2004年10月23日(土)「しんぶん赤旗」

10・21中央集会での

志位委員長のあいさつ

(大要)


 二十一日夜、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた「普天間基地撤去、憲法・暮らし守れ、政治腐敗究明10・21中央集会」で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなったあいさつ(大要)を紹介します。


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あいさつする志位和夫委員長=21日、東京・日比谷野外音楽堂

 みなさん、こんばんは。(「こんばんは」の声)

 日本共産党を代表して、心からの連帯のあいさつをいたします。(拍手)

 まず冒頭、ここ十年来で最悪の被害者を出した台風23号の被害にあわれたみなさんに、心からのお見舞いを申し上げるとともに、政府にたいして、被災者のみなさんの救援と生活再建、そのために法律上の措置をとることを含めて万全の対策をとることを強く要求するものです(拍手)。また、たくさんの堤防が決壊して被害がでましたが、すべての河川と海岸の防災施設の総点検をただちにおこなうことを強く求めたいと思います。(拍手)

 さて、臨時国会の論戦にとりくんで痛感するのは、いま問われているどの熱い問題をみましても、小泉内閣・自民党政治が、「この日本をどうするか」について、国民に希望も展望も語れない。語る話といえば、国民の暮らしにさらに「痛み」を押しつける話、さらに「危険」を押しつける話だけだということです。政権党が、国民に未来への展望を語れなくなったら、退場してもらうしかないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

企業・団体献金――政党へのものもふくめいまこそ全面禁止にふみこめ

 まず政治とカネの問題ではどうでしょうか。日歯連からの一億円のヤミ献金問題とともに「迂回(うかい)献金」問題が、大きな問題になっています。年間五億円前後にのぼる日歯連から国民政治協会への献金の大半は、受取先の議員名を指定し、自民党本部を経由して各議員に流れる「迂回献金」だという疑惑が深刻になりました。これは、政治家個人への企業・団体献金を禁止した現行の政治資金規正法にてらしても悪質な脱法行為そのものです。(「そうだ」の声、拍手)

 私が、代表質問で総理にただしますと、「あってはならないことだ」と答弁しました。そこで、衆院予算委員会で、わが党の佐々木議員が疑惑の「動かぬ証拠」を示して追撃しました。国民政治協会が日歯連にあてて出した領収書に、「石原伸晃」「古賀」という手書きの名前が出てくるのです。首相もさすがに「調査」を約束せざるをえなくなりました。ヤミのカネの流れを、徹底的に糾明しようではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 ただここで強調したいのは、政治家個人へのカネは汚いが、政党へのものはきれいなカネになるのか。そんなことはありませんね(拍手)。どちらも企業・団体献金は同じ賄賂(わいろ)であることに変わりありません。いま日本経団連は、「法人税を下げろ」、「消費税を上げろ」などと、自分たちの要求の一覧表を発表し、その一覧表にそくして、自民党と民主党に“通信簿”をつけ、自分たちの意にかなった政党に企業献金をあっせんしようとしています。みなさん、これこそ、より悪質で、より大規模な、白昼堂々の賄賂政治そのものではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 みなさん、企業・団体献金は、政治家個人にたいするものだけではなくて、政党にたいするものも含め、全面禁止に踏みこめ――いまこそこの声をあげていこうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

庶民大増税のプログラムが盛り込まれた改悪年金法は白紙に

 暮らしの問題はどうでしょうか。

 改悪年金法の実施をこのまま許していいのかは、引きつづく国政の大問題であります。この間の論戦ではっきりしてきたことは、この法律の枠組みで政府がすすめようとしていることは、保険料の連続値上げと、給付の連続引き下げだけではないということなのです。実は、この枠組みのなかには、庶民大増税のプログラムも盛り込まれていることが明らかになりました。

 この法律は、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げることが大前提とされています。二分の一に引き上げるのは当然です。しかし、問題は財源です。

 私は衆議院の予算委員会での質問で、この二分の一への引き上げの財源に、「所得税・住民税の定率減税の縮小、廃止を考えているのか」と、小泉首相にただしました。首相は私の質問にたいして、「定率減税の縮小も一つの選択肢だ」とはっきりこたえました。

 みなさん、この「定率減税」は、かりに廃止しましたら、三・三兆円の大増税です。しかも、年収五百万円から六百万円、こういう中堅層――働き盛り世代の中堅層を直撃する、庶民大増税です。それをやることに道理があるでしょうか。私は、これは二重に説明がつかないと思います。

 第一に、そもそも基礎年金の国庫負担引き上げというのは、何のためのものだったのか。これは、五年前におこなわれた年金改定で法律に盛り込まれたものですが、その理由とされたのは、「働き盛りの世代の負担を軽減するため」というものでした。働き盛りの世代の負担を軽減するための国庫負担の引き上げの財源に、働き盛りの庶民のみなさんへの大増税をあてる。こんなにでたらめな、こんなに矛盾した話は、ないではありませんか。(拍手、「そうだ」の声)

 第二に、この「定率減税」というのは、実は、一九九九年に「恒久的減税」として実施されたものですが、そのとき、大企業減税と大金持ち減税も、“三点セット”で実施したのであります。その後、景気はどうなったでしょうか。大企業は、収益を九兆円も伸ばしました。家計の所得は十九兆円も減っています。大もうけしている大企業への減税はつづけ、これだけ減っている家計に追い打ちをかける。これも説明がつかないやり方ではありませんか。(拍手)

 保険料値上げと給付削減にくわえ、庶民大増税のプログラムまで盛り込まれた改悪年金法は白紙にもどせ、国民みんなが安心できる年金制度へのやり直しをはかれ、この声をみんなであげようではありませんか。(拍手、「そうだ」の声)

「定率減税廃止」から消費税大増税――この計画を許さないたたかいを

 同時に訴えたいのは、「定率減税の廃止」は大増税計画の第一段階だということです。第二段階に控えているのは、消費税の大増税です。

 民主党は、「年金財源」として消費税増税を公然と掲げ、自民党にその実現を迫りました。それにこたえて小泉首相は、十九日の質疑で、この提案を「評価」し、「三党協議」の推進をはかる立場を表明し、次のようにのべました。「年金保険料が15%を超える二〇〇八年までにはよい結論を見いだしたいという考えも理解できる」。どういう意味でしょうか。保険料引き上げは15%までにして、その先は消費税増税に舵(かじ)を切り替えよう。これは、日本経団連と連合が言っていることなのです。首相はこの「考え」に「理解」を示したのです。

 まず「定率減税廃止」で三・三兆円の庶民大増税、つづいて、財界や連合、民主党とも一体になって消費税の大増税をすすめる、このプログラムがすっかり明らかになりました。庶民の暮らしを破壊する大増税を許すな――このたたかいを全国津々浦々でおこそうではありませんか。(大きな拍手)

安保体制の強化でなく、安保をなくし基地のない平和な独立日本を

 米軍基地の問題も熱い焦点になっています。

 沖縄でのヘリの墜落はどうしておこったのか。市田書記局長が昨日の参議院予算委員会で、事実にもとづいて明らかにしました。墜落原因は、単純な整備ミスとされましたが、それがどうしておこったか。イラク戦争にむかうアメリカの艦船にのせるために、それに間にあわせようとヘリコプターの整備が「突貫作業」でおこなわれた。「三日連続で十七時間勤務」「睡眠不足で手の震えが止まらない」という状態だった。つまり「イラク戦争のために、日本国民の命を危険にさらしていいのか」。問われている問題は、この問題なのです。市田さんがこの問題を首相にただしたのにたいして、小泉首相は何も答えることができませんでした。

 日本の米軍基地というのは、世界に類がない異常な特質をもっています。沖縄の海兵隊、横須賀の空母打撃群など、海外遠征専門の「殴り込み」部隊がその中心となっている。こんな軍隊をおかせている国は世界にありません。みなさん、海兵隊と空母部隊群はアメリカに帰れ――この要求を、集会参加者の総意として日米両国政府につきつけようではありませんか。(大きな拍手)

 いま在日米軍の「再編」で大きな焦点となっている動きに、神奈川県・米軍座間基地に、ワシントン州にある米陸軍第一軍団司令部を移転させ、その司令官が在日米軍の四軍全体を統括する計画があります。陸軍第一軍団とは、アジア・太平洋、インド洋からアフリカ東海岸までを活動範囲としています。朝鮮戦争にも、ベトナム戦争にも、イラク戦争にも出兵した。有事のさいの陸軍の「殴り込み」部隊の中心です。その司令部がやってきて、司令官が在日米軍の全体を統括する。これは在日米軍の活動範囲を「極東」としている現行安保条約でも、とうてい説明がつかないことです。

 いま日本に求められているのは安保体制の拡大・強化ではありません。安保をなくし、米軍基地のない、本当の独立国といえる日本をつくることです。そのために力をあわせようではありませんか。(拍手)

希望がもてる日本へ――ゆがんだ政治を改革する国民的な運動を

 みなさん、政治とカネ、年金と大増税、米軍基地――どの問題をとっても、自民党政治は国民に展望が示せません。このひどい行き詰まりの根っこには、大企業奉仕、アメリカいいなりという政治の異常なゆがみがあります。

 展望を開く力をもっているのは、国民のたたかいです。あらゆる分野で国民の切実な要求を実現するたたかいをおこし、ゆがんだ政治を大もとから改革する国民的な運動を大きく発展させようではありませんか。国民がだれでも未来に希望と展望がもてる日本を築こうではありませんか。ともにたたかい抜く決意をこめて、あいさつとします。(「よし」「そうだ」の声、大きな拍手)