2006年11月6日(月)「しんぶん赤旗」

“政治の流れの変化”と日本共産党

第39回赤旗まつり 志位委員長の記念演説(大要)


 第三十九回赤旗まつり二日目(四日)、志位和夫委員長がおこなった記念演説(大要)は次の通りです。


写真

(写真)記念演説をする志位和夫委員長=4日、東京都江東区の夢の島公園

自民党政治の3つの異常が矛盾を深め、“政治の流れの希望ある変化”が

 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。日本共産党の志位和夫でございます。「赤旗まつり」にようこそおいでくださいました(拍手)。海外から参加された来賓のみなさん、在日大使館から参加された大使・外交官のみなさんにも、心からの感謝と歓迎の気持ちを申し上げたいと思います。(拍手)

 私たちは、「赤旗まつり」の記念演説で、その時々の日本と世界の大きな進路とのかかわりで、日本共産党の役割についてお話しすることを恒例にしてきました。今日は、「“政治の流れの変化”と日本共産党」というテーマで話したいと思います。

 日本共産党は、今年一月に開いた第二十四回党大会で、自民党政治のつぎの三つの異常な特質を、おおもとからただす改革をすすめようという立場を明らかにし、奮闘してきました。

 第一は、過去の侵略戦争を正当化する異常。

 第二は、アメリカいいなり政治の異常。

 第三は、極端な大企業中心主義の異常であります。

 小泉内閣から安倍内閣にかわって、それぞれがどうなったでしょうか。

 私は、三つの異常のどの問題でも、自民党政治がいよいよ矛盾とゆきづまりを深め、複雑さをはらみながらも、“政治の流れの希望ある変化”が起こっていると考えています(拍手)。そして、私たち日本共産党の奮闘が、どの問題でも、情勢を前向きに動かす力となって働いております。

 今日は、この話をいろいろな角度からさせていただきたいと思いますので、どうか最後までよろしくお願いいたします。(拍手)

侵略戦争正当化の異常――逆流の根をたつまで力をつくす

 第一は、過去の侵略戦争を正当化する異常についてです。

 小泉前首相は、靖国神社への連続参拝を続けることで、アジア外交を八方ふさがりに追い込みました。安倍新首相が、これをただすかどうかが厳しく問われました。

安倍首相の歴史認識をめぐる論戦の到達点について

 安倍首相の歴史問題についてのこれまでの言動には、たいへん大きな問題点がありました。

 安倍さんは、一九九五年に、終戦五十周年にあたっての国会決議が問題になったさい、日本の過去の戦争は「自存自衛とアジアの平和」のための「正義の戦争」だったという立場で行動してきました。また、安倍さんは、一九九七年の国会質疑で、「従軍慰安婦」問題での旧日本軍の関与と強制を認めた一九九三年の「河野官房長官談話」にたいして、「根拠は崩れた」と批判し、歴史教科書から「従軍慰安婦」の記述を削除せよと求めてきました。

 私は、十月三日の代表質問と六日の予算委員会の質疑で、安倍首相のこれまでの個人的な歴史観がどのようなものであれ、首相になった以上は、それを上において、アジア外交に政治的障害を持ち込むことがあってはならないという立場で、その認識をただしました。

 その結果、安倍首相は、政府の方針としても、首相個人の認識としても、日本の「植民地支配と侵略」を「国策の誤り」として反省を明らかにした一九九五年の「村山首相談話」、「従軍慰安婦」問題での「河野談話」を認めるにいたりました。安倍首相の本心がどうであれ、国会の場でこうした言明を公式にした以上は、それを行動でも示す責任があるということを、強調したいと思います。(拍手)

 私は、予算委員会での歴史問題の質疑の最後に、首相につぎのように求めました。

 「安倍首相も中国、韓国を歴訪されるとうかがいました。ぜひいいたいことがあります。政治家としての謙虚さというのは、日本が国家として犯した誤りに口をぬぐうことではありません。アジアと日本国民に甚大な犠牲を与えた侵略戦争と植民地支配という歴史の真実に向き合うことです。特に相手の国に与えた痛みの深さを理解することが大切です。ぜひあなたにそういう立場に立ってほしい、ということを強くのべておきたいと思います」

日本共産党のとりくみが、情勢を一歩前に進める結果につながった

 つづいて、十月八日から九日、日中首脳会談と日韓首脳会談がおこなわれました。日本の首相が訪中して首脳会談がおこなわれたのは実に五年ぶりのことになりましたが、日中首脳会談では「歴史を直視し」、「共通の戦略的利益に立脚した互恵関係の構築に努力」することが確認されました。これまでは、首脳会談すら開けないほど日中関係は悪化していました。それが、ともかくも首脳会談を再開し、日中両国政府間で「戦略的互恵関係」を確認したことは、一つの新しい局面が開かれたということになります。

 ですから私は談話で、日中首脳会談の結果を「歓迎する」とのべ、「これが、日中両国政府間、国民間の友好関係を前進させる転機となることを期待します」とのべました。日中両国関係が、大局的にみて、前に向けて一歩を踏み出したときは、それがだれによるものであれ、前向きに評価することは、当たり前のことです。

 わが党は、侵略戦争を正当化する逆流とのたたかいを、世界とアジアのなかで日本が生きていく基本にかかわる問題として重視し、その克服のために力を尽くしてきました。昨年五月に、不破議長(当時)は、時局報告会で「日本外交のゆきづまりをどう打開するか」という講演をおこないました。わが党は、これに続けて、国会論戦でも、「しんぶん赤旗」においても、首相の靖国参拝のどこが問題か――この行為が、過去の日本の侵略戦争を、「アジア解放、自存自衛の正しい戦争」と賛美する靖国神社の立場に、政府の公式の認知を与えることになるという問題の核心を、繰り返し明らかにしてきました。

 この一年半のわが党のとりくみが、国内の世論を動かし、海を越えてアジアやアメリカの世論とも響きあい、情勢を一歩前に進める結果につながったと、私は考えるものであります。(拍手)

歴史をゆがめる逆流とのたたかいは、ひきつづき国政の重要課題

 同時に、日中首脳会談は、歴史問題の解決の出発点となりましたが、問題が解決されたわけではありません。

 「靖国」派からは、首相の態度にたいして、戸惑いと、動揺と、落胆の声が、悔しさと入りまじって聞こえてきます。

 「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を務めた八木秀次高崎経済大学教授は、安倍首相の歴史問題での発言の変化について、こういいました。「戸惑っている。……事情を説明して欲しい。その説明がなければ、これまでのコアな支持層は首相に対して最も厳しい批判勢力に転ずる可能性がある」。「靖国」派の歯ぎしりが(笑い)、聞こえてくるではありませんか。

 十月十八日、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は、靖国神社への集団参拝をおこないました。自民党、民主党などの衆参の国会議員八十四人が参加し、首相補佐官・副大臣も参拝の列に加わりました。いまだに懲りない人たちがいるんですね。(笑い)

 侵略戦争を正当化する異常な潮流は、なお根深く存在します。三つの異常が、二つになったわけではありません。この逆流を克服するたたかいは、ひきつづき国政の重大な課題であることを訴えたいのであります。(拍手)

 安倍首相も、今後の言動が問われてきます。首相は、靖国参拝について、「参拝するともしないともいわない」という、「あいまい」戦略を取っています。しかし、「村山談話」を認めた以上、それを行動で裏切ることをすべきではありません(「そうだ」の声、拍手)。アジア諸国との友好関係に、ふたたび政治的障害を持ちこむ靖国参拝は、絶対に繰り返すべきではありません。(大きな拍手)

 さらに、「河野談話」を認めた以上、この「談話」でのべた国際公約――「従軍慰安婦」問題の真実を歴史教育などを通じて未来の世代に伝えるという公約を、誠実に果たすべきであります。(「その通り」の声、拍手)

 日中首脳会談では、「日中有識者による歴史共同研究を年内に開始する」ことを確認しています。私は、予算委員会で、過去の日本の戦争が、領土拡張をめざした侵略戦争であることを示す日本側の公式の外交文書を示して、首相の見解をただしましたが、首相の答弁は、「歴史家の判断にゆだねる」というものでした。

 しかし、過去に日本政府が「国策」として決定しすすめた戦争についての判断を、日本政府の責任者がいつまでも「歴史家の判断にまかせる」という態度をとりつづけることは許されるものではありません。(拍手)

 日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に不屈に反対してたたかった歴史をもつ党として、歴史の真実をゆがめる逆流の根をたつまで力をつくす決意を申し上げたいと思います。(大きな拍手)

アメリカいいなり政治の異常――「海外で戦争する国」づくりは世界の流れに逆らう

安倍首相があからさまに宣言した憲法改定の野望

 第二に、アメリカいいなり政治の異常についてです。

 安倍首相は、アメリカの要求にこたえて憲法を変えることについては、小泉前首相以上に危険な姿をうきぼりにしています。

 首相は、十月三十一日、アメリカのCNNテレビなどのインタビューにこたえて、「自民党総裁としての任期は三年で、二期までしか務められない。任期中に憲法改正を目指したい」と明言しました。自分の任期中に憲法を変えると宣言した首相は、史上初めてであります。

 何のために憲法を変えるのか。安倍首相は、最近の著書のなかで、「軍事同盟というのは“血の同盟”です。……しかし今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはない」とのべて、集団的自衛権の行使に踏み出すことを主張しています。

 アメリカとともに「血を流す」――「海外で戦争をする国」をつくることが、憲法改定の目標だということを、こんなにあけすけに語った首相はいません。

 しかしいま、そんな方向に日本を導くことが、いま世界で起こっている流れにどんなに逆らうものか。私は、いま世界の平和秩序にかかわって起こっている、つぎの二つの動きをしっかりと見ることが、たいへん重要だと思います。

イラク戦争――アメリカの一国覇権主義が無残な大破たんをとげつつある

 一つは、アメリカの一国覇権主義が、無残な大破たんをとげつつあることです。無法なイラク戦争が、いまどんな深刻な事態をひき起こしているか。米軍の侵略と戦争が、テロと暴力をひろげ、宗派間の対立と衝突を呼び起こし、イラクはいま内戦の瀬戸際にあります。

 いったいこの戦争で、どれだけの人が亡くなったのか。イギリスの有力医学誌『ランセット』が、米軍侵攻後のイラク市民の死者が六十五万人に達すると発表したことは、世界中に大きな衝撃をあたえています。米兵の死者は二千八百人を超えました。

 こうしたもとで、この九月、アメリカの中央情報局(CIA)など十六の情報機関が、一部発表した報告では、「イラク戦争は、より多くのテロリストを生み、米国と世界をより危険にした」と結論づけました。これは、「テロへの対抗」という最後に残った戦争合理化論すら成り立たないことを、みずから認めたものにほかなりません。

 イラクの事態は、国連憲章を無視した無法な戦争は必ず歴史によって裁かれる、軍事力にのみ依拠した「国際秩序」など決してつくれるものではないという、国際社会の批判、私たちの批判が、正しかったことを証明しているのではないでしょうか。(拍手)

 ところが、安倍首相は、国会での答弁で、イラク戦争を支持したことは「正しい決定」だったと、いまだにこの戦争を正当化しています。戦争を主導した米英の首脳でさえ誤りを認め、謝罪発言をしている。当人たちでさえ「痛み」を感じているのに、安倍首相にはひとかけらの痛みもない。この異様というほかない鈍感さ。ここが怖いところではないでしょうか。

 そして、イラク戦争に象徴されるように、アメリカの一国覇権主義が大破たんをとげているもとで、そういうアメリカの軍事戦略につきしたがって「海外で戦争をする国」をつくるために憲法を変えるということが、どんなに世界の流れに逆行するものであるかは、明りょうではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

国連憲章にもとづく紛争の平和解決が当たり前の流れに――北朝鮮問題でも

 いま一つ、世界を見るうえで重要なことがあります。それは、国際的な紛争問題が起こったら、国連を中心に、国連憲章にもとづいて、平和的・外交的に解決することを追求する、これが世界の当たり前の流れになっているということです。そして、アメリカも、軍事力一本やりでは対応できない状況に直面して、国際問題を外交交渉によって解決する動きを、一方では模索していることであります。

 それは、北朝鮮の危機にたいする対応にもあらわれています。十月九日の北朝鮮の核実験強行という事態にさいして、国際社会がどう対応すべきかが問われました。わが党は、核実験にきびしく抗議するとともに、国際社会の対応としては、(1)国際社会が一致協力して対応する、(2)問題の平和的・外交的解決を追求する――この「二つの原則」を堅持してのぞむことが大切だといち早く主張しました。

 さっそくこれが国会で問題になりました。十月十日の衆院本会議、十一日の参院本会議で、核実験に対する抗議決議が議題となりました。最初に自民党・公明党と民主党がそれぞれ提案してきた決議案は、軍事制裁の措置も含む内容のものでした。日本共産党は、軍事制裁を含めるべきではない、「二つの原則」が大切だと強く主張しました。その結果、最終的な国会決議は、「国際社会が結束した外交を展開し、平和的な解決を模索すべきである」、この文言が結論として明記され、全会一致の決議となりました(拍手)。道理にたったわが党の提起が、国会を動かしたことを報告するものです。(大きな拍手)

 国際社会の動きも、「二つの原則」の線ですすみました。十月十四日、全会一致で採択された国連安保理決議では、北朝鮮にたいして核兵器と核開発の放棄をもとめるとともに、国連憲章第四一条にもとづく非軍事の経済制裁の措置によって、問題を平和的・外交的に解決する方針が決められました。

 アメリカのライス国務長官は、中国指導部との会談で、「外交手段を通じた核問題解決に努力する。情勢をエスカレートさせることをのぞまない」と言明しました。中国、アメリカのそれぞれが、外交的解決のための精力的な努力をおこなっていることが報じられました。

 こうした流れの中で、中国・アメリカ・北朝鮮の代表が北京で会談し、十月三十一日、六カ国協議再開の合意がなされたというニュースが飛び込んでまいりました(拍手)。わが党は、この合意を心から歓迎します(拍手)。できるだけ早期に六カ国協議が再開され、関係各国の真剣な努力によって、朝鮮半島の非核化という目標が達成されることを、この場でも強く希望したいと思います。(大きな拍手)

「周辺事態法」、「核武装」議論――きな臭い軍事対応論の異常

 それではみなさん、国際社会が、外交的・平和的解決のためにこういう真剣な努力を重ねている最中に、日本の政界で起こった議論は何だったのか。きな臭い軍事対応、戦争準備の騒がしい合唱でした。

 政府と与党のなかから、また民主党の一部から、「周辺事態法」を発動せよという声が起こりました。しかしみなさん、「周辺事態法」とは何か。私たちが「戦争法」と名づけて批判した法律です。米軍と自衛隊が海外で共同して戦争をすすめる仕組みです。こんなものを発動することが、平和的・外交的解決をもとめた国連安保理決議に反することは明りょうではありませんか。(拍手)

 はては自民党の中川政調会長と、麻生外務大臣が、「日本が核兵器を保有するかどうかの議論があってもよい」との発言を始めました。この二人は、内外からきびしい批判があっても、この発言を繰り返しています。どうにも止まらない。どうにも止まらないようだったら、辞めてもらうしかないではありませんか。(拍手)

 安倍首相は、「非核三原則」は堅持するといいながら、二人の発言について「言論の自由があるので封殺できない」などと黙認しています。しかし問題は、「言論の自由」の問題ではありません。与党の政策責任者と外務大臣の政治的発言として、許されるかどうかが問われているのであります。(拍手)

 国際社会がいかにして北朝鮮に核兵器を放棄させるかで努力しているときに、日本が核兵器保有を議論するなど言語道断であることは、それこそ「議論」の余地などありません(拍手)。日本は核兵器の残虐さを身をもって体験した唯一の国であり、地球的規模で核兵器をすみやかに廃絶するイニシアチブを発揮すべきであります(拍手)。これこそ唯一の被爆国の責務ではありませんか。(拍手)

 お話ししてきたように、アメリカは一方では、イラク戦争にみられるように軍事的覇権主義にしがみついています。しかし他方では、北朝鮮問題への対応にみられるように外交で対応するという、いわば両面の戦略をとっています。ところが、自民党政府は、アメリカの軍事的覇権主義――悪い面にだけいいなりとなり、外交の面では対応できずに取り残されている。日本はよく「アメリカ以上にアメリカ的だ」といわれますが、こんな政治に未来はないといわなければなりません。(拍手)

韓国の学生の声――「平和憲法守護運動に賛同します」

 こうして世界を大きな視野で見ますと、アメリカの一国覇権主義は無残な破たんをとげ、国連憲章にもとづく平和の国際秩序を求める流れにこそ未来があることがはっきり見えてきます。この流れにてらしても、戦争を放棄し、軍備を禁止し、交戦権を否認した憲法九条の値打ちがますます輝く時代が、二十一世紀であるということを訴えたいのであります。(拍手)

 私は、この九月に韓国を訪問いたしましたが、政界指導者との会談でも、著名な歴史学者との懇談でも、延世大学でおこなった学生・院生のみなさんとの交流でも、共通して出されたのは、「日本の右傾化」、とくに憲法九条改定の動きについて、韓国の多くのみなさんが強い危ぐの念を抱いていることでした。

 私は、大江健三郎さんなど日本の良識を代表する知識人が呼びかけた「九条の会」が全国五千を超えて広がり、日本国民のなかに平和を守る大きなエネルギーが存在すること、日本共産党が、思想・信条・政治的立場の違いを超えて、憲法改悪反対の一点で、国民的多数派を結集するために、全国津々浦々で草の根からたたかいを起こしていることを紹介いたしました。

 そうしますと、多くの韓国の新しい友人から、日本の平和運動と日本共産党への強い期待の声が返ってまいりました。延世大学のある学生からは、つぎのような感想が寄せられました。

 「特別講義で日本共産党の党首が、『平和憲法は必ず守ります』ときっぱりおっしゃったとき、のどが渇いた鹿(しか)が井戸に出あったように、私の体の中から感激が起こりました。私は、世界平和の追求を念願する一人の人間として、日本の平和憲法守護運動に賛同いたします」(拍手)

 私は、この感想に接し、韓国の若い友人たちへの約束を果たさなければならないとの決意を新たにいたしました。(拍手)

 アジアと日本の甚大な犠牲のうえに手にした憲法九条は、ひとり日本国民だけの宝ではありません。アジア諸国民の共有財産であります(「そうだ」の声、拍手)。この財産を守りぬくことは、世界とアジアにたいする日本国民の崇高な責任であります(「その通り」の声、大きな拍手)。みなさん、憲法改悪反対の国民多数派を築くために力をつくそうではありませんか。(大きな拍手)

大企業中心主義の異常――格差と貧困の広がりが一大社会問題になった

 第三に、極端な大企業中心主義の異常についてお話しします。

 一月の党大会で私たちが告発した、格差社会と貧困の新しい広がりという問題は、いまや一大社会問題となりました。

 マスメディアの論調も大きく変わりました。NHKテレビが「ワーキングプア」――懸命に働いても生活保護水準以下の収入しかない人々が急増し、全国で四百万世帯ともそれ以上にも広がっている深刻な実態を明らかにした特集番組を放映し、大反響を呼びました。

 書店にいきますと、「階級社会」、「搾取」などという言葉――私たちにはなじみですが(笑い)、世間では最近はあまり使われていなかった言葉をタイトルにした書籍が、ずらりと並んでいます。

 この間の新しい特徴は、国民からしぼりにしぼって、空前の繁栄を謳歌(おうか)している財界・大企業のあまりの身勝手が、社会的にも問題とされ、マスメディアでも批判が広がっていることです。

 産経新聞の文化面に「断」というコラムがありますが、この間、あいついで、印象的なコラムを載せました。

「偽装請負」――労働者のたたかいと共産党の追及が、職場を変えつつある

 一つは、十月十九日付の「『再チャレンジ』は本気か」というコラムです。このコラムでは冒頭にこう書いてあります。

 「10月13日の参議院予算委員会質疑において、日本共産党の市田忠義議員がおこなった『偽装請負』に関する追及は見応えがあった」(拍手)

 「偽装請負」とは、実際は派遣なのに請負を装うことです。派遣社員の場合には、雇用が一定期間を超えますと、受け入れ企業には直接雇用の申し入れをする義務が生じます。安全衛生にも責任を持たなければならなくなります。ところが請負にはそうした義務がありません。労働者はまったくの無権利状態と使い捨て、月収手取り十万円という低賃金、四〇度の熱が出ても仕事を強要され、断れば即解雇という非人間的な状態がまん延しています。そしてこうした無法が職場にまん延した背景には、製造業にまで派遣労働を拡大した政治の責任があります。現場の実態、苦しみに心を寄せ、利用大企業と政治の責任をただした市田書記局長の質問は、働くものの権利を守り続けてきた日本共産党ならではのものであったと思います。(拍手)

 産経新聞のコラムでは、「このような『偽装』の上に業者と受け入れ事業所の繁栄がある」と、利用大企業の責任をきびしく指弾したうえで、つぎのようにむすんでいます。

 「私は共産党員でもなければシンパでもない。それにしても政府側の答弁は、あまりにも形式的でぬるすぎる。『再チャレンジ』どころの話ではない。……国民にいうまえに、まず政府と国会議員自らが不正防止に『チャレンジ』すべきではないか」(「そうだ」の声、拍手)

 日本共産党は、この無法を一掃するために、職場と国会が連携して、力をつくしてきました。そこには胸が熱くなるドラマがあります。

 たたかいの出発点となったのは、キヤノン、日立、松下など日本を代表する大企業の工場で横行していた「偽装請負」を、労働者が勇気をもって告発し、社会的な大問題としていったことでした。

 突破口を開いたのは、トヨタ系自動車部品メーカーの徳島・光洋シーリングテクノでした。ここでは、二〇〇四年九月に、「もう我慢できない」と約二十人の青年労働者がJMIU徳島地域支部に加盟して労働組合を結成し、賃上げ、労働条件の改善、直接雇用を求めてたたかいをはじめました。

 日本共産党国会議員団も、佐々木憲昭、塩川鉄也両衆議院議員、小池晃、大門実紀史、仁比聡平各参議院議員が、現地調査をふまえて国会質問を五回、厚生労働省に数回にわたって申し入れをおこないました。「しんぶん赤旗」は、日曜版が二〇〇四年十月、いち早く報道し、たたかいを伝え続けました。

 こうしたたたかいのなかで、今年の九月一日、請負の形で働かされていた労働者五十九人の直接雇用が実現しました(拍手)。この勝利は、製造現場にまん延する「偽装請負」という違法を是正する重要な突破口となりました。

 たたかいにおされて厚生労働省はその三日後の九月四日、「偽装請負」の防止・解消のための「通達」を出しました。そして、一カ月後の十月三日には、請負業最大手を自称する「クリスタルグループ」の「コラボレート」にたいして、「偽装請負」問題で初めての事業停止命令が下りました。こうした事態をうけて市田さんが追及をおこないました。質問は大きな反響をよび、いま全国各地で直接雇用をもとめるたたかいが前進し、つぎつぎと直接雇用が実現しつつあります。

 職場の労働者のみなさんの勇気あるたたかいと、国会での日本共産党ならではの追及が一体になって、政治を動かし、職場を変えつつある。みなさん、これは、たたかえば必ず活路は開けることを教えているのではないでしょうか。(大きな拍手)

 「サービス残業」と「偽装請負」――職場からこの二つの無法を一掃し、「ルールなき資本主義」をただし、人間らしい労働のルールを築くたたかいを前進させるために、ともに力をあわせようではありませんか。(大きな拍手)

「銀行よ、恥を知れ」――「逆立ち」税制に痛烈な批判が

 産経新聞のコラムで、いま一つ印象的だったのは、十月二十六日付の「銀行よ、恥を知りなさい」と題するコラムです。大銀行の身勝手とそれを応援する政治への痛烈な批判を書いています。

 「バブルの頃、銀行は……高い利息を取って、いくらでも金を貸して儲けました。目先の欲で出鱈目(でたらめ)に貸し付けたから、バブルが弾けて膨大な不良債権が残りました。本来これは銀行の自己責任の筈(はず)なのに、なぜか政府は異様に親切で、潰れかかった銀行に総額十二兆円もの公金を貸し、更に預金の金利を“ゼロ”にして救(たす)けたのです。……その結果、三大メガバンクは今年三月期の決算で、合計約二兆五千億円の驚くべき利益を上げました。……更に銀行は、政治屋と結託した繰越控除制度とやらの税の優遇を受けて、史上最高の大儲けになったのに、一銭も法人税を払わないという、誰もが聞いた途端に憤死するようなことを(笑い)、平気でやっているのです。銀行だけが肥って、国民はシナビていくばかりですから、美しい国日本なんかじゃありません」(拍手)

 みなさん、総額十二兆円の公的資金は、破たん処理費用として使われてしまって、もう戻ってきません。くわえて、ゼロ金利政策によってみなさんの家計から奪われた利子収入は、日銀の試算で三百兆円にものぼります。

 さらに、大銀行はこれだけ公的資金の恩恵にあずかりながら、中小企業への貸し渋り・貸しはがしをおこない、中小企業への貸し出しは九十六兆円も減りました。

 にもかかわらず、このコラムで「誰もが聞いた途端に憤死する」といわれているように、税免除の優遇を受け、法人税を一銭も払っていません。

 さらに、税金も払わない大銀行が、こともあろうに、企業献金の再開を「今後検討していく」というのですから、あいた口がふさがらないではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 問題は大銀行だけではありません。大企業は、バブルの時期の一・六倍もの空前の利益をあげながら、あいつぐ法人税の減税によって、法人税収は十九兆円から十三兆円に減りました。

 いま高齢者のみなさんを所得税・住民税の大増税、社会保険料の負担増の波が襲っています。そのうえ消費税増税のプログラムまで押し付けられようとしています。

 その一方で、大企業、大銀行、大資産家は、空前の大もうけをしながら、まともに税金すら払わない。「庶民に大増税、大企業に減税」の「逆立ち」税制をただせ――この声をおおいにあげようではありませんか。(大きな拍手)

 格差社会の根源には、人間らしい労働のルールを壊し、税金でも社会保障でも社会的責任を果たさない財界・大企業の横暴と、それを応援する政治のゆがみがあります。この根源にメスを入れる力を持った党は、結党以来、財界献金をびた一文受け取ってこなかった日本共産党しかありません(拍手)。この党とともに、人間が人間として尊重される日本を築こうではありませんか。(拍手)

教育基本法改悪――廃案めざし共同を広げに広げよう

 ここで訴えたいのは、教育基本法改悪の問題です。政府・与党は、この国会で改悪法案の成立をしゃにむに図ろうとしています。しかし、国会論戦を通じて、政府の法案は土台から総崩れになりつつあります。

 前国会でのわが党の論戦で、政府の改定案が、憲法に反する二つの問題点をもつ違憲立法だということが明りょうになりました。一つは、国家が「愛国心」を強制することは、憲法一九条が保障した思想・良心・内心の自由を侵害するものであること、もう一つは、教育内容への国家の無制限の介入に道を開き、憲法が保障する教育の自由と自主性を破壊するものであることです。

教育基本法改悪は、いじめ克服にも逆行する

 それにくわえていま目を向けるべきは、つぎつぎに噴出してきた教育の現実の矛盾にたいして、教育基本法を変えることが解決になるどころか、いっそう事態を深刻にするということであります。

 この間、各地の学校で、いじめ自殺が明るみにでました。この問題に、心を痛めていない方はいらっしゃらないと思います。子どもさんが学校に登校したあと、「『ただいま』という元気な声を聞くまで心配だ」、こういうお父さんお母さんの声が、私たちのところにもたくさん寄せられています。

 いじめ克服の取り組みを妨げているものはなにか、いじめの温床はどこにあるのか、教育基本法改悪との関係はどうか――私は、十月三十日の衆院特別委員会で、この問題を取り上げました。

 なぜいじめの実態が隠されてしまうのか。それは、いじめの件数が多いか少ないかで学校と教師を評価するシステムが、教育現場に押し付けられているからであります。教師が自分のクラスにいじめがあると報告しますと、評価が下げられる、給料まで減らされることにもなる。ですから、教師は、クラスにいじめがあっても一人で抱え込んでしまう。このシステムが、教師集団が協力していじめを早期に発見し、克服することを困難にしているのではないでしょうか。

 なぜ子どもたちがいじめという行動に走るのか。これは子どもたちの道徳心の問題ということだけで説明できることではありません。私は、質問のなかで、日本の子どもたちが極度にひどいストレスにさらされているという事実を示し、これがいじめの温床になっているのではないかとただしました。

 三千人を超える小中学生を対象にした専門家による調査結果があります。その結果によりますと、「抑うつ傾向」――うつ病になる危険のある子どもの率は、小中学校の平均で13%にもおよび、学年とともに増え、中学三年生では30%にもなります。子どもたちは、「何をしても楽しくない」、「とても悲しい気がする」、「泣きたいような気がする」、「生きていても仕方がないと思う」などの心の叫びをあげています。極度にひどいストレスにさらされ、そのはけ口をいじめに求めてしまう。

 そして、子どもたちに、そうした極度のストレスを強いている原因は何かといえば、子どもたちを、絶えず競争に追いたて、いわゆる「できる子」「できない子」にふるいわける競争主義と序列主義の教育こそ、最大の原因の一つではないでしょうか。(拍手)

 私は、子どもたちを、さらには教師を、競争に追いたて、評価し、序列づける、競争主義と序列主義こそ、子どもたちの心を傷つけ、教師の尊厳を傷つけ、いじめ問題など日本の教育を荒廃させている一番の元凶だと訴えたいのであります。(拍手)

 政府は、教育基本法を改悪して、全国一斉学力テストをやるというのです。そしてその結果を公表するという。全国の小中学校に点数で全国ランキングをつけようというのです。さらに、学校選択制を全国的に拡大する。そんなことをやれば、競争とふるいわけをいっそうひどくし、いじめなど学校と子どもをめぐる事態も、いっそう悪化させるだけであります。

目の前の痛ましい事態に向き合わない内閣に、教育の根本法に手をつける資格なし

 私のこうした指摘に対して、安倍首相は、「いじめを隠す教師が悪い」、「子どもに規範意識を身につけさせることが大切だ」というだけで、どうやったらいじめを克服できるかの見識のかけらも示せませんでした。

 目の前で起こっている痛ましい問題に正面から向き合うこともせず、その克服の方向性さえ示せないような内閣に、教育の根本法である教育基本法に手をつける資格があるでしょうか。私は、断じてないと言いたいのであります。(拍手)

「やらせ質問」――「規範意識」が一番欠けているのが政府ではないか

 だいたいみなさん、「規範意識」といいますが、これはいったい何か(文書を示す)。わが党は、政府が、青森県でおこなった「タウンミーティング」で、「やらせ質問」をさせていたという事実を明らかにし、いま国会で大問題になっています。政府にとって都合のいい質問原稿を渡して、参加者に発言させたのです。

 「依頼発言についての注意事項」を、指示した文章まであります(どよめき)。それを見ますと、こう書いてあります。「できるだけ趣旨を踏まえて、自分の言葉で」(笑い)。「やらせ質問」を「自分の言葉」で話すのは大変ですよ(爆笑)。「せりふの棒読みは避けてください」(笑い)、「『お願いされて……』とか、『依頼されて……』というのは言わないで下さい」(笑い)、「あくまで自分の意見を言っている、という感じで」(笑い)

 冗談ではありません。こういうやり方で、「世論誘導」をやっていたのであります。「規範意識」というのだったら、一番ないのが政府であり、文部科学省ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。こんな政府には、教育を語る資格のイロハさえないといわなければなりません。

「わかる」喜びを伝え、探究心を育て、助け合って学ぶ人間関係こそ

 みなさん、競争とふるいわけでは、本当の学力は育ちません。子どもたちに、「わかる」喜びを伝え、探究心を育て、互いに助け合って学ぶ人間関係をつくる中でこそ、本当の学力は培われるのではないでしょうか(拍手)。そして、いじめをはじめ、教育の荒廃を克服していく道も開かれるのではないでしょうか。

 そういう本当の教育の指針となるのが教育基本法であります(拍手)。子どもたちの未来のために、教育基本法改悪反対の一点で、共同の輪を広げに広げ、この悪法を廃案に追い込むために力をつくそうではありませんか。(大きな拍手)

野党外交の発展から――世界は大きく変わりつつある

 演説の締めくくりに、この間の日本共産党の野党外交の発展についてふれたいと思います。

 私は、この九月に韓国とパキスタンを訪問いたしました。それぞれが、わが党にとって新しい意義をもつ訪問となったと思います。訪問の内容については、九月二十五日の報告会でのべ、さらに詳しい内容は記録集をまとめましたが、二つの訪問を通じて私がもっとも強く感じたのは、いま世界は大きく変わりつつあるということでありました(拍手)。そして変わりつつある世界のなかで、日本共産党の歴史と綱領が、大きな生命力を発揮するということでありました。(拍手)

韓国訪問――この出会いを可能にした2つの要素

 韓国訪問は、日本共産党の党首としては、初めてのことでした。しかし、国会議長、与野党の五つの政党指導者との会談など、どこでも温かい歓迎を受け、実のある話し合いができました。なぜこうした幸せな出会いが可能になったのか。私は、二つの要素があいまって、それを可能にしたと思います。

 一つは、韓国社会が、いまダイナミックな変化のなかにあるということであります。韓国は、戦後、「反共」を国是としてきた国です。また軍事独裁政権が長く続いてきた国でもあります。しかし、韓国の民衆の長年の命がけのたたかいにおされて、一九八七年に後に大統領となる盧泰愚(ノ・テウ)氏が「民主化宣言」をおこないます。一九九〇年には、共産主義を禁圧していた国家保安法が一部改正され、「外国の共産主義者と交流、協力すれば犯罪になる」という条項が削除されました。こうした大きな変化のなかで、今回の出会いは可能になりました。

 それは先方からも、異口同音に語られたことでした。私が、開かれたウリ党の金槿泰(キム・グンテ)議長と会談したさいに、「こうやって国会で志位委員長をはじめ日本共産党の幹部をお招きすることは非常に感無量です。一九八七年以前であれば国家保安法違反になったと思います」とのべたことは、たいへん印象深いものでした。金槿泰議長は、民主化のたたかいで三十回も投獄された経験を持つ政治家です。私は、みずからのたたかいによって民主主義をかちとってきた韓国の国民にたいして、深い敬意の思いを抱かずにはいられませんでした。(拍手)

 いま一つは、日本共産党の歴史と綱領の持つ力です。韓国は、日本帝国主義によって三十六年もの間、植民地支配の下におかれた痛苦の歴史を持っています。自分の国がなくなってしまった、その痛みは独特の深さがあると、私は、韓国を訪問して痛感いたしました。そして、その痛苦の歴史的時期に、日本共産党が、朝鮮の愛国者に連帯し、植民地支配に反対してたたかった歴史をもつ党であることを話しますと、私たちと韓国のみなさんとの気持ちがいっぺんに通い合うという経験を何度もいたしました。

 一九三一年から三二年の時期に、朝鮮独立闘争への連帯を訴えた「赤旗(せっき)」――いまの「しんぶん赤旗」の前身ですが、その写しをここに持ってまいりましたが、これを私たちは交流のおりおりに紹介しました。これは日本共産党と韓国国民の友情にとっての「歴史的証明書」となりました。(拍手)

パキスタン訪問――自主独立への信頼が関係発展の土台に

 パキスタンの訪問は、先方の政府の公式招待による訪問という、わが党にとっても初めての経験となりました。パキスタンで私たちが感じたのは、複雑で困難な条件の下で、自主性と誇りをもって国づくりを前進させようという気概でした。

 この国は超大国の横暴によって甚大な被害をこうむってきた国です。旧ソ連によるアフガニスタン侵略によって、パキスタンには、大量の難民、麻薬、銃が流れ込みました。さらに9・11テロが起こると、アメリカは、アフガン報復戦争への協力を無理やり迫り、さらに無法なイラク戦争を引き起こして、テロリストを増殖させました。

 私は、アジズ首相との会談で、国連憲章にもとづく平和秩序、テロ根絶の合理的方途、地球的規模での核兵器廃絶での一致を確認できましたが、この会談をつうじて、私は、困難に耐えながら自主的な国づくりを進めてきたパキスタン外交の視野の広さと理性を感じたものでありました。とくに被爆国の政党の代表として、核保有国のパキスタン政府との対話で、地球的規模での核兵器廃絶で一致できたことは、私にとってうれしいことでありました。(拍手)

 この国で日本共産党への信頼の土台となったのは、ソ連のアフガン侵略に反対するなど、どんな大国の横暴にも屈しない自主独立の路線でした。私は、アジズ首相、スムロ上院議長、サイド上院外交委員長などとあいついで会談しましたが、先方は、日本共産党のこの歴史をよく知っていて、大きな敬意を払ってくれました。

 なかでも楽しかったのは、サイド上院外交委員長――与党・ムスリム連盟の幹事長でもある政治家ですが、この方が、大の日本共産党びいきで、私に会うなり、日本共産党の赤い党のマークが入った時計がありますが、それを腕につけているところを見せるのです。「赤旗まつり」でも販売している、あの記念の時計です。

 これは、サイドさんが、今年一月に来日した折に、差し上げたものなのですが、それ以来、いつもつけているとのことでした(拍手)。サイドさんは、これを「マルクス・ウオッチ」と呼んでいて(笑い)、「とても正確でくるわない」(笑い)と、いつもつけているということでした。そのくらい日本共産党に対する大きな信頼を寄せてくれていた。とても心温まる出会いでした。

 考えてみますと、韓国とパキスタンは、アジアの東と西で、「親米国家」とみなされ、アメリカが戦争をすすめるさいの拠点としている国です。そういう二つの国を訪問し、どちらの国とも、日本共産党が心通う親密な交流ができた。それ自体が、世界が大きく変わりつつあることの証明ではないでしょうか。(拍手)

歴史的激動の時代――来年の2つの全国選挙で勝利をかちとろう

 みなさん、日本の政治も変えようではありませんか。(大きな拍手)

 日本もまた、大きな変化の可能性をはらんだ歴史的激動の時代に入りつつあります。三つの異常な特質をもつ自民党政治が、いよいよ行き詰まり、どの問題でも“政治の流れの変化”が起こっています。日本共産党の奮闘が、情勢を前に動かす力となって働いています。

 ここに確信をもって、来年の二つの全国選挙――参議院選挙といっせい地方選挙の勝利を必ずかちとろうではありませんか。(大きな拍手)

 第三十九回赤旗まつり、万歳。

 ご清聴ありがとうございました。(歓声、大きな拍手)