2008年6月14日(土)「しんぶん赤旗」

矢野市政の“三つの輝く値打ち”さらに発展させよう

狛江市 志位委員長の訴え


 日本共産党の志位和夫委員長は十二日、市長選(十五日告示、二十二日投票)が行われる東京都狛江市で矢野ゆたか市長の応援に立ちました。演説は次の通りです。


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(写真)訴える志位和夫委員長

 狛江市民のみなさん、こんばんは。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。今日は駅前にこんなにたくさんのみなさんが足を止め、聞いてくださいまして、心強い限りであります。(拍手)

 矢野民主市政を誕生させ、十二年にわたって育て発展させてきた狛江市民のみなさんに、私はまず心からの敬意を申し上げたいと思います。(拍手)

二つの流れの対決――密室・利権の市政復活か、「市民が主人公」の市政の前進か

 市長選挙が迫ってまいりましたが、選挙戦の構図はどうなっているでしょうか。三つどもえの形を取っていますが、私は二つの流れの対決の選挙になっていると思います。

 相手の候補者を推しているのは、一方では自民党であり、他方は民主党です。どちらの陣営も、その中心は、前の市長の与党――応援団だった人たちであります。それでは、前の市長がやったことは何か。市民そっちのけの密室・利権の市政で、三百十六億円もの大借金をつくったあげく、市長自身がバカラ賭博に狂い、市政を投げ出して失そうし、最後は収賄罪でお縄となった。何ともみっともないありさまでした。(笑い)

 ところがみなさん、この市長を支えた人たちは、一度でも謝ったでしょうか。この十二年間、一度たりとも、市民のみなさんに公式の謝罪もなければ、反省もなかったじゃないですか。(「そうだ」の声、拍手)

 この選挙の争点は、こういう反省のない人たちによる、古いデタラメな市政の復活を許すのか、それとも、矢野市長が市民のみなさんとともに築いてきた「市民(ひと)輝く狛江」「市民が主人公」の市政を、さらに前進させるのか――ここにずばり争点があると思います(「そうだ」の声、拍手)。どうかみなさん、狛江市民あげての応援で、矢野さんの四度目の勝利を必ず勝ち取らせてください。(拍手)

第一の値打ち――国の間違った政治から市民を守る頼もしい防波堤

 矢野市長が市民のみなさんとともに築いてきた十二年間の成果は、全国に誇る素晴らしいものであります。私はここで、“矢野市政の輝く三つの値打ち”ということを訴えたいのであります。

 第一の値打ちは、国の間違った政治から、市民の暮らしを守る頼もしい防波堤として頑張ってきたのが、矢野市長だったということです。(拍手)

 いま貧困と格差の広がりは深刻です。人間らしい労働のルールが壊されています。秋葉原で痛ましい事件が起こりました。どんな理由があっても、ああいう残虐な犯罪は許せません。同時に、その社会的原因をたどっていくと、その一つに派遣労働という人間をモノのように使い捨てにする、労働のひどさがあることも、指摘しなければなりません。

 国の政治が、人間らしい労働のルールを破壊し、さらに追い打ちをかけるように庶民への増税や福祉の切り捨てを次々に押しつけてくる。そういう時こそ自治体の出番ではないでしょうか。自治体が「住民の暮らしを守る」という、本来の存在意義を発揮することが、こんなに求められている時はないと思います。

 この目で、矢野市政の十二年間を振り返ってみてください。矢野市長は国の間違った政治にたいし、両手を広げて立ちはだかって、市民のみなさんの暮らしを守り、とくに立場の弱い方々の暮らしを守るという点で、自治体本来の姿勢を貫いてきたのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

後期高齢者医療制度――自治体独自の保険料軽減の先頭に  

 後期高齢者医療制度に対する怒りが、全国で噴き上がっています。七十五歳という年齢を重ねただけで、国保や健保から強制的に追い出されて、別枠の保険制度に囲い込まれ、二年ごとに保険料は上がりつづける、保険で受けられる医療は切り下げられる。こういうとんでもない高齢者差別法を強行したことに、国民の怒りが沸騰しています。私は、国政にたずさわるものとして、一刻も早くこの差別法を撤廃に追い込む決意をここで申し上げるものです。(拍手)

 こういうものが国から押しつけられてきた時に、矢野市長はどういう態度を取ったでしょうか。まず実施前から「抜本的に見直せ」と正面から堂々と国に要求してきました。同時にそれだけじゃありません。こういう悪い制度を押しつけられたもとでも、自治体として独自の負担軽減をつくる先頭に立ってきたのが、矢野市長であります。

 東京都の広域連合が、昨年八月から九月にかけて、これが導入されたら保険料が一人平均十五万五千円という試算を明らかにした時に、矢野市長は市長会の役員として、「これでは市民に説明ができない」と口火を切って、保険料の引き下げの努力を国と都に求めました。矢野市長に続いて、他の市長さんからも、次々に同様の意見が出るようになり、東京都の広域連合では、保険料全体を引き下げる、低所得者への負担軽減をはかる――この二重の負担軽減策が実現しました。

 四十七都道府県でも、こうした二重の負担軽減を独自に取っているのは東京だけですが、その口火を切ったのが矢野市長だったということを、私は紹介したいと思うのであります。(「そうだ」の声、拍手)

住民税大増税、障害者自立支援法、介護ベッドとりあげ――市民を守る独自の施策

 それからこの間、定率減税が廃止され、税源が移譲され、住民税がべらぼうに上がった。怒りが沸騰しました。こうした時に、負担を右から左に押しつけるだけで、自治体の役割を果たせるのか。この狛江市では、負担軽減のために、二〇〇八年度予算で、市民税の減税を強化する方策が独自に取られました。これまでは、災害で被害を受けた方などへの減免制度はありましたが、今回はこれに加えて、納税義務者が亡くなったり、失業、休職、病気、負傷などで生活がいちじるしく困難になった場合には、この市民税の一部または全部を減免していこうという市独自の制度が取られました。これも矢野市政ならではの、立派な仕事だと思います。(拍手)

 それから障害者自立支援法という、一割の定率負担で利用料を取りたてる、障害が重い方ほど利用料が重くなるという、とんでもない制度がつくられました。これが導入された時に、負担を軽減するために、狛江市ではきめ細かな施策が実施されました。施設を利用する時の利用料の減額とともに、施設利用者の昼食代を軽減する、一食あたり百五十円を助成する、こういうきめ細かい支援制度がとられました。利用料と食費の両方の負担軽減をおこなっているのは、多摩二十六市でも四市しかありませんが、ここでも先頭を行っているのが狛江市だというのは、うれしいことではないでしょうか。(拍手)

 さらに介護ベッド取り上げという問題が起こりました。二〇〇五年の国会で自公民が強行した介護保険法の改悪によって、軽度の介護者の方から介護ベッドを取り上げるという血も涙もないことがやられた。その時に、矢野市政は、これまで介護保険で貸与を受けていた方がベッドを購入する場合には、介護ベッド十万円、一般ベッド六万円を限度として、その二分の一を助成する施策をおこなった。これも大変喜ばれているとうかがいました。

知恵と力を尽くして住民を守り抜こうという熱い心

 矢野市政は、どんな問題でも、国が悪い政治をやった時に、右から左に押しつけるようなことはしないのです。どんな問題でも、「国が決めたから仕方がない」という姿勢はとらない。知恵と力を尽くして住民を守り抜こうという、熱い心がここにはあるのではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。市民の暮らしを何としても守り抜く防波堤となって頑張ってきた矢野市長に、もっともっとこの仕事をやってもらおうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

第二の値打ち――多摩26市と全国の自治体の暮らしを守るリード役

 第二の値打ちとして訴えたいのは、矢野市政が多摩二十六市と全国の自治体の暮らしを守るリード役、けん引役として頑張ってきたことです。

 矢野市政は、国の悪い政治から市民を「守る」だけではありません。良い市政を市民とともに築く、いわば「攻め」の施策にも、いろいろな創意をこらしてとりくんできています。私は、市民の方から、「十二年前に狛江に引っ越してきたときには、友人から『あのバカラ賭博の狛江』と言われて恥ずかしかったけれど、いまではすっかり変わった」といううれしい話を聞きました。悪い見本だった狛江市が、いまでは多摩二十六市の手本になるような素晴らしい市政に大転換した。(拍手)

子どもの医療費助成――矢野市政の12年間で12倍に拡大

 一つは、子育て、子どもさんの医療費助成の問題です。矢野市政は、多摩のとりくみをリードする素晴らしいとりくみをしています。

 この問題について、前の市政は、「甚だ経費がかさみ、市が独自で事業を実施するのは甚だ困難」だといって、お父さん、お母さんの願いを、冷たく拒否してきた。矢野市長が誕生し、みちがえる変化が起こりました。一歩一歩、制度が拡充されてきました。

 矢野市政は、二〇〇〇年十月に、多摩で初めて就学前までの子どもの医療費助成に踏み出し、所得制限も〇五年十月には完全撤廃しています。さらに、矢野市長は、小中学生への医療費助成でも、「二十三区と比べて財政力が弱い多摩の市町村では財源が確保できない」という多摩の市町村長さんの意見を、市長会の役員としてとりまとめて都と交渉し、市町村への追加支援を実現し、多摩での小中学生への医療費助成に道を開く役割をしっかりと果たした。これは素晴らしいことですね。(拍手)

 矢野市政の十二年間で、医療費助成を受ける子どもさんの人数は、前市政の十二倍になりました(拍手)。九六年度が四百九十二人、〇七年度は五千九百九十人と、十二倍に拡大した。「狛江でできたことなら、うちの市でもできるはず」が運動の合言葉になり、多摩の他の市にも次々に広がって、多摩で子どもの医療費助成を拡充するリード役を果たしてきたのが矢野市長だったことは、うれしいことであります。(拍手)

ホームヘルパー――多摩で「ワースト3」から「ベスト3」に 

 お年寄りにとっては、ホームヘルパーさんは、命綱ともよべる存在です。在宅介護のかなめを担っている大事な仕事です。ところが、前の市長の時代は、狛江市は多摩で最もヘルパーが利用しにくい市だといわれていました。ヘルパーの利用率が、六年連続で多摩二十七市中二十五位以下だった。六年連続で「ワースト3」に入っていたのが狛江市だったのです。当時、革新市政だった保谷市、日野市の五分の一から六分の一しかヘルパーさんが使えない。これが前の市政だったのです。

 矢野市政は、これを十二年間かけて一歩一歩立て直してきました。ヘルパーをお年寄りの暮らしを支えるかなめの仕事としてしっかり位置づけ、一期目から予算を八倍に増やし、ヘルパーを養成して、施設も二カ所から十カ所へと五倍に増やし、三期十二年にわたる努力を積み重ねてきた。その結果、いまではヘルパーさんの利用率は、狛江市は多摩二十六市で三位に入りました。「ワースト3」から「ベスト3」への大前進をとげた。

 お年寄りへの福祉という点でも、多摩のリード役になっているのが、矢野市政だということをいいたいと思います。(拍手)

第三の値打ち――「市民が主人公」をつらぬいて財政を立て直す

 第三の値打ちは、そういう立派な仕事をやりながら、「市民が主人公」を貫いて、市の財政立て直しの道を開いた、この成果はたいへん大きなものがあるということを、私は訴えたいのであります。(拍手)

 古い市政を復活させようとする勢力は、「狛江は財政危機」とか、「行革が遅れている」とか、悪口をいっております。私は、前の選挙でこの場に応援にうかがったときにも、こういうことをいったのです。「狛江の野党の悪口には『法則』があります。自分に返ってくるという『法則』です(笑い)。天につばするものだということです」。これを前の選挙でいったのですが、また同じ悪口をいっている。狛江の野党はいつまでたっても少しも進歩がないなと、いわなければなりません。(笑い、拍手)

“重石”を抱え、“荒波”に抗して、借金を52億円も減らした

 財政危機をはかる一番のモノサシは何かといったら、借金の残高が増えているか、減っているかにあります。矢野市政のもとで借金総額は、ピーク時の三百二十四億円から二百七十二億円に、五十二億円も減少しています。この仕事はたいへんな仕事だったと思います。何しろ矢野市長は、前の市政から大借金を引き継いだわけです。それにくわえて、四年前には国が「三位一体」といって、自治体への交付金の大幅削減を強行し、狛江市では年間平均約十億円も財源が削られた。つまり矢野市長は、前の市長がつくった大借金という“重石(おもし)”を抱え、さらに国から押しよせてくる交付金削減という大きな“荒波”に抗して、子どもの医療費でも介護でも、他の多摩の市の手本にするような立派な施策を進めながら、借金を五十二億円も減らした。これはみなさん、何とも素晴らしいことではないでしょうか。(拍手)

 なぜ借金を減らせたのか。市民の立場で二つの仕事に果敢にとりくんだからです。

 一つは、予算の主役を代えた。前市政のときには、市の予算の30%が土木費、福祉費は23%でした。それが矢野市政になって、土木費は13%、福祉費は32%になりました。土木偏重はやめて、土木から福祉へと予算の主役交代を見事にやりとげた。(拍手)

 いま一つ、国が交付金のカットの“荒波”をかぶせてきたときに、矢野市長は、みずからの給与を18%カットし、職員のみなさんの給与も四年間2%カットし、そういう内部努力を中心にしながら、市民のみなさんにも率直に協力を呼びかけて、年間十億円以上の財源を確保した。みなさん、これこそ市民の願いにこたえる本物の行政改革ではないでしょうか。(拍手)

 野党は、なんだかんだと悪口をいっていますが、大借金をつくった野党に悪口をいう資格などありません(拍手)。みずからつくった大借金から狛江市政を救った矢野市長に感謝状を出すというのが筋というものではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

これまでの成果を土台に、さらに立派な花を咲かせよう

 そしてこうして財政再建を軌道に乗せた矢野市政は、いまつぎの新しい発展の段階に踏み出そうとしています。市民のみなさんの念願だった中学校給食、コミュニティバスなど、新しい事業に次々と踏み出そうとしています。

 私が、前回にうかがったときには、中学校給食はミルク給食に踏み出したということでした。ところが今年の十月から、中学校給食が完全実施されるとうかがいました。苦労をしながら財政再建を軌道に乗せてきた。そのお金を使って今度は積極的な施策にどんどん打って出ようというところまできたわけです。十二年間頑張ってきて、これまでの成果を土台に、いよいよこれからさらに立派な花が咲くというのが、狛江の矢野市政の現状だと思います(拍手)。ぜひ全国に誇るさらに大きな前進を、市民みんなの力で成し遂げてください。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)

市民みんながつくった、「市民が主人公」の市政のいっそうの発展を

 三つの角度から、“輝く値打ち”ということを申しました。

 矢野市長は、国の悪い政治からみなさんの暮らしを守る、「守り」にも強い。さらに、市独自の施策を行う攻めの行政をやる、「攻め」にも強い。そしてみなさん、「市民が主人公」で財政を立て直す、「財政」にも強い。みんな強い。(笑い、拍手)

 ただ、人柄はやさしくて謙虚です(拍手)。みなさん、こんな素晴らしい市長を、どんなことがあっても落とすわけにはいきません。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 みなさん、矢野さんの勝利を、何としても勝ち取らせてください。ご支持を広げに広げていただいて、市民みんながつくった、「市民が主人公」の狛江市政をもっともっと発展させようではありませんか。(歓声、大きな拍手)