2008年11月19日(水)「しんぶん赤旗」

共産党、各界と緊急懇談会

景気悪化から雇用・生活守ろう

志位委員長が報告


 日本共産党中央委員会・同国会議員団が各界に呼びかけた「景気悪化から雇用と営業・国民生活をまもる緊急懇談会」が十八日、衆院第二議員会館で開かれました。景気悪化を口実に大企業・大銀行がすすめる雇用破壊と中小企業への犠牲の押しつけを許さず、国民生活を守るたたかいを発展させようと、労組や業者、農民など各界の四十一団体九十三人が出席し、活発に議論しました。日本共産党の市田忠義書記局長が司会をつとめ、志位和夫委員長が国政をめぐる状況と日本共産党の緊急経済提言について報告しました。


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(写真)景気悪化から雇用と営業・国民生活をまもる緊急懇談会で報告する志位和夫委員長=18日、衆院第2議員会館

 志位氏は報告でまず、いまの国政の状況について「自民、民主の双方が、国民の暮らしそっちのけで党略的対応を最優先にしている状況だ」と解明しました。

 麻生内閣は「自民党政権の延命」という党略を最優先にして政権運営をしてきたが、国民の批判に追い詰められて解散のシナリオが次々と崩れ、解散・総選挙を決断できずにきたと指摘。「政局より政策だ」などといって、その実、選挙の「目玉」にしようとして打ち出した二兆円のバラマキ給付金が、「逆に一番の批判の的となり政権の致命傷となりつつある」と話しました。

 一方で志位氏は、民主党も「『政権交代』とそのための早期解散」という党略を最優先にしてきたと指摘。同党が解散を“請い願う”立場から、政府の第一次補正予算案に賛成し、新テロ特措法延長案の衆院での採決を促したことを批判しました。

 民主党は、それが行き詰まると“対決路線に転換する”と言い出しましたが、十七日の首相との党首会談で小沢一郎代表が語ったのは、“政府が二次補正予算案を出さなければ、新テロ延長案の採決には応じない”という理屈でした。

 志位氏は「二兆円のバラマキ給付金が入っている予算案を野党から『出せ』というのは筋が通らないし、それが出されたら新テロ延長案の採決に応じるというのも筋が通らない。二重に道理がない」と批判しました。

 志位氏は、こうした状況の中で、日本共産党が、国民の暮らしを守るたたかいに真剣にとりくんできたことを報告。国政にのぞむ基本姿勢として(1)国民の暮らしを守るためにあらゆる分野でのたたかいの発展をはかることをよびかけるとともに、(2)論戦とたたかいで自公政権を追い詰めて解散を迫り、総選挙での勝利のために力を尽くす決意を表明しました。

 その上で、志位氏は「景気悪化から国民生活を守る日本共産党の緊急経済提言」の要点を(1)「ばくち経済」(カジノ資本主義)破たんのツケを国民にまわすな(2)「外需だのみから内需主導へ」日本経済の抜本的な体質改善をはかる(3)「カジノ資本主義」への追随からの根本的転換を―という三つの柱で紹介しました。

各分野のたたかい交流

 「商売を始めて四十八年。こんなにひどい状況は初めて」とのべたのは全商連の国分稔会長。つぶされてたまるかと開いた集会に五百を超える業者団体が賛同したことを紹介しました。

 民青同盟の田中悠委員長は、景気悪化のなか雇い止めされた派遣労働者、就職の内定を取り消された学生などの深刻な実態を告発しました。

 全労連の大黒作治議長は、正社員化や「サービス残業」の根絶などで二十四兆円の国内生産額が増えるという試算を紹介し、日本経済を内需拡大に転換する絶好の機会だと強調。年末から春闘にかけて賃上げと首切り反対を正面に掲げた国民的共同を呼びかけていくとのべました。

 「私たちの行動にあたたかい視線がそそがれている」と新日本婦人の会の高田公子会長。「景気悪化のなか、軍事費、思いやり予算への怒りが広がっている」と安保破棄中央実行委員会や日本平和委員会の代表が確信を語りました。

 農民連の笹渡義夫事務局長は、食料自給率向上の訴えにこれまでの立場を超えて共感が広がっていると強調。教育や医療、障害者自立支援法や、後期高齢者医療制度を許さないたたかいへの確信をこめた各代表の発言がつづきました。

志位氏がまとめ

 志位氏は参加者の発言を受けて、まとめの発言を行い、「あらゆる分野で反撃が始まっているという国民的運動の広がりを感じ、うれしく思いました」と述べました。

 その上で、「この間、新自由主義の洪水やアメリカの覇権主義の暴走が荒れ狂ったが、それが世界でも日本でも通用しなくなっている」「大きな時代の“潮目の変化”を感じる」と指摘。「私たちの運動も『攻め』の構えで、幅広い人たちとの対話をのびのびと広げて、攻勢的に運動を発展させよう」と訴えました。

 懇談会には志位、市田両氏のほか、小池晃政策委員長、こくた恵二国対委員長、笠井亮、吉井英勝の両衆院議員、井上哲士、紙智子、山下芳生の各参院議員が出席しました。