2008年9月30日(火)「しんぶん赤旗」

麻生首相 所信表明

暮らし破壊 責任棚上げ

異例、野党への質問連発


 麻生太郎首相は二十九日、衆参本会議で、自身の基本政策を示す所信表明演説をおこないました。首相は、「日本は強く、明るくなければならない」と精神論を前面に押し出しながら、深刻な日本経済や国民の暮らしに対する打開策はすべて抽象論に終始。随所で民主党をはじめ野党への質問・批判を繰り返す異例の演説となりました。


 首相は、自ら「全治三年」と位置づける深刻な日本経済の行き詰まりについて、「三段階を踏んで臨む」と強調。当面は景気対策に取り組むとしながら、「経済成長なくして財政再建はない」「改革による成長を追い求める」と述べ、貧困と格差を広げた「構造改革」路線を無反省に引き継ぐ決意を表明しました。一方、消費税問題では、選挙を意識して持論の増税政策にはふれませんでした。

 暮らしの問題では、社会保障や雇用問題などに言及。後期高齢者医療制度については、「制度をなくしても解決しない」と継続を断言しました。雇用対策では、労働者派遣制度の見直しにふれましたが、具体的な中身は何も示しませんでした。

 外交面では、「日米同盟の強化。これが常に第一だ」と述べ、異常なアメリカ追随ぶりを表明。新テロ特措法にもとづく自衛隊によるアフガニスタン戦争支援の延長についても、「活動から手を引く選択はありえない」と述べ、継続への執念をみせました。

 首相は、演説に先立って、突然の政権交代で「迷惑をおかけした」と述べるとともに、中山成彬前国交相の発言について「閣僚としてまことに不適切」と「おわび」を表明しました。

「重症」に陥らせた 反省も打開策もなし

志位委員長が感想

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(写真)記者会見する志位和夫委員長=29日、国会内

 日本共産党の志位和夫委員長は二十九日、麻生太郎首相の所信表明演説に対する感想を記者団に問われ、「『日本経済は全治三年』というが、いったい誰が暮らしと経済をそんな『重症』に陥らせたのか、どうすれば打開できるのか、という言葉が何もなかった」と述べました。

 志位氏は、後期高齢者医療制度、「働く貧困層」、「食の安全」と農業など、国民が解決を求める課題が山積みであることを指摘。「(麻生首相は)国民に『この言葉よ、届け』といったが、生活に苦しむ国民に響く言葉は何もなかった」と厳しく批判しました。

 また、麻生首相が所信表明演説の中で、野党に対する質問を繰り返したことについて、「所信表明では、総理大臣としての所信を内政、外交についてきちんと述べるべきであって、特定の野党に質問する場ではない」と指摘。「野党側が答弁の場も与えられていないところで質問を一方的にやれば、国会の基本的なルールが壊れる」と述べました。