2007年7月29日(日)「しんぶん赤旗」

貧困と戦争から国民の命まもれ――この願いを日本共産党に

志位委員長の最後の訴え(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が二十八日、参院選最終日におこなった最後の訴え(大要)は次のとおりです。


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(写真)日本共産党の躍進を訴える志位和夫委員長=28日

 日本共産党の志位和夫でございます。きょうは、たくさんの方々が足を止め、お聞きくださいまして、まことにありがとうございます。心からの感謝を申し上げます。(拍手)

 歴史的な参院選挙。あすが投票日となりました。私は、公示日以来、北は北海道から南は沖縄まで訴えてまいりましたが、どこでも安倍・自公政権への怒りが沸騰しているということを実感しています。年金の問題、増税の問題、「政治とカネ」の問題、憲法の問題、どの問題でも、もう自民・公明の政治には愛想が尽きたというのが、国民の多くのみなさんの気持ちではないでしょうか(拍手)。そして、この政治に真正面から対決する「たしかな野党」・日本共産党への期待の広がりを感じ、「共産党がんばれ」の声を背に走ってまいりました。最後まで力をつくして、必ず勝利を勝ち取る決意です。(拍手)

 今度の選挙は、国民のみなさんの命がかかった大切な選挙になってまいりました。日本共産党は、二つのことをしっかりお約束したいのであります。

貧困から命をまもるためにがんばりぬきます

 第一は、貧困から国民のみなさんの命をまもるために、日本共産党は国会でも草の根でも、がんばりぬくというお約束です。(拍手)

「ストップ貧困」――貧困も、貧困に陥る不安もない社会を

 今度の選挙ほど、国民のみなさんの生活の痛み、苦しみ、「なんとかしてほしい」という声がたくさん寄せられたなかで、たたかった選挙はありません。

 党本部に、若いお父さんからこういうメールが届けられました。「一心の願いをこめてメールします。今回の選挙、心の底から共産党にがんばってもらいたいのです。このままの政治では一家五人生きていかれません。小学校五年生の娘をはじめ、小学校一年生の長男、生後十カ月の次男、明日のミルクもままならない生活……これ以上税金ばかり取られたら、本気で一家心中を考えなきゃならないです。共産党しか頼れません。どうか助けてください」。切々たるメールであります。

 私たちは、こういうメールや電話をたくさんいただきながら、この選挙をたたかってまいりました。こういう声をしっかり受け止め、がんばらなければならない。共産党は、党をつくって以来、その存在意義を、なによりも国民のみなさんの苦難の軽減においてまいりました。そういう党として、がんばらなければならないという決意をかためているところであります。(拍手)

 北九州市に応援に行ったときに、たいへん痛ましい話をききました。五十二歳の男性が、生活保護の打ち切りで飢え死にしたのです。最後に残した言葉が「おにぎりが食べたい」という言葉でした。五十二歳といえば、私と同い年です。そういう方が、病気を抱えているために働けず、生活保護を打ち切られ亡くなる。

 みなさん、この日本で餓死でなくなる方が何人いるか、ご存じでしょうか。厚生労働省が最近発表した数字では、この十一年間で八百六十七人が亡くなっています。これは自然現象ではありません。社会的に立場の弱い方を見捨て、切り捨ててきた、自民、公明の政治の責任ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 私たち共産党は、今度の選挙で「ストップ貧困」と訴えております。共産党は、この訴えに二つの思いを込めています。一つは、この日本から貧困で苦しむ人をなくしたい。貧困で苦しむ人を一緒になって救いたい。この思いであります。もう一つは、いまは貧困ではないけれど、貧困に落ち込む不安を抱えてたくさんの人が生活しています。いつリストラされるか、いつ商売をたたまなければならなくなるか、あるいは大学を出ても働き口がない。みんな不安に感じながら生活している。こんな社会はまともな社会とはいえません。この日本から貧困に落ち込む不安をなくしたい。そういう社会にしたい。この思いを込めて、「ストップ貧困」という言葉を使っております。どうかみなさん、この願いは、日本共産党へ託してください。よろしくお願いいたします。(拍手)

自民、公明の増税連合にきびしい審判を

 貧困の問題では、これに追い打ちをかける庶民のみなさんへの増税を、許すわけにはいきません。

 住民税の増税が、六月、七月と庶民のみなさんの家計を襲いました。まずお年寄りのご家庭に、二倍、三倍、四倍という住民税増税の通知が行きました。定率減税を廃止したうえに、お年寄りへの年金課税を強化した結果です。二十五日になりましたら、サラリーマンの方々が給与明細をみて驚いた。住民税が二倍になっています。それから若い方々、パートや派遣などで働く方々の住民税は二倍以上です。なぜかといいますと、所得の少ない方の住民税の税率を5%から10%に上げたのです。こういう方々は定率減税廃止による増税に税率引き上げによる増税が加わってたいへんです。こんな弱い者いじめまでしているのです。

 この庶民のみなさんへの大増税、実行したのはだれでしょうか。“言い出しっぺ”は公明党です。公明党が、定率減税の廃止をまず率先して言い出した。「増税戦犯」は公明党(「そうだ」の声、拍手)。一緒にやったのは自民党です。今度の選挙、自民、公明の増税連合に、日本共産党への一票で、きびしい審判をくだす選挙にしようではありませんか。(大きな拍手)

 それに加えて、消費税の値上げの問題が持ち上がってまいりました。選挙がはじまる直前に、安倍首相が「(消費税を)上げないとは一言も言っていない」と、ついホンネが出ました。心にあることは口をついて出てくるのですね。私は、この発言をきいて、大問題だと思いまして、党首討論で連続的に追及しました。

 日本共産党は、消費税の値上げには絶対反対です。なぜなら、消費税は所得の低い方に重くのしかかる“貧困促進税”だからであります。ですから、絶対にこの税金を上げるのは反対です(拍手)。しかし、政府がかりに、秋の税制改革で消費税の値上げを計画しているというのなら、事前に国民の意見をきくべきではないでしょうか。国民に上げてもいいですかと相談すべきではありませんか。つまり、この参院選で審判を仰ぐべきではないでしょうか。(拍手)

 私は、党首討論で何度も、この問題について安倍首相に迫りましたが、首相は、上げるとも上げないともいわないで、しかし審判はうけないと勝手なことをいっています。

 みなさん、消費税という税金は恨みのこもった税金です。一九八九年につくられたときも公約違反。九七年に5%に値上げされたときも公約違反です。「仏の顔も三度」というではありませんか。あの慈悲深い仏様も、三度目にはお怒りになるということですが、こんな公約違反、三回も繰り返させるわけにいかないではありませんか。消費税値上げ反対、この願いを日本共産党に託してください。よろしくお願いいたします。(拍手)

戦争から命をまもるために全力をあげます

 第二に、戦争から国民の命をまもるために日本共産党は全力をあげてがんばりぬくということをお約束したいと思います。

 命をこわす最悪のものは、いうまでもなく戦争です。日本では、自衛隊という憲法違反の軍隊が戦後つくられましたが、この自衛隊、戦後ただの一人も外国人を殺していません。一人の戦死者も幸いなことに出していません。これは、なんのおかげでしょうか。歴代の自民党政治が立派だったからではありません。憲法九条があったおかげではないでしょうか(拍手)。憲法九条が、まさに命をまもる防波堤としての役割を果たしてきた。

 ところが、安倍内閣は、この防波堤をたたき壊そうとしています。アメリカと肩を並べて武力の行使をする、そのためには九条を変えるのだと安倍首相は叫んでいます。こんな時代逆行の道、こんな恐ろしい国――殺し、殺されるような国への道は絶対に許せない。九条をまもろうという声を上げていただきたいということを、心から訴えたいと思います。(拍手)

 この選挙中に、私たち日本共産党の戦前・戦後のリーダーをつとめた宮本顕治さんが亡くなりました。九十八歳でした。宮本さんの歴史的な業績はたくさんあると思いますが、私は、戦前・戦中、あの暗い時代に、どんな迫害にも屈せず、どんな弾圧にも屈せず、獄中十二年という投獄生活にも屈せず、反戦平和の旗を掲げ続けた。戦前、日本共産党は、なにか悪いことをして牢獄(ろうごく)につながれたのではありません。平和を叫んで、それゆえに弾圧されたのです。しかし、その旗を降ろさなかったことが、戦後日本の平和と民主主義の礎になったと私は考えております。(拍手)

 「九条の会」の呼びかけ人の一人である評論家の加藤周一さんが、「訃報(ふほう)に接して」という心のこもった文章を寄せてくださいました。「それ(十五年戦争への反対)ができた人は、日本では例外中の例外だった。……宮本顕治さんは反戦によって日本人の名誉を救った」。日本共産党の反戦平和のたたかいというのは、ひとり日本共産党の財産であるだけでなく、日本国民全体の財産といっていいのではないでしょうか。(拍手)

 私は、あの暗い時代から、平和の旗をまもり続けてきた偉大な先輩たちにたいして、心からの尊敬と敬意をもっております。(拍手)

 みなさん、いま憲法九条が危なくなっている。憲法九条は、三百十万人もの日本国民の犠牲、二千万人ものアジアの諸国民の犠牲の上につくられた不戦の誓いだということを絶対に忘れてはなりません。この宝を、私たちの世代がしっかり受け継いで、子や孫の世代に、子々孫々に永久に伝えていくのは、私たちの世代の責任だと強く決意しているしだいです。(拍手)

 今度の選挙で、憲法九条をまもろう、この願いは、党をつくって八十五年、文字通り命がけで反戦平和をつらぬいてきた日本共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。(拍手)

 みなさん、民主党は、国の根本のあり方にかかわる憲法問題で、自公政権に対抗する旗印がたてられません。このことに象徴されるように、民主党には自公政権の暴走政治をとめる力がありません。

「ストップ貧困、憲法九条まもれ」の声はこぞって日本共産党へ

 みなさん、今度の選挙、私たちは「ストップ貧困、憲法九条まもれ」と訴えています。これは、“貧困と戦争から国民の命をまもれ”という訴えにほかなりません。「ストップ貧困、九条をまもれ」、この願いをこぞって日本共産党へ託してください。(拍手)

 どうか最後の最後までご支持の輪を広げていただいて、大きな勝利をかちとらせてください。ありがとうございました。(大きな拍手、「がんばれ」の声)