2007年8月8日(水)「しんぶん赤旗」

日本共産党 国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ(大要)


 七日召集された第百六十七臨時国会の開会にあたり、日本共産党は国会議員団総会を開き、志位和夫委員長があいさつしました。大要は次のとおり。


 参議院選挙の奮闘、ご苦労さまでした。国会開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。

 まず、今度の選挙で、井上哲士さん、紙智子さんの再選とともに、山下芳生さんを再び国会議員団に迎え入れたことを、みんなで歓迎したいと思います。(拍手)

参院選の結果――日本共産党の結果、全体の大局的結果の両面から

写真

(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=7日、衆院第一議員会館

 参議院選挙の結果については、日本共産党自身の結果と、選挙戦全体の大局的な結果の両面から見る必要があります。

 日本共産党自身の結果についていいますと、私たちはこの選挙で、比例代表では五議席、選挙区では現有議席の確保と失地回復を目指してたたかいました。この目標が達成できず、議席を二つ後退させたことはたいへん残念であり、わが党に投票してくださった国民のみなさんの期待にそう結果が出せなかったことを、党中央委員会としておわびします。

 同時に、比例代表で四百四十万の得票を得たことは、たいへん重要だと思っています。今度の選挙というのは、わが党にとって、いわば二つの難しい条件のもとでの選挙でした。一方で、自公政治にたいする国民の激しい怒りが噴き上がり、それが野党第一党の民主党への激流になって集中しました。他方で、「自民か、民主か」という「二大政党づくり」のキャンペーンが強まり、自公批判の流れが日本共産党にくることをせきとめる作用を果たしました。

 そういうもとで、四百四十万票という、前回、前々回の参議院選挙を得票数では上回る陣地を維持したことは、ご支持いただいた国民のみなさん、そして炎天下、大奮闘してくださった支持者、後援会員、党員のみなさんの奮闘のたまものであって、この場をかりて心から感謝を申し上げたいと思います。(拍手)

 選挙戦全体の大局的な結果については、何といっても自民・公明の歴史的大敗が重要であります。自公という政治の古い枠組みでは、日本にはもはや前途はないということを、国民が判定をくだしたという点では、まさに歴史的な結果であると思います。

 この原因はどこにあるか。一部に、「逆風三点セット」と言われ、「消えた年金」問題、あいつぐ閣僚の「政治とカネ」のスキャンダル、そして数々の暴言、これによるものだという見方があります。もちろんそれにたいする国民の怒りは非常に強いものがありましたが、原因をそこだけに限定するのは正しい見方とはいえないと思います。端的にいいまして、自公政権の内政・外交がいよいよ行き詰まり、その基本路線にたいする国民のノーの審判が下ったというのが今回の結果であります。

 暮らしの問題では、小泉・安倍政権がすすめた弱肉強食の「構造改革」路線の矛盾が噴き出しました。貧困の広がりが一大社会問題になりました。ところが、それには目もくれず、庶民大増税を強行する、社会保障切り捨てをすすめる、人間らしい雇用を破壊する。「この政治のもとでは生きていけない」という国民の怒りが噴き出した。こうした国民の動きが、自公惨敗の根底にあると思います。

 平和と民主主義の問題をめぐっては、「戦後レジームからの脱却」を旗印に憲法改定を最優先の課題として国民に押し付ける、この路線が破綻(はたん)したというのが今回の結果だと思います。有権者は、このスローガンのなかに、戦前の軍国主義体制への回帰という「靖国」派がめざす危険を感じ取り、拒否の声をあげました。そのことは、内外の多くの論評、世論調査も裏付けております。

 ですから、今度の選挙全体をみますと、貧困と格差拡大をすすめた「構造改革」路線への「ノー」、「戦後レジームからの脱却」を旗印に憲法改定を最優先課題として国民に押し付けようとした路線への「ノー」、この「二つのノー」がはっきりと下された結果だということを、私たちはしっかりつかむ必要があります。

 そして、こういう結果をもたらすうえで、私たち日本共産党の政治論戦は少なからぬ役割を果たし、貢献したということは、選挙をたたかったみなさんの実感でもあると思います。ここに、しっかりと確信をもち、公約実現のために力をつくす決意を、まずお互いに固め合いたいと思います。(拍手)

大きく変動した国会――四つの原則を堅持してのぞむ

 さて、今後の展望でありますが、今回の選挙結果をうけての常任幹部会声明では、次のようにのべました。

 「今回の選挙での自公政治にたいする国民の審判は、それにかわる新しい政治の方向と中身を探求する新しい時代、新しい政治プロセスが始まったことを意味するものです」

 この政治プロセスの行方がどうなるかは、今後のたたかいにかかっています。ただ、この政治プロセスを前にすすめるうえで、日本共産党が果たすべき役割は、これまでにもまして重要になっていることを強調したいのであります。

 とくに勢力配置が大きく変わった国会で、日本共産党議員団がどういう役割を果たし、どういう活動をおこなうかは、きわめて重要であります。つぎの四つの原則を堅持して、私たちは新しい国会にのぞみたいと思います。

国民の利益を守る立場で、国政を動かす

 第一は、どんな問題でも、国民の利益を守る立場にたち、一歩でも二歩でも国政を前に動かすために奮闘することであります。

 今度の選挙で、私たちは、「ストップ貧困、命をまもる、緊急福祉1兆円プラン」を提唱しました。今度の国会の構成をみますと、そのなかの一定の部分が、国会、とりわけ参議院で多数になる条件が生まれています。これを実現する努力がきわめて大事になってまいります。

 それから、今度の選挙戦の論戦のなかで、私たちは、年金制度の改善・改革のためのさまざまな提起をいたしました。そのなかで、緊急策として年金受給条件を現行の二十五年から十年に引き下げるという提起をしましたけれども、この問題について自民党、公明党が「検討する」と約束したことは重要です。ですから、この問題では本気で与党に「検討」を迫っていく必要があります。

 わが党の奮闘いかんでは、国民の利益にそって、国会を動かす可能性と条件が、新たに生まれてきたところに着目して奮闘する必要があります。

自公の暴走と巻き返しを許さない

 第二は、自民・公明の暴走と巻き返しを許さないということです。

 この問題では、テロ特措法の延長をさせないたたかいは、当面する重大な焦点になっています。この法律にもとづくインド洋への自衛隊への派兵は、結局は、テロ根絶も役立たなかった。戦争ではテロはなくせなかった。それにくわえて、この法律が本来の趣旨からもはずれて、イラク戦争をたたかう米軍の支援のために脱法的につかわれた事実も判明しています。テロ特措法の延長を許さず、これを葬るために衆参連携してたたかうことは、新しい国会の重大な任務であります。

 そして、インド洋からの自衛隊の撤退だけでなく、イラクからの自衛隊の撤退も強く求めていきたい。アメリカいいなりに海外派兵をとめどもなく拡大していく路線を打ち破っていくために、大いに奮闘したいと思います。

 今回の国民の選択によって、「戦後レジームからの脱却」を旗印にした憲法改定の策動は、大きな打撃をうけました。政府・与党による消費税増税の動きも大きな打撃をうけました。この二つの重大問題については、大いに攻めに攻めて、改憲派を包囲し孤立させ、また増税策動を断念に追いこむ。このとりくみを大いに強めたいと思います。

 「政治とカネ」の問題については、与党側が、政治資金規正法の再見直しを提起せざるをえなくなるという事態がおこっております。われわれはもちろん、制度の改革に攻勢的に対応します。ただ、この問題は、真相究明が何よりも重要です。この問題での真相究明は、まったくなされていません。これが何よりも最大の問題です。ですから、私たちは、衆議院でも参議院でも、とくに野党多数になった参議院で国政調査権を発動し、徹底的な真相究明をおこなうことを強く求めて、たたかうものであります。

一致点での野党共闘に積極的にとりくむ

 第三は、一致点での野党共闘に積極的にとりくむことです。

 民主党は、参議院で第一党となり、参議院の運営、さらには国会運営全体に重要な責任を負う立場になりました。ですから、民主党の姿勢もまた試される国会になってくると思います。私たちは、一致点での野党間の共同とともに、わが党から積極的にさまざまな問題提起をおこなう。さまざまな申し入れをおこなっていく。このことにもとりくみたいと考えております。

草の根の運動との共同をいっそう強める

 最後に第四ですが、どんな問題でも草の根の運動との共同をいっそう強めていきたいと考えます。

 今回の選挙ほど、国民のみなさんから痛切な要求が寄せられた選挙はありませんでした。暮らしを守る「命綱」としての共産党の役割への強い期待が寄せられました。平和の守り手としての役割への強い期待が寄せられました。その期待にこたえる奮闘をしなければなりません。

 同時に、自公大敗という選挙結果をみて、国民運動の各分野が、「これはチャンス到来」ととらえて、いま元気に活動を発展させようとしています。各分野の国民運動ともおおいに共同を強めて、国会闘争をすすめていく決意です。

安倍内閣退陣を強く求め、解散・総選挙に追い込むたたかいを

 安倍首相は、「基本路線は支持された」と強弁し、あくまでも政権にしがみつく態度を続けておりますが、これはまったく道理のないものであり、わが党は安倍内閣の退陣を強く求めていきます。そして、一つひとつの問題で国民の利益にたって、安倍・自公政権の姿勢をただし、暮らしと平和を壊す政治を徹底的に追及し、解散・総選挙に追いつめていきたい。こういう立場で、新しい国会にのぞむものです。

 「新しい政治プロセス、新しい時代」と申しましたが、このプロセスが前に向かって進むうえでは、国民のたたかいとともに、日本共産党のたたかいが本当に大きな意味をもつ、そういう時期になってまいりました。

 国民が自公政治にかわる新しい政治とは何かを探求していく新しい政治プロセスを前にすすめるために、そして次の総選挙において前進・勝利を勝ち取るために、日本共産党国会議員団がこれからの国会で果たすべき役割はきわめて大きなものがあります。国民の期待にこたえて大奮闘する決意を固め合って、ごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(拍手)