2008年9月23日(火)「しんぶん赤旗」

自民総裁に麻生氏

「靖国」派 暴言数々


 政権を投げ出した福田康夫首相の後継を選ぶ自民党総裁選が二十二日、自民党本部で投開票され、麻生太郎幹事長が第二十三代総裁に選出されました。


 麻生氏は、小泉、安倍内閣で主要閣僚を務め、規制緩和や地方交付税削減などを推進した「構造改革」路線の共同責任者です。「靖国」派の日本会議国会議員懇談会の二代会長(現特別顧問)を務めたタカ派。植民地時代に朝鮮の人たちに強制した「創氏改名」を朝鮮側が求めたかのようにのべるなど、数々の暴言をはなってきた人物です。

 自民党は新総裁・新首相のもとでの早期解散を狙い、総裁選に「政策論争十二日間」などと銘打って世論の盛り上げを図ろうとしました。しかし、五候補とも、行き詰まった路線をそのまま続ける姿勢を示しました。

 さらに汚染米、年金改ざん、米国での金融危機などの深刻な問題に直撃され、無策な対応で国民の不信を増幅させる結果に終わりました。

 総裁選の結果は、麻生氏が三百五十一票を獲得。与謝野馨経済財政担当相が六十六票、小池百合子元防衛相が四十六票、石原伸晃元政調会長が三十七票、石破茂前防衛相が二十五票という結果でした。無効票は二票。

 麻生氏の任期は退陣する福田首相の残任期間である二〇〇九年九月まで。福田内閣は二十四日に総辞職し、麻生氏は同日召集の臨時国会で新首相に指名され、同日中に新内閣を発足させます。


行き詰まった路線への固執に未来なし

志位委員長指摘

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(写真)記者会見する志位和夫委員長=22日、国会内

 日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、麻生太郎氏が自民党新総裁に選出されたことについて、国会内で記者団に問われ、「行き詰まった路線に、ただしがみついているだけであり、ここには未来はない」と表明しました。

 志位氏は、今回の総裁選が二代連続の首相の政権投げ出しという事態を受けたものであり、自公政治の「政治の中身」の行き詰まりを、どう打開するかが問われたものだったと指摘。にもかかわらず、(1)「構造改革」の名による貧困と格差の拡大(2)米国いいなりの海外派兵への固執―という行き詰まりをどう打開するかについて、麻生氏の口からは、まったく語られなかったと批判しました。

 また、総裁選をにぎやかにやり盛り上げようとした自民党の思惑については、「全体を通して、『コップの中の嵐』も起こらなかった」と指摘しました。

 そのうえで、二十四日召集の臨時国会で、衆参の代表質問とともに予算委員会を行い、雇用問題や後期高齢者医療制度問題、「食の安全」など、国政の基本問題について徹底的に国民の前で論戦し、争点を明らかにして、解散・総選挙で国民の審判を仰ぐべきだと改めて要求しました。

 志位氏は、与党の一部に、新政権のボロが出ないうち、支持率が下がらないうちに解散・総選挙を求める動きがあることについて、「これは、“ボロ隠し解散”というべきもので、民主主義の常道に反するやり方だ」とのべました。