2008年6月29日(日)「しんぶん赤旗」

社会的連帯で新しい政治を

全国革新懇総会 志位委員長の発言


 日本共産党の志位和夫委員長が二十八日、全国革新懇総会で行った発言は次の通りです。


あらゆる分野で社会的連帯の輪が広がり、政治を動かしている

写真

(写真)全国革新懇第28回総会で発言する志位和夫委員長=28日、東京・学士会館

 みなさん、こんにちは。今日の全国総会は、草の根の地域、職場、青年革新懇が七百七十七と過去最高、全国革新懇ニュースも二万四千七百六部と過去最高、そして、総会の参加者も過去最高と、“三冠王”の過去最高で迎えたとうかがいまして(笑い)、みなさんとともに運動の発展を喜びたいと思います。(拍手)

 革新懇運動の提唱者の党として、さらにこの運動が発展するためにがんばることをお約束するものです。

 この一年の情勢を振り返ってみまして、私が一番大きな希望を寄せているのは、自民党政治の古い枠組みがいよいよ立ち行かなくなるもとで、あらゆる分野で社会的連帯の輪が広がり、生き生きと発展しつつあることであります。そして社会的連帯の力が、現実政治を動かし、新しい政治への展望を開く、素晴らしい力を発揮しはじめていることです。連帯の力が大きく高揚しつつあるところに、一番の希望を私は見いだしております。

労働者の連帯――潮目の変化をつくりだした

 たとえば、労働者の連帯です。

 これまで、モノのような「使い捨て」の労働を強いられ、それが「自己責任」だといって強制され、ばらばらにされてきた若者が、仲間をつくり、みずから労働組合をつくり、職場の無法一掃と人間らしい労働を求めてたちあがりつつあることは、未来にむかっての大きな希望であります。

 そして、そうしてたちあがった若者にたいして、正規労働者が、非正規労働者の苦しみに心をよせ、その要求を自らの要求と一体に実現するたたかいを発展させつつあることも、まさに労働者階級らしいたたかいだと思います。

 この連帯の力が、国会での論戦と一体になって、労働法制の規制緩和から規制強化の方向への潮目の変化をつくりだしつつあります。

 ただ、これは第一歩でありまして、とことん、これは解決までがんばり抜かなければなりません。私は、明後日、劣悪な派遣労働が問題となってきた滋賀県・長浜キヤノン工場の調査を行う予定ですが、私自身も、労働者派遣法の抜本改正、そして人間らしい労働のルールをつくるために、多くのみなさんとの共同を広げながら、たたかいの先頭にたっていく決意を申し上げるものです。(拍手)

世代間の連帯――高齢者差別制度撤廃に力つくそう

 それから、世代間の連帯も、この間、大きく発展してきました。

 後期高齢者医療制度への国民的怒りが噴き出しました。この制度というのは、働き盛りの世代と高齢者の世代を分断して、「現代の姥(うば)捨て山」制度を押し付けようという悪らつなものでした。

 これに対して、老人クラブや年金者組合のみなさんなど、高齢者の方々が怒りをもってたちあがっただけではありません。各地の医師会、自治体などが、政治的立場の違いをこえてたちあがり、若い世代も一体にたちあがり、一大国民運動となって広がっている。

 高齢者を大切にしない社会というのは、人間すべてを大切にしない社会です。こういう立場で、国民的共同が広がり、その力が野党共同での高齢者差別制度の廃止法案提出、そして参院での可決につながりました。これは継続審議となりましたので、つぎの臨時国会で可決・成立させるためにがんばりぬきたいと思います。(拍手)

生産者と消費者の連帯――農業と食料の危機打開へ

 それから、生産者と消費者の連帯も、この間、大きくすすみました。食料自給率39%というのは、農業の危機だけではありません。食料の危機であり、国民の生存の危機であります。世界的な食料逼迫(ひっぱく)、食料高騰のもとで、自給率向上は、いよいよ切実な課題となってまいりました。

 私たちは、全国各地で農業再生のシンポジウムを行っていますが、どこでも農業者の代表とともに、消費者の代表が一緒に語り合い、大盛況であります。

 ここでも、これまで政府の側は、生産者と消費者を分断し、生産者にはまともな再生産が不可能になるような生産者価格を押し付ける、消費者に対しては食の安全を投げ捨てて輸入頼みで食品を押し付ける、こういうやり方をとってきたわけでありますが、こうした間違った政治が、生産者と消費者の連帯によって包囲されつつある。ここでも連帯の力で、日本の農業の再生をかちとるために力をつくしたいと思います。

平和のための連帯――憲法、基地で相手を追い詰めている

 そして、もう一つあげますと、平和のための連帯です。読売新聞の世論調査でも、改憲反対が賛成を上回りました。独自の憲法改定案を出すというようなことをやってきた新聞の調査だけに、特別の説得力があると思います(笑い)。全国ですでに七千をこえる「九条の会」の運動、そして革新懇の草の根の運動の力が、世論を大きく動かしつつあるのであります。

 さらに、沖縄県、山口県・岩国、神奈川県など、米軍基地を抱える地域のたたかいが相互に連帯を強め、日米両国政府を追い詰めています。米軍基地の問題でも、政府はそれぞれの基地反対の運動をばらばらにし、対立させて、基地を押し付けるということをたくらんできたわけですが、これを全国の連帯の力ではね返しつつある。

 最近、ローレス前米国防副次官は、「同盟変革の実施が漂流している」と嘆き節を言いました。「米軍再編」が「漂流」している。「漂流」しているのだったら、「漂流」したまま、米軍基地はアメリカに帰ってもらおうではありませんか。(笑い、拍手)

社会的連帯の流れを合流させ、国政を変える巨大な統一戦線を

 私たちは、「社会的連帯で反撃を」ということを合言葉に奮闘してきました。私はいまでは、「反撃」にとどまらないと思います。「社会的連帯で新しい政治を」――これを合言葉にする時代になりつつあるのではないでしょうか。

 そして、どの問題でも、革新懇運動が国民的連帯の要として、その役割をますます増している。どの問題でも社会的連帯の課題は、革新懇運動が掲げる、平和、暮らし、民主主義の「三つの共同目標」に合流してまいります。

 全国津々浦々で、国民のなかに広がりつつある社会的連帯の流れを、一つに合流させ、国政を変える巨大な統一戦線へと発展させ、「国民が主人公」の民主連合政府を目指して、革新懇運動が元気いっぱいがんばるときです。私たちもその先頭に立って力をつくす決意をのべて、発言といたします。(拍手)