2007年11月18日(日)「しんぶん赤旗」

新しい政治プロセスと革新懇運動

地域・職場・青年革新懇全国交流会 志位委員長の講演

(詳報)


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(写真)講演する志位和夫委員長=17日、金沢市の市文化ホール

 日本共産党の志位和夫委員長は十七日、金沢市内で開かれた全国革新懇の地域・職場・青年革新懇全国交流会で、「新しい政治プロセスと革新懇運動」と題して講演しました。

 志位氏は最初に、「革新懇運動の値打ちが、参院選後の情勢の激動の中で、いよいよ輝いている」と強調しました。日本共産党が参院選の結果について「国民が自公政治に代わる新しい政治の方向と中身を探求する新しい政治プロセスがはじまった」と指摘したことを紹介。参院選から三カ月半、情勢の展開と国民の体験を通じて、国民の利益にかなった新しい政治とは何かが見えやすくなってきており、「国民の利益にたった政治をまじめに探求しようとすれば、全国革新懇の掲げる『三つの共同目標』(別項)に接近せざるをえない、情勢の劇的な展開がすすんでいる」と述べ、革新懇運動の役割と値打ちについて、三つの角度から論じました。

「靖国」派内閣――崩壊に追い込んだことに確信を    

 第一の角度は、安倍「靖国」派政権の崩壊で、過去の侵略戦争を正当化する流れが大打撃を受けたことです。

 志位氏は、福田康夫首相の所信表明で、「戦後レジームからの脱却」「美しい国」のスローガンが「露と消えた」と指摘し、「『靖国』派内閣を崩壊に追い込んだのは、国内外の良識の声の重要な成果です。革新懇運動が大きな役割を果たしたことに大いに確信を持とう」と訴えました。

自・民「大連立」――「二大政党」の正体みえた     

 第二の角度は、この間の自民・民主の「大連立」の動きが何を示したかです。志位氏は「日本の政治の真実の姿を示した」と三つの点から解明しました。

 (1)国民の民意にそむく行為――。志位氏は、自民党の側でいえば、参院選で「自公政治ノー」の審判が下ったのなら、反省し、政策の転換をはかるのが当たり前なのに、「間違った政治にあくまでもしがみつき、そのための数集めの『大連立』に走る。これは民意にそむく邪道の政治だ」と批判しました。

 一方、民主党の側でいえば、「自公政治打倒」を掲げて選挙をたたかっておきながら、選挙が終われば、相手と手を組もうとした―これは「打倒」どころか「延命」に手を貸すものだと指摘。「国民への裏切り行為以外のなにものでもない。それなのに反省は一言もない」と語りました。

 (2)「二大政党」なるものの正体が見えた――。志位氏は、民主党は「対決」戦術をとっていたものの、その政治的な中身と対抗軸がないために、平気で「大連立」の合意までいけると述べ、「国政の基本問題では、同質・同類の党だということを天下に示した」と強調しました。その上で、「『大連立』への反省がなければ、これからもいつまた再燃し、浮上してくるかわからない」と述べました。

 (3)何のための「大連立」なのか――。志位氏は「はっきりしているのは自衛隊を海外に派兵するための恒久法づくりの合意だった」と指摘。「自民案と民主党の小沢案とでは中身に違いがあるが、憲法破りの恒久的な海外派兵法をつくるという点では共通項がある」と強調しました。

 さらに志位氏は、「大連立」を推進しようとする勢力の思惑には、派兵恒久法だけでなく、消費税の引き上げがあり、背景には財界の動きがあることを解明。「派兵恒久法、消費税増税、憲法改定…、『大連立』を推進しようという勢力の危険な狙いを見抜き、打ち破ろう」とよびかけました。

 その上で志位氏は、「自公政治に代わる『新しい政治』を体現しているのは、政党でいえば日本共産党であり、統一戦線運動では革新懇運動です。このことが『大連立』騒動を通じてうきぼりになりました。まさに革新懇運動の出番の情勢です」と強調しました。

どんな国民要求も「三つの共同目標」に接近・合流  

 第三の角度は、どんな国民要求でも、それを本格的に実現しようとすれば、「三つの共同目標」に接近・合流せざるをえないということです。

 志位氏は、参院選後、国民の声で政治が動く情勢の新しい特徴が一面では生まれているが、「同時に、本格的に国民要求を実現しようとすれば、大企業中心・アメリカいいなりという政治悪にぶつかる。それをただす政治姿勢がなければ、国民の利益にかなう政治は実現できない」と力説。暮らし、平和、憲法と民主主義の問題について述べました。

 暮らしの問題では、政府・与党側は、後期高齢者医療制度や障害者自立支援、児童扶養手当削減などでの国民負担増の凍結・見直しを打ち出すなどの変化が生まれていることを指摘。同時に、財源としては「二つの聖域」((1)大企業・大資産家減税(2)五兆円超の軍事費)にメスを入れずに、もっぱら消費税増税を求めています。ここには大企業中心政治の政治悪があらわれています。

 平和の問題では、政府・与党は新テロ特措法案で海上自衛隊の再派兵をたくらみ、民主党の小沢代表は、ISAF(アフガン国際治安支援部隊)参加で陸上自衛隊を派兵する「対案」を出しています。どちらも根っこにアメリカいいなり政治があります。

 改憲の動きは、参院選の審判でブレーキがかかったものの、米国の圧力、財界の結託で大掛かりに進められています。

 志位氏は、国民要求のどの分野でも、「三つの共同目標」の立場にたってこそ国民本位の政治が実現する、と詳しく論じました。

 このなかで志位氏は、民主主義の問題にかかわり、小選挙区制と政党助成金制度がこのままでいいのかと問題提起。両制度の害悪を指摘し、「こんな制度を続けておいていいのか。立場の違いを超えて、抜本的見直しにむけた国民的議論を」とよびかけました。

 最後に志位氏は、「革新懇運動こそ『新しい政治』を担う統一戦線」だと述べ、さらなる発展への期待と、この運動の提唱者の党として、日本共産党が力をつくす決意を表明しました。


 全国革新懇の三つの共同目標 (1)日本経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす(2)憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす(3)日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざす