2005年10月12日(水)「しんぶん赤旗」

第四回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告


 日本共産党は十日、東京の党本部で第四回中央委員会総会を開きました。志位和夫委員長がおこなった幹部会報告、結語は、次の通りです。

 みなさん、おはようございます。衛星通信をご覧の全国のみなさんにも、心からのあいさつを送ります。私は、幹部会を代表して、第四回中央委員会総会にたいする報告をおこないます。

■一、総選挙の総括と教訓について

 まず、総選挙の総括と教訓について報告します。

■総選挙の結果と、選挙総括の二つの基本的角度

 今回の総選挙で、日本共産党は、改選前の九議席を確保し、比例代表選挙で、前回よりも得票率を若干減らしましたが、得票を三十三万票のばし四百九十二万票を獲得しました。私は、ご支持いただいた有権者のみなさん、猛暑のなか、奮闘してくださった支持者、後援会員、党員のみなさんに、心からのお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 小泉・自公政権は、総選挙の争点を郵政問題一本にしぼりこみ、「改革を止めるな」と叫びつづけることによって、今日の政治の深刻な閉塞(へいそく)状況の打開をねがう国民のなかに期待感を広げ、議席では三分の二をこえる圧倒的多数を確保しました。しかしそれは、第一党有利に民意をゆがめる小選挙区制によるものであり、自公両党の得票はあわせても約半数にすぎません。しかもそれは、首相が唯一最大の争点とした郵政問題で国民に真実を語らず、庶民大増税と憲法改定という重大な争点を隠し、ウソとごまかしで塗り固めてえた結果にほかなりません。今後、暮らしと平和を壊す動きがさらに進行するなかで、国民との矛盾は鋭くならざるをえないでしょう。

 圧倒的多数の議席をえた小泉・自公政権が、庶民大増税、憲法改定など政治の反動的暴走をすすめる危険が強まり、議席を大きく後退させた民主党が同じ流れのなかで「改革を競い合う」立場を鮮明にするもとで、この暴走から日本の平和と主権、国民生活と民主主義をまもる社会的反撃と国民のたたかいは、いよいよ切実なものとなっています。そのなかで、「たしかな野党」・日本共産党が果たすべき役割は、きわめて重大であります。わが党は、国民的なたたかいのなかで、また新しい国会で、この選挙でかかげた「野党としての公約」を実行するために、全力をつくすものです。

 投票日の翌日に発表した常任幹部会の声明「総選挙の結果について」にたいして、全国から共通して二つの感想がよせられました。

 圧倒的に多くのみなさんから、「『善戦・健闘』という評価は、たたかった実感からいってもぴったりくるし、確信がもてる」という声がよせられました。

 同時に、「目標とした議席増、議席獲得が果たせなかったのは悔しい」ということも、多くのみなさんの共通の気持ちとして、報告されています。

 「確信がもてる」、同時に「悔しい」。二つの感想のそれぞれが、重要な感想だと思います。

 「善戦・健闘」という結果を全党の深い確信にすること、同時に今回の結果に甘んぜず、本格的な前進のために何が必要かを明らかにすること――この二つの角度から、選挙戦の総括と教訓について報告します。

■難しい条件のもとでの「善戦・健闘」を全党の確信に

 まず総括の第一の角度――「善戦・健闘」という結果を全党の深い確信にするということについて、報告します。

 今回の選挙結果をみるうえで、この選挙がどういう客観的条件のもとでのたたかいだったのか、わが党がそれにどうたちむかったのか、その全体をとらえることが大切であります。

■この選挙は、どういう条件のもとでたたかわれたか

 まず、この選挙は、どういう条件のもとでのたたかいだったのかという問題です。

 この選挙は、小泉首相による、異常な「奇襲攻撃」の選挙としてはじまりました。選挙後の報道で、首相が一年も前から、郵政民営化法案が否決された場合の解散を決意していたこと、それをごく一部の側近以外にはだれにも伝えず、解散・総選挙にむけた計画を周到に練り上げていたことが、明らかになっています。

 解散後は、首相を先頭にして、郵政民営化を「改革」の象徴に仕立て上げつつ、選挙の争点を「郵政民営化に賛成か、反対か」の一点に極度に単純化し、「改革を止めるな」と絶叫するキャンペーンを、投票日の前日までつづけました。

 この動きは、財界とマスメディアの全面的な後ろ盾をえてすすめられたものでした。すでに七月の段階で、日本経団連、経済同友会は、郵政民営化推進のための解散に、事実上のお墨付きをあたえる態度をしめしていました。小泉首相は、八月八日夜の解散直後に、日本経団連首脳と選挙支援に関する協議をおこない、日本経団連は、八月三十日に発表した「奥田会長コメント」でつぎの立場を公然とのべていました。

 「今回の選挙は、郵政民営化を突破口とする構造改革について、各党の姿勢を問うものである。改革を断行する政党が政権を担うべきである」

 こうして日本経団連は、一九九三年いらい十二年ぶりに自民党への事実上の支持を明確にして、全面的なバックアップをおこないました。マスメディアの報道は、全体として、郵政民営化推進一色に塗りつぶされ、「刺客」騒ぎを大々的にとりあげ、首相を「改革者」ともちあげるキャンペーンに終始しました。

 小泉首相の「奇襲攻撃」と、財界・マスメディアの総がかりの応援があいまって、強烈な「小泉突風」が吹き荒れました。これは共産党攻撃の「突風」でもありました。首相は、「改革を止めるな」のフレーズのなかで、民主党とともに必ず日本共産党の名をあげて、「改革への抵抗勢力」と攻撃しました。

 歴史的な危機とゆきづまりにおちいった自民党政治を延命させようと、小泉首相が周到に準備をかさねた奇襲作戦にのりだし、それを財界が総力をあげて支援したのが、今回の総選挙でした。「奇襲攻撃」と「小泉突風」――この二つの要素は、わが党の前進をはばむ難しい条件として働きました。

■わが党の主体的対応はどうだったのか

 それでは、これにたいするわが党の主体的対応はどうだったか。わが党は、この攻撃にたいして、全体として機敏に、積極・果敢に、攻勢的にたちむかいました。とくにつぎの点が重要でありました。

 ――第一に、小泉首相の「奇襲攻撃」の動きをみぬき、いち早くたたかう構えをつくりあげたことです。とくに八月三日に開いた都道府県委員長・選対部長・衆院予定候補者会議と、八月十九日に中央会場と各都道府県・地区委員会の三百六十の会場を衛星通信で結んで開いた党と後援会の全国決起集会は、大きな意義をもちました。これらは、解散・総選挙を「絶好の機会ととらえて勇んでたちむかう」という攻勢的な立場をつくりあげるとともに、総選挙の争点と意義をつかみ、中央と全国が心を一つにしてたちあがる決定的な転機となりました。

 ――第二に、政策・論戦では、「野党としての公約」を打ち出し、「たしかな野党」というキャッチフレーズをおしだしてたたかったことが、新鮮な共感と期待を広げました。この打ち出しは、「二大政党づくり」とのたたかいのなかで悔しい後退を余儀なくされた、この間の二回の国政選挙の教訓を生かし、現在の政治状況のもとでのわが党の存在と役割をリアルにおしだすものとなりました。この打ち出しはたたかいやすかった、訴えやすかったという感想が、全国からよせられました。わが党は、郵政民営化の本質が、日米財界の要求にしたがって、庶民への金融サービスを破壊するものであることを明らかにし、首相がまきちらした郵政問題のウソとごまかしを、正面から突き崩す論戦を展開しました。庶民大増税や憲法改定問題を争点におしあげていくうえでも、わが党の論戦は先駆的なものでありました。

 ――第三に、草の根の力が発揮されました。八月三日の全国会議では、八月中にすべての支部が会議をもち臨戦体制を確立しようとよびかけましたが、このよびかけにこたえて全党的に82%の支部が支部会議をひらき、自覚的なとりくみの方針をもってたちあがりました。地域・職場・学園や、各分野の後援会のみなさんも、緊急に会議をもつなどして、党と後援会一体のたたかう態勢がつくられました。「今度こそ勝ちたい」という熱い思いが、全国の草の根からわきおこったことを、私たちもともにたたかいながら感じました。公示までの音の宣伝は、猛暑のなか盆をはさむ条件のなかでも前回総選挙の同時期の一・六倍おこなわれています。対話と支持拡大でも前回総選挙の同時期を上回るとりくみがおこなわれました。これらは突然おこなわれることになった総選挙、そして複雑さや困難をともなったたたかいに、明るく不屈にたちむかう、日本共産党ならではの革命的気概を発揮したものでした。

 ――第四に、「比例を軸に」のとりくみの新たな前進がはかられました。多くの県、地区からの報告では、「比例を軸に」、比例票を一票一票積みあげるとりくみが、これまでになく自覚的・積極的にとりくまれたとのべられています。もちろんまだ改善すべき点は多々ありますけれども、これまでの選挙のなかでもっともここに力を入れてとりくむことができたという報告が多くよせられています。とくに、(1)「全国は一つ」の見地で、つながりを生かした対話・支持拡大のとりくみが前進し、このとりくみのなかで職場支部も大きなエネルギーを発揮しました。(2)また、比例ブロックごとにそれぞれの定数と政治目標、たたかいの現状と方向を、わかりやすく打ち出す努力がはかられました。(3)さらに、「有権者は二票もっている」と訴えて、小選挙区で支持がえられない場合でも、比例の支持を獲得するための意識的なとりくみがはかられました。これらは今後に生かすべき大切な教訓であります。

 以上の四点の全体をつうじて、とりわけ強調したいのは、総選挙でわが党がえた得票と議席は、「小泉突風」に正面から対抗し、わが党自身の力――自力で「風」をおこして、積みあげたものだということです。自民党は大幅に議席を増やしましたが、それはもっぱらマスメディアを利用した「追い風」に頼ったものでした。マスメディアの「追い風」は、議席を大幅に減らした民主党をふくめて、他党にもさまざまな形で吹きました。「二大政党の選択」というキャンペーンもやられましたが、これは自民、民主双方への「追い風」として作用するキャンペーンです。しかし、わが党には、マスメディア的な「追い風」はいっさいありません。わが党のえた得票と議席は、まったくの自力で、とくに草の根の力によって、一票一票を積みあげた成果だということが、とりわけ重要であります。

 わが党のたたかいは、資金の面でも自力でおこなわれたということも、とくに強調したいと思います。他党が、政党助成金や企業・団体献金を湯水のように使ってCMや広告をうつなかで、わが党は、この面でも国民のみなさんに依拠したとりくみに力をつくしました。わずか一カ月あまりで十三億円をこえる選挙募金・供託金募金がよせられました。これはかつてない規模のとりくみとなりました。国民にのみ依拠した資金活動という点でも、わが党の活動は、政党ほんらいのあり方をつらぬいた、誇るべきものであることを、募金してくださった方々への感謝とともに報告しておきたいと思います。

 同時に、選挙費用・供託金をまかなうためには、ひきつづく募金の努力が必要であることをあわせて強調しなければなりません。とくに日本の供託金は、世界に類をみないほど異常に高く、しかも小選挙区で得票率が10%をこえないと没収されるという、少数政党を選挙そのものから締め出す反民主主義的な制度であることを広く伝え、募金活動を日本の民主主義をまもる活動としても位置づけ、いっそうの前進をはかることを訴えます。

 マスメディアの調査・報道によると、わが党がえた四百九十二万票の内訳は、共産党支持層からえた得票が約半数であり、残りは無党派層や他党派支持層からえた得票となっています。つまり、わが党は、「奇襲攻撃」と「小泉突風」が吹き荒れる超短期のたたかいで、党の基礎的な支持層をかためつつ、広く無党派層や他党支持層にも働きかけて、基礎的な党支持層の二倍程度まで得票を増やしたことになります。これを文字どおりの自力でやりとげたことを、全党の深い確信にしようではありませんか。

■小選挙区をたたかう新しい方針にもとづく実践について

 小選挙区の新しい方針にもとづくとりくみについて報告します。今回の選挙では、小選挙区での候補者擁立について、すべての選挙区での擁立をめざしながら、それを一律に義務づけず、各都道府県の自主的判断にゆだねるという新しい方針でのぞみました。

 突発的な解散という事態のもとで、全国の都道府県、地区委員会は、比例代表選挙での政治目標をいかにやりとげるかという立場から、小選挙区に候補者を擁立することの積極的意味、同時に供託金問題や体制問題などについても真剣に議論し、急速に擁立がすすみました。最終的に九割をこえる二百七十五の選挙区で候補者を擁立したことは、わが党ならではの積極性と戦闘性が発揮されたものでした。この果敢な擁立と、候補者を先頭にした奮闘は、きわめて大きな力を発揮しました。このたたかいぬきには、現有議席の確保、比例での得票増はありえなかったことは明白であります。

 候補者として選挙戦をたたかった同志のみなさんからよせられた感想を一つひとつ拝見しましたが、そこには立候補して歴史的政治戦をともにたたかったことへの喜びと誇りが、たくさん語られています。機関活動の条件、家庭の条件など、さまざまな困難をのりこえて立候補を決意し、奮闘した姿がつたわり、胸が熱くなるものでありました。ともにこの歴史的政治戦をたたかった候補者のみなさんに心からの敬意を表します。

 今回の選挙では、「比例を軸に」とは、小選挙区のたたかいを抑えることではない、それぞれの小選挙区での前進・勝利をめざすとりくみを、おおいに激励し、思い切って強める、そのなかで「比例を軸に」という方針を握って離さない、という方針を強調しました。このもとで全国的には、多くの候補者のみなさんからの感想でも、「比例選挙を正面にしながら、小選挙区のたたかいでも個性を生かして自由闊達(かったつ)にのびのびと活動できた」という声がよせられています。しかし、一部で、この方針が不徹底で、何人かの候補者から、小選挙区のたたかいを低めることで、比例を強調する傾向があったことへの改善の要望もだされています。これはしっかり受けとめて、今後に生かしたいと考えます。

 今回、小選挙区候補を擁立するにいたらなかった二十五の選挙区では、比例選挙一本で得票の前進をめざしてたたかうという新しい努力がおこなわれました。二十五の選挙区の選挙の結果は、前回よりも比例票を増やした選挙区が七、減らした選挙区が十八でありました。

 得票数をのばした選挙区では、候補者を立てられない分、比例で全県の先頭にたって頑張るという高い構えをしっかり意思統一して、宣伝活動でも組織活動でも奮闘して前進の成果をおさめています。これらは、小選挙区の候補者を立てられなくても、たたかいようによっては比例での前進が可能であることをしめしたものであります。そうした経験を確信にして、候補者を立てればもっと前進できる、党建設を前進させて次回は立てようという議論になっているところがいくつも生まれていることは、たいへん重要であります。

 なお、今回の選挙は、突発的な事態のもとでの緊急の対応となりましたが、今後の大きな方向としては、二中総の方針にたちかえって、「条件のあるところでは候補者を早く決め、系統的な日常活動で、有権者との結びつきを強め、要求にこたえる活動に積極的にとりくみ、党の支持を拡大し、積みあげていく」――この活動を、可能なところからはじめることが大切です。つぎの総選挙にむけて、日常的・系統的な活動の条件のある方々は、ひきつづき候補者として頑張っていただくことが大切です。候補者の自動延長ということはしませんので、各県はすみやかに小選挙区予定候補者としての手続きをとり、継続的に仕事にあたれるようにしていただきたいと思います。

■本格的な前進のために何が必要か

 つぎに総括の第二の角度――本格的な前進のために何が必要かということについて報告します。

 この総選挙で、私たちは、「すべての比例代表ブロックでの議席の獲得・前進」という目標を達成することはできませんでした。この結果を直視する必要があります。どうすれば国政選挙で、本格的な前進をかちとることができるか。このことを今回の選挙闘争をふりかえって、真剣に探求する必要があります。

 解散から投票日までの一月あまりのたたかいにかぎって、これをふりかえってみますと、私たちは、与えられた客観的・主体的条件のなかで、持てる知恵と力を発揮して、全体としては積極的な奮闘をしたといってよいと思います。

 わが党が「善戦・健闘」にとどまらず、本格的な前進をかちとるためには、日常的な党の活動の水準、党の実力の水準を、抜本的に高めることがもとめられると考えます。

 選挙戦のとりくみの独自の問題については、全国からよせられた意見をふまえ、ひきつづき総括と教訓をひきだす努力をすすめ、次期国政選挙の闘争方針に反映させることにします。

 ここでは、選挙戦のたたかいで痛感された、日常的な党の活動の水準、党の実力の水準にかかわる、二つの大きな問題にしぼって報告します。

■日本改革の方針を語るとりくみを、日常の活動として抜本的強化を

■――ここで共感と支持をつくってこそ、「たしかな野党」の訴えがより説得力をもつ

 第一は、わが党の新しい綱領がしめす日本改革の方針を、広く国民に語り、国民の多数の共感と支持をかちとるとりくみを、党の日常の活動として、抜本的に強めることが重要であるということです。

 今回の選挙の顕著な特徴は、「改革」という言葉が、洪水のように氾濫(はんらん)したというところにありました。小泉首相は、自民党は「真の改革政党」だと叫び、みずからを強力な「改革者」としておしだしました。「改革」の名ですすめられていることの実態は、私たちが選挙戦で批判したように、自民党政治の異常なゆがみを、あらゆる分野でいっそう極端にするものでした。たとえば経済政策では、日米財界の要求にそってすすめられた郵政民営化が象徴するように、従来の大企業中心主義の政治を極端にすすめる、いわば“財界直結の政治”への「改革」でありました。首相は、「既得権益の打破」を声高に叫びましたが、財界献金を受け取り、その見返りに財界の身勝手な要求を何でも受け入れる――“財界権益”という最大・最悪の「既得権益」には指一本触れようとしない、まさにまやかしの「改革」でありました。しかし、「改革」、「改革」という言葉の連呼が、あまりに先のみえない閉塞状態におちいった現状の打開を願う、多くの国民の切なる気持ちを、ある範囲でとらえたことも事実でした。

 わが党は、こういう状況のもとで、「野党としての公約」をかかげ、「たしかな野党」という打ち出しをおこないました。わが党は、このなかで、「改革」の名ですすめられていることが、庶民を痛めつけて財界をもうけさせる、従来の大企業中心主義をもっともひどくしたものであることを正面から告発し、この間違った政治に対決する党の立場を訴えました。「郵政民営化というのは大銀行の要求だ」――このズバリとしたわが党の指摘は、心ある人々から説得力のある指摘として受けとめられました。この方針が的確であったことは、選挙戦のたたかいそのものが証明しました。今後の国政選挙を展望しても、「二大政党づくり」の動きのなかでの党のおしだしとして、「野党としての公約」の方針を、さらに発展させることがもとめられます。

 同時に、「改革」というのならば、日本共産党こそ、自民党政治にかわる新しい政治をおこす方針・政策・展望を、日本の政党のなかで最も明確にもっている、現状の真の根本的改革をめざす政党であります。昨年一月の党大会で決定した新しい党綱領は、当面の日本の政治・経済・社会の民主的改革の大方向を打ち出しています。このような路線をもっている党はほかにありません。そして、綱領の大方向を、政策体系としてまとめあげたのが、これまでさまざまな機会に明らかにしてきた日本改革の方針です。今日の日本の政治の深刻な閉塞状態は、綱領にしめしているような、自民党政治の枠組みそのものを変える、根本的改革を強くもとめています。私たちが総選挙で訴えた「野党としての公約」の土台には、新しい党綱領と日本改革の方針があります。これを広く明らかにしていく日常の活動が大切であるということを、強調したいのであります。

 日本にもとめられているほんとうの改革とは何なのか、日本共産党はどういう日本をめざしているのか、日本共産党とはどういう党なのか――このことを広く国民に伝え、政治の根本的改革者としての日本共産党への期待と共感を広くつくりだしてこそ、「たしかな野党」という訴えが、より大きな説得力をもって国民の心に響くことになります。

 ただし、こうした日本改革の方針を広い国民に語る仕事というのは、短期の選挙戦のとりくみだけでやりきれるものではありません。党の日常の活動として、この仕事を抜本的に強めることが必要であることを、強調したいのであります。

 今度の選挙の論戦をふりかえってみましても、“財界直結の政治”へのいわば逆立ちした「改革」を、あたかも国民の利益にかなった改革であるかのように描く、逆立ちした議論が氾濫しました。「小さな政府」論、「官から民へ」論、「公務員の既得権益打破」論などなどであります。これらは、「小泉突風」をつくりだす土壌となりました。逆立ち「改革」論の土壌の上に「突風」が吹いたのであります。選挙戦の論戦をつうじても、これらの逆立ちした「改革」論の一つひとつを、根底から打ち破ることの重要性を、私たちは日々痛感しました。こうしたゆがんだ議論とのたたかいは、選挙戦の論戦のなかでもやったわけですが、これを根底から打ち破るためにも、自民党政治の枠組みを大もとから変えるわが党の日本改革の方針を広げることが、決定的な意義をもってくる、これは選挙戦をたたかった実感であります。

 新しい綱領と日本改革の方針を、国民的に広げるうえで、二中総決定で提起した「生きた言葉・生の声」で党を語る運動に、あらためて光をあて、それを今日的に発展させることを探求したいと思います。

 昨年の参議院選挙後、新しい綱領の学習は、これまでにない規模で広がっています。県・地区主催の綱領学習会は参加者が四万二千人をこえ、63%の支部で綱領学習会が開かれました。これが総選挙をたたかう大きなエネルギーとなったことは間違いありません。これをさらに発展させ、文字どおり「綱領、学ばざる支部・党員なし」をめざして、全党のとりくみに発展させようではありませんか。

 党内での綱領学習と並行して、「日本共産党はどういう日本をめざすのか」「日本共産党はどういう党か」について広く国民と語りあうとりくみを抜本的に強めたいと思います。すべての支部で、党を語る支部主催の懇話会、懇談会、演説会にとりくもうではありませんか。都道府県、地区段階、各分野、各層ごとのとりくみも、旺盛に展開しましょう。新しい綱領と日本改革の方針を、広く国民のなかで語っていくとりくみを、壮大な規模で発展させようではありませんか。

■国民と結びついた強く大きな党をつくることの重大性を、痛切に実感した選挙

■――党の基礎的支持層を広げることが、国政選挙での前進に不可欠

 第二は、国民と結びついた強く大きな党をつくる――党の実力をつけること、その緊急性、重大性を、痛切に実感した選挙だったということであります。

 この総選挙は、「党勢拡大の大運動」の途上で、たたかわれました。全国からの報告でも、「『大運動』にとりくんできたことが選挙戦の力になった」との声が多くよせられています。党員拡大は、五月から九月まで五カ月連続前進で、前回総選挙時を上回る勢力となり、各地で新入党員のみなさんが奮闘し、党の新鮮な活力を高めました。読者拡大では、四月から八月までの五カ月間に、二万一千の日刊紙、十二万七千の日曜版の新しい読者を増やし、読者拡大で対話をした人々は、二百数十万人にのぼると推定されます。「大運動」にとりくんできたことが、選挙戦にとっても大きな力となったことは間違いありません。

 同時に、この総選挙は、どんな条件のもとでも党が本格的な前進をかちとるためには、質量ともに党の実力が足らないことを、痛感した選挙でもありました。「しんぶん赤旗」の読者は、さきほどのべたような、拡大の努力はありましたが、前回総選挙時比で、日刊紙94・4%、日曜版93・9%と、後退をとりもどせないままの選挙となりました。党の活力という点でも、新しい綱領の学習、「党生活確立の三原則」などの努力がはじまっていましたが、多くの弱点を残したままの選挙戦となりました。すべての党員が参加する選挙戦への努力がはらわれましたが、選挙戦への活動参加は、多くの党組織で六〜七割台でした。

 「もっと数多くの読者がいれば」「もっと活力ある支部をつくりたい」など、質量ともの強大な党を築いていれば、もっと広く有権者に働きかけることができたし、そうすれば議席の前進にも手がとどいたということが、総選挙をたたかって各地からよせられた報告でも共通して語られています。

 北海道、北陸・信越、中国ブロックから、情勢判断で「新党」の影響を正確に掌握し、対応する点に弱さがあったと報告されています。選挙戦のとりくみの独自の問題点を明らかにすることは必要ですが、導くべき教訓の中心は、もう一回り、二回り外の人々に党の支持を広げることのできる党の実力をつけるというところにあります。

 今後の国政選挙を展望しても、党が安定的な前進をかちとっていくためには、党の基礎的な支持層を固め広げることが、不可欠であります。それを広げてこそ多くの無党派や他党派の支持の方々にも訴えを広げ、得票をのばすことができます。マスメディアの調査結果がしめすように、今回の選挙でわが党に比例で投票してくれた四百九十二万人のうち、もともとの党支持者はだいたいその半数の二百数十万人程度だと推定されます。党の基礎的支持層を三百万人、三百五十万人へと広げてこそ、得票を六百万、七百万へと広げていく道が開かれます。そのためには、党員という党勢の根幹を支えている勢力を増やし、読者という党のもっとも親しい友人を増やすことが、どうしても必要となります。

 今回の選挙結果を分析しても、比例代表の得票率10%以上を獲得した県党組織は、党員の人口比、日曜版読者の人口比で、全国的に高い水準にある高知県、京都府、長野県、大阪府、この四府県でありました。

 また、この間の努力で党建設の前進をつくり、それが今回の選挙戦の得票増として結実している党組織が生まれていることは重要であります。四国ブロックでのこの間の党員拡大のとりくみは、総選挙で議席までは届きませんでしたが、得票・得票率を増やした大健闘につながりました。中越大震災での救援・復興支援活動のなかで党勢を三倍化した新潟県・川口町では、比例票を228%に増やしています。埼玉県・所沢市では、前回総選挙時から日刊紙・日曜版の読者とも前進させてたたかい、比例票を127%に前進させています。愛媛県・西条市では、前回総選挙から党員を倍加し、比例票を132%に前進させています。

 今回の総選挙の結果から、どんな情勢のもとでも、みずからの奮闘で党躍進の「風」をおこせるだけの党づくりをすすめること、党勢拡大の抜本的な前進が、国政選挙での党の本格的な前進に不可欠だということを、私たちは最大の教訓として引き出して、党大会にむけての「大運動」の目標達成のためのとりくみに、新たな意気込みでのぞもうではありませんか。

■二、総選挙後の新しい政治情勢と、当面する日本共産党の任務

 さて、報告の第二の主題として、総選挙後の新しい政治情勢と、当面する日本共産党の任務についてのべます。

■新しい政党関係のもとで、きわだつ日本共産党の存在と役割

 総選挙後に生まれた新しい政治情勢、政党関係のもとで、日本共産党の存在と役割は、いよいよ重要なものとなっています。

■小泉・自公政権――反動的暴走の危険と、国民との矛盾の深刻化

 自民党・公明党が、衆議院で三分の二をこえる絶対多数の議席をしめることになったことは、けっして軽くみることのできない新しい危険を、日本の政治にもちこんでいます。選挙後の現実の動きをみても、小泉・自公政権は、数の力におごり、郵政民営化法案、障害者「自立支援」法案の有無をいわさぬ強行への動きを強め、庶民増税への本格的な踏み出しを公言し、憲法改定の国民投票法案を審議する特別委員会設置を強行するなど、いわば反動的暴走をはじめています。そういう状況のなかで、選挙後の世論調査でも、国民の六割以上が、「自民党は議席を増やしすぎた」「日本の今後が不安だ」との声をあげています。

 小泉・自公政権の反動的暴走への危険を直視しつつ、この政権の国民的な基盤は脆弱(ぜいじゃく)であり、国民との矛盾をいよいよ深刻にしていることを、よくとらえることが大切であります。もともと「自民党をぶっ壊す」と叫んで四年前に登場した小泉内閣は、末期状態におちいった自民党政治のゆきづまりの産物でありました。そして小泉内閣のこの四年間で、このゆきづまりは、内政でも外交でも、ぬきさしならないところまでいよいよ深刻になっています。自民党政治は、世界の資本主義の国でも、政権党の政治として異常な特質をもっていますが、小泉政治はどの分野でも、その異常な特質を極端なものにしました。

 ――第一に、過去の侵略戦争を正当化する異常さであります。首相の靖国神社への連続参拝など過去の侵略戦争を正当化する行動によって、日本は、アジア諸国とのまともな近所づきあいができなくなり、国連安保理常任理事国入りの計画の惨めな頓挫にみられるように、日本外交は深刻な八方ふさがりにおちいっています。

 ――第二に、アメリカいいなり政治の異常さは、イラク侵略戦争への無条件支持につづく自衛隊派兵にくわえ、アメリカの注文にこたえて、憲法そのものを変え、公然と「海外で戦争できる国」をつくるという動きにまでエスカレートしています。

 ――第三に、“ルールなき資本主義”をつくってきた極端な大企業中心主義のゆがみは、小泉内閣のもとで極限にまで拡大しました。雇用、金融、税制、社会保障、中小企業――あらゆる分野で国民生活にかつてない痛みが押しつけられ、それとは対照的に、財界・大企業は、バブル期をこえる空前の利益を謳歌(おうか)しています。「小泉改革」とは、国民から吸い上げて、財界・大企業が大もうけをする仕組みをつくることにほかなりませんでした。

 今回の総選挙で、小泉・自公政権は、内政、外交ともに、歴史的ゆきづまりにおちいった自民党政治を延命させるために、争点を郵政問題一本にしぼることで、この政権が過去の四年間におこなってきた失政と破たんを覆い隠し、さらに自民党がこれからさき四年間にすすめようとしている庶民大増税と憲法改定という大悪政を覆い隠して、国民の一時の支持をえることに成功しました。

 しかし、こうしたイチかバチかの綱渡りのような曲芸的な手法は、けっして長続きするものではありません。こうした国民をあざむく手法を用いなければ、選挙をのりきれないところに、ゆきづまりが極まった自民党政治の姿があります。「突風」が去れば、その姿があらわれます。そのウソとごまかしが明らかになった時には、政治の大きな激動がおこらざるをえないでしょう。

 日本共産党は、小泉政権の暴走政治にたいして、国民の立場にたって、恐れず正面からたちむかい、国民の暮らしと平和をまもりぬくために、力をつくすものであります。

■民主党――「改革を競い合う」という立場で、政策的合流がいよいよ顕著に

 民主党は、総選挙で、小泉首相がつくりだした郵政問題での「政治的攻勢」に、対抗する足場を築けないまま、押し流され、議席を大きく後退させました。この結果は、小泉・自民党と同じ路線のうえで「改革を競い合う」という立場では、そうした「改革」の主導権を相手に握られたら、この党の「存在意義」がなくなることをしめすものでした。

 しかし、民主党・新執行部が、この選挙結果から引き出した教訓は、「今後は『改革』の主導権あらそいで、絶対に後れをとらない」ということでした。首相の側も「二大政党であるからこそ、野党はますます与党に近寄らない限り、政権は取れない」「第二自民党と呼ばれることを恐れるな」と誘いをかけました。この流れのなかで、民主党・新執行部は、小泉・自民党と「改革を競い合う」という立場に、より深くのめりこみつつあり、わずかに残っていた野党的な残滓(ざんし)もすてさろうとしています。

 その姿勢がまず顕著にあらわれたのが、民主党が郵政問題で出した「対案」であります。これは小泉・民営化法案との対決を放棄し、郵貯・簡保の縮小・廃止という財界の要求に、よりストレートにこたえる内容となりました。

 民主党の新代表は、憲法問題でも、「憲法九条二項の削除」、「自衛権の明記」、「集団的自衛権の行使」という、改憲への重大な踏み込みの立場を表明しました。民主党は、庶民大増税の問題でも、消費税増税の熱心な旗振り役をつとめ、所得税増税でも配偶者控除・扶養控除の廃止など増税路線を公然ととなえています。

 小泉政権は、「公務員の削減」を打ち出していますが、ここでも民主党は国会質疑のなかで、公務員の削減を競い合い、民主党の代表は、「人事院勧告のさい、公務員給与の比較対象になる民間企業に零細企業も含めるべきだ」と賃下げを要求する異常な姿をしめしました。これは民主党を支持している労働組合、労働者との矛盾をいっそう深刻にせざるをえないでしょう。

 こうして、総選挙後、民主党は、「今度こそは『改革』の主導権をにぎらねば」という思いから、財界の要望にこたえる先陣争いをくりひろげ、どの問題でも与党との政策的合流がいよいよ顕著になりつつあります。

 選挙後、自民党と民主党の双方の幹部は、「安保・外交」と「税制・社会保障」は、たとえ政権が交代しても、国の政策に変化がおこらないようにするという立場を、公然ととなえています。これは、日米安保条約堅持、憲法九条改定、庶民大増税、社会保障の切り捨てなど、国の基本政策では、同じ道を歩むという宣言にほかなりません。

 三中総決定では、「二大政党づくり」の本質が、国政における「オール与党」化であると指摘しましたが、総選挙とそれにつづく新しい政党状況のもとで、この本質がいよいよ見えやすくなる、新しい情勢が展開しています。一方で、数の力を背景に、増税でも、改憲でも、反動的暴走をはじめる自民党、他方で、その暴走にたちはだかるどころか、「改革競争」の掛け声で、暴走を競い合い、加速させる民主党――私たちは「二大政党づくり」とのたたかいを長期の課題として位置づけてとりくんでいますが、新しい情勢のもとでの、自民・民主のこうした動きと国民との矛盾は、いよいよ激しくならざるをえないでしょう。

■新しい情勢は、日本共産党の前進を強くもとめている

 こういう状況の中で、日本共産党の存在と役割は、ほんとうにかけがえのないものとなっています。圧倒的多数をしめた小泉・自公政権の反動的暴走にストップをかけるうえでも、「二大政党」による翼賛政治に対抗して平和と暮らしをまもるうえでも、日本共産党の存在と役割は、新しい政治局面のなかで、きわだっています。総選挙後の新しい情勢は、わが党が政治的影響力を広げることを強くもとめています。党を強く大きくする絶好のチャンスが目の前に広がっています。

 新しい情勢のもとで日本共産党は、選挙戦で公約した「たしかな野党」の三つの仕事――(一)間違った政治に反対する、(二)国民の要求実現のために奮闘する、(三)世界の舞台で野党外交を展開する――をしっかり果たします。

 同時に、わが党の新しい綱領がしめす日本改革の方針を、広く国民に語り、多くの共感と支持をかちとるとりくみを抜本的に強め、自民党政治を根本から改革する政党としての姿を、大きくおしだしていきたいと思います。

■直面する国民的たたかいの課題について

 つぎに、直面する国民的たたかいの課題について報告します。

 特別国会でのたたかいを、わが党は、公約実践の出発点として位置づけ、再び提出された郵政民営化法案に最後まで道理をつくして反対をつらぬき、障害者「自立支援」の名での福祉破壊法案を廃案においこむために、国民運動と共同して力をつくします。

 今年から来年にかけて、ただちに問われてくる国民的なたたかいの課題として、いくつかの問題について、重点的に報告します。

■庶民大増税反対――幅広い国民的共同をつくるために力をつくす

 一つは、庶民大増税に反対するたたかいです。この間、政府・与党がたくらむ大増税路線の恐るべき全貌(ぜんぼう)が、明らかになりました。それは、この間の政府税調、与党税調の方針でしめされたように、二つの柱からなっています。

 第一の柱は、二〇〇七年度をめどに、「消費税を含む抜本的な税制改革を実現する」――消費税の値上げを実現するということです。

 第二の柱は、それと同時並行で、「個人所得課税の抜本的見直し」――所得税の定率減税の廃止、配偶者控除・扶養控除の廃止、給与所得控除の縮小などの、いわゆるサラリーマン大増税をおこなうということです。

 自民・公明は、総選挙で、この庶民大増税計画をひた隠しにする作戦をとりました。「サラリーマン増税はやらない」という公約をかかげました。しかし、選挙が終わるやいなや、ただちに政府は、定率減税の廃止、各種控除の見直し、消費税値上げの検討などを打ち出しました。これらが公約違反になるではないかとのわが党の追及にたいして、政府は、「定率減税の廃止や各種控除の見直しは、サラリーマンだけでなく、自営業者にも増税になるから、サラリーマン増税ではない」などという、途方もない詭弁(きべん)をろうして、増税路線を具体化しようとしています。国民をあざむく公約違反への徹底的な追及が必要です。同時に、これらの増税計画によって、庶民の負担がどのようになるかを、具体的に告発していくことが、たたかいを前進させるうえで、まず重要であります。

 また「財政危機」論や「社会保障の財源」論などの相手の口実を打ち破り、庶民大増税反対の運動の国民的大義をにぎるうえで、(1)巨大開発や軍事費など無駄づかいの実態の告発と一掃、(2)空前のもうけをあげている大企業・大資産家へのゆきすぎた減税措置の見直しをおおいにおしだすことが大切であります。

 庶民大増税は、今年から来年、再来年と、いやおうなしに国政の大問題となってくる問題であります。中小企業団体、商店街連合会、専門店会連盟、チェーンストア協会、連合なども、反対の立場を表明しています。国会を舞台にした論戦とともに、増税反対の一点での幅広い国民的な共同をつくりあげるために力をつくしたいと思います。

■憲法問題――改憲派の動きの加速と、憲法をまもりぬく運動のめざましい発展

 二つ目は、憲法をまもりぬくたたかいであります。三中総決定では、この問題について、一章をさいて国民的なたたかいをよびかけましたが、この間、憲法改定をめぐって、二つの重大な動きがおこっています。

 一方で、改憲派は、総選挙の結果をうけて、新たな危険な動きをみせています。この間、衆議院で、憲法改定の国民投票法制を審議する特別委員会の設置が強行され、国民投票法案の問題が、今年から来年にかけての具体的な政治日程にのぼってきました。この動きは、憲法九条を変えるという目的と一体不可分に結びついているわけで、これを許さないたたかいにとりくむことは当面のさしせまった課題であります。

 同時に、自民党、民主党の両党は、具体的な改憲案づくりの動きを、加速させています。その焦点は、憲法九条二項の改変にぴたりとあてられています。それは、「自衛軍の明記」をもとめた自民党の「新憲法第一次案」、「九条二項の削除」をもとめた民主党の新代表の発言でも、はっきりとしめされました。この点で、三中総決定のつぎの指摘は、改憲論の本質と闘争の方向を明らかにしたものとして、ひきつづききわめて重要であります。

 「あらゆる改憲論の焦点は、憲法九条改定におかれていますが、なかでも『戦力保持の禁止』と『交戦権の否定』を規定した九条二項を改変し、自衛軍あるいは自衛隊の保持を明記することが、改憲勢力の共通した主張となっています。……九条二項の改変は、この(『海外での武力行使はできない』という)『歯止め』をとりはらい、『海外で戦争をする国』に日本を変質させることになります。このことを広く明らかにしていくことが、きわめて重要です。……日本国民の圧倒的多数は、海外での武力行使のための改憲には反対しています。ここで広く大同団結をかちとることが何よりも肝要です。この立場をつらぬけば、圧倒的な国民的多数派を結集することは可能であります」

 他方で、憲法をまもりぬく側のたたかいも、この間、めざましい発展をとげつつあります。とくに「九条の会」は、発足から一年あまりで、素晴らしい発展をとげました。全国各地でおこなわれた講演会の大成功とともに、草の根での「九条の会」は、全国の地域、職場、学園、分野別に、三千をこえる広がりをしめしています。

 こうした運動を反映して、最近の世論調査で、「九条改正に反対」とこたえた人が62%、「九条は日本の平和に役立ってきた」とこたえた人が80%と、平和と良識の声が多数をしめる心強い結果も報道されました。

 憲法をまもりぬくたたかいの基本方針として、三中総決定がひきつづき重要であります。日本共産党が民主諸団体と共同して、広い国民的共同をつくりあげる一翼をになって奮闘するとともに、独自の積極的な役割を果たすことがもとめられます。憲法改悪反対のゆるぎない国民的多数派を結集するために、反戦・平和をつらぬく党の真価を発揮して奮闘しようではありませんか。

■「日米同盟」――イラク派兵問題と、米軍基地再編問題について

 三つ目に、日米軍事同盟をめぐって、この秋、二つの重大な焦眉(しょうび)の問題が問われています。

 その一つは、十二月に期限をむかえる自衛隊のイラク派兵の問題です。イラクの情勢悪化は、きわめて深刻になっています。その原因は、無法な侵略戦争につづく、軍事占領、そのもとで占領支配に抵抗する勢力にたいして、米軍が掃討作戦として無差別の攻撃をくわえ、民間人の多大な犠牲者が生まれ、テロと暴力の悪循環がつづいていることにあります。期限をきめた占領軍の撤退こそ、イラク情勢の前向きの打開のカギであります。

 こうした情勢のもとで、イラクに派兵した三十八カ国の「有志連合」のうち、十一カ国がすでに完全撤退し、撤退・削減を開始した国は六カ国に達し、さらに報道によれば、韓国・イギリス・オーストラリアなど、主要な派兵国でも撤退・削減計画が検討されています。アメリカでも、イラク戦争の泥沼化と米兵の犠牲者の増大にともなって、イラクからの撤退をもとめる世論が約六割に達しています。

 サマワに駐留する英軍と豪軍も撤退が予定されるもとで、自衛隊が駐留をつづけることの危険と矛盾は、いよいよ深刻になっています。日本政府は、独自の主体的判断をもたず、アメリカいいなりに派兵をつづけるという態度をただちにあらためるべきです。すみやかな自衛隊撤退をもとめる国民的たたかいをおおいに強めようではありませんか。

 いま一つは、「在日米軍再編」の名ですすめられている米軍基地の強化、米軍と自衛隊の一体的な運用強化の動きであります。この問題について、政府・与党は、選挙中は、この問題が争点化することを恐れ、意図的に覆い隠す姿勢に終始しました。しかし、選挙結果をうけて、アメリカ政府は、「選挙で、政権が強化されたのだから、『地元負担の軽減』などより、『日米同盟の変革』――米側の要求を実行に移せ」と、公然とせまってきています。沖縄県での普天間基地代替の新基地の建設、神奈川県でのキャンプ座間への米陸軍第一軍団司令部の移設など、米軍基地の強化・永久化の動きとのたたかいは、重大な局面をむかえています。

 この間、沖縄県、神奈川県、山口県などで、米軍基地強化の動きに反対する運動が、政治的立場の違いをこえ、また自治体ぐるみで広がっていることはきわめて重要であります。それぞれのたたかいを発展させつつ、全国的連帯をつよめて、無法な基地強化のおしつけを許さないたたかいを発展させるため、全力をあげようではありませんか。

■次期大会招集、「大運動」の推進、選挙活動について

 つぎに当面する党建設と選挙活動について報告します。

■第24回党大会の招集について

 まず、第二十四回党大会の招集について、提案いたします。

 次期党大会の招集は、すでに四月の三中総で来年一月に招集することを確認していますが、規約にもとづく正式の大会招集の措置として、以下のとおり、招集日と議題について提案するものです。

 招集日は、二〇〇六年一月十一日。会期は四日間とします。

 議題は以下の通りです。

 大会決議と中央委員会報告。

 中央委員会の選出。

 その他。

 以上が提案であります。

 大会決議案の審議・決定などは、つぎの中央委員会総会の課題としたいと思います。

■「党勢拡大の大運動」の到達点と推進方向について

 つぎに「党勢拡大の大運動」の到達点と推進方向について報告します。

■「大運動」の到達点と目標について

 まず「大運動」の到達点と目標の問題です。

 四月の三中総のよびかけにこたえて、全党は「大運動」の前進のための努力をつづけてきました。六カ月間の「大運動」の到達点は、以下のとおりであります。

 ――党員拡大では、四月は後退しましたが、五月以降、五カ月連続前進をかちとり、九月までの六カ月間に六千三百八十二人の新しい党員を迎えました。離党や死亡などでの減少もあり、二千八百三十五人の増加となります。全党的には、前党大会比で100・06%とわずかですけれども前進し、三十の道府県で前進をかちとっています。新しく入党されたみなさんに、中央委員会総会として、心からの歓迎のあいさつを送りたいと思います。

 ――「しんぶん赤旗」の読者は、毎月、目標達成と前進のための努力がはらわれ、五月は日刊紙読者、日曜版読者ともに前進し、八月は日刊紙読者で前進しましたが、「大運動」の到達としては、日刊紙読者で四千五百二十二人の後退、日曜版読者で二万五千三百八人の後退という現状にあります。前大会比は、日刊紙で95・1%、日曜版で95・1%となっています。

 こうしたなかでも、「大運動」で、香川県と滋賀県が、日刊紙、日曜版とも前進し、日刊紙で石川県、長崎県が、日曜版で神奈川県が前進し、全国の五十四の地区で読者を前進させていることは、たいへんに貴重であります。

 「大運動」がはじまってから、六カ月がたちましたが、この期間に、全党は、東京都議選への全国的な力の集中、その後の突発的におこった衆院解散・総選挙での勝利のために総力をあげたたたかいにとりくんできました。党は、選挙闘争のなかでも党勢拡大を重視してきましたが、選挙闘争によって、全党的には、「大運動」のとりくみが中断、断続されることになりました。

 しかし、これから党大会までの三カ月は、「大運動」の前進のために、全党的には、文字どおり、党のあらゆる力を集中できる時期となります。この三カ月間を「大運動」のとりくみの総仕上げの期間として、新たな決意をもって、この運動にとりくみ、何としても前進・飛躍をかちとることが、強くもとめられています。

 そのさい、「大運動」でやりぬくべき目標について、あらためて明確にしておきたいと思います。三中総で決定した「大運動」の目標――「五〇万の党」という目標の半分以上の党員拡大、二〇〇三年総選挙時比三割増の半分以上の日刊紙と日曜版の読者拡大という目標は、党大会までにこの目標をやりきって、大会後も継続的に党勢拡大運動を前進させ、二〇〇七年度に想定される一連の全国選挙を、三つの分野での目標を総達成してたたかうという立場で、決めたものでした。

 総選挙についてはつぎの選挙の時期を推定することはできませんが、二〇〇七年四月にはいっせい地方選挙がおこなわれ、七月には参議院選挙がおこなわれることは確定しています。この二つの全国的政治戦で、わが党の議席と得票を本格的に前進させることが強くもとめられます。そのことを展望して、党大会までの「大運動」の目標は、三中総で決定した目標をあくまで堅持し、これに正面から挑戦し、達成することをめざすことを、あらためて確認したいと思います。そのさい、党大会にむけて、すべての党組織が、前大会の勢力を一日も早く回復し、さらに前進しつつ党大会をむかえることを、重視するようにします。

 これはなかなか大仕事でありますけれども、わが党は、総選挙にさいして、突発的におこった事態に攻勢的に対応し、わずか一カ月余という短期間に党の瞬発力を発揮して、一千万をこす人々に党の姿、党の公約を語って支持をよびかけ、四百九十二万の得票をかちとりました。このたたかいで発揮された情熱とエネルギーを党建設にそそぐならば、残る三カ月に「大運動」の目標をやりきることは、けっして不可能ではないと考えます。

 しかも、総選挙のたたかいは、党勢拡大の新たな飛躍の条件をつくるものとなりました。一千万人をこえる人々にはたらきかけた、このたたかいが、党を大きくする新たな条件をつくっていることも明らかであって、その条件と可能性をくみつくす活動がもとめられます。

 総選挙勝利のために、私たちがそそいだ情熱とエネルギーを、大会にむけた「大運動」の成功をめざし、さらに大きく燃え立たせて、この運動を全党の英知と力を結集して必ず成功させることを、心からよびかけるものであります。

■原点にたちかえり国民的意義をつかむ

 「大運動」の前進・飛躍をかちとるうえで、三つの点を強調したいと思います。

 第一は、「大運動」をはじめた原点にたちかえり、新しい情勢のもとでその国民的意義をつかむということであります。

 もともと三中総決定で「大運動」を提起した原点は、今日の情勢が日本共産党にもとめている大きな役割にくらべて党の実力があまりに小さい、この党の実力をつけることは、日本の進路と国民の利益にかかわる意義をもつというところにありました。

 三中総決定では、その国民的意義を四つの角度――(1)憲法改悪を許さない国民的多数派を結集できる党をつくる、(2)「二大政党制づくり」の動きを打ち破り、国政選挙で勝てる党をつくる、(3)地域・職場・学園で、国民と結びつき、要求にこたえてたたかう党をつくる、(4)新しい綱領を実現するために、青年・学生分野の活動の強化をはじめ、将来にわたって安定的に発展する党をつくる――から明らかにしました。これらは、総選挙のたたかいの教訓からも、また総選挙後に生まれた新しい政治情勢のもとでわが党の任務を果たしていくうえでも、いよいよ痛切なものとなっています。

 とくにここで強調したいのは、「しんぶん赤旗」の使命という問題です。「たしかな野党」の機関紙として、「しんぶん赤旗」が果たしている国民的使命は、かけがえのないものであります。総選挙後、党本部にかつてない数の「しんぶん赤旗」の購読申し込みがありましたが、読みたいという動機は、自民・公明の多数の議席獲得を目のあたりにして、「小泉政治の暴走に歯止めを」「この風潮を変えることのできる政党は、選挙中に主張に揺らぎのなかった共産党しかない」という声に集約されます。

 ほんらいジャーナリズムの使命は、あくまで国民の立場にたって権力を監視し、事実に即して批判することにあることは、国際的にも常識であります。ところが今日の日本では、少なくない商業メディアが、「小泉改革」への応援キャンペーンと、「二大政党」のもちあげキャンペーンに終始し、ジャーナリズムの生命ともいうべき「在野精神」の立脚点を放棄してしまっています。こうしたもとで、どんなタブーもなく真実の報道をつらぬく「しんぶん赤旗」は、闇夜のなかで輝く理性と良心の“たいまつ”ともいうべき役割を果たしています。

 いま「しんぶん赤旗」の編集委員会は、紙面改革のモットーとして、二つの「わかる」と、二つの「役立つ」――「政治がわかる」「世界の流れがわかる」「暮らしに役立つ」「運動に役立つ」をかかげて努力を重ねていますが、「しんぶん赤旗」を日本国民の世論に大きな影響をあたえる国民的メディアに成長させることが、いまほどもとめられている時はありません。

 あらためてすべての党機関と党支部が、「大運動」をすすめる国民的意義――党員を増やし、「しんぶん赤旗」読者を増やすことの意義を、原点にたちかえって、またそれぞれの自主的な政治任務・目標とのかかわりで、よく討論し、党大会をめざして前進・飛躍をはかるために力をつくすことを訴えるものです。

■難しい条件のもとで前進した経験に学ぶ

 第二は、この六カ月間の「大運動」で、難しい条件のもとでも、粘り強い努力をかさね、前進をかちとっている経験に学ぶということであります。

 私たちは、中央委員会総会の準備の過程で、「大運動」の六カ月間、党員、日刊紙、日曜版の三つの課題で前進している県と地区委員会に、直接お話をうかがい、教訓をよせてもらいました。つぎのような共通した教訓があります。

 ――一つは、党の政治・理論建設をつねに重視していることです。「大運動」の国民的な意義を、たえずそのときどきの情勢とのかかわりで新鮮に明らかにする政治的な意思統一を大切にしていること、党綱領の学習を系統的に追求していることは、すすんだ経験に共通した教訓であります。

 ――二つ目に、それぞれの党組織の政治目標と「大運動」の関係が明りょうにされています。選挙勝利の政治目標と党勢拡大の関係、要求実現とそれを担える党づくりとの関係などの形で、地区委員会から支部にいたるまで政治目標と「大運動」の関係が明確になっており、文字どおり自覚的運動としてすすめられているのが特徴です。

 ――三つ目に、さまざまな国民運動に意欲的にとりくむことと結びつけて、目的意識的に党勢拡大の努力をしています。憲法問題、増税問題など全国的なたたかいの課題とともに、地域・職場・学園の多面的な要求実現にとりくむことと一体に、党勢拡大の努力がはらわれています。三中総決定では、要求活動と党建設は、党活動を前進させる「二つの基本のとりくみ」とのべましたけれども、その重要性が、生きた経験のなかでしめされています。

 ――四つ目に、全支部・全党員の運動にしていくための一貫した努力がはらわれています。とくに、支部会議の全支部開催と定例化のための努力、職場支部への系統的な援助、困難な条件のもとにある支部に一つひとつ直接足を運び援助していることなどが、共通しています。

 ――最後に五つ目ですが、党員、日刊紙、日曜版の三課題の全体で、目標達成の構えを堅持しているということであります。この点で、とくに香川県の教訓は貴重であります。香川県からは、三課題のうち、“どれか一つでも”ということにならずに、三課題とも正面から目標達成を追求していることが、相乗的な効果を発揮して、運動の前進をつくりだしていると報告されています。

 これらのすぐれた教訓が、この六カ月間にも、まだ部分ですが生まれている。ここによく学び、大会にむけた運動に生かしたいと思います。この総会の討論でも、ぜひ、この間、みなさんがとりくまれた運動の苦労や教訓について率直に深めていただくことをお願いします。

■党の財政基盤強化のとりくみをしっかり位置づける

 第三は、「大運動」のとりくみのなかに、党の財政基盤強化のとりくみを、しっかりと位置づけることであります。

 党の財政問題は、中央でも、どの都道府県・地区機関にとっても、重要な課題になっています。

 わが党の財政基盤強化の根本は、党勢拡大の前進にあり、「大運動」の目標への挑戦を、この面からもしっかり位置づける必要があります。

 そのうえで、とくに二つの点を強調したいと思います。

 一つは、「しんぶん赤旗」購読料の未集金・滞納問題に目を向け、解決するということです。未集金・滞納問題は、何よりも読者のみなさんとの信頼関係にかかわる問題です。そして党財政の重要問題でもあります。「支部を主役」とした配達・集金体制の強化のための努力とあわせて、年末にかけて未集金・滞納を解決するための、独自の手だてと努力をはらうことをよびかけます。

 いま一つは、党費の納入の問題です。党費の納入というのは、一人ひとりの党員を大切にする党活動発展のバロメーターであるとともに、党の財政を根幹から支える意義をもつものです。新しく党にむかえた党員もふくめて、すべての党員と日常的に人間的な温かい結びつきをつよめ、互いに支えあう、連絡・連帯網の確立をはかり、100%の党費納入のための手だてをつくそうではありませんか。

 こうして財政的な基盤の確立という点でも独自の努力をはらいながら、「大運動」のとりくみを必ず成功させたいと思います。

■当面する選挙闘争について

 最後に当面する選挙闘争について報告します。

 つぎの全国的な政治戦は、二〇〇七年のいっせい地方選挙と参議院選挙となります。今回の総選挙での「善戦・健闘」の結果を土台にして、当面する中間地方選挙の一つひとつで勝利をつみかさねながら、いっせい地方選挙、参議院選挙での勝利にむけたとりくみを開始することが必要であります。

 三中総以後の中間地方選挙の結果は、東京都議選もふくめて、二百二の自治体で四百六十人が立候補し、三百三十一人が当選し、他に補欠選挙で六人が当選するという結果をおさめました。わが党は議席占有率で、6・26%から7・36%に前進しました。中間地方選挙で、一部に失敗もありますが、全体として前進の流れをつくりだしていることは、重要であります。東京都議選の教訓は、すでに七月六日の全国都道府県委員長会議でものべましたが、全都的に15・6%の得票率を獲得し、二人区での二つの勝利をふくめ十三の議席を確保したことは、貴重な成果でありました。

 年内には多数の中間地方選挙が予定されています。二つの県での知事選挙、二つの政令市長選挙、二市・六町でわが党与党の自治体の首長選挙がたたかわれます。議員選挙は、県都でたたかわれる佐賀市議選をはじめ、六十三市区・三十二町村・百六十五選挙区でたたかわれます。そのうち市町村合併にともなう議員選挙は七十八で、旧自治体数では二百五十二におよびます。これらの一つひとつの中間選挙で、革新・民主の自治体をまもり増やすこととともに、議員選挙でこれまでの前進の流れを絶やすことなく、さらに継続的に発展させることは、きわめて重要であります。

 二〇〇七年のいっせい地方選挙は、小泉政権による「三位一体改革」なるもののおしつけによって、地方財政がいっそうの困難におちいるもとで、どうやって住民の暮らしと福祉をまもるかが、大きな課題となります。道府県議会や政令市議会では、日本共産党以外の「オール与党」体制が支配的なもとで、この流れと対決して住民の利益をまもる日本共産党の役割と値打ちをどう浮き彫りにするかが、政治論戦の基本となります。いっせい地方選挙にむけて、候補者決定とたたかう体制の確立をいそぎ、議席と議席占有率で前進をかちとるために、系統的な活動をただちに強化したいと思います。

 現在たたかわれている神奈川の参議院補欠選挙は、総選挙とも違った新しい様相の選挙戦となっています。三つの陣営・三人の候補者のたたかいになっていますが、庶民大増税、憲法改悪に反対する唯一の政党・候補者が、日本共産党・はたの候補であります。さらに神奈川ではいま、米軍基地の再編強化を許すかどうかが全県的な大問題となり、県知事までが反対の声をあげていますが、県民の圧倒的な声を代表して基地強化反対の旗をかかげているのは、日本共産党・はたの候補だけであります。この選挙戦での勝利をめざして、神奈川の党と後援会の奮起を訴えるとともに、全国的な支援を強くよびかけるものであります。

 次期国政選挙――参議院選挙と総選挙をたたかう方針については、ひきつづき今回の総選挙の教訓を深めつつ、党大会で明らかにすることにします。つぎの国政選挙で本格的な前進をかちとるための最大の準備は、「大運動」の前進・飛躍にあることを銘記して、このとりくみに全党の力をそそぐことを、重ねて訴えて、報告といたします。