2007年9月11日(火)「しんぶん赤旗」

日本共産党 国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ(大要)


 十日の第百六十八臨時国会開会にあたって開かれた日本共産党国会議員団総会での志位和夫委員長のあいさつ(大要)は次の通りです。


安倍・自公政権の政治的衰退はいよいよきわまった

写真

(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=10日、衆院第1議員会館

 国会開会にあたって、ごあいさつを申し上げます。

 この国会は、自公政権が歴史的大敗を喫し、日本の政治が新しい時代を迎えたもとでの初めての本格的な国会となります。日本共産党の国会議員団の真価を発揮し、知恵と力をつくした奮闘をおこなう決意を、最初に固め合いたいと思います。(拍手)

 安倍自公政権をみますと、政治的衰退がいよいよきわまったという感をつよくいたします。参議院選挙での国民の審判というのは、弱肉強食の「構造改革」路線への「ノー」と、「戦後レジームからの脱却」を旗印にした憲法改定の押しつけへの「ノー」、これがその審判の中身でした。にもかかわらず、安倍首相が取った態度はどうだったか。「人心一新」と称して、内閣の改造をおこないましたけれども、「一新」されるべき本人は居座ったままの姿となりました。そして首相が、改造内閣がとりくむべき仕事の冒頭に掲げたのは、「構造改革」路線の引き続く推進であり、三年後の国会で憲法改定案の発議をするという改憲路線への引き続く固執でありました。「政治とカネ」をめぐるスキャンダルも、改造内閣の閣僚のなかからつぎつぎと出てきており、「もううんざりだ」という声が日本中でわき起こっています。

 国民に「ノー」という審判を下された人物と路線に、反省もなく日本の政治の今後をゆだねようとする、ここに自民党政治の政治的衰退と末期症状が示されているということを、私はいいたいと思います。

 さらに、昨日の報道ですが、安倍首相は、オーストラリア・シドニーでの記者会見で、テロ特措法に関して、「インド洋の給油が継続できなければ、内閣総辞職をおこなう」との意向を示しました。ブッシュ大統領との会談のあとの会見でのことです。「国際的公約となった以上、私には責任がある。これができなければ内閣総辞職だ」という「論理」のようでありますが、参院選で国民からあれだけ厳しい批判をあびながら居座る、しかし、アメリカとの約束は果たせなければ総辞職するというのは、これこそ日本国民よりもアメリカに顔を向けた政治のあらわれであって、この一つをとっても、やはりこの内閣は早期の退陣に追い込むことが当然だということになります。(拍手)

熱い直面する焦点でたたかい、綱領の立場で新しい政治を示す

 こうしたもとで、日本共産党の国会議員団はどういう論戦をすすめるか。一昨日、昨日とおこなった五中総は、新しい情勢のもとでの日本共産党の役割について、「二重の構え」ということを強調いたしました。この構えに立った国会活動にとりくみたいと思います。

 第一は、熱い直面する問題で、間違った政治に反対をつらぬき、国民の利益を守るために、積極的な役割を果たすことであります。暮らしの問題でも、平和の問題でも、「政治とカネ」の問題でも、ありとあらゆる問題で末期的状態に陥っている安倍・自公政権を攻めに攻め、追いつめて、解散・総選挙に追い込んでいく。そのたたかいの先頭に立って、日本共産党はおおいに奮闘していきたいと思います。

 第二に、自民党政治に代わる新しい政治とは何かを、大きく明らかにしていくことであります。この国会が直面するどんな問題にとりくむさいにも、批判・告発とともに、綱領と日本改革の方針をふまえて、国民の立場に立った道理ある解決策、打開策を提示していく努力をはかりたいと思います。日本共産党は日本のどういう改革をめざすのか、日本共産党は世界にどう働きかけていくのか、この中身を国民的に明らかにしていく論戦にとりくみたい。いま、多くの国民が、いまの政治のゆきづまりを打開する方途を強く求めているもとで、その期待に応えた論戦をおこないたい。

 こういう「二重の構え」での国会活動に、この国会では新しい決意をもって挑戦したいと思います。

テロ特措法――テロ根絶の道理ある道をしめしつつ、自衛隊撤退のたたかいの先頭に

 たとえば、最大の焦点となっているテロ特措法の問題について、どういう角度から論戦していくか。

 この問題の一番の核心というのは、戦争ではテロはなくせない、ここにあります。二〇〇一年九月十一日に起こった同時多発テロにさいして、わが党は世界各国政府にたいして二度にわたって書簡を送り、国際社会が協力してテロリストを“法の裁き”にかけることこそ解決の一番の道であって、それをつくさないまま報復戦争に訴えるならば、事態の解決にならない、事態の悪化しかもたらさないということを強く警告しました。その後の六年間の経過というのは、この警告の正しさを実証しました。そのことを、現地の実態にてらして具体的に明らかにし、報復戦争への参戦をつづけることがいかに道理のないことか、この道からの根本的転換が必要だということを明らかにしながら、テロ特措法の延長を阻止するたたかいをすすめたいと思います。

 そのさい注目してほしいのは、わが党の綱領が、この問題でもたしかな立脚点を明示していることであります。綱領には、新しい日本がとりくむべき平和外交が八項目にわたって明記されていますが、テロ根絶とのかかわりでは、つぎの三つの項目に注目してほしいと思います。

 一つは、「一般市民を犠牲にする無差別テロにも報復戦争にも反対し、テロの根絶のための国際的な世論と共同行動を発展させる」とのべていることです。すなわち、報復戦争に反対する立場とともに、国際社会が一致協力して“法による裁き”によってテロリストを追いつめ、テロをなくしていく、この立場が綱領に明記されています。

 二つは、「紛争の平和解決、災害、難民、貧困、飢餓などの人道問題にたいして、非軍事的な手段による国際的な支援活動を積極的におこなう」とのべていることです。テロ根絶についても、テロの土壌をどうやって取り除くかという問題を真剣に考えた場合には、貧困をなくすこと、教育を改善すること、国際紛争を平和的に解決する努力をはかることなどが、大切になってきます。そうした努力こそ日本政府はおこなうべきであります。

 三つは、「社会制度の異なる諸国の平和共存および異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確立に力をつくす」とのべています。アメリカのブッシュ大統領などは、テロを特定の宗教と結びつける議論を公然とおこない、テロとのたたかいは「イデオロギー闘争」だともいっています。しかし、テロというのは犯罪であって、宗教とは何の関係もありませんし、イデオロギーと呼べるものでもありません。それをこういう形で結びつけるのは、根本的に間違ったやりかたであって、解決を遠ざけるものにほかなりません。安倍首相は、「価値観外交」なるものを振りかざしていますけれども、これも世界の道理に逆らう根本的に誤った道にほかなりません。

 このように、テロの問題ひとつとっても、綱領は、これをどう解決していくかのゆるぎない立脚点を示しています。日本政府が、本気になって「テロをなくす」というのだったら、これらの方途に真剣にとりくむことこそ当たり前なのですが、その当たり前のことがやれないというところに、“異常なアメリカいいなり”という綱領が日本の政治の最大のゆがみとして打開をよびかけている大問題が横たわっているのです。

 テロ特措法の問題でも、私たちは綱領の立場をふまえて、わが党ならではの解決策を示しつつ、この無法な枠組みの延長を許さない、そしてインド洋から自衛隊を撤退させる、このとりくみの先頭に立ってがんばりぬくということが大切であります。(拍手)

暮らしの問題――財源問題で「二つの聖域」にメスを入れることの重要性

 暮らしの問題でも、「二重の構え」が大切になってきます。庶民増税に反対するたたかいでも、社会保障の切り捨てに反対し充実を求めるたたかいでも、必ず問題になってくるのは財源問題です。ここでも日本共産党の綱領と日本改革の方針をふまえてこそ、答えが出てきます。それをふまえた論戦が大切であります。

 この点で、日本共産党は「二つの聖域」にメスを入れるという立場に立っていることが、とくに重要であることを強調したいと思います。一つは、大企業、大資産家へのゆきすぎた減税をただす立場です。いま一つは、軍事費にメスを入れるという立場です。とりわけ、米軍への「思いやり予算」を撤廃する。「米軍再編」に三兆円もの国民の税金をつぎ込むことに反対を貫く。軍事費にメスを入れるという立場であります。

 この二つの問題を「聖域」にしてしまったら、どうしても庶民増税やむなし、消費税増税やむなしという袋小路に追い込まれてしまうことになります。わが党は、ここで確固たる解決策をもっているからこそ、消費税増税反対でも、社会保障の充実でも、国民の利益を守って堂々と奮闘できるのであります。

 この点についても綱領は、「経済的民主主義の分野」での改革の六項目の一つで、こういう提起をしています。「国の予算で、むだな大型公共事業をはじめ、大企業・大銀行本位の支出や軍事費を優先させている現状をあらため、国民のくらしと社会保障に重点をおいた財政・経済の運営をめざす。大企業・大資産家優遇の税制をあらため、負担能力に応じた負担という原則にたった税制と社会保障制度の確立をめざす」。この問題でも確固たる立脚点が明示されています。

 国民の暮らしを守るたたかいでも、現状の告発とともに、綱領と日本改革の方針にそって、日本共産党ならではの打開策、解決策を示して、おおいに論戦をすすめたいと思います。

衆院選の前進をめざし、新しい出発点となる国会に

 どの問題についても、目の前にある熱い問題と、綱領とのかかわりを、しっかりと自覚的にとらえて、わが党ならではの論戦にとりくもうではありませんか。

 五中総では、きたるべき総選挙の方針を決定いたしました。全国的に「六百五十万票以上」という得票目標に引き続き挑戦する、比例代表での前進に力を集中する新しい態勢をとるという方針を決めました。幹部会報告の提案は、昨日、全会一致の賛成で採択され、全党的にこの提起が歓迎されています。何としても新しい方針のもとで、日本共産党がつぎの総選挙で必ず前進を勝ち取る必要があります。

 そのうえでも、この国会は非常に大事な国会になります。さきほど言った「二重の構え」で、日本共産党ならではの論戦をおおいに展開し、その存在意義が浮き立つようなたたかいをおおいに力を合わせてすすめましょう。

 そして、五中総では、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を提唱しました。ぜひ、「大運動」をすすめる先頭に、国会議員団のみなさんが立っていただきたい。各地で弁士をどんどん引きうけて、この運動を全国的に始めていくうえでも、その先頭に私たち議員団が立ち、それを通じて、強く大きな党をつくる、そしてきたるべき衆議院選挙の勝利に向けた大きな波をつくっていこうではありませんか。

 新しい政治をおこしていく新しい出発点になるような国会にしていくために、お互いに力をつくそうではありませんか。ともにがんばりましょう。(拍手)