2006年9月16日(土)「しんぶん赤旗」

自民政治の異常 大本から転換を

小泉政権の総括と日本のこれから

志位委員長が講演

日本記者クラブ


 日本共産党の志位和夫委員長は十五日、日本記者クラブに招かれ、東京都内で「小泉政権の総括と日本のこれから」と題して講演しました。主催者側は「韓国を訪問し、パキスタンにも行くなど、今までにない外交戦略を展開されている共産党委員長」と志位氏を紹介しました。


総裁候補 正す姿勢なし

写真

(写真)日本記者クラブで講演する志位和夫委員長(左)

 志位氏は、小泉政権の五年間が、「自民党政治の三つの異常な特質」を極端なまでに肥大化させたこと、自民党総裁候補のだれもこの異常を正面からただそうという姿勢がないこと、日本共産党がこの政治のゆがみを大もとから改革する方途をしめしていることを、明らかにしました。

 第一は、首相の靖国神社参拝など、過去の侵略戦争を正当化する異常です。

 志位氏は、小泉純一郎首相が言葉では「植民地支配と侵略」への「反省」をのべても、行動でそれを裏切ってきたと指摘。次期自民党総裁の最有力とみられる安倍晋三官房長官は、言葉での反省すらのべようとしないとして、「不義不正の認識もなければ、反省もない。安倍氏が首相になるというなら、これまでの歴史認識の根本的清算がせまられる」と強調しました。

 第二は、アメリカいいなりの異常です。志位氏は、小泉政権が日米軍事同盟を地球規模で侵略的な方向に大きく変質させてきたと指摘し、その上で首相の後継者たちは軍事同盟強化とタカ派の競い合いをしていると批判しました。

 とくに安倍氏が、集団的自衛権行使の可能性について研究・検討をすすめ、同時に改憲をすすめる日程を公然と唱えていることを警告し、「すぐにでも海外での武力行使を可能にしたいという衝動が働いている。安倍氏は『主張する外交』というが、米国に対しては何も『主張しない外交』であり、屈従の外交だ」と批判しました。

 三つ目は、格差社会問題の背景ともなっている極端な大企業中心主義の異常な政治です。志位氏は「『格差是正』『再チャレンジ』といっても、この根源にメスを入れる姿勢がなければ、口先だけのものになる」と批判。

 庶民に重くのしかかる消費税増税について、安倍氏も議員を務めている経済財政諮問会議が決めた「骨太方針2006」で、増税の方向づけをしていることを紹介。同会議の民間議員が消費税10%の方向が「透き通るくらいに読み取れる」と公言していることを挙げ、「安倍氏はあまり本音をいわないが、それを隠して参院選をやりすごそうとするなら、国民を欺まんするものだ」と批判しました。

 最後に志位氏は、臨時国会で焦点となる教育基本法改悪法案を廃案に追い込む決意を強調。安倍氏が主張している「教育改革」は、国家がむき出しの形で教育を支配する体制づくりをすすめようとするものだとして、「国家権力による教育へのがんじがらめの支配こそ、戦前の教育の最大の問題だった。この歴史の教訓のイロハを理解しない人物には教育を語る資格はない」と批判しました。

 講演後、志位氏は、韓国やパキスタン訪問、政党助成金、天皇制、政党関係などについて質問をうけ、丁寧に答えました。

 このなかで、来夏の参院選について問われ、(1)内政、外交で深刻なゆきづまりに陥った自民党政治への審判(2)改憲、消費税増税で悪政を競い合う“二大政党制づくり”という仕掛けへの審判という「二重の審判」をくだすことが求められていると強調。選挙の真の争点は「与党の過半数割れ」にあるのではない、「自民党政治を大もとから変えるたしかな立場をもつ日本共産党が伸びてこそ、政治が変わる展望が開ける」と選挙勝利の決意をのべました。