2007年7月24日(火)「しんぶん赤旗」

NHK「党首は訴える」

志位委員長の演説から


 NHK「参院選特集 党首は訴える」(二十二日夜放送)で紹介された日本共産党の志位和夫委員長の演説(放送部分)は次の通りです。(演説は、十九日に東京・日本青年館で行われました)


 ご紹介いただきました、日本共産党の志位和夫でございます。

 参議院選挙、いよいよ後半戦、終盤戦に入ってまいりました。よく「自民・民主の対決」といわれますけれども、この両党のあいだには、対決する中身が、どうもみえてこなかったのではないでしょうか。そして、日本共産党と自民・公明、このあいだにこそ本当の対決軸があるということが浮き彫りになったと、私は考えております。(拍手)

年金問題――
「1億人レター」・わが党の道理ある提案が政治を動かした

 私たちは、「消えた年金」問題については、こういう事態を招いた政府の責任を厳しく追及しますが、解決にあたっては党利党略ではなくて、国民の利益第一で、与野党が知恵を出し合い、協力して解決すべきだという立場で、いろいろな具体的な提案をしてまいりました。

 とくにいま政府が把握している年金保険料の納付記録を、一億人の国民すべてにお知らせする。「不安がある人は問い合わせに来なさい」というのではなくて、国のミスなんですから、国の責任ですべての国民に情報を開示する、「一億人レター作戦」が必要だと、このことを私どもずっと主張してまいりました。

 この問題については、実施が来年度ということで遅いのですけれども、ともかくも政府の新しい方針のなかに、一億人への通知が盛り込まれることになりました。(拍手)

 この前、NHKで党首討論会がありまして、その場で安倍首相が、「共産党の提案にも一理あるので、政府の方針に取り入れさせていただきました」と、首相がめずらしく殊勝なことをいいました。(笑い、拍手)

 わが党の道理ある提案が、一歩ではありますが、政治を前に動かしたということを、ご報告したいと思います。(拍手)

「ストップ貧困」――
貧困なくし、貧困に落ち込む不安のない社会をつくりたい

 第二は、「ストップ貧困」という問題なんです。日本は、世界第二の経済大国といわれておりますが、その日本で「難民」と呼ばれる方が、いろんな分野で広がっています。

 たとえば、高すぎる国民健康保険料が払えない、こういう方から無慈悲に保険証を取り上げてお医者さんにいけなくする。「医療難民」という事態が広がっています。

 去年一月から介護保険法が悪くなって、特別養護老人ホームにお住まいのお年寄りの利用料が引き上がり、施設から追い出されるという無慈悲なことがすすんでいます。「介護難民」と呼ばれています。

 それから「ネットカフェ難民」。働いても働いても、アパート代すら払えず、ネットカフェで一年、二年と寝泊まりする若者が急増しております。

 今度の選挙で、私ども共産党は、「ストップ貧困」ということを掲げております。これは、この日本から貧困をなくしたい、同時に、いまは貧困ではないけれども、貧困に落ち込む不安を抱えている方がたくさんいます。そういう貧困に落ち込む不安をなくしたい。貧困に落ち込む不安がなくなるような社会にしたい。こういう思いを込めて、「ストップ貧困」ということを、私ども今度は合言葉に選挙をたたかっております。

消費税増税――
上げるなら国民の審判を事前に仰ぐべきだ

 いくつか、この問題にかかわって、貧困に追い打ちをかける大問題が、選挙の争点になってまいりました。その一つは、庶民への大増税です。

 私たち日本共産党は、消費税増税に絶対反対です。しかし仮に、政府が秋の税制改正で消費税の値上げを計画しているというのだったら、事前に、つまりこの参議院選挙で、国民のみなさんに相談をすべきではないでしょうか。国民のみなさんの審判を事前に仰ぐべきではないでしょうか。(拍手)

 どうかみなさん、今度の選挙で、住民税の増税はいまからでも中止せよ、すでに増税した分は戻し税という形で国民にお返しせよ、そして消費税の増税は絶対に許さない、この国民の意思を日本共産党への一票で示していただきたい。

憲法問題――
9条守りたいとの願いは、反戦平和で試されずみの共産党へ

 第三に、憲法問題は、この選挙の大争点です。自民党は、マニフェストの「155の約束」というなかのトップに、憲法改定を掲げています。三年後の国会で憲法改定案を発議して、国民投票にかける、これが「いの一番」の政策なんです。

 いま、世界では、もめ事が起きたら、軍事ではなくて平和的な話し合いで解決する。これが当たり前になっていますね。憲法九条は、世界中で模範になっている。世界で、日本のなかで、憲法九条ほど有名なものはないほど、世界中で注目され、模範にされている。そのときにその模範を投げ捨ててしまうなんていうのは、これ以上の時代逆行はない、許すことはできないということを訴えたいと思います。(拍手)

 私たちが、この誇るべき宝を無傷の形で、私たちの子や孫に引き継いでいくことは、私たちの世代の重大な責任だということを痛感しております。どうかみなさん、今度の選挙で憲法九条を守り抜こうという願いは、反戦・平和を命懸けで、一筋に貫いてきた、平和で試されずみの政党、日本共産党にお寄せいただきますことを、心からお願いいたします。(大きな拍手)

「欠陥政権の大暴走」――
正面から立ちはだかる党が伸びてこそ

 安倍自公政権は、私、例えるならば、「欠陥車が大暴走」しているというように思うんですよ。ともかく、政治とカネのスキャンダルが次々に出てきますでしょう。それから「女性は子どもを産む機械」発言だの、「原爆投下はしょうがない」発言だの、およそこの人たちの政治的な倫理といいますか、その水準はどうなっているのかなと疑うような暴言が次々と出て止まらないでしょう。

 欠陥車なのに欠陥じゃないと言い張って、アクセルだけを踏み続けている車のようなものだと。そして、この車にはアクセルはついているけれども、ブレーキはついていない。ハンドルはあるけれども、右にしかハンドルが切れない。(笑い)

 これがいまの安倍自公政権の正体だと私は考えています。(拍手)

 こういう欠陥車の大暴走ですから、なかなか危険です。いつ火を噴くかわからないし、いつ車輪がとれるかわからない。しかし、それでも暴走している。

 その暴走が起こっているときに、それじゃあ民主党は、この大暴走に立ち向かう旗印が立てられているでしょうか。憲法改定がこれだけ大問題になっているときに、「九条を守れ」という旗は立てられません。この問題では、憲法を変えて「海外で戦争をする国」をつくるという点では、おなじ旗を握っているわけです。

 やはり、この政党では暴走は止められない、政治を変える力にはならないということを、どうか事実をもって見極めていただきたいとお願いしたいと思うしだいです。(拍手)

 いま、安倍・自公政権が平和と暮らしを壊す大暴走をしている。そのときに、それに正面から立ちはだかる、たしかな立場と勇気と信念をもった政党が必要です。「たしかな野党」・日本共産党のがんばりどころだと心得て力をつくしたい、全力をあげてがんばる決意を申し上げたいと思います。(拍手)