2003年5月18日(日)「しんぶん赤旗」

安保・基地・日本外交を考える

沖縄人民党と日本共産党合流30周年でシンポ

志位、中江、新崎の各氏が発言

党沖縄県委


 日本共産党沖縄県委員会は十七日、日本共産党と沖縄人民党の合流三十周年を記念し、那覇市で「安保・基地・日本外交を考える」と題しシンポジウムを開きました。パネリストは、日本共産党の志位和夫委員長、平和市民連絡会の新崎盛暉共同代表、中江要介元中国大使の各氏。会場には、約五百六十人の参加者が詰めかけ、基地問題の解決の方向と、北東アジアの平和と沖縄県民の課題について、多角的に討論を交わしました。

 赤嶺政賢・党沖縄県委員長(衆院議員)のあいさつの後、パネリストの三氏が発言しました。

宜野湾市長らも出席

 シンポジウムには、伊波洋一宜野湾市長、翁長正貞西原町長、喜屋武馨北中城村長が参加し、紹介されました。


沖縄基地問題の解決方向を多角的に

志位、中江、新崎の各氏の発言

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日本共産党と沖縄人民党の合流30周年にあたり開かれた「安保・基地・日本外交を考えるシンポジウム」=17日、沖縄・那覇市

 十七日、沖縄・那覇市で開かれたシンポジウムでは、新崎盛暉氏、中江要介氏、志位和夫氏がパネリストとして発言しました。

 新崎氏は「沖縄は現代史のなかで日本の他の地域と違う歴史を体験しています」とのべ、地上戦と長期にわたる米軍支配を指摘。復帰の結果、在日米軍基地の75%が集中する結果となり、日米同盟の軍事的中枢とされてきたと強調しました。基地問題解決のためには「地域を超え、国境を超えてでも運動を広げる必要があります」とのべました。

 中江要介氏は「国際紛争を解決するために武力による威嚇、武力の行使をしてはならない。米国がイラクにやったことは、武力の行使です」と批判。一国覇権主義の立場をとる米国が深く関与している北東アジアでの平和の課題について「一国覇権主義に反対し、これを排除する地域安全保障のしくみをつくることです」と提起。その実現への障害として、(1)朝鮮半島、台湾海峡の問題をあげて、戦後処理が終わっていない(2)政治的地域的役割を果たすべき日本が地域から信頼されていない−と指摘しました。

 志位和夫委員長は、▽世界の平和の流れと「沖縄の心」▽基地問題をめぐるたたかいの焦点▽基地問題と日本外交の転換−について発言しました。

 このなかで、イラク戦争をめぐって米国が国連を舞台にした外交では二度にわたって敗北した事実と、平和と理性の立場にたつ諸政府の動き、それを支えた地球的規模の空前の反戦運動の意義を強調。一方で、イラク戦争「反対」が沖縄県民の中で九割に達したことなどに触れながら、「平和を願う『沖縄の心』は世界の平和の流れと共鳴しています。ここにこそ未来があります」と強調しました。

 沖縄米軍基地の固定化・強化の二つの焦点である普天間基地と那覇軍港の「県内たらい回し」の問題点とたたかいの意義を解明。そのうえで米国が沖縄の基地を、その世界戦略を進めるための地球的規模の「要石」と位置付けていることを強調し、基地と安保とが不可分の関係にあると話をすすめました。

 一九七一年に琉球政府の屋良朝苗主席が「祖国復帰にあたっての建議書」で「(沖縄が)反対している基地を必要とする安保には必然的に反対せざるを得ない」とのべたことを紹介。沖縄の革新勢力が掲げてきた「基地のない平和な沖縄」と「安保のない独立した日本」の展望とが深くかかわっていることを力説しました。

 参加者から「北朝鮮の『脅威』をどうみるか」」「外務省はなぜ米国にまともに要求できないか」などの質問が出され、パネリストはていねいに答えました。

 最後に志位氏はまとめの発言で、沖縄へのメッセージとして、九五年の少女暴行事件をきっかけにした県民のたたかいが、日本国民の世論も動かし、このとき安保反対が多数派になったことを指摘。「一つにまとまった沖縄県民の力は、偉大な力を持っています」とのべ、会場から拍手が送られました。

 浦添市の屋嘉洋喜さん(20)は「沖縄の平和運動は、有事法制反対でも基地反対でも世界的にみても重要な位置を占めると実感しました。戦争のない世の中をつくっていく過程を自分たちが取り組んでいると感じました」と話していました。

 沖縄の反戦地主会の照屋秀伝会長は「有事法制でも全国的問題ととらえるとともに、沖縄が発動の拠点なんだと改めて感じました。沖縄で大きな問題にして、日本全体に広げていこうと思いました。党派を超えた地域のたたかいが重要だと実感しました」と話していました。


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