2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」

東京都知事選あと5日

「東京燃ゆ」で若林さん勝利を

平和、くらし、まともな都政への願いひとつにあつめよう

池袋1万2千人 志位委員長が情熱の訴え


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若林義春都知事候補への支持を訴える志位和夫委員長の演説に足を止めて聞く人たち=8日、東京・池袋駅東口

 大激戦のまま最終盤を迎えた東京都知事選(十三日投票)で、日本共産党の志位和夫委員長は八日、池袋駅東口の街頭演説で、若林義春知事候補を応援。「あと五日間、『東京燃ゆ』の状況をつくり、春をよぶ素晴らしい勝利をかちとろう」と呼びかけると、降りしきる雨のなか、駅頭を埋めた一万二千人の聴衆から、「そうだ」の声や指笛、拍手がいっせいにあがりました。

 若林氏は、イラク戦争容認、冷酷な福祉切り捨てを行った石原知事を厳しく批判し、「都民の痛みがまったくわからない石原さんに、これ以上、都政をまかせるわけにいかない」と訴え。「戦争か、平和かの大激動の時代のなかで、政治の新しい流れをいっしょにまきおこし、新しい歴史の一ページを開こう」と呼びかけ、熱い拍手を浴びました。

 志位委員長は知事選の論戦の到達について、「都民の願いをたくせる候補は、ただ一人若林さんだけであることが明りょうになりました」と指摘。(1)平和の知事を選ぶのか、戦争賛成の知事を選ぶのか(2)暮らしを痛めつける国の悪政にどういう態度をとるのか(3)「都民の福祉と暮らしを守る」という地方自治体の根本をなによりも大切にするのか、投げ捨てるのか――の三点にわたって、若林候補の勝利の意義を訴えました。

 第一の問題で、イラク戦争によって、罪なき市民の命と、国連憲章にもとづく平和のルールという、二つのかけがえのないものが犠牲にされていると糾弾。イラク戦争反対を堂々と主張する若林候補に厳しく批判された石原知事が「戦争に賛成するばかはいない」と言い訳を始めたことに触れ、同知事が「イラクを淘汰(とうた)する戦略は誤りでない」など戦争賛成発言をした事実は消せないと指摘しました。

 さらに石原知事が米紙のインタビューで、イラク戦争を支持する理由に「(北朝鮮が)同じ運命に直面していることを悟るだろう」とのべたことをあげ、「北朝鮮問題の解決は、あくまで平和の手段ではかられるべきで、絶対に武力行使や武力の威嚇に訴えてはならない。それを平然と口にし、イラク戦争支持の理由とする人物に知事の資格はありません。戦争賛成知事はお引き取りを。若林さんへの一票こそ、平和の願いを生かすたしかな一票となります」と訴えました。

 第二の問題で、「石原知事は『東京から日本をかえる』がスローガンだが、実態はどうか」と問いかけた志位氏は、中小企業をつぶし、国民に巨額の負担増を押しつける小泉内閣の「構造改革」路線について、新聞アンケートで「支持しない」ときっぱりのべたのが若林さんだけで、「国とたたかう」と繰り返す石原知事が「どちらとも言えない」、女性評論家の候補が「ある程度評価する」と回答したことを指摘。

 石原知事が、医療費三割負担を「国民に適正な負担を求めたもの」と国を擁護していることをあげ、「『国とたたかう』どころか『国いいなり』ではないか」と批判。「若林さんが知事になれば、まさに東京から日本の政治を動かす力になることは間違いありません」と訴えました。

 第三の問題で志位氏は、石原知事と対照的な若林候補の政策と立場を、福祉、教育、巨大開発に対する態度から鮮明にしました。

 福祉切り捨てを批判し充実への転換を主張する若林候補に対し、福祉を「ぜいたく」と敵視する石原知事が「ばかの一つおぼえみたいに反対しかない」と悪ばをなげつけるだけで、反論も弁明もできなくなっていると強調。マスコミも、若林候補を「三十人学級の導入」を掲げる唯一の候補であることを紹介しているのに対し、石原知事が「児童生徒が社会性を養うための生活集団として、…引き続き四十人学級とする」と、父母の願いに背を向ける態度をとっていることを批判。また、三人の有力候補のうち、公共事業費削減をきっぱり打ち出しているのが若林さんだけであることを力説しました。

 都民の願いにこたえる政策を示せるのが若林さん「だけ」なのは、石原知事の悪政が、事実上の「オール与党」との二人三脚ですすめられてきたもとで、正面から対決を貫いたのが日本共産党だけだったからだと強調。女性評論家候補が、石原都政を変える立場をもたず、石原知事も「自分とあまり違いがはっきりしない」とのべていることを紹介し、「若林さんで、春を呼ぶ素晴らしい勝利を勝ちとろう」と呼びかけると、聴衆から大きな拍手と声援がわきおこりました。

 五代儀(いよぎ)隆さん(61)は「政策論争から逃げている石原知事を捕まえるため、一人でも多くの人に対話を広げていきたい」と力をこめて話していました。