2003年7月24日(木)「しんぶん赤旗」

若者の雇用悪化 日本の未来の大問題

大企業に責任はたさせよ

党首討論 志位委員長が提起


 日本共産党の志位和夫委員長は二十三日の党首討論で、政府・与党が強行を狙うイラク特措法案の廃案に追い込むために最後まで力を尽くす決意を表明したうえで、異常な就職難やフリーターの急増など若者の雇用問題をとりあげました。


イラク特措法廃案へ全力

写真=党首討論にのぞむ志位和夫委員長

党首討論にのぞむ志位和夫委員長=23日、衆院第1委員室

 「大企業にたいして若者の雇用を増やすよう、本腰を入れて働きかけるべきだ」−志位氏は若者の雇用問題は「二十一世紀の日本の未来にかかわる重大問題の一つ」だとして、小泉首相の認識をただしました。

グラフ=正社員数の増減

 傍聴席で青年たちも聞き入った党首討論。志位氏が内閣府発行の二〇〇三年版『国民生活白書』を掲げると、注目が集まりました。「デフレと生活――若年フリーターの現在」と題し、若者の雇用問題に政府として初めて本格的な分析をくわえたリポートです。

 パート、アルバイト、派遣労働など、不安定な仕事を余儀なくされているフリーターが急増する要因について、フリーターのうち「正社員になりたい」と考える人の割合が七割をこえていることを示し、若者側より「どちらかといえば企業側の要因が大きいと思われる」と分析。大企業ほど、正社員の新規採用を抑え、パート、アルバイト、派遣におきかえる動きが顕著になっていることを指摘しています。

 志位氏は、一九九五年と二〇〇一年の比較で、中小企業が三万人の若者の正社員を増やす一方、大企業が百八万人も減らした実態をパネルで示しました。「異常な就職難、フリーターの急増という事態をつくった主要な原因は、企業側にある。とくに大企業の責任は重いのではないか」とのべ、政府として大企業にたいし本腰を入れた雇用増の働きかけを提起しました。

 小泉首相は、「確かにこれは看過できない大事な今後の問題だ」「ご指摘の点も踏まえて、今後雇用対策に力を入れていきたい」と答えました。

 志位氏は、『白書』がフリーターの急増が引き起こす問題として、(1)フリーター自身が、不利益を被ったり、不安を感じたりする(2)若年の職業能力が高まらなければ、経済の成長の制約要因になる(3)社会を不安定化させる(4)未婚化、晩婚化、少子化などを深刻化させる−の四点を指摘していることを紹介。若者の雇用問題が日本社会の再生産、存続自体を不可能にする事態を招くと警告しました。

 そのうえで、大企業が正社員を大幅に減らしながら労働時間を増やし、「サービス残業」もまん延している実態を告発。「サービス残業」を一掃しただけで、大企業で八十四万人の雇用が増えるとした第一生命経済研究所の試算もあげ、重ねて雇用増の働きかけを求めました。

 小泉首相は「政府として、各企業にたいしてできるだけ政府の指導にそうように、対策を立てている」と答えました。