2003年3月28日(金)「しんぶん赤旗」

対決軸は明りょう――石原都政と「オール与党」の流れか日本共産党・若林さんで都政の大改革か

東京・新宿駅西口での 志位委員長の第一声(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が、東京・新宿駅西口での都知事選第一声で行った演説(大要)は次の通りです。

 みなさん、おはようございます。日本共産党の志位和夫でございます。今日は駅前いっぱいの、こんなに多くのみなさんが、足を止め、聞いてくださいまして、まことにありがとうございます。(拍手)

 いよいよ都知事選挙が始まりました。日本共産党公認の若林義春さんを、どうか都民のみなさんの良識を集め、押し上げていただきたい。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

戦争勢力にかつがれた戦争賛成知事は退場を憲法を大切にする平和の知事に

戦争開始後も世界と日本で広がる戦争反対の力づよい声

 みなさん、今度の選挙は、イラク戦争という、世界の大激動のただ中でたたかわれる選挙となりました。いま、この瞬間にも、罪なき民間人の犠牲が刻々と増えるという、激しい戦争となっています。私は、日本共産党の若林義春さんの勝利で、平和を願う都民の声を世界にしめす選挙にしようではないかということを、まずみなさんに訴えたいと思うのであります。(拍手)

 戦争開始後も、世界で、日本で、戦争反対の世論と運動がどんどん広がっております。

 アラブ世界の怒りは、沸騰状態です。アラブ諸国で構成するアラブ連盟は、緊急の外相会議を開いて、「米英の侵略を非難する」、「すべての侵略軍の即時、無条件撤退を要求する」という宣言を出しました。

 戦争をおこなっているアメリカ、イギリスでも、批判の声は広がっています。あの同時テロの犠牲となったニューヨークでも三十万人の反戦デモが行われ、ニューヨーク市議会は、「先制攻撃の戦争に反対」する決議をあげました(拍手)。ロンドンでは、百万人の大規模な反戦のデモンストレーションがおこりました。

 そして日本でも、連日のように、数千人、数万人の規模の、平和を求める運動が広がっています。先日は、高校生が平和大集会を東京で開いて、全国から千二百人の高校生が集い、テレビでも放映されておりましたけれども、「戦争反対」「ノー・ウオー、ノー・ウオー」と口々に叫んで行進をしておりました。私は、その姿を見て、胸の熱くなる感動を覚えました。

世界の平和秩序くつがえす――これを許せば恐怖と無法に支配される

 みなさん、こういう運動が、戦争が始まっても、とどまるところを知らず広がるのは、この戦争がひとかけらの道理もない、まさに国連憲章を正面から踏み破る、世界の平和のルールを覆す、無法な犯罪行為であることをしめしているのではないでしょうか。(拍手)

 国連憲章では、武力行使を禁止しています。例外は二つしかありません。一つは、侵略がおこなわれた際の自衛の反撃です。もう一つは、国連安全保障理事会が決定した場合です。

 しかし今回、イラクがどこかの国を侵略していたという事実はありません。国連安保理決議で、戦争を合理化できる、戦争を容認する決議は、何一つありません。この戦争が、国連憲章をじゅうりんした先制攻撃の戦争であることは明りょうであります。

 しかも、ブッシュ大統領は、この戦争の目的を何と言っているか。大量破壊兵器の問題は、どこかにいってしまいました。いま言っているのは、「フセイン政権の打倒」と「中東の民主化」です。

 しかしみなさん、フセイン政権がどのような問題を持っている政権だとしても、イラクの政権のあり方を決める権利を持っているのは、イラクの国民だけというのが、世界のルールではありませんか。(拍手)

 「中東の民主化」と言えば聞こえはいいけれども、この言葉のもとで、アメリカ流の政治システムこそ唯一絶対の正義だとふりかざし、中東諸国にそれを押しつけるというのは、絶対にやってはならない暴挙ではないでしょうか。(拍手)

 私は、この戦争は、国連憲章できびしく禁止されている、主権侵害、内政干渉の侵略戦争であるということを、怒りをこめて糾弾したいと思うのであります。(拍手)

 みなさん、こんな戦争が許されれば、ことはイラクだけではすみません。ブッシュ大統領はこう言いました。「テロリスト国家が相手の戦争は、攻撃を待つのは自殺行為だ。やられる前に攻撃する」──こう言って、イラク戦争を合理化したのです。これがアメリカの方針なのです。

 しかしみなさん、アメリカが、「この国はテロリスト国家だ」「この国はならず者国家だ」「この国は大量破壊兵器を持っているかもしれない」と決めつければ、一方的な攻撃ができる、先制攻撃ができる、これこそ私は「ならず者」の態度だと思いますが(「そうだ」の声、拍手)、こんなことが許されたら、世界は恐怖と無法が支配するはるか昔の時代に戻ってしまいます。

 イラク戦争のつぎは、一体どこなのか。これが言われております。アメリカはすでに、先制攻撃の対象の国のリストに、たとえばイラン、北朝鮮、シリアなどを名指しであげています。

 みなさん、人類が長年にわたって多くの犠牲をへてうちたてた平和のルールを覆すこの暴挙を、断じて許すなの声をつきつけようではありませんか。(拍手)

罪なき人々の犠牲――「援助よりも空爆中止を」の声を聞け

 そして、世界がいま、心を痛めているのが、罪なき民間の人々の犠牲であります。毎日のように、民間の死者の報道が次々と飛び込んでまいります。

 イラク南部の都市バスラでは、クラスター爆弾という、空中で破裂して子爆弾を広範囲にばらまいて殺傷する残虐兵器が投下され、子どもを含めて五十人が死亡したと伝えられました。

 昨日の報道では、バグダッドの中心部で、住宅街と市場が爆撃され、二十九人の市民の死者が出たと伝えられました。これを報じた日本のメディアは、「これはもはや誤爆とはいえない。無差別殺りくだ」と告発しました。

 ユニセフ(国連児童基金)は、とりわけ、子どもたちの犠牲を告発しています。バスラではいま、ライフラインが切断され、水が供給されない。ユニセフによると、「五歳以下の子どもたち十万人が危険な状況」とのことです。ユニセフのベラミー事務局長は、イラクの総人口二千三百六十万人の半数、千百三十万人が、十八歳以下の子どもたちだと言っています。イラクに住んでいる半分は子どもたちなのです。そして、「イラクの子どもたちの四人に一人は栄養失調であり、八人に一人が五歳までに死亡する。一番傷つきやすい状態にあるのは子どもたちだ。戦争は子どもたちにもっとも大きな犠牲を強いる」と批判しています。

 ユニセフの職員が、イラクの児童施設を訪問して、「ほしいものはありませんか」と子どもたちに聞いたそうです。それにたいする答えは、「空爆をやめてほしい」だったそうです。「援助よりも空爆を中止してほしい」──ブッシュ大統領はイラクの子どもたちのこの声を聞くべきであります。(拍手)

 みなさん、「イラク戦争をただちに中止せよ」という声をあげ、行動しようではありませんか。(拍手)

 そして、知事選挙では、みなさんの平和への願いを日本共産党の若林さんにどうか託してください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

米国言いなりと反戦運動敵視――自民、公明など戦争勢力に審判を

 みなさん、イラク戦争にたいして、小泉首相、自民党、公明党などが、恥ずべき「戦争支持」を表明しました。私は、この勢力に共通するものが二つあると思います。

 一つは、アメリカいいなりの思考停止です。

 みなさん、小泉首相は、なぜ「戦争」なのか、なぜ「支持」なのか、国民に納得のいく説明は、何一つできないではありませんか。(拍手)

 小泉首相というのは、もともと言葉がむなしい人でした。スローガンはいえても、論理建てて国民のみなさんに説明することができない人でした。しかし、今度の戦争については、ますます言葉がむなしいですね。それには理由があります。小泉首相がしゃべっていることは、ブッシュ大統領のしゃべっていることを、ただ日本語に訳しただけだからであります(拍手)。ブッシュ大統領の恥ずべき“スピーカー”となっているのが、小泉首相ではないでしょうか。(拍手)

 そしてもう一つ、この勢力に共通することは、平和の運動、平和の声を、敵視することです。

 小泉首相は、平和の動きにたいして、「イラクを利する」と敵視発言をおこないました。公明党の幹事長にいたっては、戦争反対は「利敵行為」とまでいいました。イラク戦争が始まった夜の緊急の衆院本会議では、公明党の幹事長が、壇上に立って、「口で反戦、平和といっても、平和はつくれない」とまたもや敵視発言をした。みなさん、これが正真正銘の「平和の敵」ではないでしょうか(拍手)。私はこの党は「平和の党」という看板をとっととはずしたらいいと思います(拍手)。「戦争の党」という看板にかけかえたらどうでしょうか。(拍手)

 戦争勢力への審判をくだす選挙にしようではございませんか。(拍手)

イラク戦争ただちにやめよ――平和の声を若林さんに

 石原知事は、戦争賛成の姿をあらわにしています。

 戦争の前に、知事は「アメリカの行動を容認すべきだ。平和のためにイラクを淘汰(とうた)することはまちがっていない」とのべました。開戦後に知事は、「イラクは義務を果たしてこなかった。米国に法的根拠という合理性があるのでしょう。戦争はいやだいやだの情緒だけですむものではない」。こう言いました。アメリカいいなりの思考停止、そして平和の声の敵視、ここにも同じ姿があるではありませんか。

 みなさん、戦争勢力にかつがれた戦争賛成知事には退場をねがおうではありませんか(拍手)。憲法を何よりも大切にする平和の知事、若林さんにかわってもらおうではありませんか。(大きな拍手)

石原都政――自治体ほんらいの仕事を投げ捨て、巨大開発に熱中こんな「逆立ち」都政をつづけていいのか

福祉費予算の削減――これがどういう事態をまねいているか

 みなさん、今度の選挙は、四年間の石原都政が問われる選挙です。

 この四年間、石原知事は、大銀行への課税とか、ディーゼルへの規制とか、都民のみなさんの要望にそくした施策もやりましたが、それはごくごく一部分でした。福祉と暮らしを守るという、地方自治体の根本を、こんなに乱暴に踏みにじった知事はいないと思います。福祉費予算を四年間で6%削った。三百三十億円も削減した。大都市をもつ自治体では類の無いひどさです。

 シルバーパス、老人医療費の助成、老人福祉手当の切り捨て、これが次々に強行されました。「経済給付的事業はいらない」というのが、石原知事の持論だそうであります。

 しかし、これがいったいどういう事態をまねいているのか。たとえば、老人福祉手当の切り捨ては、たいへんな苦しみをもたらしています。これは、寝たきりのお年よりをお世話しているご家庭への給付事業として取り組まれてきたものですが、今年の四月から全廃となります。切り捨ての「理由」とされたのは、「介護保険の導入」です。しかしみなさん、介護保険の実態を見てください。高すぎる保険料。高すぎる利用料。そのもとで所得の少ない介護世帯では、在宅では支えきれない。そのときに命綱だったのが福祉手当ではありませんか。命綱が断たれて、泣く泣く夜間の巡回ヘルパーさんをお断りしなければならない。訪問看護をお断りしなければならない。家族が介護疲れでくたくたにされている。みなさん、お年よりを踏みつけにするこんな冷酷な福祉切り捨ては、絶対に許すわけにはいかないではありませんか。(拍手)

保育所への責任放棄――企業のもうけの対象にしてはならない

 保育所への責任放棄も重大であります。いま東京都の保育所がほんとうに深刻な危機にさらされています。

 区市町村や社会福祉法人がおこなう「認可保育所」から、営利企業中心の「認証保育所」というものに切り替える動きがすすんでいます。しかし、「認証保育所」というのは、保育料は高い、施設が狭い、がんばって働いている保育士の方々の労働条件も悪いなど、さまざまな問題があります。しかも、この「認証保育所」という方式で、保育を営利企業のもうけの対象にするうえで、「認可保育所」がじゃまになる。そこで都は補助金を減らし、保育料を値上げして、公立直営保育所を廃止する、こういうことが内部で検討されています。

 いったい、石原知事は児童福祉法を読んだことがあるのでしょうか。その第二条にはこう書かれています。「国及び地方公共団体は、…児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」。みなさん、保育は国と自治体の直接の責任なのです。この責任放棄は許せないことではありませんか。(拍手)

「都市再生」の名で巨大開発――環境破壊と、暮らし圧迫もたらす

 その一方で、石原知事は、「都市再生」と称する大規模開発に熱中しています。業務ビルがあまって大変だといわれているのに、都心を中心に五十五階建ての超高層ビルを五十もつくる計画がすすめられています。一メートル一億円の高速道路を六十?つくる計画もすすめられています。

 これが東京の生活環境を破壊することは、火を見るより明らかです。業務ビルだけで、都内の二酸化炭素は6%増える。二十四万台の自動車を都心によびこむことになる。そして、巨額の税金の負担は、都民の暮らしを圧迫し、財政破たんをひどくすることになります。

 みなさん、自治体は何のためにあるのかが、いま問われているのではないでしょうか。たとえ、国がやらなくても、福祉と暮らしのための独自の仕事をやってこそ、自治体といえるのではないでしょうか(拍手)。保育など、企業のもうけ第一主義にまかせることのできない分野については、直接に責任を果たしてこそ自治体といえるのではないでしょうか。(拍手)

 自治体本来の仕事を投げ捨てて、巨大開発に熱中する、こんな「逆立ち」都政を続けていいのかどうかが、こんどの選挙で問われています。

石原氏の公約――「逆立ち」都政をもっとひどくする宣言が

 石原さんの公約を拝見しました。

 そこには、この「逆立ち」の道をもっとすすめるということが、のべられています。そこには、都民福祉についてのまともな具体的施策は、書かれていません。冒頭に出てくる公約は「都市の再生から始める都民福祉の充実」ということです。つまり、「都市再生」の名による巨大開発が最優先であり、福祉は後回しにするということを宣言しているのです。福祉の仕事は、「都市再生」、つまり高層ビルを五十建てる、高速道路を六十?つくる、これをやってからだというわけです。福祉の仕事は後まわしにするというのがこの宣言です。石原さんのつぎの四年間の任期中は、福祉はいっさいやらないという宣言にひとしいではありませんか(拍手)。こんな都政をさらに四年間も続けていいのか。

 石原さんの公約の最後を結んでいるのは、「第二次財政再建に着手」するという公約です。あのシルバーパスなどの切り捨ては、「第一次」だったというわけです。「第二次」があるという。私学助成、市区町村への補助金、民間社会福祉施設への補助金の切り捨てなど、やりのこした暮らしの切り捨てを強行しようという宣言が、ここにはあるではありませんか。こんな知事はお断りです。福祉と暮らしをまもる若林さんに、どうしても交代してもらわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)

日本共産党の若林さんでこそ、都政の大改革ができる

福祉と暮らし切り捨ての冷酷な都政は、「オール与党」との二人三脚で

 みなさん、日本共産党の若林さんでこそ、ほんとうの都政改革ができます。それには理由があります。

 この四年間、都民のみなさんの運動と手を携えて、石原都政の間違った政治と正面から堂々と対決し、都民の暮らしをまもるために奮闘してきた実績が、日本共産党と若林さんにはあるからであります。(拍手)

 石原知事の女性蔑視(べっし)、障害者蔑視の発言についても、都議会でこれを徹底的に糾明したのは、日本共産党都議団だけでした。

 福祉と暮らし切り捨ての冷酷な都政は、石原知事一人がやったのではありません。事実上の「オール与党」と二人三脚でやったというのが、事実であります。

 自民党、公明党、民主党、ネット――そろって石原知事とともに福祉切り捨てを推進しました。そろって石原知事の予算案に賛成しました。そろって「石原与党」であります。

若林さんの公約には、4年間のたたかいの生きた裏づけがある

 四年間の都議会で、正面からこの冷酷な都政と対決し、堂々と都民のみなさんの声を代弁して反対を貫いたのは、日本共産党だけというのが事実ではありませんか。(拍手)

 その東京の日本共産党の責任者の若林さんだからこそ、先ほどお話があったように、石原都政のどこが問題で、どう変えるべきかを、都民の立場で堂々と打ち出せるのではないでしょうか。(拍手)

 若林さんが先ほどのべた公約には、四年間の生きたたたかいの裏づけがあります。日本共産党の若林さんでこそ、都政の大改革ができます。どうかその願いを託してください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

女性の評論家――石原知事、「石原与党」と同じ流れに身をおく候補には、「都政を変えたい」の願いはたくせない

「石原与党」に支持をもとめて、どうして「対立軸」となりえるか

 さて、この選挙には、女性の評論家の候補者も立候補されています。その公約を、私は拝見いたしました。そのなかには、現知事の政治姿勢などについては批判もあるようですが、率直にいいまして、石原都政の中身については批判がありません。石原都政の中身のどこが問題で、どう変えるかは一言も出てきません。私は、現状批判がないところには、本当の改革もないのではないかといわなければなりません。(拍手)

 女性の評論家の候補者は、民主党に支援を求め、民主党の支持をとりつけました。民主党は、国政では野党ですが、都政では四年間、石原知事の予算案に賛成し続けた「石原与党」であります。

 さらに、この候補者は、「自民党さん、公明党さんも支持していただきたい」とのべたそうであります。私は、石原知事と二人三脚で福祉切り捨てをすすめてきた「石原与党」に支持を求めて、どうして「対立軸」となりえるのかということをいわなければならないと思います。(拍手)

保育所を民営化、介護手当に反対――これでは冷たい都政は変えられない

 みなさん、この態度は偶然ではありません。この候補者は、都政でいま問われている焦点の問題について、石原知事、「石原与党」と同じ流れに身を置いてきた人であります。

 私は、二つの事実を端的にここでみなさんにご紹介したい。

 一つは、保育所の問題であります。この候補者は、政府の「男女共同参画会議」の専門調査会の会長をつとめて、二〇〇一年六月に「提言」をまとめています。そのなかで、「新設保育所については…、企業、NPO(民間非営利団体)等をはじめ、民営でおこなう」。こうはっきり書いています。こういう「提言」をまとめ、小泉首相に提出し、小泉首相は何といったか。「これは暮らしの構造改革だ」。こういうお墨付きをもらった。これが二〇〇一年の六月です。石原知事が、認証保育所の第一号を実施したのが同じ二〇〇一年の八月です。同じ時期に、政府の審議会の専門調査会の会長として、保育所の民営化の旗振りをやっていた。この事実をまず指摘したいと思うのであります。(拍手)

 もう一つ指摘したい問題は、介護手当に対するこの候補者の態度です。

 この人が、自治体の介護手当を目の敵にし、反対の論陣をはり続けてきたということはよく知られています。

 たとえば、一九九五年の十二月に政府の「老人保健福祉審議会」でこういう発言をしています。「高額の介護手当を支給している東京都」、こういって東京都の老人福祉手当をやり玉にあげて、「寝たきり状態を継続させる方が現金給付を受けられるので、高齢者の自立を阻害する」。こういって、老人福祉手当は反対だという論陣を、政府の審議会ではったのが九五年です。そしてこの制度の切り捨ての案を青島前知事が出したのが九七年。石原知事によってたち切られたのが二〇〇〇年でしょう。みなさん、このさきがけとなる発言を政府の審議会でやっているのです。

 だいたい、みなさん、介護手当が欲しいから、大事なご家族を寝かせきりにしておくなどという家族があるでしょうか。これは、およそ、庶民の介護の現場の苦しみを知らないものだといわなければならないのではないでしょうか。(拍手)

 私は、この候補者には、「都政を変えたい」という都民の願いを託すことはできないということを、はっきりこの場で申し上げておきたいと思うのであります。(大きな拍手)

「都政を変えたい」――立場の違いこえ、この願いを一つにあつめ若林さんの勝利をかちとろう

反石原の流れが二つにわれたのではなく、「石原与党」が二つにわれた

 みなさん、今度の選挙は、三人の候補者が立っているようでありますが、反石原の流れが二つにわれているのではありません。「石原与党」の流れが二つにわかれているというのが、ことの真相ではありませんか。(拍手)

 対決軸は明りょうです。石原都政と「オール与党」の流れか、それと正面から対決をつらぬき、都政の転換を訴えてきたみなさんがた都民の運動と日本共産党の共同の流れか、これが対決軸であることは明りょうではないでしょうか。(拍手)

 いま、若林さん、若林さんという支持が、期待が、党派の垣根を超えて広がっています。文化人、知識人の著名な方々が、そろって声をあげました。女性分野からも著名人が、連名で若林さんへの期待のメッセージを出しました。みなさん、政党支持の違い、立場の違いを超え、平和の願い、暮らしの願い、そして「この都政を変えたい」という願いを一つに集め、若林さんの勝利を必ず勝ち取り、都政の大改革をみんなの力でやりとげようではありませんか。以上をもって、私の訴えを終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。(歓声、大きな拍手)