2007年1月14日(日)「しんぶん赤旗」

ハノイでの志位委員長会見(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が十二日、ハノイで行った記者会見冒頭の発言の大要を紹介します。

 ホーチミン市の日程が続きますが、ハノイでの日程がおわった段階で、いくつかのことをのべさせていただきます。

一連の会談をつうじて両党関係の新しい発展・強化が確認された

 私たちの今回のベトナム訪問の目的は、抗米救国戦争いらい四十一年間にわたる日本共産党とベトナムの共産党の友好と連帯の関係を、二十一世紀の今日にふさわしい形で発展させることにあります。抗米救国戦争の時期におけるベトナムとの友好と連帯は、アメリカによる侵略戦争に反対することが中心的課題でした。今日において、新しい形態での連帯と友好の関係を発展させたいと願ってこちらを訪問しました。

 この目的にかかわって、一昨日(十日)と昨日(十一日)おこなわれたノン・ドク・マイン書記長、グエン・タン・ズン首相、ファム・クアン・ギ・ハノイ市党委員長(政治局員)、ドー・ホワイ・ナム社会科学院院長などとの一連の会談で、両党関係の新しい発展・強化が確認されたことを、たいへんうれしく思います。

世界とアジアの平和のための協力の発展を

 その中身の一つは、世界とアジアの平和のために協力することです。

 私は、マイン書記長との会談で、国連憲章にもとづく平和秩序を擁護すること、イラクからの米軍のすみやかな撤退をもとめること、北朝鮮問題の解決の基本的な立場、地球的規模での核兵器廃絶の問題など、さまざまな分野で意見の一致をみました。

 ベトナム侵略戦争時代は、反帝国主義ということが連帯のスローガンでした。今日ではさらに広い国々、人々を結集しうるスローガンで両党は協力することができます。それは国連憲章にもとづく平和秩序を擁護し、いかなる国によるものであれそれに背く覇権主義を許さないということです。この点で両党の見解は、完全に一致していると思います。

理論交流――長期的展望にたってすすめたい

 いま一つは、理論交流です。

 ベトナムは「社会主義志向の市場経済」の道を、探求・実践している国です。日本共産党にとっては、社会主義・共産主義の問題は、未来の問題であり、理論的探求の課題です。また社会主義とは何よりも資本主義批判からうまれた思想であり、日本共産党は高度に発達した資本主義国でたたかっている党です。そうした両党が理論交流をおこなうことは、お互いの認識の発展にとって意義あるものと考えます。

 今回の訪問では、ナム社会科学院院長との約三時間の会談が理論問題にあてられました。しかし、もちろんこれは三時間ですむ問題ではありません。マイン書記長との会談で、両党間で相互に代表団を交換しあい、理論交流をすすめる合意をえたことは、重要な意味をもつものであり、長期的展望にたってこれをすすめたいと考えます。

日本共産党とベトナム政府との公式の関係――両国の友好関係をさらに豊かに

 さらに、今回の訪問によって、日本共産党とベトナム政府との公式の関係がつくられたということも、重要だと考えています。

 この点で、昨日のズン首相との会談は有益で意義あるものでした。この会談において、私とズン首相は、いま日本政府とベトナム政府の間は良好な関係にありますが、日本共産党とベトナムとの友好と交流を発展させることは、両国、両国民の友好関係を、さらに豊かにすることに寄与するものとなるという意見の一致をみました。

ドイモイのとりくみへの感想と期待について

 私たちは、ドイモイの実態についても視察をおこなっています。明日からはさらにホーチミン市で視察が予定されています。私たちは、現場でそれにとりくむみなさんとも意見交換をおこないました。ベトナムでは、いま、社会主義をめざす真剣で真摯(しんし)な模索と探求が、実践と理論の両面でおこなわれているというのが、私の印象です。

 本日(十二日)、私は、ハノイ大学で、若い学生のみなさん約三百人を前にして講演する機会を得ました。自由な質疑応答もおこないました。若いみなさんの瞳が、たいへんに生き生きと輝いており、ベトナムの未来は前途洋々だという印象をもちました。

 いまベトナムが歩んでいる道、すなわち、「市場経済を通じて社会主義へ」という道は、だれも最後まで歩きとおしたことのない、前人未到の道です。同時にこれは、わが党の綱領にも未来社会にむかう道として明記されているものであり、人類にとって普遍性をもつ道だと、私たちは考えています。前途には困難や試練もあると思いますが、ベトナムのみなさんが、抗米救国戦争で発揮した勇気と英知を発揮して、この事業を成功させることを、私は心から期待しています。