2003年10月29日(水)「しんぶん赤旗」
![]() 雨の中、不破議長の訴えに聞き入る聴衆=28日=東京・新宿駅西口 |
二十一世紀の日本の進路を問う第四十三回総選挙が二十八日公示され、十一月九日の投票に向けた選挙戦がスタートしました。日本共産党は、全国十一ブロックの比例代表区に四十七人(うち比例単独十六人)、すべての小選挙区に三百人が立候補、「政権選択選挙」の名による自民・民主両党による悪政の競い合いでなく、自民党政治の中身を大もとから変え、「国民が主人公」の新しい政治をめざします。志位和夫委員長は午前九時半から横浜駅西口で第一声をあげたあと、和歌山、大阪入り。不破哲三議長は夕方、東京・新宿駅西口で訴え、市田忠義書記局長は福岡、茨城、埼玉で、日本共産党への支持を呼びかけました。
「どの党も『改革』をいうが、だれのための改革か、ここをしっかり見分けてほしい」。東京・新宿駅西口での街頭演説でこう切り出した不破議長は、「改革」の名で国民の暮らしを破壊し続けてきた小泉政治の二年半を具体的に跡付けるとともに、財界・自民党がその次に計画している消費税大増税、憲法改悪の二大悪政のたくらみを告発しました。そして、この悪政と真正面から対決し、国民の暮らしのために働く政治、憲法を生かした平和で独立した日本への転換を求める日本共産党の改革を力説しました。
このなかで、憲法九条改悪が、憲法への気兼ねなしに戦争できるようにするためのもので、軍需産業で大もうけしようという財界の思惑もあることを指摘。憲法改悪が、自衛隊を海外派兵型の軍隊にするため大軍拡につながることに警鐘を鳴らしました。
一九九〇年から二〇〇一年までの間に、アメリカとその同盟国二十六カ国の軍事費は全体で二割減っていますが、そのなかで日本は二割増やし、軍事費総額はアメリカに次ぐ同盟国二位となっています。不破氏は、そのことを評価した米国防総省「共同防衛にたいする同盟国の貢献度報告」(二〇〇二年版)も紹介しながら、消費税増税が軍拡の財源という役割もになってゆくことを明らかにしました。
今までの政界では、こうした問題は選挙での大争点になっていました。しかし、自民・民主の「政権選択選挙」がいわれる今回の選挙では、両党が、消費税増税、憲法改定という同じ立場をとっています。
不破氏は「この事態の背景には財界の戦略がある」として、財界が、日本の政治をアメリカ型の二大政党制にはめこむ戦略にのりだし、民主党がそれに飛びついたことを指摘。「今度の選挙を契機に『政界地図』は変わった。財界が後押しする二大政党制づくりが姿を現してきた。そういうものに二十一世紀の日本の政治を任せられない」と力づよく訴えると、大きな拍手がわきました。
![]() 志位委員長と衆院選候補の訴えを聞く人たち=28日、大阪市・JR天王寺駅前 |
志位委員長は、他の党も「改革」をいうが、「財界が主役」「米国いいなり」という二つの政治の大問題に正面からメスを入れ、「国民が主人公」の日本をつくる改革を訴えているのは日本共産党だけだと強調。「『政権選択選挙』ともいわれるが、自民党と民主党は、中身をみれば『財界主役』『米国いいなり』という大枠では変わらない」と批判し、「古い自民党政治の大枠のなかで悪い政治を競い合う勢力を選ぶのか、それともその枠組みそのものを変えて『国民が主人公』の新しい日本をつくるのか−ほんとうの改革を願う声はこぞって日本共産党へとお寄せください」と力をこめました。
「政権選択選挙」「マニフェスト選挙」といわれるものも、背景には財界の政界大改造の戦略があると指摘。「金のひもをつけて意のままに働く保守の二大政党をつくる。それに代わるがわる政権を担当させ、消費税増税を国民に押し付け、改憲もやってしまう−このくわだてをきっぱり拒否する選挙にしていこうではありませんか」と訴え、「国民のためにも、平和のためにも、くらしのためにも、日本共産党が勝たなければならない選挙です。みなさんの大きなご支持をお願いします」と力をこめると、「がんばれ」という声援が次つぎに飛びました。
横浜での公示日第一声を終えた志位和夫委員長は、ただちに空路近畿入りし、午後三時からJR和歌山駅前での街頭演説に、下角つとむ比例候補と二人の小選挙区候補とのぞみました。時折雨がぱらつくなか集まった多くの人たちを前に訴えると、休む間もなく、列車で大阪・天王寺に移動。午後五時半すぎ、石井いく子、吉井英勝、山下よしき比例候補や四人の小選挙区候補とともに、JR天王寺駅前で訴えました。
志位委員長の話が進むにつれて足を止める人が最後まで増え続け、宣伝カーをコの字型に取り囲むように、歩道橋、デパート、駅ビルの回廊に人垣ができました。勤め帰りや買い物帰りに足を止めた人も多く、聴衆がふくれあがりました。
志位委員長は、比例選挙で日本共産党が五議席もつ近畿ブロックでのたたかいが大きな重みを持っており、公示日と翌日の二日間で近畿六府県全部を回って、近畿から日本共産党支持の大波を起こしていただくお願いにあがったとのべると、潮騒のように拍手の波が広がりました。
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