよい。共産党も、公明党も、社民党も、国民新党もいらない」というにひとしい議論であり、議会制民主主義への乱暴な挑戦だと言わなければなりません。

 これらの自民、民主が競い合っての暮らし、平和、民主主義を破壊する動きにたいして、国民の利益にたって、正面からたちはだかることができる政党は、日本共産党をおいてほかに存在しません。この党をのばすことは、日本の政治を暗黒政治に逆行させる動きを許さず、明るい未来を開くうえでどうしても必要だということを強く訴えたいと思います。

資本主義を乗り越える未来社会への展望を掲げる党

 第四は、わが党が、「日本共産党」という党名が示すとおり、資本主義を乗り越える未来社会――社会主義・共産主義にすすむ展望をもっている政党だということであります。

 綱領は、「21世紀を、搾取も抑圧もない共同社会の建設に向かう人類史的な前進の世紀とすることをめざして、力をつくす」という一文でしめくくられていますが、私たちのめざす「共同社会」への動きは、現代の世界のなかにさまざまな形であらわれています。

 世界経済危機と地球環境の破壊は、資本主義という体制そのものが、この危機を乗り越える力をもっているのか――「資本主義の限界」という大問題を、人類の前に突き付けています。そしてこの問いかけは、必然的に、マルクスへの関心の強まりにつながっています。この動きは日本でもあらわれ、メディアでもマルクスが話題となり、不破哲三さんの著作『マルクスは生きている』が反響をよぶ状況が生まれています。

 ソ連崩壊という世界的波乱のなかで、中国、ベトナム、キューバという社会主義をめざす国ぐにが存在し、政治上・経済上の未解決の問題を残しながら、発展の道を歩んでいることも、世界にとって重要です。世界経済危機のもとでも、中国が、経済的発展を維持し、世界経済の立て直しのうえでも国際的地位を高めていることは注目されます。

 ラテンアメリカの一連の国ぐにで、進歩的政権が樹立され、独立と民主主義の課題を前進させるなかで、「新しい社会主義」をめざす動きが生まれています。これらの動きが起こる背景には、国民に深刻な災厄をもたらした新自由主義への拒否にとどまらず、資本主義的進路によっては国のまともな発展は保障されないという強い思いがあります。そして、これらの国ぐにが、ソ連型社会をモデルとせず、選挙での多数者の合意によって社会主義への進路を切り開こうとしていることは、重要であります。

 私たちがめざす社会主義・共産主義の理想にむけた動きは、危機と転機にある世界のなかで、さまざまな形であらわれています。これらは、21世紀が資本主義から社会主義への世界史的な前進の世紀になりうることを、強く予感させるものであります。

 世界を大きな視野でとらえ、日本共産党という党名に刻まれた自由で平等な共同社会の理想を、おおいにこの選挙戦で語ろうではありませんか。

 5、総選挙・都議選勝利をめざす方針について

 報告の第五の主題として、総選挙・都議選勝利をめざす活動方針についてのべます。

 総選挙・都議選勝利をめざす活動方針については、5中総、6中総、7中総決定、3月の幹部会決定、4月の第2回「職場問題学習・交流講座」などの方針で、すでに詳細に示されています。報告は、これまでの諸決定をふまえつつ、いよいよ総選挙を目前にひかえてとくに強調すべき点にしぼっておこないます。

活動の到達点に確信をもち、7月3日(都議選告示日)を節に飛躍をつくろう

全党の努力でつくりだした積極的な流れ

 5中総以降、1年9カ月の全党の活動の到達点を見るとき、全国の支部と党員のみなさんの奮闘によって、次の諸点で積極的流れをつくりだしていることに、まず深い自信と確信をもつことが大切であります。

 その第一は、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」に、7割の支部が取り組み、参加者数は72万人をこえ、この運動がわが党史上でも最大の画期的な取り組みとして発展していることであります。さらにこの間、取り組まれた演説会への参加者数は61万人をこえ、あわせると133万人の参加する運動として発展しています。

 この「大運動」は2007年の参議院選挙の政治論戦の教訓をふまえたものでした。すなわち、あの政治戦において、選挙戦の直面する熱い争点では、私たちは論戦をリードしました。しかし、綱領と日本改革の方針を語ることを、党の日常の活動として取り組むうえで弱点があった。この反省のうえに、これを抜本的に強めようと開始された運動が、「大運動」でありました。

 そうした位置づけのもとに始まった運動が、これだけの規模で発展したことは、綱領路線をはじめ日本共産党を丸ごと理解してもらう活動に取り組める党へと、わが党の活動が質量ともに大きく成長し、党と国民との政治的つながりが太く豊かになりつつあることを意味しています。この運動は、選挙勝利をめざして党活動全体を発展させる軸ともなり、党に新鮮な活力をもたらしています。これは総選挙のたたかいにのぞむにあたって全党の大きな確信にすべきであります。

 第二は、5中総決定の「比例代表での前進に力を集中する」という方針にもとづき、国政選挙・比例代表選挙を、全党のすべての支部と党員が「自らの選挙」としてたたかううえで、さまざまな努力をおこなってきたということであります。

 この間、小選挙区に候補者を擁立しない選挙区もふくめ、300の小選挙区のすべての選挙区単位で演説会を開くことをめざし、289選挙区で中央幹部・国会議員を弁士とした演説会を開催しています。全体としてどこも盛況です。また、全国すべての自治体・行政区で演説会・「集い」に取り組むことを追求し、全国1995自治体・行政区のうち98%にあたる1954自治体・行政区で演説会・「集い」が取り組まれています。党の組織がない空白の地域でも、さまざまな開拓的活動がおこなわれ、「集い」が取り組まれています。

 演説会成功にむけ、「知らざるものなし」の宣伝と案内に取り組み、保守・無党派の人々など、党外の参加者が8割、9割に達し、空前の成功を収めた演説会も各地で生まれ、「比例は日本共産党に」という流れをつくりだしつつあります。

 第三に、「党の実力づくり」という点では、党員拡大で、5中総後に1万9千人の新規党員を迎え、党員拡大で19カ月連続前進をつづけていることは、きわめて重要な成果であります。世界第2位の資本主義国・日本で共産党員が増えていることに、多くの外国メディアが注目し、世界中で報道されています。

 これらの前進が、国民の要求にもとづくさまざまなたたかい、生活相談や労働相談など国民の苦難軽減の取り組み、「大運動」の発展など、党の活動の多面的・総合的な発展と一体につくられていることは、たいへん貴重であります。

 新しく党に入った同志たちの多くが、文字通り「新鮮力」を発揮し、党に新たな活力をもたらしていることは、本当にうれしいことであります。中央委員会総会として、この間、新たに私たちとともに社会進歩の道を歩み出した新しい同志のみなさんに、心からの歓迎のあいさつを送るものです。

とくに二つの点について到達点を直視する 

 もちろん、これまでの活動の延長線上では、勝利の保障はないことも、あわせて強調しなければなりません。とくにつぎの二つの点について到達点を直視する必要があります。

 一つは、対話・支持拡大の運動です。3月の幹部会では「意識化と集約」が大切だということを強調しましたが、この運動はまだ全有権者を対象としたダイナミックな運動とはなっていません。勝利に必要な支持拡大は、比例代表で650万票以上という得票目標の少なくとも2倍以上の規模が必要ですが、現在のところ到達点は得票目標比で68%にとどまっています。

 いま一つは、「しんぶん赤旗」の読者拡大であります。私たちは、この最も苦労の多い活動に多大な努力を注いできました。そのなかで、前回総選挙時を突破して前進をかちとっている党組織も少なからず生まれていることは貴重であります。またこの5月に、全党的に前進をかちとったことは、「選挙に何としても勝ちたい」という全党のみなさんの気持ちのあらわれであり、きわめて重要な成果であります。私は、読者拡大と、配達・集金での、全党の多くの同志のみなさんの献身的な奮闘に心からの感謝の気持ちをのべるものです。

 しかし、全党的には、連続前進もありましたが後退もあり、5中総時点の到達点を維持する水準にとどまっています。日刊紙、日曜版とも読者は前回総選挙時比で90%程度であるということを直視しなければなりません。

7月3日を節に活動を大飛躍させ、さらに発展させよう

 これらの到達点をふまえ、総選挙勝利をめざす党の活動の飛躍を、いまどうしてもかちとる必要があります。解散・総選挙の時期はなお流動的ですが、いずれにせよ投票日まで1、2カ月、どんなに長くても3カ月という最終局面にあることは、間違いありません。また、東京都議選は7月3日告示、12日投票で取り組まれ、東京の党組織はもとより、全国の党組織がこの政治戦の勝利のために力をあわせて奮闘する必要があります。

 そこで、提案があります。7月3日の都議選の告示日を一つの節として、それまでの約1カ月の間に次の活動をやりきり、さらに活動を発展させることを、中央委員会総会として呼びかけたいと思います。

 第一は、全有権者規模での宣伝を強めるとともに、対話・支持拡大を飛躍の軌道にのせることであります。遅くとも7月3日までに全国すべての党組織と党支部が、支持拡大で得票目標を突破する運動の飛躍をつくり、さらに継続的にこの運動を発展させることを呼びかけるものです。そのさい「全国は一つ」の見地で、東京との結びつきを生かし、都議選勝利のための対話・支持拡大にも全国の党組織があらゆる力をそそぐようにします。

 第二は、「大運動」をさらに発展させることであります。7月3日までに全国すべての党支部が「集い」を開き、すでに開いた支部では繰り返し開き、「集い」で100万をこえる規模の運動への発展をかちとることを呼びかけるものです。

 第三は、党員拡大と読者拡大で、文字通りの飛躍をつくることであります。党勢拡大の大きな上げ潮を何としても7月3日までにつくりだし、新鮮な力を党に迎え入れながら、また読者を大きく増やしながら、総選挙のたたかいにのぞみたいと思います。

 いま私たちは、5中総以降の全党の努力が実るかどうかの歴史的局面に立っています。7月3日を一つの節として選挙勝利をめざす活動の大飛躍を必ずかちとり、それをさらに発展させ、これまでの私たちの努力を必ず選挙戦の結果に結びつけようではありませんか。

全支部・全党員の総決起こそ、活動の飛躍、選挙勝利の最大のカギ

 それではいま、どうやって選挙勝利をめざす飛躍をつくるか。特別の方策があるわけではありません。「すべての支部と党員が立ち上がれば勝てない選挙はない」。この鉄則に立って、全党決起をかちとることに心血をそそぐことが大切であります。40万余の党員、2万2千の党支部が、364万人の後援会員と協力して立ち上がれば、勝利は必ずつかみとれる。それだけの力をわが党は持っているということに確信をもって、全党決起をかちとるためにあらゆる知恵と力をつくしたいと思います。

 それでは、どうやって全党決起をつくるか。私たちは、全国のすぐれた経験に学び、つぎの3点が大切であると考えます。

情勢と党の値打ちへの確信をみんなのものにする

 第一は、情勢と党の値打ちへの確信をみんなのものにして、支部と党員が政治的に元気に明るく選挙戦にのぞめるようにすることであります。この点で、4月の「しんぶん赤旗」学習・党活動のページに掲載した、4人の地区委員長の座談会は示唆にとんでいます。

 一つは、党機関が、中央の決定を繰り返し討議するとともに、時々の新鮮な材料を使い、生き生きとした政治討議をおこない、自らの感動を支部に伝えていることであります。座談会に出席したある地区委員長は、「私たちが感動したものこそ、支部でもつかんでもらうようにできる」とのべていますが、私は、ここには大きな真理があると思います。人は自らが心から感動したことを語ってこそ、その感動を人に伝えることができます。それは相手を動かす力となって働きます。情勢と党の値打ちについての感動を伝えることにこそ支部と党員への援助の中心点があるということを強調したいと思います。

 いま一つは、情勢と党の値打ちという場合、それは遠いところにあるのではないということです。それは身近に起きているさまざまな出来事のなかから、つかむことができます。座談会に出席した地区委員長が、「決定で書いてあることがわが地区内でどういう形で起きているかを裏づけることが大事」「住民アンケートや署名の反応など、どんな小さなことでも生きた実例を、地区ニュースで直ちに紹介している」とのべていることは、たいへん大切だと思います。

「聞く力」を重視し、双方向・循環型の活動に取り組む

 第二は、「聞く力」を重視し、双方向・循環型の活動に取り組むということです。私たちは、4月に第2回「職場問題学習・交流講座」に取り組みましたが、その討論を聞いて、いま雇用破壊で苦しんでいる労働者にたいして、党がどういう姿勢で接するかについて、おおいに学ばされるものがありました。私は「まとめ」で、「聞く力」が大切だとのべました。すなわち労働者の苦しみの実態に心をよせ、耳を澄まして、よく聞く。私たちは話す方は慣れていても、聞く方は意外と慣れていない場合も少なくありません。しかしいま、「聞く力」こそ大切です。よく聞いて相手が本当に心を開いてくれたら、聞くだけでも8割ぐらいの信頼を得られる、あとは話せば残り2割の信頼も得られるということも少なくありません。

 この姿勢は、党と国民との関係で大切な姿勢ですが、党機関と支部や党員との関係でも大切ではないでしょうか。たとえば経済危機のもとで、多くの党員の生活も国民と同じように苦しいわけです。「党をのばしたい」という思いがあっても、いろいろな困難から足が出ないという状況もあると思います。健康や家族の問題をかかえている同志も少なくないでしょう。そうした支部や党員がぶつかっている困難をよく聞き、願いをよく聞き、一人ひとりの条件にそくしてみんなが立ち上がれるよう、懇切な援助の手だてをつくすことが大切ではないでしょうか。「知恵は現場にある」という立場で、どんな端緒的なものであっても前向きの芽を現場からつかみ、それに学び、みんなのものにする活動が大切ではないでしょうか。わが党のなかには宝石がたくさんあります。それを見つけだして、輝かせる努力をすることが大切ではないでしょうか。そういうリーダーシップこそ、いま党機関に求められている、真のリーダーシップだということを、私は強調したいと思うのであります。

党の潜在力を余さずくみつくし指導態勢を強める

 第三は、これらの活動をやりきるうえでも、支部と党員にたいする機関の指導態勢を強めることであります。この点で党の潜在力を余さずくみつくすことが求められています。

 わが党には指導態勢という点で、どれだけの潜在力があるでしょうか。全国の都道府県役員・地区役員の総数は約1万1千人です。さらに全国664の自治体・行政区に補助指導機関がつくられ、そこに参加している総数は4千人をこえます。さらに都道府県と地区委員会で、合計して1400人をこえる職場援助委員会がつくられています。兼務している同志を考慮しても、わが党には、約1万4千人という規模で支部を援助する態勢が現にあります。

 この約1万4千人の同志の心に灯をともす取り組みをおこない、その潜在力を余さずくみつくし、さらに定年退職した同志などに臨時の選挙態勢に参加してもらい、これらの「熟練力」を総合するならば、2万2千の支部と40万余の党員への懇切な援助をおこなう態勢は、必ずつくることができます。そのために知恵と力をつくそうではありませんか。

 これらの三つの点で努力をつくし、すべての支部が支部会議を開き、「政策と計画」を持ち、得票目標を決めてその実現のために自覚的な活動をおこない、すべての党員がその条件におうじて選挙戦に参加する全党決起をつくりあげようではありませんか。

選挙勝利にむけた活動の諸課題について

 選挙勝利にむけて何をなすべきかは、これまでの諸決定ですでに明瞭(めいりょう)であります。とくに強調したいいくつかの点について報告いたします。

国民の苦難軽減と平和の取り組みをさらに強めながら

 一つは、立党の精神にたち、国民の苦難軽減と平和のための取り組みを、さらに強めながら選挙戦をたたかうことであります。経済危機のもとで、「共産党に話を聞いてほしい」「何とかしてほしい」という悲鳴や願いが渦巻いています。その願いにこたえた生活相談・労働相談、住民・職場アンケート、さまざまな要求署名運動などに取り組みます。核兵器廃絶を求める国際署名に大きな反響が広がっており、おおいに取り組みたいと思います。国民の暮らしと平和のために奮闘する党の姿を輝かせながら、選挙戦をたたかおうではありませんか。

「比例を軸に」、「自らの選挙」としてたたかいぬく

 二つ目は、「比例を軸に」、「自らの選挙」として総選挙をたたかい抜く姿勢を最後まで貫くことです。都道府県、地区、支部の「650万票以上」に対応する得票目標実現は、全国とそれぞれの比例ブロックの議席獲得目標実現に直結する仕事であり、「全国は一つ」の見地でその実現のために執念を燃やそうではありませんか。総選挙には、比例代表選挙と小選挙区選挙の二つの選挙があること、「比例では日本共産党(政党名)と書いてください」と訴えることを、全国どこでも現場のすみずみにまで徹底しようではありませんか。

全有権者規模の宣伝、対話・支持拡大を広げに広げる

 三つ目は、全有権者規模の宣伝、対話・支持拡大を最後まで広げに広げることです。大好評の「いまこそ日本共産党」のポスターを張りきることをはじめ、元気な共産党の姿を有権者につたえる大量政治宣伝を、草の根の力を総発揮してすすめようではありませんか。対話・支持拡大は、支持拡大で7月3日までに得票目標を必ず突破し、「広げつつ固め、固めつつ広げる」という立場で、担い手をふやし、得票目標実現に必要な組織活動をやりきろうではありませんか。そのさい、パンフレット『日本共産党の“元気”の源は何か』の普及も積極的に位置づけていただきたいと思います。

「大運動」を広げ、国民とともに日本の進路を探求する場に

 四つ目は、「大運動」「集い」を最後の最後まで広げ、国民とともに日本の進路を探求する場として位置づけ、選挙戦全体を前進させる軸として重視することです。7月3日までに、100万をこえる規模に発展させ、さらに広げに広げて、得票目標達成にふさわしい規模に発展させようではありませんか。「集い」が未開催の支部への具体的援助を強めることも訴えたいと思います。

後援会とともにたたかう壮大な選挙戦を

 五つ目は、後援会と一体にたたかうことです。後援会員は5中総時から40万人増えて、364万人となっており、後援会員とともにたたかう壮大な選挙戦にしていきたいと思います。すべての後援会員にニュースを届け、党への要望や要求を聞いてそれにこたえながら、ともにたたかう選挙にしていこうではありませんか。

若い力が輝く選挙にしよう

 六つ目に、この間、若い世代のなかで、雇用問題、核兵器問題など、政治に目をむけ、現状を変えようとたたかいに立ち上がる動きが広がっているのは、日本の未来にとってきわめて重要です。若い世代の関心・要求・苦しみに耳を傾け、心を寄せ、そのたたかいを励まし、ともに21世紀の日本の「進むべき道」を考え、若い力が輝く選挙にしていこうではありませんか。

選挙戦の本番にふさわしい党勢拡大に取り組む

 七つ目は、選挙戦の本番にふさわしい党勢拡大に取り組むことです。有権者の政治的関心が高まる選挙の時こそ、党勢拡大の絶好のチャンスであります。すべての支部が新しい党員を迎えて選挙をたたかうことを最後まで追求することを呼びかけます。21世紀の日本の進路を示す「旗印」を、日々、毎週、国民に伝える最良の媒体が「しんぶん赤旗」です。すべての党機関、党支部が、読者数で前回総選挙時を突破して、選挙をたたかうことを最後まで追求しようではありませんか。

むすび 歴史的選挙にむけてすべての党員が初心にたって立ち上がろう

 全党のみなさん。私たちは、「今度こそ勝ちたい」という思いで、5中総後の1年9カ月、新たな勝利にむけて力をつくしてきました。多くの新しい取り組みに挑戦し、新しい成果をあげてきました。それが実るかどうかは、これからの奮闘にかかっています。

 21世紀の日本の進路が問われる歴史的選挙戦で、国民の立場に立って、「日本をこう変える」という進路を高々と掲げる日本共産党の勝利を必ずかちとろうではありませんか。そしてこの総選挙を「国民が主人公」の立場に立つ民主的な政権――民主連合政府への大きな一歩を踏み出す選挙にしていこうではありませんか。すべての党員のみなさんがその初心にたって、この歴史的なたたかいに立ち上がることを強く呼びかけて、報告を終わります。