2008年9月4日(木)「しんぶん赤旗」

JA全中会長が就任パーティー

志位委員長が出席・祝辞


写真

(写真)JA全中会長就任披露パーティーであいさつする志位和夫委員長。後列は茂木守会長(右端)と新役員=3日、東京都千代田区

 JA全中(全国農協中央会)の第十二代会長に選ばれた茂木守(もてき・まもる)新会長の就任披露パーティーが三日、東京都内で開かれました。

 茂木会長は就任あいさつで、「地域で頑張る農家組合員の目線を大切にしたい」として「現場主義」の活動を表明。安全・安心の循環型社会、国民合意で食料安全保障の確立、健全なJA活動のもと医療・福祉など地域活動をすすめる抱負を披露しました。また、「JAにたいする理不尽な批判には堂々と対応する」とのべ、財界や一部論者の“農協解体”路線と対決する姿勢を示しました。

 決裂したWTO(世界貿易機関)の農産物自由化交渉について「日本農業の崩壊を避けなければならない」として、各国の農業が続けられる新たな貿易ルールの確立を求めました。 

 また、最近の農業資材の高騰は「農業生産者の努力を超える事態だ」とのべ、政治による充実した支援を訴えました。

 来賓として太田誠一農水相、日本生活協同組合連合会、各党の代表があいさつ。日本共産党からは志位和夫委員長が祝辞(別項)をのべました。


食料自給率向上へ国民的共同を

志位委員長の祝辞

 茂木守新会長の就任、ほんとうにおめでとうございます。日本共産党を代表して心からのお祝いを申し上げるものです。

 いま農業と食料をめぐり、内外情勢の大きな激動が生まれています。世界的には食料不足が深刻な問題となっています。原油が高騰し、農家のみなさんの経営を圧迫するという事態もきわめて深刻です。そしてなによりもわが日本の食料の自給率が40%にまで落ちてしまっているのは大きな問題で、ここにいらっしゃるすべての方々が、食料自給率を五割、六割と引き上げていくことを国政の最優先の課題の一つとしてとりくむべきだという点では、おそらく党派をこえて立場の一致があるのではないかと思います。

 問題はどうやったら食料の自給率を引き上げることができるかということですが、私は、やはり農家のみなさんが安心して再生産ができる価格保障・所得補償の抜本的充実が必要であると考えます。EU(欧州連合)を見ましても、アメリカを見ましても、価格保障・所得補償によって再生産を保障しています。私たちは、お米の場合だったら、少なくとも一俵一万七千円以上の価格保障、そして所得補償とあわせて一万八千円くらいの収入の保障が必要でないかと主張しております。

 そしてもう一つは、国境措置であります。やはり工業製品と農産物というのは、性格を異にしているわけでありまして、いつまでも“外国から安い食料を輸入すればいい”という考えは、もはやこの食料不足の世界では成り立ちえなくなっていると思います。

 WTO協定という枠組みも、もはや時代に合わなくなっていることは明りょうでなかろうかと思います。

 あの七月末に決裂したWTO交渉をめぐって、全中のみなさんも参加した世界の農業者団体が発した共同声明では、いまの食料危機の原因は、貿易の不足にあるのでない、食料が不足していることにあると指摘し、各国は自国の国民のための食料をつくる「食料主権」を有しているということが明確にのべられております。

 「食料主権」を保障するという方向で、歯止めのない輸入自由化は見直していく必要がある。WTOという輸出国本位の仕組みも見直していく必要があると私たちは考えております。

 JA全中のみなさんが、茂木新会長のもとで、多くの農家のみなさんの要望、国民的な要望にしっかりこたえて、食料自給率向上めざす国民的な合意をつくるうえで大きな役割を果たされることを心から念願いたしまして、また私たちもさまざまな形でご協力をしていくことを申し上げまして、お祝いの言葉とさせていただきます。