2008年1月5日(土)「しんぶん赤旗」

新しい政治つくる歴史的転機
総選挙で必ず前進・勝利をかちとろう

2008年党旗びらき 志位委員長のあいさつ


 日本共産党の「二〇〇八年党旗びらき」(四日)での志位和夫委員長のあいさつは、つぎのとおりです。


 お集まりのみなさん、CS通信をご覧の全国のみなさん、二〇〇八年、あけましておめでとうございます。今年が、わが党にとっても、みなさん一人ひとりとそのご家族にとっても、よい年になることを心から願いつつ、年頭にあたってのあいさつをおこないます。

政治の根本的変革なしにもはや日本は立ち行かなくなっている

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=4日

 私たちは、今年の新春を、解散・総選挙含みの緊張した政治情勢のもとで迎えました。

 昨年の最大の特徴は、戦後長らくつづいてきた自民党政治が、国民との矛盾、世界の流れとの矛盾を深め、政治的衰退がきわまり、いよいよゆきづまったことにあります。それは、参議院選挙での国民の審判に劇的に示され、安倍内閣の無残な崩壊をもたらし、福田内閣の支持率の急落にあらわれました。

 ゆきづまりの原因は、個々のスキャンダルや行政のミスに解消されるものではありません。アメリカと財界・大企業に軸足を置いてきた古い政治的枠組みそのものが、矛盾と破たんをきたし、政治を運営する力を失っているのであります。このゆきづまりは、同じ枠組みの中で、政治の担い手を変えるなど、目先の小手先細工で解決するものでは決してありません。

 わが党の綱領が指し示している政治の根本的変革なしには、もはや日本は立ち行かなくなっています。前途には激動や波乱、曲折もあるでしょうが、いま日本の情勢は、大局的にみれば、主権者である国民が、自民党政治に代わる新しい政治を見つけ出し、新しい政治をつくり出す、歴史的転機を迎えています。みなさん、年頭にあたって、この情勢の大局をしっかりつかんで、総選挙勝利をめざして、意気高くたちむかう決意を固めあおうではありませんか。(拍手)

「ルールなき資本主義」の破たん――3つの転換がもとめられている

 昨年をふりかえって痛感するのは、私たちが「ルールなき資本主義」と呼んできた異常な大企業中心主義、とくに「構造改革」の名ですすめられてきた「新自由主義」の経済路線が、どの問題をみても深刻な破たんに直面していることであります。私は、三つの破たんがあらわになり、転換が強く求められているということを指摘したいと思います。

貧困と格差の拡大――大企業から家計に軸足の転換を

 第一に、貧困と格差の拡大がすすみ、国民生活がいわば「底が抜けてしまった」ような不安と危機に見舞われていることであります。

 日雇い派遣、「ネットカフェ難民」という事態に象徴される、人間としての尊厳を奪う雇用の破壊がすすんでいます。国民の暮らしの支えとなるべき社会保障から多くの人々が排除され、命と健康が脅かされています。激しい米価下落によって、コメ作りの家族労働報酬は一時間あたり二百五十六円にまで落ち込み、ほとんどの農民がコメ作りをつづけられない崖(がけ)っぷちに立たされています。さらに、「逆立ち」税制が、貧困と格差に拍車をかけています。来年度政府予算案をみても、大企業減税をいっそう拡大しながら、社会保障費抑制路線をつづけ、国民を兵糧攻めにしたあげく、二〇〇九年度をめどにした消費税増税への「橋渡し」をしようというものになっています。

 政府・与党はこれまで、「企業が栄えれば、めぐりめぐって家計に波及し、国民生活がよくなる」という、「成長」シナリオを唱え続け、自分たちの大企業応援の政治を正当化してきました。ところが、昨年末になって、ついにこのシナリオを自ら口にできなくなりました。昨年十二月に政府が発表した月例経済報告では、「企業部門の好調さが、家計部門へ波及する」という長らく使い続けてきた表現から、「家計部門へ波及」という言葉を削除しました。つまり、大企業が栄えても、国民生活はよくならない――この事実を政府も認めざるをえなくなったのであります。大企業中心の「成長」シナリオは破たんしました。ならば、経済政策の軸足を、大企業から家計・国民へと大胆に転換させるべきではないでしょうか。

 政府・与党に転換の意思がないなら、国民が主権を発動して転換させなければなりません。昨年一月四日に開いた第三回中央委員会総会では、「社会的連帯で貧困を打開し、生活を防衛する国民的大運動」を起こすことをよびかけました。それから一年。昨年は、各分野で貧困打開の国民的反撃が開始された年となりました。人間らしい雇用をもとめて、若い世代が自ら労働組合をつくって立ち上がり、職場の無法をただす数々の成果をかちとっています。労働組合、法律家、市民運動家が手をつないで「反貧困ネットワーク」を結成し、生活扶助基準の引き下げを見送らせるという、画期的成果もえられました。農村部でも、農協、保守系議員とも共同して、農業と農村を守る大きなうねりが全国各地で起こっています。

 日本共産党は、今年で党をつくって八十六年になりますが、国民の苦難の軽減のために献身することを立党の精神としてきた政党であります。わが党の存在意義にかけて、今年を、貧困を打開し、国民の暮らしを守るたたかいの、いっそうの画期的な前進の年にするために、全力をつくそうではありませんか。(拍手)

投機マネーの暴走――国際社会が協力して規制にふみだせ

 第二は、規制緩和、金融自由化が生み出した投機資金、投機マネーが暴走し、国民経済と国民生活を破壊する猛威をふるっていることであります。

 「サブプライム・ローン(低所得者向け住宅ローン)」問題が、世界の金融機関に莫大(ばくだい)な損失をもたらし、世界経済の大きな不安定要因となっています。もともとアメリカ国内の住宅ローンの焦げ付きにすぎないこの問題が、どうして世界に大混乱をあたえているのか。それは住宅ローンが「証券化」という錬金術によって世界中にばらまかれ、金融投機の対象とされたからであります。

 重大なことは、投機マネーが、金融市場からあふれ出し、原油市場や穀物市場にまで流れ込み、価格をつり上げ、ガソリンや灯油、多くの食品など生活必需品の値上げが、深刻な形で国民生活を直撃していることであります。国民生活を防衛する緊急の対策が必要です。同時に、食料とエネルギーという人類の生存の基盤までを、巨大投機マネーが左右し、餌食(えじき)にする世界にしていいのかを、きびしく問わなければなりません。

 世界をみますと、昨年は、こうした投機マネーへの規制を求める声が、国際社会で大きく広がった一年となりました。ドイツのハイリゲンダムでおこなわれたサミット(主要国首脳会議)では、ドイツなどの提起で投機マネーの規制が議論されました。サミットでは、日本はアメリカなどとともに消極的な態度をとり、直接的な規制は実現されませんでした。

 しかし、規制を求める声は、もはや世界の大勢であります。とりわけ、経済的実力を大きく高めた発展途上国からの批判は、きびしいものがあります。昨年十月に、たいへん印象深い出来事が起こりました。世界銀行・IMF(国際通貨基金)総会とその関連会議が、ワシントンで開かれました。この会議で、途上国を代表する二十四カ国のグループは、「サブプライム・ローン」問題で動揺する先進国経済をきびしく批判し、IMFに対して「先進国経済の脆(もろ)さに注目し、監視する」ことを要求する声明を発表しました。そして「発展途上国は、世界経済における安定化要因とともに新たな原動力」であると宣言しました。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、この会議について、「立場の逆転 貧困国が富裕国にお説教」という見出しで報じました。

 世界銀行とIMFといえば、少し前までは、アメリカが「新自由主義」の政策を「説教」し、全世界とくに途上国におしつける道具として使われた機関でした。ところが、いまでは同じ場で、途上国が、逆に先進国の誤りを堂々と批判し、「先進国経済を監視せよ」とIMFに迫っている。世界の力関係が、経済においても大きく変わり、「新自由主義」が国際的に包囲されつつあることを象徴する、痛快な出来事ではないでしょうか。

 投機マネーをどうやって規制するかが、こうして国際的な大問題になっているときに、自民党政治は、アメリカに追従して、規制にあくまでも抵抗し、逆に投機マネーを呼び込んで「経済を活性化させる」などというカジノ経済にのめりこもうとしています。これが、どんなに世界の流れに逆らい、国民の利益をかえりみないものであるかは、明りょうです。ここでも政策の根本的転換が求められているということを強調したいと思うのであります。

地球環境問題――日本政府は国際的責務を果たせ

 第三は、地球環境問題が、世界でも日本でも焦眉(しょうび)の課題になっていることです。

 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出による温暖化の影響は、極地での氷の融解、海面の上昇、熱波の多発、干ばつと豪雨、多くの生物種の絶滅の危険など、すでに世界各地で深刻な形で現れつつあります。世界の科学者の専門的知見を結集した国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、昨年十一月に発表した報告書では、「温暖化が突然の回復不能な結果をもたらす可能性がある」と強く警告し、「今後二十年の努力が重要」だとのべました。

 国連IPCCの報告書をうけて、昨年十二月にインドネシア・バリ島で開催されたCOP13(国連気候変動枠組み条約第十三回締約国会議)が、二〇〇九年を交渉期限として、温室効果ガスの削減目標と対策を検討する行程表(ロードマップ)を決めたことは、地球規模での行動への重要な前進でした。しかし、温室効果ガス削減の数値目標をロードマップに書き込むことができなかったことは残念な結果でした。

 数値目標を書き込むことを邪魔したとして、批判の的となったのは、アメリカ、日本、カナダでした。ここに、現地の英字紙「ジャカルタ・ポスト」に環境NGO(非政府組織)が掲載した意見広告の写しをもってまいりました。タイタニック号を思わせる船に、アメリカのブッシュ大統領、日本の福田首相、カナダのハーパー首相の三人が乗り込んでいる。「(削減)目標なし、(温暖化で溶けて)氷山なし、地球規模の災害だけが、すぐにやってくる」と痛烈な批判が書かれています。

 この問題では、発達した資本主義の国で、二つの流れのコントラスト(明暗)がはっきりあらわれました。

 一方で、“日米環境破壊同盟”ともいうべき孤立した逆流があります。日本は、京都議定書で世界に約束した(温室効果ガスを一九九〇年比で)6%削減という目標を達成するどころか、逆に6・4%も増やしています。日本経団連の「自主行動計画」にまかせ、経済界と削減を義務づける協定を結ぶことを怠ってきた政治の責任がきびしく問われます。

 他方で、欧州諸国は、企業との協定、規制などにより、大幅削減に踏み出しています。イギリスでは京都議定書の目標値8%減に対して14・8%減、ドイツでは目標値8%減に対して18・4%減をすでに達成するなど、欧州諸国はのきなみ目標を達成し、さらに大幅削減に踏み出そうとしています。「ルールなき資本主義」と、ルールある経済社会をつくりあげてきた欧州との対比は、歴然としているではありませんか。

 途上国は、中国を含めて行動を開始する方向に大きく舵(かじ)を切りました。途上国の平等な発展権を保障しながら、この問題をどう解決するか。これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄という社会の型を転換することも含め、人類的英知が求められる問題です。そして、資本主義体制、社会主義を目指す流れの双方が、人類社会を担う資格があるかどうかが問われる問題です。ただ現状でも、すでに判定の下った問題があります。それは環境までも市場まかせにする「ルールなき資本主義」――「新自由主義」には、人類の未来を担う資格はないということであります。

 日本共産党は、日本政府に対して、京都議定書の議長国として、地球環境を守る国際的責務を果たすことを強く求めるものであります。

 貧困と格差、投機マネーの暴走、地球環境の破壊――どの問題でも、このままつづければ日本国民の生存と存続を危うくし、さらには人類の生存を危うくするところまで、「ルールなき資本主義」のゆきづまりと破たんは深刻です。どの問題でも、わが党の綱領が示す、経済的民主主義の改革――大企業に社会的責任を果たさせ、ルールある経済社会を築くという、経済政策の大転換が切実に求められていることを強調したいし、そのために力をつくす決意をのべるものであります。(拍手)

アメリカいいなり政治の破たん――イラク戦争5年の年に考える

 いま一つは、アメリカいいなり政治のゆきづまりという問題です。昨年は、(日本が)アメリカのアフガニスタン、イラクへの先制攻撃戦争に追従、参加し、さらには憲法九条を変えようという動きが、国民の審判によって大きな打撃をこうむった年となりました。

 今年は、二〇〇三年三月にアメリカがイラクへの無法な侵略戦争を開始してから五年目の年となります。この戦争が世界に何をもたらし、世界をどう変えたか、大きくみてみたいと思います。

どんなに強大な軍事力をもっていても、世界を動かせない

 一方で、アメリカの軍事的覇権主義の大破たんはいまや明りょうとなりました。戦争でテロはなくなったか。アメリカ国務省の報告書によると、世界中のテロ事件は、イラク戦争を開始した二〇〇三年には年間二百八件でしたが、直近では年間一万四千三百三十八件と急増しました。世界は、明らかに危険な世界となりました。

 アフガニスタンとイラクに平和は訪れたか。アフガンでは、米軍が、復活したタリバン全体を敵にした軍事掃討作戦に固執しているために、情勢悪化に歯止めがかかりません。イラクでは、戦争によって六十万人とも百万人ともいわれる犠牲者と、五百万人を超える難民が生まれ、泥沼の戦争からの出口がみえません。アメリカが世界でどんなに抜きん出た軍事力を持っていても、軍事の力では問題は解決できない、世界を動かすことはできないことが証明されました。

平和の流れの巨大な発展――ユーラシア大陸覆うTACの発展

 同時に、他方で、平和の流れの巨大な発展がこの五年間にすすみました。とりわけ注目すべきは、TAC――東南アジア友好協力条約の飛躍的な発展です。TACは、もともとはASEAN(東南アジア諸国連合)の国々が結んだ条約で、独立・主権の相互尊重、内政の不干渉、紛争の平和解決、武力の威嚇・行使の禁止などを取り決めた、いわば平和の共同体の条約です。はじめはASEAN域内で始まった条約でしたが、ASEANは、一九八七年にTAC加入を域外の国々にも開放し、さらに一九九八年には域外の国々の加入手続きの整備と加入の呼びかけを行いました。

 この呼びかけにこたえて、TACが飛躍的な発展をはじめたのが二〇〇三年、すなわちイラク戦争の年でありました。この年の十月に、中国とインドが加入し、翌年の二〇〇四年には、パキスタン、韓国、ロシア、そして日本も曲折はありましたが加入しました。そして二〇〇五年から昨年にかけてさらに広がり、現在二十四カ国、三十七億人、世界人口の57%を擁する国々が加入する平和の共同体として発展を続けています。無法なイラク戦争を契機に、「戦争のない世界」を願う人類史上空前の波がつくられるなかで、TACはユーラシア大陸を覆う形で巨大な発展をとげつつあるのであります。

 昨年の動きを見ますと、四つの国が新たに加入していますが、注目されるのはヨーロッパからフランスが加入したことです。EU(欧州連合)としてもTACへの加入申請をすでにおこなっており、フランスの加入は、その先駆け的な意味をもつものです。フランス政府代表は、昨年のASEANの会議で、TAC加入にあたってつぎのような印象的な演説をおこないました。

 「フランスはこの行為によってASEAN諸国への友好と友愛の証(あか)しとしたい」、「フランスは対等かつ均衡であることを望みます」

 EUを構成する国々のなかには、フランス、イギリス、オランダなど、かつて東南アジアを植民地支配した宗主国の国が含まれています。かつての宗主国と、植民地支配をうけた国々が、「友愛」と「平等」の精神で、平和の共同体をつくりつつある。これは綱領が明らかにした二十世紀から二十一世紀にかけての世界の構造変化を象徴する出来事ではないでしょうか。

 また綱領では、植民地体制が過去のものとなった時代には、「独占資本主義=帝国主義」とはいえなくなったと、帝国主義論を大胆に発展させましたが、独占資本主義国で構成するEUが、対等な立場でASEANと平和の共同体を構成するというのは、綱領で発展させた帝国主義論を実証する出来事でもあると、私は考えるものであります。

 イラク戦争から五年。世界の力関係は、大きく変わっています。さきほど経済の力関係の変化ということをいいましたが、戦争と平和という問題でも、平和の力が、戦争の力を包囲する方向にさらに大きく変わりつつあります。

 そして、この力は、アメリカの世界政策の一定の変化をもつくりだしました。アメリカは、イラクやアフガンでは軍事的覇権主義に固執しながら、北朝鮮問題では外交的解決に舵を切りました。とくにアメリカが、一昨年の秋以降、北朝鮮との直接対話にふみきったことが、六カ国協議の進展を促す重要な一要因となりました。

米国いいなりから抜け出し、平和・自主外交への転換を

 世界はここまで大きく変わってきているのであります。そのなかで日本外交のみじめさがきわだつではありませんか。アメリカの軍事力だけを崇拝し、世界の平和の流れが目に入らない。アフガンとイラクへの自衛隊の派兵に固執し、北朝鮮問題では「圧力」一辺倒から抜け出せず、自前の外交戦略をもてないでいる。ここでも、この道をつづけては日本はもはや立ち行かないことは明らかではないでしょうか。

 今年の初仕事として、インド洋への自衛隊の再派兵を許さないたたかいに力をそそごうではありませんか。憲法九条を守る運動をいっそう前進させる年にしようではありませんか。「米軍再編」の動きを、全国の連帯した力でストップさせようではありませんか。

 日本共産党は、綱領で日米安保条約廃棄を高々と掲げている党として、日本外交がアメリカいいなりから抜け出し、憲法九条を生かした自主・平和外交に転換することを強く求めて、たたかう決意を表明するものであります。(拍手)

「ねじれ」ているのは、「二大政党」と国民の利益

 これだけ自民党政治がゆきづまっている。そのときに野党第一党の民主党はどうなっているでしょうか。

 昨年十二月の幹部会では、「大連立」騒動をつうじて「二大政党」の正体が見えた、民主党が自民党と「同質・同類の党」であり、自民党との連立政権を選択肢とする政党であることを、自ら明らかにしたと分析しました。

 この間の動きは、この指摘を裏付けました。民主党が「対決」戦術といっても、具体的な「対案」が問われますと、「同質・同類の党」であることがあらわれます。そのことは、この党が昨年末に提出した二つの「対案」にも示されました。

 一つは、民主党が海外派兵問題で提出した「対案」ですが、この中身を見ますと、海外派兵の恒久法の制定、アフガン本土への陸上自衛隊の派兵、海上自衛隊の「海上阻止行動」への参加など、政府・与党案以上に危険なものとなっています。

 いま一つは、民主党が税制論で発表した「対案」――「民主党税制改革大綱」ですが、これは、将来の方向性として、消費税率の引き上げと、法人税の税率引き下げをはっきりと打ち出しました。

 「ねじれ国会」ということがよくいわれますが、「ねじれ」ているのは、大きく見れば、自民・民主の「二大政党」と国民の利益ではないか。この間に大きな「ねじれ」があるのではないでしょうか。

 きたるべき総選挙で、自民党政治を根本から転換する本物の改革の対案を堂々と示して奮闘している日本共産党をのばしてこそ、国民の利益にかなった新しい政治への道が開かれることを、こうした政党状況とのかかわりでも、おおいに国民に訴えていこうではありませんか。(拍手)

新たな前進を確信に、総選挙勝利めざす活動を日々発展させよう

5中総決定を受け、「今度こそ勝とう」という新たな機運と活力が

 最後に、総選挙勝利をめざす活動では、五中総決定を受けて、全党に「今度こそ勝とう」という新たな機運と活力が広がり、新たな前進が開始されています。このことを全党の共通の確信にして、それを日々発展させようではないかということを訴えたいと思います。

 五中総決定が提案した「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」が、豊かな広がりをもって前進をはじめ、すでに18・1%の支部がとりくみ、十万人以上が参加しています。この運動には無限の発展の可能性があります。総選挙にむけて、すべての支部が、全国津々浦々で無数の「集い」を開けば、どんな力を発揮するかは、はかりしれないと思います。

 特筆すべきは、全党の努力によって党勢拡大の新しい上げ潮をつくりだしつつあるということです。とりわけ十月、十一月につづき、十二月も「しんぶん赤旗」の読者を前進させることができたことは、たいへんうれしいことであります。日刊紙、日曜版をあわせて、三千四百十八人の読者を増やしました。十二月という困難も多い月で、三千人以上の「赤旗」読者を前進させたのは、実に十四年ぶりであります。衆議院比例代表ブロックごとにみても、すべてのブロックが前進をかちとったことも重要であります。私は、昨年末ぎりぎりまで大奮闘された全党のみなさんに、心からの敬意と感謝の気持ちを申し上げたいと思います(拍手)。同時に、この前進を、せっかくみんなの力で開始した前進を、絶対に中断させることなく、この一月、二月、三月と、月ごとに発展させることを訴えたいと思います。

 さらに、質的に強い党づくりでも、わが党は新しい境地を開きつつあります。五中総決定を91・3%の支部が討論し、決定を読了・徹底した党員は39・3%と、この間では最高の水準まで到達しました。読了・徹底では、ここから先がいよいよ大切です。すでに全国で三十一の地区委員会が50%をこえて前進していますが、一刻も早くすべての党組織が50%をこえ、さらに前進をめざしたいと思います。いまこの決定をしっかり全党員の心に届けることが、いざ総選挙になったときに、わが党が底力を発揮する最大の保障となってきます。

日本改革の方針とともに、未来社会へのロマンもおおいに語ろう

 総選挙勝利をめざす活動のなかでは、日本改革の方針とともに、日本共産党という名前にこめられた未来社会へのロマンをおおいに語りましょう。昨年は、野党外交のなかで、「市場経済をつうじて社会主義へ」という実践にとりくんでいるベトナム、民主革命を前進させるなかで「新しい社会主義」への探求をはじめているラテンアメリカの一連の国々など、世界各地での社会主義をめざす実践と探求にふれた一年ともなりました。

 私は、経済同友会終身幹事の品川正治さんと「しんぶん赤旗」で「新春対談」をおこなう機会がありましたが、たいへんに響きあうといいますか、はずんだ対話となりました。私との対談の最後に、品川正治さんがこういわれました。

 「もう資本主義のシステムも行き着くところまで来ているという感じです。私なんかも日常使わない言葉ですが、『新しい社会主義』ということを考えざるをえなくなるんですね。しかも、それは日本共産党のいうようにソ連型ではないものが」

 私は、こういう言葉まで聞けるとは思っていなかったので、大きな驚きであり、喜びでありました。

 ラテンアメリカからも、日本の経済界の重鎮からも、「新しい社会主義」という言葉が、期せずして聞こえてきた。これは今日の資本主義世界のゆきづまりを映し出すものであるとともに、私たちの事業に未来があることを示すものではないでしょうか。(拍手)

 日本共産党という党名を高く掲げ、歴史的な総選挙で必ず前進・勝利することを誓いあって、年頭にあたってのあいさつにかえるものであります。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)