2005年10月12日(水)「しんぶん赤旗」

志位委員長の結語


 幹部会を代表して、討論の結語をおこないます。

 総会では、十九人の同志が発言しました。全国では、CS通信で七千四百十七人のみなさんが報告を視聴し、すでに一千通をこえる感想がよせられました。

 討論でも、感想でも、幹部会報告の提起は、積極的に受けとめられました。結語は、三点にしぼってのべたいと思います。

■選挙総括――二つの基本的角度にたって、前進へのエネルギーを

 第一は、選挙総括の問題ですが、幹部会報告では、二つの基本的角度から選挙総括をおこなうという立場で、総括をおこないました。これにたいして、討論のなかでも、全国からの感想でも、「納得できる」「気持ちにかみあう」という積極的な受けとめがたくさん出されました。

 「善戦・健闘」という結果を全党の深い確信にすることとともに、今回の結果は悔しい結果でもあったわけで、本格的な前進のために何が必要かを明らかにすること、この両面が大切であります。どちらか一方だけでは胸におちる総括になりません。この両面から総括をしっかり深めてこそ、深いところから前進のエネルギーを引き出すことができると思います。

 中央委員会総会としては、全国的総括をそういう見地からおこなったわけでありますが、今後、都道府県、地区、支部で選挙総括を深めていくさいにも、二つの基本的角度をふまえて、確信にすべき点はしっかり確信にする、同時に悔しい結果でもあったわけで、国政選挙でどうしたら本格的な前進をかちとることができるかについても真剣に探求する、この見地で総括をひきつづき深めていきたいと思います。

■「野党としての公約」と日本改革の方針の関係について

 第二に、本格的な前進のために何が必要かという問題について、幹部会報告では、日常の党の活動の水準、実力の水準を高めるということを提起いたしました。

 日常の党の活動の水準という点では、新しい党綱領と日本改革の方針を国民的規模で語るという問題、実力の水準という点では、どんな情勢のもとでも前進できる質量ともに強大な党を築くという問題を提起したわけですが、この二つの問題もセットでしっかりとらえて、実践する必要があります。すなわち、日本改革の方針を国民的規模でおおいに語るということと、「大運動」の推進ということを、まさに一体的にすすめていくことが、大切であります。

 討論のなかで、日本改革の方針を広く国民に語るとりくみを、党の日常の活動として抜本的に強めるという提起について、それを深める発言がされました。

 北海道の西野道委員長は、今回の選挙闘争の教訓とのかかわりで、「日本改革の方針をおおいに語るとりくみが、日常的におこなわれていれば、どんな複雑な逆流が生まれても、それを打ち破って前進する大きな力になる」と発言しました。

 大阪の山下副委員長は、「この方針は『わが意を得たり』の方針だ。いま国民が政治の現状に深い閉塞感をいだいており、打開の方途を深いところからもとめているもとで、その道を改革の党として日常不断に明らかにしていくことが大切だ」という発言をしました。

 この問題は、日本の前途にとっても、わが党の発展のうえでも、たいへん大事な問題だと考えて、私たちは提起をしたわけです。発言も聞きながら、若干、報告を補う形でのべておきたい問題があります。それは、「野党としての公約」と、日本改革の方針との関係の問題です。

■「野党としての公約」の土台には、日本改革の方針がある

 「野党としての公約」として、私たちが訴えた問題は、どの問題をとっても、その土台には、日本改革の方針があります。これが一つの側面です。たとえば、わが党は、郵政民営化に反対するという態度を打ち出したわけですけれども、私たちの反対の論立てというのは、これによって国民サービスが犠牲になるということとあわせて、この動きが何よりも日米財界の要求からはじまった問題だという、ことの本質をずばり突くものでした。

 それから、庶民大増税を許さないという論陣をはっているわけですけれども、この問題を考えるさいにも、大企業に対する異常にゆきすぎた減税を継続しながら、庶民に増税をおしつける、ここにことの本質があることを私たちは明らかにして、ここにも大企業中心政治の害悪があるということをしめしてきたわけです。

 それから、わが党は、憲法をまもりぬくという論陣をはっているわけですが、九条改定の一番の発信源といいますか、推進力になっているのは、日米軍事同盟を背骨とした異常なアメリカいいなりの政治であって、ここでもことの本質を、私たちはおおいに語っているわけであります。

 私たちがかかげた「野党としての公約」のどの問題をとっても、その根源をたどっていくと、異常なアメリカいいなり、異常な大企業中心主義の政治という、自民党政治の枠組みにぶつかります。この古い政治の枠組みを根本から改革する方針をもっている党だからこそ、「野党としての公約」を堂々と打ち出して訴えぬけたということが、まずおさえておくべき大事な点であります。

■日本改革の方針を広く明らかにするためには、日常不断のとりくみが必要

 同時に、日本改革の方針を、国民のみなさんに広く伝え、それへの支持と共感を得るためには、それ自体のとりくみ、それこそ本腰入れたとりくみが必要になってきます。

 たとえば、日米安保条約を解消し、独立・平和の日本をめざすということを、私たちは、日本改革の方針の最も大きな柱の一つにすえているわけですけれども、安保条約の解消という大問題について、国民的な共感と支持を得るには、一定の長期の展望にたった本腰のとりくみが必要です。日米安保体制のもとで、米軍基地の問題でも、海外派兵の問題でも、外交の問題でも、経済の問題でも、どんなに異常なアメリカいいなりの事態が引き起こされているのか、日米安保体制を解消したらどういう日本外交の展望が開かれてくるのか、日本の安全保障をどう考えるのか、そもそも二十一世紀の世界の流れにてらして軍事同盟体制に固執するということがどんなに時代遅れになっているかなどについて、現状の告発とともに改革の方針を明らかにして、はじめてこの問題での国民的な共感、支持を得ることができると思います。

 それから「ルールなき資本主義」をただすという問題をとっても、ヨーロッパ諸国に比べて、日本が雇用でも、社会保障でも、どんなに国民の暮らしをまもるルールが弱いのか、この告発をおおいにやりながら、またそのなかで大企業の横暴勝手がどんなにひどいのか、この害悪もリアルにしめしながら、わが党の民主的な経済改革の提言を明らかにしていく、これも大仕事であります。

 日本改革の方針への国民的な支持と共感を得るには、こうした日常不断のとりくみをつみかさねることが必要です。本腰を入れてこれを学び、語る活動が必要です。そして日常不断にこれにとりくんでいってこそ、「野党としての公約」を打ち出した場合にも、ほんとうの改革の党としての日本共産党が打ち出した公約として、より大きな説得力をもつことになるという関係にあります。

 日本改革の方針をおおいに語る運動、党の実力をつけるという方針を、今回の総選挙のたたかいの教訓からくみあげて打ち出した、党活動の二つの大きな方向としてとらえて、新しいとりくみの発展をはかることをよびかけるものです。

■総選挙のたたかいは、党勢拡大の大きな条件と可能性を開いた

 第三は、党大会をめざす「党勢拡大の大運動」の問題です。

 討論を聞き、感想も読んで、私たちが痛感したことは、「大運動」を成功させる条件はおおいにあるということです。報告では、党大会まで残り三カ月で、なんとしても目標を達成しようということを訴えたわけですが、私たちの奮闘いかんでは、それをやりとげる条件はおおいにあるということを、感じました。

 一つは、総選挙のとりくみをとおして、党の実力をつけることの切実な意義を、みんなが痛切に感じているということです。

 発言でも、「大運動」のとりくみがあったからこそ、突発的な総選挙も意気高くたたかえたということが、多く語られました。「大運動」の途中で突然の選挙になったわけですが、「大運動」のとりくみがあったからこそ、党の影響力を大きくしながら選挙をたたかえたという点でも、全支部・全党員の決起の構えをつくるという点でも、短期のたたかいであれだけのことができたということが語られました。

 また、この間、党建設を前進させた党組織で、それが総選挙での得票増につながったという経験もさまざま語られました。四国ブロックの経験、あるいは京都の伊根町の経験などは、それぞれ重要なものであります。

 同時に、まだ、実力をつけるとりくみは途上であって、まだまだ量・質ともに実力が足らない、今度こそ実力をつけて国政選挙で本格的に前進しようという痛切な思いも、今日の討論で語られました。

 同じ思いは、感想でもたくさん語られています。みんなが今度の選挙の結果から確信すべき点は確信にしながら、悔しい思いを持っているわけで、今度こそ実力をつけて勝とうと、多くの党員のみなさんが思っているわけで、その思いを束ねて「大運動」の前進に結びつけたいと思います。

 さらに総選挙で、わが党は、一千万人をこえる有権者に働きかけをおこなって、四百九十二万票の得票をえたわけで、これによって有権者との関係でも「大運動」を前進させる大きな条件と可能性を開いたということも、討論の中で出されました。選挙後に対話してみたら、「今回は共産党に入れました」という反応がどんどん返ってきて、「しんぶん赤旗」購読の申し込みが相手から来るといううれしい反応が、あちこちで生まれていることも報告されました。

 全党が総力をあげて、総選挙のたたかいをやりぬいた。そのことによって、これをたたかった主体の側は実力をつけなければ、という痛切な思いをもっている。有権者との関係でも、新しい条件と可能性をひらいている。そういう前向きの流れをつくってきたわけですから、これを大会にむけた「党勢拡大の大運動」の成功へと、ぜひ大きく結実させていきたいと思います。

■選挙後の新しい情勢のもとで、わが党が前進する条件はおおいにある

 いま一つ、「大運動」を成功させる条件という点で感じたのは、総選挙後の情勢の新しい展開のもとで、わが党が前進する条件がおおいにあるということです。

 報告でものべたように、自民党は、衆議院で絶対多数を得たことで、いわば反動的暴走をはじめているという状況があります。それに対して民主党が、暴走にたちむかうどころか、「改革競争」で暴走を加速しているという状況があります。そういう政治状況に対して、多くの国民のなかで、「こんな政治を許しておいていいのか」という不安が広がっている。「なんとかしなければならない」という気持ちも広がっている。そういうもとで、自民・民主の両党とも国民との矛盾を深くして、わが党の役割が浮き彫りになるという新しい情勢が生まれていると思います。

 神奈川の参議院補欠選挙について、小池県委員長から報告がありました。私も応援に行って痛感したことですが、総選挙のときとは様変わりの状況があるのです。たとえば自民党でいいますと、小泉首相が応援に来るわけですが、総選挙のときは郵政問題一本で最初から最後まで語ったわけですが、いまは状況が変わっていて、郵政の問題ではほとんど語ることがない。ほかの問題はというと、ほかにも語ることはない。国民に語るべきことが、なくなってしまっているわけです。「突風が去ったら矛盾の姿が見える」ということを、報告でも言いましたが、それはいま起こりつつある変化だと思います。

 そういうときに民主党は、まともな野党としての役割をいっさい放棄して、「改革競争」にのめり込む。与党の暴走をみて、国民の多くが「この暴走は危ないぞ」と思っているのに、それに対する野党としての役割を一切放棄する。「改革競争」といって暴走を加速する。「二大政党」の正体がいよいよ明りょうになる状況があります。そういうなかで日本共産党が「たしかな野党」としての存在感を高めうる条件があるし、私たちの日本改革の方針が国民の心をつかむ条件もまた広がっていると思います。

 新しい情勢のもとで、日本共産党への新しい期待が広がる条件があるということをよく見て、この条件も「大運動」の大きな前進・躍進に結実させるというとりくみが必要だと思います。

 討論のなかでは、中間選挙についても発言がありました。岩手の一関市のたたかい、京都の長岡京市のたたかいで、大きな成果をおさめたという報告もありました。中間選挙でも、おおいに攻勢的な構えでとりくむなら、総選挙で得た票をさらに大きくのばす条件があるということが、それぞれ語られました。

 一つひとつの中間選挙で確実に勝利をおさめながら、総選挙後に生まれている新しい情勢のもとでの可能性と条件をつかんで、それを党建設の前進にしっかり生かすとりくみを大会までの三カ月間、意気高くとりくみたいと思います。

 大会にむけて、「大運動」の成功のために中央役員がおたがいに力をつくすということを誓い合いまして、会議の結語といたします。ともにがんばりましょう。