2008年6月2日(月)「しんぶん赤旗」

日本共産党の躍進で、自公政治に痛打、暮らしと平和の願い実現を

沖縄県議選 志位委員長の訴え(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長は五月三十一日と一日、全国が注目する沖縄県議選で立候補している五選挙区六候補勝利のために、街頭から訴えました。その要旨を紹介します。


選挙戦の焦点は、県民利益をまもりぬく日本共産党がのびるかどうか

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(写真)訴える志位和夫委員長=1日、沖縄県沖縄市

 沖縄県民の暮らし、平和がかかった大切な選挙がはじまりました。

 今度の県議会議員選挙の焦点はどこにあるでしょうか。いま国政でも、県政でも、自民・公明の政治は、暮らしを壊し、平和を壊す、最大の元凶となり、国民に見放されつつあります。どの党がのびれば、自公政治にたいするいちばんの痛打となり、県民の願いを実現するいちばんの力になるか。日本共産党の躍進こそ、その力だということを、私は訴えたいのであります。(拍手)

後期高齢者医療制度――沖縄から撤廃の声をあげよう

 国政をめぐっては、四月に実施が強行された後期高齢者医療制度に、全国どこでも国民の怒りが沸騰しています。怒りは政治的立場の違いをこえて広がっています。中曽根元首相は、「名前が実に冷たい。愛情が抜けたやり方だ。すぐに元に戻すべきだ」と批判しました。沖縄県では老人クラブ連合会が「撤廃」をもとめるアピールを出しました。

 この制度の最大の問題は、七十五歳という年齢を重ねただけで、国保や健保から強制的に脱退させられて別枠の制度に囲い込まれ、保険料は天引きで二年ごとに際限なくあがる、保険で受けられる医療はどんどん切り下げられる――医療費削減のために、高齢者を差別するというところにあります。年齢による差別医療などというものは、どんな理由があっても許されるものではありません(拍手)。お年寄りが長生きされたら、みんなで喜び、医療費を無料にしていくというのが、当たり前の政治の姿勢ではありませんか。(拍手)

 この制度の害悪は、沖縄県ではとりわけ過酷です。私たちが試算してみましたら、沖縄県では、約七割のお年寄りの保険料があがることになります。沖縄県は「長寿県」で有名ですが、人口に占める七十五歳以上の方の割合は、全国平均の9・1%に比べて7・2%と低いのです。出生率が比較的高いので若い人が多く、同時に、あの戦争の影響で高齢者人口が少ないからであります。これまでは若い国保加入者が高齢者を支えることで、保険が成り立ってきました。ところが七十五歳以上を切り離して別保険に囲い込む制度をおしつけたことによって、支えあいが崩れ、お年寄りの負担が急激に増えたのです。

 沖縄でいま高齢者となっている方々は、幼少時から青年期を戦争のなかで苦しみ、壮年時代を米軍占領下で苦しんできた方々です。そういう方々に、沖縄戦と米軍占領につづく第三の苦難を負わせるなど許せるでしょうか。

 沖縄では、旧暦の八月八日には八十八歳のお祝い、トーカチが行われるそうです。旧暦の九月七日には九十七歳のお祝い、カジマヤーが行われるそうです。「子を育て、孫、ひ孫を見守ってくださってありがとうございます。これまでの長い人生、たくさんのご苦労もされてきたでしょう。これからは楽しい余生をお過ごしください」という気持ちがこめられたお祝いと聞きました。長寿を尊び、お年寄りを大切にする伝統をもつこの沖縄に、高齢者差別の「姥(うば)捨て山」とさえいわれる悪法をおしつけるなど、断じて許せないというのが県民の気持ちではないでしょうか。(大きな拍手)

 この天下の悪法を強行したのは自民、公明であります。彼らは国民の怒りに恐れおののいて、「見直し」をいいだしました。ところが「根幹は変えない」という。しかし差別医療という「根幹」こそ問題ではないですか(拍手)。この制度につける薬はありません。撤廃以外に解決の道はありません。その声を沖縄からあげようではありませんか。(大きな拍手)

高齢者差別法に、いっかんして反対つらぬいた日本共産党

 日本共産党は、自民、公明が、この悪巧みをはじめた最初から、いっかんして反対をつらぬいてきた政党です(拍手)。自公が医療改悪の法律を強行した際(二〇〇〇年十一月)に、あわせて採択された高齢者医療を別建てにする制度をつくる付帯決議――後期高齢者医療制度に道を開いた付帯決議に反対をつらぬいたのは日本共産党だけでした。後期高齢者医療制度の法案が国会にかかったときにも、正面から堂々と反対の論陣を張ったのが日本共産党でした。そのことは当時、厚生労働大臣をつとめた川崎二郎衆院議員も、「日本共産党だけはちゃんと本質をついていた」と認めています。

 国民の怒りと日本共産党のいっかんしたがんばりが、政治全体を揺り動かし、野党四党の撤廃法案提出につながったのであります。日本共産党をのばすことこそ、この希代の高齢者差別法を撤廃するいちばんの力となります。高齢者差別法はただちに撤廃を――この願いをこぞって共産党にたくしてください。(拍手)

自公県政――県民の命と暮らしをまもる本来の役目を投げ捨てている

 沖縄県政をめぐる争点はどこにあるでしょうか。国が県民の暮らしを壊す悪い政治をおしつけてきたら、それから県民の命と暮らしをまもるのが自治体のほんらいの役目のはずです。ところが沖縄の仲井真・自公県政は、県民の苦しみに追い打ちをかける仕打ちを、つぎつぎと行ってきました。

 たとえば、高齢者へのおむつ代助成を廃止したことに、多くの批判の声があがっています。この制度は、革新県政時代につくった制度で、「多年にわたって社会の発展につくしてこられた高齢者に社会全体でむくいる」ことを趣旨としたものでした。月額七千五百円を助成し、医療費の負担軽減として喜ばれていました。十三年間でのべ五万三千二百十五人が助成を受けてきました。県当局は、廃止の理由を「財政がたいへんだから」といっています。しかしこの制度にかかるお金は、年間でわずか三億円程度のものです。県は、貨物の来る見通しのない港づくり――那覇港湾整備事業には四千四百億円もつぎこもうとしています。おむつ代助成の何と千五百年分ですね。自公県政にないのはお金ではない。福祉の心ではないでしょうか。(拍手)

 それから、高校授業料の連続値上げです。県は、この四年間で二度も授業料の値上げを強行しました。月額九千三百円から九千九百円への値上げ、年間七千二百円の負担増がおしつけられました。値上げの理由は「国の基準」ということです。しかし、みなさん、なんでも国いいなりなら自治体はいらないではないですか(拍手)。沖縄の実態は深刻です。高校中途退学者のうち「経済的理由」による生徒がしめる割合は、全国が2・5%に対して、沖縄は5・0%にも達します。全国もたいへんですがその二倍です。そういう実態があるならば、それにそくした対策こそ必要ではないですか。授業料が払えなくて退学などという心の傷を、子どもたちにおわせてはなりません。そのために心を砕く――これが自治体のつとめではないでしょうか。(大きな拍手)

 さらに国が悪い制度を決めたときに、それを右から左に具体化するのが、自公県政の特徴です。後期高齢者医療制度を国が決めると、県当局は「適切な医療のため重要な制度」だとほめそやし、そのまま県民におしつける予算を平気でくみました。日本共産党員市長ががんばっている東京・狛江市では、制度の撤廃を国に求めるとともに、他の自治体にも働きかけて、保険料を大幅に軽減する独自措置をとらせています。こんなひどい制度を国が決めても、文句ひとついわず、「重要な制度」とほめそやす。国いいなりに悪い政治を具体化するだけ。これでは自治体の存在意義が問われるではありませんか。

 自治体は、「住民福祉をまもる」ための機関です。自公県政は、どこから見ても自治体失格といわなければなりません。(拍手)

自公県政の県民いじめの政治と正面から対決できるのは、日本共産党だけ

 こういう県政のもとで、日本共産党県議団をのばすことの意味はどこにあるでしょう。私は、三つの大きな意味を訴えたいと思うのであります。

 第一は、自公県政の県民いじめの政治と正面から対決できるのは、日本共産党だけということであります。(拍手)

 他の野党――民主、社民、社大は、自公県政にどういう態度をとっているでしょうか。県政への姿勢がいちばん問われるのは、知事が提出してくる毎年の予算案への態度です。事実をお知らせしますと、二〇〇六年度も、〇七年度も、共産党以外のすべての政党は予算案に賛成しているのです。〇八年度も、他の野党は、予算案に賛成こそしませんでしたが棄権という態度でした。予算案にきっぱり反対できない弱点があることを、率直に指摘しなければなりません。高校授業料の値上げ予算にも、後期高齢者医療制度を具体化した予算にも、反対できないのです。

 県議会の場で、自民・公明の県民いじめの政治に、きっぱり反対をつらぬいてきたのは日本共産党だけであります(拍手)。県民の立場で筋をとおす共産党をのばすことこそ、自公県政の県民いじめの政治にストップをかけ、さらに革新県政をとりもどすことにもつながるということを訴えたいのであります。(拍手)

積極的な提案で県政を動かす――議案提案権をもつ議員団へと前進を

 第二に、日本共産党をのばせば、県民と共同して、積極的な提案で県政を動かす力が大きくなります。

 この間、高校授業料の減免枠の撤廃が実現しました。減免枠というのは、授業料の減免者数を在校生の8%以内に制限するという理不尽な制度です。こんなひどい制度は全国で沖縄県ただ一県でした。共産党県議団は、「授業料が払えないために四百人の生徒が出席停止になった」「卒業式にもでられない」という深刻な実態を県議会で告発し、ついに撤廃を実現しました(拍手)。その結果、8%枠をこえる8・24%の生徒の減免が実現しています(〇七年六月末)。

 それから「地産地消」の推進です。日本共産党県議団は、十六万人の学校給食、六百万人の観光客に、沖縄の農産物、海産物など県産品を活用するよう県が積極的とりくみをすすめることを提唱してきました。このなかで、学校給食への県産牛乳使用が実現しました。自公県政はこの事業を廃止しようとしましたが、逆に知事を本部長とする「地産地消推進県民会議」を設置させ、事業の継続・充実を実現しました。「地産地消」が、観光産業に本格的に広がれば、年間一千億円以上の経済効果が生まれるという試算もあります。沖縄経済の発展という点でも、建設的提案で県政を動かしてきたのが日本共産党です。(拍手)

 日本共産党県議団は、現在三議席ですが、四議席以上になると、議案提案権をもてます。高すぎる国保料の引き下げ、中学校卒業まで医療費を無料にする、誘致企業への正規雇用の拡大をはかる、小学校の全学年で三十人学級の実現を――県民の切実な要求を議案の形で提出し、実現する大きな道が開かれます。何としても議席を増やし、議案提案権をもつ議員団に前進するために、お力ぞえをよろしくお願いします。(大きな拍手)

基地のない平和な沖縄めざして――「沖縄の心」をこぞって日本共産党に

 第三に、日本共産党をのばせば、基地のない平和な沖縄への道が大きく開かれます。

 繰り返される米兵犯罪、平穏な日常生活を襲う爆音と恐怖。米軍基地と平和な市民生活はけっして共存できない――これが圧倒的多数の県民のみなさんの総意だと思います。(拍手)

 ここで私が強調したいのは、県民のたたかいの素晴らしい力に自信をもとうということです。米軍基地の県内たらいまわしを決めたSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意から十二年、辺野古の新基地建設などをきめた「米軍再編」の「最終合意」から二年たちましたが、この間、新基地建設のための杭(くい)一本打たせてこなかったではありませんか(拍手)。これは全国と連帯した県民の団結したたたかいの成果だと思います。(大きな拍手)

 いま追い込まれているのは日米政府、自公県政の側であります。「朝日」が「日米同盟 揺らぐ足元」と題する記事を書き、そのなかで米軍再編協議の米側代表を務めたローレス前米国防副次官へのインタビューをのせています。ローレス氏はつぎのようにいっています。「同盟変革(再編)の実施が漂流している。普天間飛行場の移設がその例だ。一年は遅れると聞いている。…この合意はすべてが連動する複雑な機械のようなもので、一つのパーツが凍結すれば、全体が凍結してしまう」。嘆き節ですね。

 今日のニュースで報道されていましたが、ゲーツ米国防長官は、新基地建設について、「合意通り実行せよ。遅れは認められない」と迫っています。居丈高ですが、アメリカ側の焦りがつたわってくる発言です。

 みなさん、「米軍再編」――「新基地建設」が「漂流」しているなら、「漂流」したまま(笑い)、アメリカに帰ってもらおうではありませんか(大きな拍手)。「日米同盟」が「足元」から揺らいでいるなら、いまこそ日米安保条約をなくし、ほんとうの独立国といえる日本、基地のない沖縄と日本への道をひらくべきときではありませんか。(拍手)

 日本共産党は、憲法九条を守り抜くとともに、日米安保条約の廃棄をいっかんして掲げる政党です。平和を願う「沖縄の心」は、こぞって日本共産党におよせください。(拍手)

日本共産党への新しい注目――大激戦、最後までの奮闘で勝利を

 私は、最近、「資本主義は限界か」と題するテレビ番組に出る機会がありました。ここで話題になったのは、いま資本主義が、貧困の拡大、投機マネーの暴走、地球環境の破壊など、どの問題でもゆきづまりを深めているということでした。とくに、日本で「構造改革」という名ですすめられた市場原理主義――大企業の横暴勝手を野放しにする経済政策が、大破綻(はたん)をしているということでありました。

 いま世界でも、日本でも、これまでの政治や経済の枠組みを、大きく変えることがもとめられる、新しい時代が始まっています。そのなかで、日本共産党への新しい注目が広がっています。希望ある新しい時代が始まっているのであります。(拍手)

 ただみなさん、選挙は大激戦、大接戦です。最後までがんばりぬいたものが勝利をつかむことができます。残る一週間、ご支持の輪を広げに広げて、必ず沖縄から日本共産党躍進の新しい流れをつくってください。どうかよろしくお願いします。(指笛、大きな拍手)