草の根でくらし・平和守る党を大きく

党躍進大集会に8千人 志位和夫委員長が講演


 日本共産党京都府委員会は16日、京都市北区の府立体育館で、志位和夫委員長を迎えた党躍進大集会を開き、約8千人が参加しました。志位委員長の演説大要を紹介します。

 京都のみなさん、こんばんは。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。今日はこの広い会場いっぱいにたくさんのみなさんが、ようこそお運びくださいました。

 いっせい地方選挙と参議院選挙が目前に迫ってまいりましたが、京都から日本共産党躍進の大きな波を作り出していただきたい、そのことをお願いにあがりました。最後までよろしくお願いいたします。(拍手)

国政の熱い焦点――貧困と格差、憲法と平和を正面からただす日本共産党

 まず国の政治について、いまの熱い焦点についてお話ししたいと思います。

 この間、私は、代表質問と予算委員会の総括質疑で、いまの日本の政治の中心的な問題をいくつかただしました。

 暮らしの問題では、貧困と格差の広がりについて、この問題を3つの角度から、私は、ただしました。

貧困と格差の実態をどう認識しているのか

 第一は、いまの貧困と格差の実態をいったい安倍首相はどう認識しているのかという問題です。いま広がっている貧困というのは、国民のみなさんの一部の方がたの問題ではありません。老いも若きも国民のあらゆる層をとらえて広がっており、国民だれもが、ちょっとしたきっかけで貧困に落ち込んでしまう。そういう危険のもとに暮らしている。お年寄りのなかの貧困も深刻です。若者の雇用も大変です。

 私は、先日の予算委員会で、未来を担う子どもたちの中に貧困が広がっているという問題を取り上げました。OECD(経済協力開発機構)という先進国の集まりがあるんですが、去年の7月に日本の経済についての報告書を出しました。その報告書の中で、日本では子どもたちの中に貧困が広がっている。修学旅行に行けない子たち、文房具がなかなか買えない子たち、給食費もなかなか払えないご家庭――こうした子どもの貧困が実に深刻だというレポートを出したんです。

 私は、国会で使ったパネル、ちょっと持ってきました。これはOECDの資料からつくったんですけども、とくに、母子家庭・1人親家庭の中での貧困がひどい状況です。これは各国のグラフになってますけど、一番左の赤い棒が日本の母子家庭の中の貧困の率です。57・9%とあります。アメリカが40・3%、カナダが27・7%、イギリスが20・6%、ドイツが15・3%、イタリア13・4%、フランス9・6%ですから、日本の母子家庭がどんなにたいへんな実態かというのは、このグラフひとつとってもハッキリします。

 この前、NHKは『ワーキングプア』――働く貧困層の生々しい実態についての特集番組を放映しました。なかでもとくに私の胸に突き刺さったのは、母子家庭で必死に働いているシングルマザーの話でした。

 2人の子どもを育てながら働いているわけですが、昼と夜と二つのパートを掛け持ちで働いています。最初は昼のパートだけでは、時給で650円程度しか入りません。そうしますと月に7万円しか収入がなくてとても暮らせない。そこで夜も働くようになりました。家に帰るのは真夜中の2時です。子どもたちと一緒にいられる時間は夕食の時だけです。睡眠時間は4時間から5時間。

 こういう生活を強いられているお母さんが、そのテレビの番組のなかでこう言いました。「あと10年がんばれば、自分の体がボロボロになっても子どもたちは巣立つ。だから頑張らねば」。

深刻な現実の認識なくしてどんな「対策」もむなしい

 私は、このお母さんの言葉を本会議でまずぶつけ、それでも答弁がないので予算委員会でもう一回ぶつけて、安倍総理にこう聞きました。「シングルマザーが我が身を犠牲にしなければ、ボロボロにならなければ子どもが育てられない。こんな社会がまともな社会と言えますか」(「いえません」の声)。「言えません」という声がありました(拍手)。普通の首相だったら、「志位さんのおっしゃる通りだ。これはまともな社会とは言えない。政治の責任でなんとかしなきゃいけない」というのが、当たり前の答弁ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 ところが私は、二度聞きましたけど、本会議でも予算委員会でも安倍首相は、こういう社会を「まともな社会ではない」とは決して言おうとしません。それどころか私は、このせっかくつくってあげた(笑い)、このグラフに、「OECDの報告書は根拠が不明だ」と言ってけちをつけました。これは本当におかしな話です。私は質問のなかでも反論しましたけど、OECDは何をもとに計算しているかというと、日本政府が提出した資料をもとに計算しているんです。だからこのグラフの根拠が不明ということになったら、自分がだした資料が不明と言うことになるんで、そんなこともわからない自らの不明を恥じるべきだと、私は思います(拍手)。

 私は、国際機関から「日本はおかしいですよ」と指摘されても、母子家庭の切実な実態を突きつけられても、心が痛まない総理でいいのか、日本で貧困が広がっている、これは何とかしなきゃいけないと口が裂けても言わないような総理でいいのか――本当にそう思いました。

 安倍内閣は、「再チャレンジ」とか何だとか言ってますけど、現実を見ようとせず、現実への認識がなければ、どんな対策もむなしい机上のプランに過ぎません(「その通り」の声)。総理失格だと、言わなければならないと思います。(拍手)

国の予算のあり方はこれでいいのか

 第二の角度は、そういう時に、国の予算はこれでいいのかという問題です。貧困と格差が広がったら予算が大切です。つまり税金と社会保障によって、所得の再分配をおこなうということが大切です。つまりお金持ちの方から、所得の低い方にお金を移す、そして格差をならすのが税金や社会保障の役目です。ところが日本の予算はそういう役割を果たしているでしょうか。

 OECDの報告書から、私はもう一枚パネルを作ったのですが、さらにショッキングな数字を提示しています。これは、税金と社会保障の所得の再分配で子どもの貧困率が増えているか、減っているかのグラフです。青い棒グラフは日本以外の国です。これらはみんな下の方にいっているでしょう。例えばアメリカだったら、4・9%貧困率が減っています。カナダは7・5%、ドイツは9・0%、イギリスは12・9%。フランスにいたっては20・4%貧困率を減らしているんです。

予算の異常な「逆立ち」をただせ

 税金や社会保障というのは貧困を減らして当たり前ですね。一番左のグラフを見て下さい。日本は上の方に棒グラフが出ているでしょ。日本は逆に1.4%、税と社会保障によって貧困が増えている国なんです。OECDの報告書を読みますと、加盟国の中で、税と社会保障で貧困が増えるのは日本だけだそうです。これは、所得の少ない子育て家庭に、どれだけ税金と社会保険料が重いか、負担が重いのにどれだけ給付が薄いのか。これを示しているグラフなんですね。これはまさに異常な「逆立ち」そのものと言わなければなりません。

 私は、これを見せて安倍首相に、「こんな税と社会保障でいいのか、これを根本からあらためる必要があるんじゃないですか」。こう言いましたら、首相は答弁に立てなくなって、かわりに柳沢さんという、あのとんでもない発言で有名になった厚生労働大臣が答弁に立ちました。

 さすがにこの数字は否定できません。しかしこういう言い方をしました。「仮にそうだとしても、この統計のあと貧困の改善が進んだのです」と言うんです。これは無理な話ですね。だってこの間、小泉政治がやってきたことは、貧困を拡大こそすれ、貧困が縮まったなんてどこにも事実はありません。

 この間、庶民には、定率減税を半減させ、さらに廃止しようという増税をかぶせてきました。母子家庭の児童扶養手当だってどんどん削ったあげく、来年には半分にしようとしています。最後に残った命綱である生活保護についても、お年寄りへの老齢加算を廃止し、母子加算も廃止しようとしています。

 こういう庶民を痛めつける政治の連続の一方で、大企業と大資産家には、来年度予算だけをとっても、1兆7千億円もの大減税の大判振る舞いでしょう。ですから予算が、お金持ちから所得の少ない方にお金が流れる方向ではなく、所得の少ない方から吸い上げて、お金持ちをもっと儲けさせる。完全に逆転している、この逆立ち予算をただせと言うのが、日本共産党の立場だと言うことを訴えたいのであります。(拍手)

人間らしく働くルール――最低賃金の抜本引上げを

 第三の角度は、人間らしい労働のルールをつくろうという問題です。いま日本に広がっている貧困や格差の根本には、人間らしい労働のルールがあまりに貧しいという問題があります。

 パート、派遣など、不安定な雇用のもとで働かされている方が、若い方、女性など、どんどん増えています。そういうなかで私たち日本共産党は、今度の国会で新しい問題提起をいたしました。それは、最低賃金制を抜本的に引き上げよという提起です。

 いまの日本の最低賃金というのは、全国一律ではなくて、都道府県ごとに決まっています。しかも水準がひどく低い。平均で時給673円です。みなさん、時給673円と言いますと、年間3000時間、1日12時間働いたとして、つまり過労死ラインを超える働き方をしたとして、やっと年収は200万円程度です。2人家族なら貧困ラインを割ってしまいます。この異常に低い最低賃金。過労死をえらぶのか、貧困をえらぶのか、選びようがないですね。どっちかを選べというほど低くすぎる最低賃金。これは見直す必要があるんじゃないのか。この問題提起を私たちはいたしました。

 これが3枚目のパネルです。これは、各国での平均的な所得に対する最低賃金の比率のグラフです。フランスやオランダやニュージーランド、イギリス、カナダと並んでいますが、だいたいヨーロッパの諸国は、5割を越えている国もあるし、低いところでも4割はいっていますね。一番右はアメリカで、悪かったんですが最近、ぐっと上げる計画を作りましたから4割をこえます。日本だけ、平均所得の32%です。文字通り最低賃金の水準。世界で一番最低の、最低賃金だと。これが日本の現実なんですね。

平均的所得の5割時給1千円を目標に

 私たちはこれを抜本的に引き上げる必要があると主張しています。国際的な標準で言いますと、社会全体の平均的所得の5割以下、この5割という水準が貧困ラインになります。最低賃金で仮に働いたとしても、貧困にならない社会を目指そうというのが、日本共産党の提案です。具体的には、平均給与の5割を超える最低賃金は当たり前じゃないか。時給換算にしますと1千円です。1千円ぐらいの最低賃金は、全国一律に保証して、そのうえで地域ごとの上乗せもやっていく。最低賃金で働いても貧困にならない社会、これを目指そうとしたら5割、1千円は当たり前の提案になると私は考えますが、いかがでしょうか。(拍手)

 私は、日本もそれを目標にしなさいと首相に言いましたら、首相は、「中小企業を圧迫するので非現実的だ」と言うんです。私は、安倍さんに中小企業のことを言われたくない。(笑い)だいたいどれだけ中小企業いじめをやってきたか、自分の胸に手を当ててよく考えて見てもらいたいものですよ。(「そうだ」の声、拍手)。

 みなさん、中小企業を圧迫するって言うのなら、たとえば大手の電機産業、自動車産業が、単価の買い叩きをやっている。あるいは規制緩和をどんどんやって、中小のタクシー業界はどこも大変で、タクシーの運転手さんの賃金は、最低賃金を割っていますよ。あるいは大型店舗を野放しにして地元商店街をこわし、まちこわしをやってきたのはだれなのか。私は、中小企業を圧迫するというのだったら、自民党がすすめてきたそういう中小企業いじめの政治こそあらためるべきではないかと言いたいのであります。(拍手)

 私は、この最低賃金1千円という提起と、中小企業いじめをやめさせて、中小企業を本格的に支援する政治を同時並行で進めたらいいではないか。同時並行に進めれば、大企業はもとより中小企業でも1千円という目標はできる。そして、国民の貧困や格差が土台から是正されていけば、経済だってよくなります。商売だって繁盛します。そのことによって、中小企業ももっと活気をもって発展することができる。日本経済も発展する。そういう展望をもって仕事をすることこそ、政治の責任だと考えるものであります。(拍手)

草の根で「命綱」としてがんばる党を

 貧困と格差の問題、3つの角度からお話しましたが、日本共産党は、全国どこでも主張しているだけでなくて、暮らしの問題で困ったときの「命綱」としての仕事をしっかりやっている政党です。

 NHKの『ワーキングプア』の番組見ていましたら、京都市内で空き缶を集めて生計を立てている老夫婦の生活が映し出されていました。回収で得たお金をカレンダーに書き込まれるシーンがあるんですね。よく見ましたら何と「しんぶん赤旗」のカレンダーでした。地域の「生活と健康を守る会」の方がたや共産党のみなさんが、相談にのっているというお話でした。

 私どもは、全国に2万3千の支部をもっています。2万3千といいますと、郵便局の数、小学校の数、保育所の数と、「郵便局、小学校、保育所、日本共産党支部」と私どもよく申しますが、それくらい津々浦々で暮らしを守りながらがんばっている政党が日本共産党です。そして貧困と格差を生み出す根源である予算の「逆立ち」、人間らしい労働の破壊、ここを根源から直していこうということを、大本から主張している日本共産党を、どうか大きく伸ばしていただきたい、そしてみんなの暮らしを、明日が希望ある暮らしにしていこうではありませんか。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

憲法9条は世界の流れの先駆をいく

 国の政治では、憲法と平和の問題も重大です。首相は、「21世紀の時代の大きな変化に憲法9条が合わなくなった」と言って、これを変えると言っています。しかし私は、「時代の大きな変化」に合わなくなったのは、憲法9条か、自民党政治か。これを世界の流れにてらして考えてみれば、答えは明りょうだと思います。

 イラクをみればはっきりしますね。国連の決議を無視してアメリカが勝手に侵略戦争を始め、占領支配を続けましたが、大破たんです。あの状況は、どんな超大国も軍事力では世界がもう動かせない時代になった、もめごとがおこったら国連憲章にもとづいて外交的・平和的に解決するのが当たり前の時代になった――世界の変化というのだったら、ここにこそ着目すべきではないでしょうか。

 その流れにてらしたら日本国憲法9条こそ時代のさきがけですし、時代の流れについていけなくなった絶滅寸前の恐竜のような存在が、自民党政治ではないでしょうか。(拍手)

9条はアジアの共有財産

 私は、昨年9月に初めて韓国を訪問し、政界の方、若いみなさんなど、さまざまな方がたと交流しました。どこでも共通して出された不安があるんです。それは「日本の右傾化は大丈夫ですか」「平和憲法は大丈夫ですか」、みんな心配しているんです。

 私は、そういう質問をされたときには、「たしかに危険な状況はあるけれど、大江健三郎さんたちをはじめ、著名人が呼びかけた『九条の会』が、6千近くに広がって大きな国民的うねりがおこっています。日本にも、平和と良識の声がうんと広がっているんですよ」。こういう話をしました。そうしますと相手からも、もっとがんばってほしいという声が返ってくるんですね。

 私は、ソウルの延世大学で、講演しました。そうしましたら若いみなさんからこんなたくさんの感想文がよせられました。

 「志位委員長の話を聞き、多くの部分で日本共産党の活動は韓国の声そっくりでした。私は、憲法9条を持っている日本がうらやましい。特別講義で日本共産党の党首が平和憲法は必ず守りますとキッパリおっしゃったとき、のどが渇いた鹿が井戸に出会ったように、私の身体の中から感激がおこりました。世界平和の追求を念願するひとりの人間として、日本の平和憲法守護運動に賛同します」。こういううれしい感想が寄せられたことも紹介いたします。(拍手)

 これは、中国に行きましても、韓国に行きましても、アジアのどの国に行きましても、憲法9条についてはわがことのように心配しているんですね。やはり9条というのは、日本の国の宝だけではありません。アジアの犠牲のうえにつくったものですから、アジアの共有財産であって、これを守りぬくことは私たちのアジアの国に対する責任だと心得て、日本共産党はがんばりぬきたい。その決意を申し上げたいと思います。(大きな拍手)

いまこそたしかな野党が必要です

 さてみなさん、国政では格差と貧困、そして憲法と平和の問題、どちらも日本共産党がまさに自民党とがっぷり四つに組んでがんばっている。

 民主党は、両方の問題で、まともな立場をとれません。

 憲法の問題では、9条を変えて「海外で戦争する国をつくる」という点では、自民党と少しも変わりがありません。

 民主党は、今度の国会を「格差をただす国会」だと言っていますけれども、私は、自分たちのしてきたことを忘れたのかなと言わざるをえないのであります。

格差社会広げた自民・民主

 「構造改革をもっとやれ」と旗振りをやってきた党は、いったいどの党だったでしょうか。たとえば、派遣労働を一般業務に拡大したとき、これに民主党も賛成しました。母子家庭への児童扶養手当の半減も、民主党は賛成したんです。「介護難民」を作り出している介護保険法の改悪のときも賛成した。国保証を取り上げる国保法改悪の時にもこれに賛成した。大型店野放しの大店法廃止の時にも賛成した。大企業減税にも賛成です。消費税の値上げを迫ってきた。格差社会と貧困を、自民党と手に手を取って一緒になって作ってきたのが民主党ではないかと(「そうだ」の声)、私はそう言わざるをえないのです。(大きな拍手)

 ですから、いま問われている国政の問題で、憲法の問題でも、貧困と格差の問題でも、自民党と民主党はどっちかが「よりまし」な政党だとは言えません。たしかな野党、日本共産党がいまこそ必要だということを、私は訴えたい。この党が伸びるかどうかが、今度の選挙戦の最大の争点だと言うことを訴えたいし、この党が伸びてこそ日本の政治はよくなるということを、私は心から訴えたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

地方政治の争点――自民・公明・民主の「オール与党」か、日本共産党か

 さて、地方政治の問題です。地方政治においては、自民党と民主党の違いはいよいよなくなってまいります。京都の府議会でも、京都市議会でも、日本共産党以外の政党、自民・公明・民主は、すべて与党です。ですから、今度のいっせい地方選挙というのは、争点は簡単明りょうで、自民・公明・民主の「オール与党」を選ぶのか、日本共産党を選ぶのか――これが争点です。ぜひみなさん、「二つのモノサシ」で選んでほしいと思います。

第一のモノサシ 「福祉の心」をもつ政党は

 第一のモノサシは、「福祉の心」を持つ政党はどの党かということです。

 かつて蜷川(虎三元府知事)さんは、素晴らしい言葉をたくさん残していますが、「暮らしを守ることが地方自治の根本」。深い含蓄のある言葉を残しました。蜷川さんは、「府民の一人でも自殺者を出してはならない。もしどうしても死ぬようなことがあったら、それはちょっと思いとどまって、私に相談して下さい」、こういう言葉を残しています。自治体というのは、「住民福祉の機関」です。国が悪い政治をやったら、この悪い政治から住民の暮らしを守ってこそ自治体と言えます。

国保料値上げと国保証取り上げ

 ところが、京都府政と京都市政はどうでしょう。昨年六月、定率減税が半減され、お年寄りへの増税が行われ、連動して国保料、介護保険料の値上げがされて「雪だるま負担増」というのが起こりました。「住民税が数倍から十倍になった」と、怒りは沸騰しました。今年は、その定率減税を廃止してしまって、二度目の「雪だるま負担増」をかぶせようとしています。その時に、「オール与党」の府政・京都市政はいったい何をやっているのか。

 たとえば、国保料の値上げと保険証の取り上げというのは、実にひどいものです。京都市は、国保料を所得の低い人ほど重い負担の仕組みに変えてしまいました。国が大増税をかぶせているときに、追い打ちをかける国保料の値上げをやりました。その結果、年金月20万円の夫婦2人世帯で、国保料は2004年の7万6千円から、今年は何と18万円になります。そして払いきれない世帯からは、保険証を取り上げて資格証明書というものに置き換えます。京都府では4415世帯、うち京都市内で3967世帯が資格証明書に置き換えられました。

高すぎる国保料値下げ・国保証取り上げ中止を

 驚くことに京都府は、2001年、保険証の取り上げのための「通達」までだして、そのために取り上げは倍増しました。

 この保険証の取り上げというのは、国が号令までかけてはじめたものです。全国では、32万世帯が保険証を取り上げられました。手遅れで亡くなった方が、朝日新聞などの調べで21件。これは氷山の一角です。

 みなさん。国保料を払いきれないほど高くして、払えなくなった人から保険証を取り上げて、資格証明書に置き換える。資格証明書になったら、お医者さんの窓口で10割全額を負担しなければなりません。こんなことが、この日本で許されるのかと私は思います。

 だいたいみなさん、国保料の滞納の方というのは、ほとんどが払いたくても払えない方でしょう。そういう方に対して、お医者さんに行くときに、窓口で10割全額を払いなさいというのは、「医者に行くな、命を捨てろ」というのにひとしい政治であって、私は、絶対にこういうやり方を横行させてはならないと考えるものであります。(「その通り」の声、大きな拍手)

 取り上げの号令をかけたのは、国の責任です。しかし自治体の姿勢も問われるんです。現に、国保証の取り上げだけはやってはならないということで、ほとんど取り上げをやっていない自治体もあります。「通達」まで出して、国いいなりに号令をかけている「オール与党」の府市政は恥を知るべきだ、と私は思います。日本共産党を伸ばして、高すぎる国保料を値下げさせ、取り上げはやめさせようではありませんか。(大きな拍手)

生活保護の切り捨て――自治体でおいうちが

 生活保護の問題も、私こちらにうかがって、ここまでやるかというひどい話を聞きました。

 いま、国では、生活保護の老齢加算を廃止し、母子加算まで廃止しようとしています。そのときに、京都市は生活保護世帯への夏季・歳末見舞金を廃止してしまいました。そうしましたら、京都府も続けて全府的にこれを廃止してしまいました。この見舞金というのは、年に1万4千7百円(高齢者の一人世帯の場合)、「夏と冬、季節的な資金需要が見込まれる時期に福祉の増進を図るため」ということで出ていたお金です。冬になれば暖房やいろいろな季節の特有の出費もかかる。ですから、わずかだけれども、心ばかりのものとして出ていた。ここまで断ち切った。

断罪された生保行政

 この間、京都では、生活保護の申請を役所が窓口で拒否する動きも強まっていると聞きました。

 昨年、重い認知症のお母さんの介護のために仕事を辞めざるを得なくなり、生活保護の申請を出したけども拒否されて、母子心中を図って罪に問われた男性の痛ましい事件が報じられました。三回、役所に足を運んだけども、相談に乗ってもらえず、疲労困憊して事件が起こりました。

 京都地裁で裁判長は「裁かれているのは承諾殺人だけではない。日本の介護制度や行政、とりわけ生活保護のありかたが問われている」とのべました。このきびしい指摘を府や市は重く受け止めるべきではないでしょうか。

 憲法25条で保障している国民の生存権を最後のぎりぎりで保障している制度が生活保護です。国はそこまで手をつけようとしている。そのときに自治体が追い打ちをかけるのでは、何のための自治体か。自治体こそこういうときに、暮らしを守る防波堤となって頑張らねばならない。その仕事を日本共産党は、頑張ってやっていきたいと、みなさんにお約束するものであります。(拍手)

住民の運動と力あわせ多くの成果

 みなさん、日本共産党は京都で地方議員の数が多いんですね。京都府のすべての地方議員の定数は672。共産党の現有議席は134です。なんと占有率19.9%。これは全国1です。5人に1人は共産党の地方議員です。私は国会にいまして、国会議員の5人に1人が共産党だったら(笑い)、どんなにいいかな、早くそういう時代をつくりたいなと思います。 それだけの力を京都は持っている。ですからこの京都で、「オール与党」の府政・市政はひどくても、共産党が草の根の運動との共同で頑張れば、暮らしをよくするいろんな成果を上げている。これが特徴だと思います。

「ほんまもん」のモチに――子どもの医療費無料化が拡充

 たとえば、子どもの医療費の助成が拡充されて、入院は小学校卒業までの制度に、通院は就学前までの自己負担が、8千円から3千円に引き下げられると聞きました。

 私は、思い出すんですが、1998年の知事選で、この問題が争点になって、円山音楽堂で演説しました。当時は、通院でも0歳と1歳だけしかこの制度がありませんでした。民主府政の会の候補者は、「就学前まで無料に」を掲げました。相手陣営は中傷ビラを出して、「絵に描いたモチは食べられない」と言いました。しかし署名が草の根から広がり、みなさんが繰り返し請願を議会に届け、「オール与党」は請願に繰り返し反対したけど、ついに拡充が実現して、「絵に描いたモチ」どころか、「ほんまもん」のおモチに立派になったではありませんか(拍手)。さらに共産党をのばして、通院も小学校卒業まで引き上げさせようではありませんか。(拍手)

 それから京都で全国初の成果だと知って、すごいなと思ったのは、青年の雇用問題の解決に向けての施策です。あの円山青年一揆など若いみなさんが頑張ってたたかって、府の企業立地育成条例に正規雇用の拡大を盛り込んで、誘致企業が正規社員を雇用すれば1人あたり40万円出すという、正規雇用促進策を全国で初めてこの京都でつくるということです。京都は若いみなさんの頑張りはすごいですね。みんなで拍手したいと思います。(大きな拍手)

 野党でもたくさんの仕事ができます。自公民は与党だけど、まともな仕事は何もできません。「オール与党」にないのはお金じゃありません。心がない。「福祉の心」がない。日本共産党は「福祉の心」をたっぷりもっています。府民のみなさんと力をあわせ、この心をもって、府民の暮らしの防波堤となって頑張りたい。どうかこの党を大きくしていただきたい。心からお願いいたします。(大きな拍手)

第二のモノサシ 税金のむだづかい――4つの法則

 第二のモノサシは、税金のむだづかい、不正・腐敗をただせる党ははどの党か。

 「オール与党」の自治体というのは、府民の暮らしには冷たいけど、大型開発のむだづかいにはケタ違いのお金を流し込む。この種のむだづかいには、私は、全国を歩いていて共通して感じますが、いくつか共通の法則がございます。

“水ぶくれの法則”

 第一は、“水ぶくれの法則”。最初の予定より際限なく事業費が膨らんでいくんです。京都市内に引き入れる高速道路の計画。2000年の市長選挙で「オール与党」陣営は、「使うのは90億円」と言いましたね。ところがそれがどんどんどんふくらんで、いまや6百億円以上。7倍になっちゃってんですから。サラ金より怖いですよ(笑い)。この京都破壊の浪費道路への支出は、いまからでもストップさせるべきだと強く主張したいと思います。(拍手)

“目的不明の法則”

 第二の法則は、“目的不明の法則”。目的がわからないんです。口丹地域、京丹波町に建設予定の畑川ダムというのがあるそうです。77億円つかってつくると言うんですね。人口が増えて水の需要が増えるためにダムが必要だというふれこみですが、残念ながらこの地域は人口が減っている地域です。ところがダムの開発地域だけは10年間で6千人人口が増える計算だそうです。それは、「ダムを造って水を給水すれば住む人が増える可能性がある」と(笑い)。水ほしさにそこに住む人がいるとは、どうしても思えません。その根拠をただした共産党議員の追及に、当局は答弁不能になりました。こういうダムも必要はありません。

“採算見通しなしの法則”

 3つ目は、“採算見通しなしの法則”。これはどこでも共通しています。舞鶴市に建設の和田ふ頭、496億円つかう事業ですが、すでに99年に運輸省から「最小限度にしたほうがいい」と言われていたのに、まだ建設計画にしがみついています。

 昨年2月の府議会の議事録を読んでみましたら、おもしろいやりとりがあるんですよ。地元の自民党府議会議員が、ぼやいてこんなことを言っているんです。「投資した費用を回収できる外国貿易をやるのは非常にしんどい」「何か明るい展望があったら教えてほしい」。教えてあげます。これはキッパリやめればいい(笑い、拍手)。

 こういうむだづかいを「みんなで渡れば怖くない」と、これは第4の法則ですけど、やっているのが「オール与党」。この罪は本当に深いと思います。

むだをただす日本共産党

 日本共産党は税金のむだづかいという点でも、本当にそれをただせる唯一の党です。この間の成果を見ても、城陽のサッカースタジアム、南丹ダム、丹後リゾート計画、府の事業を縮小・廃止したものだけで1千5百億円にのぼります。京都府知事から感謝状をもらったっていいくらい大活躍しているのが共産党府議団じゃありませんか。(拍手)

「解同」タブーと対決

 それから「解同」(部落解放同盟)のための不公正な同和行政に、真っ向から切り込んできたのも日本共産党ならではの活躍であります。

 「解同」の不正はいよいよ全国的に、弔鐘の鐘が鳴っています。おとなりの大阪府では、飛鳥会事件というのが大問題になっています。「解同」の飛鳥会の支部長が、横領をやっていた。横領をやったお金で自分の棺桶を5百万円出して買っていた。そういうことがつぎつぎあばかれて、大阪でももうノックアウトです。

 京都でも「解同」の問題については、同和地区の奨学金の返済を京都市が肩代わりして、今後22年間に40億円を超える支出をやるということが大問題になっています。

 このときに、民主、公明両党は、府議でも京都市議でも「解同」推薦の議員がいます。しかも今回の市議会議員選挙で民主党は、「解同」の現役幹部を公認候補として出している。まったく時代に逆行します。

 みなさん、「解同」タブーは共産党の奮闘によって、全国的にいよいよ打ち破られようとしています。不公正な同和行政は、きっぱり完全終結させようではありませんか。(拍手)

韓国、パキスタン、ベトナム訪問――日本共産党84年の歴史の重み

 最後にみなさん、私はこの間、韓国、パキスタン、ベトナムの3つの国を訪問してきました。それぞれの国に、それぞれの特徴があるんですけど、共通して感じたのは、日本共産党の84年の歴史のもつ重みであります。

韓国――侵略戦争・植民地支配とたたかった党に信頼

 韓国には去年の9月に訪問しましたが、あの植民地支配に命がけで反対を貫いた政党ということが、友好の土台になりました。私は、ソウルに行って、真っ先に西大門(ソデムン)刑務所という、かつて日本帝国主義が、朝鮮の愛国者を投獄し、拷問し、死刑にした刑務所の跡を訪問し、愛国者たちに追悼の献花をしました。

 メディアに囲まれて、「なぜここを最初に訪問されたのですか」と聞かれて、私は、「日本共産党は1922年に党をつくって以来、侵略戦争と植民地支配に反対し、朝鮮独立の闘争に連帯してたたかった歴史をもっています。それを私たちは誇りに思っています。そういう党を代表して、朝鮮の愛国者に哀悼と敬意を捧げるためにここに来ました。そして日韓の本当の21世紀の友好を願って、ここに来ました」とのべました。

 私は、そうのべながら、そういうことを韓国で言える政党の一員であることに、大きな誇りを感じたものであります。(拍手)

 この私の訪問は、韓国中のテレビに流されました。 つぎの日に、林采正(イム・チェジョン)国会議長と会談しましたら、真っ先に「韓国国民を代表して、訪問されたことに感謝します」。こう言われて胸が一杯になりました。

パキスタン――自主独立への共感

 つぎに私は、パキスタンを訪問しました。パキスタンでは、旧ソ連のアフガン侵略に反対を貫いた自主独立の党――これが一番の信頼の源になりました。

 パキスタンの隣はアフガニスタンです。旧ソ連がアフガニスタンに攻め込んだときに、銃と難民と麻薬が流れ込んで、たいへんな被害にあいました。ですから、「旧ソ連の横暴に反対した共産党が日本にある」。そこから友好が始まったんです。

 むこうに行きまして、スムロさんという上院議長に会いました。自己紹介しようとしましたら、相手の方から、さらさらと日本共産党のことが出てくるんです。「日本共産党について私は研究しました。1922年に党を創立して以来、戦前の困難な時期、戦後の党内部分裂の時期をくぐり抜け、2つの大きな共産党の干渉にもかかわらず、自主独立を維持してきました。チェコ・アフガン侵略に反対し、自分の頭で考え、みずからの路線を定めてきた政党だということをよく知っています。私は、あなたの党に最大の敬意をもっています」。こう言われますと、自己紹介の必要がなくなってしまいました。ここでもやっぱり歴史が生きました。

ベトナム――侵略戦争反対の連帯

 私は、この1月にベトナムを初めて訪問しました。ベトナムでは、アメリカによる侵略戦争に反対してたたかった、日本国民の連帯のたたかいを、まだ生なましくみんなが覚えてくれているんです。どの会談でも、そのことへの感謝から始まるんです。ベトナム共産党の書記長のマインさんとの会談、あるいは若い方がたとの交流でも、「あのときの日本人民の連帯は忘れない」、そこから始まりました。

 私は、ハノイ大学で3百人の若い方がたを前に講演と質疑をやりました。「私はちょうど52歳だけど、私らの世代の日本共産党員にとっては、ベトナムというのは青春なんです」と言いました。「若いころ『自由ベトナム行進曲』をみんなで歌ったものでした」と言いました。不覚にも、「今でも歌詞を全部暗唱しています」と言ってしまったら、若いみなさんは「じゃあいま歌ってください」ということになりまして、一節を歌ったら、盛大な手拍子が起こった。若い方も知っている歌なんですね。みんなが誇りにしている。それが、熱い連帯の絆になりました。

 私は、ホーチミン市も訪ねて、郊外にあるクチというところのトンネルのたたかいの跡を訪れました。南ベトナム解放民族戦線がたたかった跡です。米軍は枯れ葉剤をまきました。クチにあった緑を根絶やしにして、クチを死の地に変えようとしました。しかしクチは死ななかった。解放民族戦線は小さなシャベルでトンネルを掘って、250キロものトンネル網を地下に張り巡らせ、地下にもぐってたたかったんです。

 私は、「水はどうしたんですか」と聞きました。そうしましたら案内してくれた人が、「地下のトンネルのまた地下に井戸を掘って飲みました」。「食料は」とまた聞きました。「農民が運んでくれました」。「武器はどうしてたんですか」。「米軍から奪いました」「アメリカ軍がこないと困りました」と言っていました。

 1万8千人の兵士のうち、1万2千人が命を落としたとも聞きました。私が、「ベトナム人民の英雄的なたたかいに、心からの敬意を申し上げたい」と申しましたら、案内してくれた元兵士の方が、私にこう言いました。「同志たちも同じ立場だったら、同じようにたたかったでしょう」。これは私たち日本共産党にたいする最大限の信頼の言葉ではないでしょうか。(拍手)

84年の歴史に確信もち 「日本の夜明けを京都から」

 みなさん、日本共産党の84年の歴史というのは、一言で言えば苦難の歴史です。京都でも山宣(山本宣治・元労農党代議士)の時代以来、苦難の歴史をたたかって、強い党を築くためのたたかいの連続でしょう。しかし、大義に立ったたたかいは、必ず未来に生きるということを、私は韓国でもパキスタンでもベトナムでも感じて帰ってまいりました。

 この党の歴史に確信をもち、2つの選挙戦での日本共産党の連続勝利を、党の歴史に刻もうじゃありませんか。「日本の夜明けは京都から」という素晴らしいスローガンを、文字通り実現する素晴らしい結果を、連続選挙で出していただきたい。そのことを最後に重ねて訴えて、私の訴えを終わらせていただきます。ありがとうございました。(大きな拍手)

2007年2月21日付京都府日本共産党後援会ニュース(会員用資料)に掲載。