2006年5月25日(木)「しんぶん赤旗」

教育基本法・志位委員長質問―父母から反響


 子どもたちの「国を愛する心情」を通信表で評価していいのか――。24日、衆院・教育基本法特別委員会が始まり、日本共産党の志位和夫委員長は、教育基本法が改悪されたらどうなるのか、福岡市の「愛国心通信表」と東京都の学力テストの実態を示しながら、小泉首相に迫りました。質問の放映を、福岡市と東京都の父母たちは食い入るように見つめました。


福岡―「愛国心」通信表

評価困難 明らかに

 志位さんは、子どもの思想・良心・内心の自由が侵される具体例として、二〇〇二年度に福岡市で使われた「愛国心」を三段階で評価する項目を設けた通信表の問題を取り上げました。

 当時、福岡市内の新日本婦人の会の人たちは、この評価項目の削除を求め教育委員会と交渉を重ねました。小学生を持つ母親たちです。その母親たちが志位さんの質問の放映を新日本婦人の会県本部で見つめました。「志位さんの質問で改悪案の問題点がよくわかった」「小泉首相もあの通信表がいいとはいえなかった」との声が出ました。

 野口せいこさん(46)は四年前、当時小学六年生の息子が持ってきた通信表に「国を愛する心情をもつ」という項目があることに驚きました。質疑を聞いて「小泉さんの答弁ははぐらかしてばかりで頭にきました」と語りました。新婦人県本部常任委員の三上奈加さんも当時、小学六年生の子どもがいました。「うちの子の学校では、あの通信表は使われませんでしたが重大な問題だと思いました。小泉首相もあの通信表を『難しい』といわざるをえなかった。『愛国心』を評価することがいいとはいえないということです」

 やはり当時、小学六年生の息子がいた箱田麗蓉(れいよう)さん(49)は台湾の出身です。「私は日本が好きだけど『愛国心』を評価するなんておかしい」と交渉に参加。「志位さんが具体例をあげて質問しているのに、小泉さんはまともに答えない。教育の憲法にもあたるような法律をこんなごまかしで変えるのは許せません。しっかり時間をかけて審議すべきです」と語りました。

 野口さんは地域のお母さんたちと教育基本法の勉強を始めようとしています。「私もそうでしたが、教育基本法を知らない人が多い。どう改悪がされようとしているのかをもっと多くの人に知ってもらわないといけない」と語っていました。

東京―学力テスト

首相は現場知らない

 志位さんが取り上げた東京の学力テストについて、父母たちは「小泉首相は教育の現場を知らなさすぎる」と批判しています。

 全国に先駆け学力テストが実施された荒川区の公立中学に二人の息子を通わせた市村由喜子さん(55)は「志位さんが取り上げた学力テストを、私の息子も受けました。この学力テストと学校選択の自由化によって、点数の良しあしで人気のある学校に生徒が集中し、一部の学校の子たちが傷ついています。小泉首相は、教育の現場を知らなさすぎます」といいます。

 板橋区在住の小学一年生と中学一年生の父親、長島正人さん(43)は「上の子は、学力テストを受けましたが、全国いっせいの学力テストとなると、地域や学校、子どものランク付けにつながり、差別的な見方が助長されるのではないでしょうか。志位さんは、その点を追及したのに、首相はまともに答えなかった。教育基本法の改悪で、さらに国家が国民の価値観にまで踏み込んでくるのではないかという危うさを感じる」といいます。

 都内公立中学校の女性嘱託教員(60)は「教育の具体的な状況を提供して、さらに多くの国民に知ってもらった上で、議論すべきです。『とにかく教育基本法を変える』という態度はおかしい」と話しています。