2009年1月6日(火)「しんぶん赤旗」

総選挙勝利を党史に刻む年に

「党旗びらき」での 志位和夫委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が二〇〇九年の「党旗びらき」でおこなったあいさつはつぎの通りです。


総選挙をたたかう歴史的な年が始まった

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(写真)あいさつする志位和夫委員長=5日

 お集まりのみなさん、CS通信をご覧の全国のみなさん、二〇〇九年、あけましておめでとうございます。

 総選挙をたたかう歴史的な年が始まりました。この政治戦は、全党が後援会と一体に持てる力を出し切ってたたかいぬけば、勝利をつかむことができる、チャンスの選挙です。国民の苦難を打開する活動にとりくみながら、論戦とたたかいで自公政権を追い詰め、いついかなる時の解散・総選挙となっても必ず前進・躍進する決意を、まずみんなでかためあいたいと思います。(拍手)

 私は、年頭にあたって、世界と日本の情勢がどう動いているか、党の主体的活動がどうなっているかの両面から、新年のたたかいを展望してみたいと思います。

自民党政治の「司令塔」の破たん(1)――財界・大企業

 日本の情勢を大局でとらえますと、自民党政治の行き詰まりがいよいよゆきつくところまできた、自民党政治に代わる新しい政治を求める歴史的時代が始まったという感を深くします。

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(写真)5日、党本部で開かれた2009年党旗びらき

 すなわち、自民党政治は、戦後ずっと、内政は財界・大企業が「司令塔」、外交はアメリカが「司令塔」、政治はこの二つの「司令塔」のいいなりという体制がつづいてきました。ところがいまこの二つの「司令塔」がすすめてきた道が、二つながらに大きな破たんに直面しています。「司令塔」自身が破たんしている。ここに自民党政治のこれまでにない深刻な危機の根源があります。

「ルールなき資本主義」がつくった異常に脆い経済が破たんに直面している

 第一に、財界・大企業という「司令塔」はどうなっているか。

 日本資本主義はもともと「ルールなき資本主義」という異常な特質をもっていますが、そのうえに大企業のもうけを野放図に追い求める「新自由主義」をあらゆる分野で極端にまですすめた結果、日本経済全体が、異常に脆(もろ)い経済となってしまいました。その脆さが世界金融危機にさいして激しい形であらわれ、大きな破たんに直面しています。

 世界金融危機に端を発する日本の景気悪化は、これまでにない特徴があります。それは異常に急速に、いわば墜落するような勢いで景気悪化がすすんでいることです。昨年末発表された政府・内閣府の『ミニ経済白書』でも、「急速に厳しさを増す景気後退」「異例の速さで悪化」などという表現で、その事実を認めています。

これまでにない急速な景気悪化――その三つの要因

 なぜそんなことになっているのか。つぎの三つの要因があげられます。

 一つは、人間らしい労働のルールを破壊してしまったことです。従来の不況では、まず株価が下落し、続いて需要が落ち込み、雇用悪化は遅れて起こっていました。ところが今回は、昨年九月の株価暴落と同時に、大企業が先を争うように「派遣切り」「期間工切り」をはじめ、すでに深刻な雇用悪化が引き起こされています。労働法制の規制緩和によって、非正規労働者を急増させたことが、このような「高速首切り」を可能にする社会をつくってしまったのであります。それは雇用悪化と景気悪化の悪循環をつくりだし、日本の経済と社会の前途を危うくし、そして結局は、財界・大企業の前途をも危うくする事態をつくりだしています。劣悪な労働条件のもとで懸命に働いてきた人々を、寒空に放り出し、路頭に迷わせて恥じない勢力にけっして未来はないということを、私は強くいいたいと思います。(拍手)

 二つ目は、極端な「外需頼み」、とくにアメリカに依存する脆弱(ぜいじゃく)な経済をつくってしまったことです。大企業の「国際競争力」を強化せよ、強い企業が多くなればなるほど日本経済は強くなる――これが「構造改革」の名でおこなわれたことでした。その結果、一握りの輸出大企業は空前のもうけをあげましたが、勤労者の賃金は引き下げられ、非正規雇用への置き換えがすすみ、庶民増税と社会保障切り捨てが追い打ちをかけました。内需を犠牲にして、外需だけで稼ぐ。このゆがんだ路線をつづけた結果、日本経済も個々の大企業も、強くなるどころか、外的ショックにきわめて脆弱な体質となってしまった。その脆さが、アメリカ経済の破たんと世界不況による景気の墜落につながりました。この道をつづけることにも未来はない。内需主導への転換がこんなに求められていることはありません。

 三つ目は、証券市場を「外資頼み」の投機的市場にしてしまったことであります。橋本内閣いらいすすめてきた「金融ビッグバン」=金融規制緩和路線によって、東京証券取引所の株式の売買の六〜七割は、アメリカを中心とする外国人投資家によるものとなり、そのほぼ半分はヘッジファンド(投機的基金)といわれています。この勢力は、短期的な株の投機的売買で稼ぐことだけが目的であり、日本の経済や企業を中長期の目で見て育てるなどという立場は毛頭ありません。金融危機が起こると、ヘッジファンドは手持ちの株を問答無用で投げ売りし、株の大暴落を引き起こし、日本経済と国民生活に甚大な打撃を与えました。投機的市場は、個々の大企業を「首切り」競争に追い立てる圧力としても猛威をふるっています。

 このように、「新自由主義」の経済政策を極端にまですすめ、「外需頼み」「外資頼み」という二重の対米従属の経済・市場構造をつくってしまったことによるゆがみと脆さが、景気悪化を前例のない急速なものとし、国民生活と日本経済に未曽有の困難をもたらしているのであります。

財界・大企業は、この現実を前にして、先への見通しを失っている

 私は、同時に、それは財界・大企業にとっても、先のない道であることを強調しなければなりません。昨年、私が、経済同友会終身幹事の品川正治さんと、全国革新懇の代表世話人会でお会いしたさい、品川さんが、「財界はいま、自分でもどうしたらいいかわからなくなっているんですよ」といわれていたことは印象的でした。

 同じことは、昨年末の日本経団連や一連の大企業との会談で、私自身も実感したことでした。世界金融危機という難局にさいして、周章狼狽(ろうばい)して「首切り」競争をおこなうのは、企業にとっても自殺行為ではないか。株主への配当を増やしながら労働者の首を切るのは、資本主義のあり方としても堕落ではないか。これらの私の指摘に対して、先方から反論はありませんでした。財界・大企業は、「新自由主義」と対米従属を極端にまですすめたためにつくりだされたこの現実を前にして、未来への見通しを失っています。これが私たちの実感であります。

国民世論と財界・大企業の関係でも大きな変化が起こった

 国民世論と財界・大企業との関係でも大きな変化が起こりました。歴史的にみてみますと、かつて一九六〇年代から七〇年代の時期に、財界・大企業が、自分たちが引き起こした公害=環境破壊の責任を認めず、「石油ショック」が起こると、「千載一遇のチャンス」といって買い占め・売り惜しみという悪徳商法にまい進するという横暴勝手を繰り返し、これらの“企業悪”――大企業が引き起こす社会悪にたいする警戒と批判が日本社会に大きく広がったことがありました。

 そうした社会的な雰囲気を変えたのが、一九八〇年代前半の「臨調行革」でした。その司令塔となった経団連会長の土光敏夫氏を中心に、「民間大企業こそ、その仕事ぶりでも、生活ぶりでも、日本社会の模範だ」という一大キャンペーンがおこなわれました。土光夫婦がメザシをおかずに食事をしている風景が宣伝され、“メザシの土光さんに学べ”という掛け声が日本社会を覆っていきました。そうして「社会的復権」をはたした財界・大企業は、その力を背景に大企業中心・国民犠牲の政治をおしすすめていったのであります。

 ところがいま、流れが変わってきたではありませんか。財界・大企業が引き起こす“企業悪”にたいして、再び日本社会から大きな批判の声がわき起こっています。不景気とはいえ、つい最近まで巨額のもうけをあげ、巨額のため込みをおこない、大株主には巨額の配当をつづけている大企業が、労働者から職も、生活も、住居もとりあげて、真冬の巷(ちまた)に放り出す。これはあまりに社会的責任を無視した横暴勝手な行動ではないか。こうしたきびしい批判が広くわき起こっています。財界・大企業は苦労して得た「社会的復権」を、いま自らの手で覆しつつあるのであります。

「ルールある経済社会」――この綱領的展望に国民的共感が

 これが長らく自民党政治の「司令塔」だった財界・大企業の現状であります。彼らはいま、日本資本主義のゆがみと脆さが世界経済危機のなかで噴き出し、その路線が破たんするなかで、先の見通しを失い、国民世論からも孤立しつつあります。

 こうした中で、財界・大企業の横暴に正面から立ち向かう日本共産党の立場が輝きをましています。「外需頼みから内需主導への転換を」というわが党の主張は、与野党をこえてすべての政党がいわざるをえなくなっています。「ルールなき資本主義」を正そうという綱領的展望が、広く社会的に共感を呼ぶ状況が生まれています。みなさん、この大きな変化に確信をもって、今年を、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」への大きな一歩を刻む年とするために、ともに奮闘しようではありませんか。(拍手)

自民党政治の「司令塔」の破たん(2)――アメリカ一国覇権主義

二つの覇権主義のうちの残った一つの破たんが、歴史に記録された年に

 第二に、アメリカという「司令塔」はどうなったか。

 わが党は、戦後、二つの巨大な覇権主義とたたかってきました。その一つのソ連覇権主義は、十八年前に崩壊しました。それに続いて、昨年は、二つの覇権主義のうち残った一つであるアメリカ覇権主義の破たんが明瞭(めいりょう)になった年として、歴史に記録される年になるでしょう。

 ソ連崩壊は、アメリカによる世界制覇を保障するものとはなりませんでした。反対に、米ソの二つの覇権主義の対抗という呪縛(じゅばく)から、西側世界も、発展途上国も、社会主義をめざす国々も、それぞれが解放され、世界が活力をえて新たな発展を始めました。そして、覇権主義が一つになったために、世界の監視と批判の目が、誰はばかるところなく、アメリカ覇権主義に向けられることになりました。ソ連崩壊がもたらした世界の活性化の流れが、もう一つの覇権主義――アメリカを包囲し、アメリカの一国覇権主義は、軍事でも経済でも、大きな破たんに直面し、終焉(しゅうえん)に向かい始めているのであります。

アメリカ覇権主義は、軍事でも、経済でも、終焉に向かいつつある

 軍事的覇権主義の破たんという点では、イラク戦争の失敗は決定的でした。国連憲章を無視した無法な戦争が、世界で孤立を深めたうえに、大統領選挙で米国民からも「ノー」の審判を受けました。ブッシュ大統領自身が「在任中の最大の痛恨事」とのべ、昨年末のイラク訪問のさいには怒ったイラク人記者から靴が投げつけられるという事態も起こりました。オバマ新政権の動向を言うのは早いですが、今日の世界が、国連を無視した先制攻撃戦略を容易に発動できる世界ではなくなりつつあることは間違いない事実だと思います。

 アメリカが栄耀(えいよう)栄華を誇った経済的覇権主義ではどうか。いま起こっている事態は、アメリカを中心とした「カジノ資本主義」の大破たんであります。すなわち金融の自由化、規制緩和を極限にまですすめたことによって、投機マネーが異常に肥大化するもとで、バブルが破たんし、世界の実体経済を破壊し、諸国民の暮らしを破壊しています。この大破たんがほかでもない「資本主義の総本山」のアメリカで起こったことによって、アメリカ型資本主義への信頼は地に落ち、世界からきびしい批判をあびるにいたりました。

 それはまたドル支配の終焉の始まりであります。これまでアメリカは、IMF(国際通貨基金)や世界銀行を利用して、新自由主義、市場原理主義を世界中に押し付けてきました。世界基軸通貨としてのドルの特権のうえにあぐらをかき、膨大な経常赤字を垂れ流しつづけながら、世界中から富を吸い上げてきました。しかし、これもまた大きく崩れつつあります。アメリカ一国支配は、経済的覇権主義という点でも、終焉に向かいつつあります。

新しい世界秩序への流れ――平和でも経済でも大きく広がる

 昨年は、最後の覇権主義の終焉の始まりを告げた年であるだけではありません。それにかわる新しい世界秩序への大きな流れがいっそう広がった年ともなりました。

 地域の平和共同体という点で、昨年の「党旗びらき」では、ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とする東南アジア友好協力条約(TAC)が、ユーラシア大陸を覆って巨大な広がりをみせていることを紹介しました。昨年十二月十五日には、この流れの中核となっているASEANが、その憲法にあたる「ASEAN憲章」を発効させ、二〇一五年のASEAN共同体実現にむけて、さらにこの流れは大きく前進しました。

 その直後、十二月十六、十七日に、ブラジルからビッグニュースが伝わってきました。アメリカとカナダを除く南北アメリカ大陸の三十三のすべての国が、ブラジルに結集し、中南米・カリブ海諸国首脳会議が開かれ、来年二月には「中南米・カリブ海諸国機構」を創設するというニュースであります。首脳会議の宣言には、各国の政治体制を問わず、紛争の平和解決、領土保全の尊重など、国連憲章の諸原則を尊重し、「公正、平等で、調和のとれた国際秩序を構築する」ことが高らかに宣言されています。南米から始まったアメリカ支配から自立した国づくりと地域の平和共同体の動きは、中米に広がり、さらにカリブ海諸国に広がり、ここでも巨大な流れを形成しつつあります。スペインの有力紙「エルパイス」紙の社説は、こう書きました。「(首脳会議での)発言のすべては、われわれはもう誰の裏庭でもないというメッセージと解釈された」。

 長らく「アメリカの裏庭」といわれてきた諸国が、誰の裏庭でもない、世界政治の主人公だと高らかに宣言したのであります。

 さらに、国際経済の枠組みでも、米国中心・「先進国」中心の体制は過去のものとなりつつあり、新興国や途上国も参加した新しい経済秩序への流れが、つくり出されつつあります。アメリカ発の世界金融危機は、G8(主要八カ国)では対応不能となり、昨年の金融サミットは新興国を加えた二十カ国の会議――G20に拡大しました。デスコト国連総会議長は、今年は国連のすべての加盟国が中心になる「G192時代の幕開け」になると表明しました。

アメリカいいなりからの脱却が、いよいよ現実の課題に

 こうして、世界はいま、どんな大国のいいなりにもならず、自国の進路は自分で決める自主・自立の流れが圧倒的な本流となっています。そのときに、日米軍事同盟は絶対だ、アメリカ型資本主義は手本だとして、外交も経済も自主的な戦略を何一つもたず、思考停止のままで卑屈な従属体制を続けていいのか。そんな道に未来がないことは明瞭ではありませんか。

 アメリカの経済覇権主義の破たんは、それを手本にしてきた日本の財界・大企業の戦略の破たんでもあります。「すべての規制をとりはらい市場にまかせよ」、「『貯蓄から投資へ』『金融立国』をめざせ」、「株主への配当を最優先するアメリカ型経営に学べ」――こんなアメリカ型資本主義への追随を続けていていいのか。そのことが、国内での貧困と格差の恐るべき広がり、世界での「カジノ資本主義」の大破たんという事実を前にして、経済界のなかからも問いなおされる状況が生まれています。

 ここでも綱領が指し示す方向への日本の進路の大きな転換――アメリカいいなりからの脱却という展望が、いよいよ現実のさしせまった課題となる情勢が進展しつつあります。みなさん、日本共産党が一貫して掲げ続けてきた旗――日米安保条約を廃棄し、対等・平等の日米関係を築こうという旗、ほんとうの独立国といえる日本、憲法を生かした平和日本をつくろうという旗を、いよいよ高く掲げてすすもうではありませんか。(拍手)

「二大政党」の枠に閉じ込めきれない、より大きな選択の時代

 このように、いま起こっている自民党政治の「漂流状態」ともいうべき統治能力の衰退・喪失の根源には、彼らが「司令塔」と仰ぎ、そのいいなりになってきた財界・大企業と、アメリカ覇権主義という、二つの支配勢力自体が深刻な破たんに直面しているという事実があります。麻生内閣の政治的劣化、政治的退廃は、その象徴ともいうべきものです。

 「二大政党づくり」の動きは、こういう時のために、自民党政治を危機から延命させることを狙った仕組みとして作られたものでした。しかし、自公と民主が、国民の暮らしそっちのけで党略にあけくれる姿をみて、「自公には愛想がつきた。しかし民主党も信頼できない」という声が広がるなど、「延命機能」が思い通りに働かない面も生まれています。

 とくに、こんなに財界・大企業の横暴勝手への国民的批判が広がるもとで、財界・大企業にモノ一つ言えないことは、「二大政党」の致命的な弱点であります。かつて一九六〇年代から七〇年代にかけて財界・大企業の“企業悪”が社会問題になったときには、日本共産党だけでなく他の野党も大企業への批判をおこなったし、自民党まで政策文書では「大企業中心主義の克服を」とのべたものでした。それが今日、これだけ財界・大企業の横暴が問題になっているときに、それに対して正面からモノを言えるのは日本共産党だけとなっています。「大企業にモノを言える党か、大企業からモノを言われる党か」――この簡単な分類法で、日本の政党の真価がはかることができる、実にわかりやすい情勢が展開しています。

 もちろん「二大政党づくり」の動きが、わが党を政界から締め出していく力は、いささかも軽視できません。同時に、もともと「二大政党づくり」のシナリオを書き、推進してきた財界・大企業そのものが路線的破たんをきたすもとで、私は、日本の政治は、もはや「自民か民主か」の枠に閉じ込めようと思っても閉じ込めきれない、もっと大きな選択の時代に入っているのだということを、とくに強調したいと思います。

 日本と世界の情勢を大局でとらえるなら、日本の政治が、自民党政治からいよいよ脱却して、「国民が主人公」の民主的政権にすすむことを求める、大きな新しい歴史的時代に入っていることが見えてくるではありませんか。ここに確信をもって、きたるべき総選挙では、新しい政治の担い手、日本共産党を大きく前進・躍進させようではありませんか。(拍手)

全党の奮闘でつくってきた主体的な力に確信をもって

 情勢がどんなに党前進・躍進の条件をはらんでいても、わが党が発展する主体的な力をもっていなかったら、その条件は生かせないまま素通りしてしまいます。しかし、昨年は、主体的な力という点でも、これからの頑張りいかんでは、総選挙で前進・躍進できる豊かな到達を、全党のみなさんの心を一つにした奮闘で築いてきた年となりました。

社会的反撃が開始された歴史的な年

 第一は、暮らしや平和の破壊にたいする社会的反撃が開始された歴史的な年となったということであります。

 わが党は、三年前の第二十四回党大会で、「社会的連帯で反撃を」をスローガンに、暮らしと平和を壊す攻撃にたいして、国民が連帯して立ち上がることを呼びかけましたが、昨年は、雇用、社会保障、農業、平和と憲法など、あらゆる分野で本格的な社会的反撃が開始された年となりました。

 とりわけ労働者と若者がたたかいに立ち上がったことは、特筆すべきことであります。大企業による大規模な雇用破壊という非常事態のなかで、各地で労働者が自ら労働組合をつくって立ち上がり、力強い反撃の一歩が始まったことは、はかりしれない意義をもつものであり、初めは小さくとも、この動きには大いなる未来があります。

 また、年末・年始の寒空に放り出された労働者を救おうと、市民・労働団体のみなさんが東京・日比谷公園で「年越し派遣村」を立ち上げ、全国からボランティアが集い、支援物資・支援募金が集まり、緊急の避難所となりました。本来、こうした避難所は政府の責任で設置すべきものでありますが、温かい人間的連帯の運動がわき起こり、政府を動かす力を発揮していることは、素晴らしいことであり、わが党は、この動きに連帯して奮闘する決意を表明するものであります。(拍手)

 暮らしと平和にかかわるどんなたたかいでも、日本共産党が、国民の苦難の軽減という立党の精神にたって、草の根でたたかいを支え、全国どこでも温かい連帯のネットワークをつくっていることは、私たちが何よりもの誇りとするところであります。昨年、開始されたたたかいを、今年はさらに大きく発展・飛躍させ、「社会的連帯で反撃を」にとどまらず、社会的連帯で政治を変える年にしようではありませんか(拍手)。

「二大政党づくり」という反共シフトを突破する足がかりをつかんだ

 第二は、「二大政党づくり」という反共シフトをどう突破するかの足がかりをつかんだことであります。

 この動きへの対応として、自民党と公明党が、異常な大企業・アメリカ中心という「二つの政治悪」の担い手の党であり、民主党がそれを打破する立場をもたない党であることへの批判は、もとより大切です。同時に、それだけではわが党への支持になりません。日本共産党はどういう日本をめざすのか、何をする党なのかについて、明確な政治的メッセージを広く発信し、それと一体にこの反共シフトへの批判をすすめてこそ、党への支持を広げることができます。

 この点で、わが党が、「政治の中身を変える」、「『二つの政治悪』を正す」というスローガンを正面から掲げたことは、きわめて大きな意義があります。さらに、わが党は、雇用、後期高齢者医療、農業再生、地球環境、景気対策などでの政策提言をつぎつぎにおこない、それにもとづく論戦とたたかいで、現実政治を動かし大企業を動かす積極的な成果を次々とあげてきました。国民の苦難軽減のために献身するとともに、政治を根本から変える道筋を堂々と示す――こうしたわが党の政党としての大道を行く政治姿勢が、党略にあけくれる自公、民主との対照で、国民の信頼を広げつつあります。この立場を堅持してさらに奮闘しようではありませんか。

「大運動」を百万をこえる規模にさらに発展させ、豊かに花開かせよう

 第三は、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」という、党史上初めての歴史的なとりくみが力強くはじまったことです。支部主催の「集い」は、67%の支部がとりくみ、参加人数は累計で五十八万人に達しました。演説会・シンポジウムを合わせると参加人数は累計で百二万人を超えました。さらに、全国すべての自治体・行政区で「集い・演説会」を開こうという呼びかけにこたえたとりくみが展開され、全国千九百四十二の自治体・行政区のうち95%、千八百六十を超える自治体・行政区で「集い・演説会」が開かれました。離島にまで出かけての「集い」など感動的な経験が各地で生まれました。

 「大運動」は、あらゆる党活動を発展させる軸ともなり、また活力の源泉ともなっています。「集い」を、一刻も早く全支部の運動に、そして百万をこえる規模に発展させ、いっそう豊かに花開かせることを、強く呼びかけるものです。

党勢拡大で前進に転じた歴史的成果――日常の仕事として定着させる年に

 第四は、党勢拡大で、前進にむかう画期的な年となったことであります。

 党員拡大では、十二月も千人以上の新入党員を迎え、十四カ月連続前進をかちとり、一昨年九月の五中総以後に迎えた新入党員は一万四千人に達しました。新しく党に加わった同志のみなさんに、心からの歓迎のあいさつを送りたいと思います(拍手)。一緒に頑張りましょう。

 「しんぶん赤旗」の読者拡大では、十二月も日刊紙、日曜版とも前進し、八カ月連続前進をかちとりました。これは実に三十五年ぶりのことであります。昨年一年間を通しての通算でも、日刊紙、日曜版ともに前進し、これも実に二十一年ぶりのことであります。「何としても選挙に勝ちたい」との思いで、年末ぎりぎりまで大奮闘された全党のみなさんに、私は、心からの敬意と感謝を申し上げるものです。(拍手)

 党勢拡大の前進は、一つのことだけでなく、さまざまな活動に総合的にとりくみながらの前進であるところに特別の意義があります。また、労働・青年分野で党勢拡大でも新しい発展の芽が生まれていることは、当面の総選挙勝利にとってのみならず、党の将来を展望した場合に、きわめて大きな意義をもつものであります。

 わけても、昨年、年間を通して党員、日刊紙、日曜版とも前進に転じたことは、私は、歴史的な成果だと思います。この成果のうえにたって、私が、年頭にあたって呼びかけたいのは、昨年始まった党勢拡大の前進を、今年も必ず継続、発展、飛躍させようということであります。

 総選挙勝利にむけて、すべての支部が新入党員を迎えるとともに、日刊紙、日曜版読者の前回総選挙時の回復・突破を一日も早く達成しようではありませんか。さらに選挙が終わった後も継続的に前進をかちとり、今年を、民主連合政府の実現をめざし、党を強く大きくする仕事を、党の日常の仕事として定着させる年とすることを心から訴えるものであります。

綱領こそ日本の未来をてらす羅針盤――総選挙勝利を歴史に刻む輝かしい年に

 みなさん、思いおこすと、一昨年の参院選で悔しい後退を喫したさい、五中総決定では、「国民が、自公政治に代わる新しい政治の中身を探求する新しい時代、新しい政治のプロセスが始まった」という見定めをおこない、党の前進の道筋を示しました。あの当初は、納得を得るのに大議論が必要だったと思います。しかし、いま振り返るならば、昨年は間違いなく「新しい政治プロセス」を前向きにすすめた一年となったし、それを担ったのは、草の根で国民と結びついた全党のみなさんのたたかいでありました。ここにはわが党ならではの不屈性が示されています。そしてそういう大局的見定めをやれたのは綱領の力にほかならないということを、つくづく痛感いたします。

 自民党政治は、その「司令塔」が二つながらに破たんをきたし、いまや方向を喪失した難破船として漂流している。そのもとで日本共産党綱領こそ、日本の未来をてらす羅針盤です。ここに深く確信をもって前進しようではありませんか。

 昨年の奮闘が実るかどうか。それは、これからの一日一日の奮闘にかかっています。今年を、衆議院選挙と東京都議会議員選挙の前進・躍進を党史に刻む輝かしい年とするために、そして「国民が主人公」の民主的政権への大きな第一歩を踏み出す年とするために、力いっぱい奮闘しようではありませんか。(大きな拍手)