2003年2月19日付「しんぶん赤旗」南関東版に掲載

〔HP限定〕

日本共産党の躍進で、千葉県でも「自治体らしい自治体」への希望ある変化を

千葉市での日本共産党演説会 志位委員長の訴え(2003年2月15日)


 十五日、千葉市内(ポートアリーナ)で開かれた日本共産党演説会で、志位和夫委員長が訴えた、地方政治にふれた部分の大要は次のとおりです。

日本共産党と無党派の方々が共同すれば政治は変えられる

 さて地方政治の問題です。全国を歩きますと、地方政治では、自民党政治はいよいよゆきづまってしまっている。そのなかで「自治体らしい自治体」をとりもどそうという新しい流れが広がっていることを実感します。
長野県では田中県政のもとで、無駄な巨大開発からの脱却が大きく前進しています。徳島県では、日本共産党が与党の大田県政が、それまでの腐敗した県政を刷新する大仕事に取り組んでいます。高知県でも橋本大二郎知事のもとで、同和行政の乱脈にメスを入れる改革がすすんでいます。
東北の変化も注目すべきものがあります。昨年から今年にかけて、つぎつぎと共産党員の市長さん、町長さんが誕生しました。まず秋田県の湯沢市で共産党員の市長さんが誕生した。これは保守の方々とも協力して選挙で堂々と勝利をおさめ、介護保険の利用料の減免や、国保料の値下げなど、すでに大きな成果をあげつつあります。これは東北全体に大きな衝撃をあたえました。つぎに、福島県の霊山町で共産党員の町長さんが誕生しました。今年に入って、岩手県の陸前高田市で共産党員の市長さんが誕生しました。ここでは、大型の箱もの建設に、巨額の税金を使うのは反対ということで、保守の方々もふくめた共同のたたかいがおこり、現職を四期も務めた相手を打ち破って勝利した。「黒塗りの公用車をなくす」というのを公約にして、新市長さんがおととい初登庁した。軽トラックで(笑い)。これをみて、「市政が生まれかわったなあ」という市民の期待がひろがっていると聞きました。全国のあちこちで、日本共産党と無党派の方々が力をあわせれば政治は変えられるという、新しい希望ある流れが起こっているということを、みなさんにご報告したいのであります。(拍手)


堂本県政――自民党型政治は変わらないどころか、さらに悪い方向に

それでは千葉県はどうでしょうか。千葉県では、二年前に堂本県政が誕生しました。この選挙で自民党の候補が敗れたことは、「自民党県政を変えてほしい」という県民のみなさんの思いのあらわれであります。しかし、知事がかわって千葉県の自民党型県政が変わったか。これは事実にそくして検証してみる必要があります。
結論から先に言いますと、一部には前向きの変化がありますが、全体を見ますと変わらないどころか、さらに悪い方向にすすもうとしている。これが事実なのです。「県民が主人公」の方向に県政を転換させるためには、日本共産党を躍進させることがどうしても必要だということを、訴えたいのであります。(拍手)

巨大開発優先――ここにメスを入れる勇気なくては、県民の暮らしは守れない

 

私は、いくつかの角度から、事実にてらして県政を検証してみました。まず、千葉県では、全国でも悪名高い巨大開発優先の政治がずっとやられてきた。これはどうなったでしょうか。結局、従来の道を、継承し推進する姿勢は変わっていません。


「かずさアカデミアパーク」――外部機関が「見通しなし」と判定しているのに

たとえば、「かずさアカデミアパーク」です。この事業については、この間、県が外部の第三者機関に、事業の評価を求めたのです。その結果、昨年三月にこういう報告書が出ています。「包括外部監査結果報告書」というものです。この報告書では、事業にたいして、ひじょうにきびしい評価をくだしています。
「(「かずさアカデミアパーク」の企業誘致は)施設が完成し操業中のものはわずか一件、建設中のものも計三件と、企業等の立地は進んでいない」「二十一世紀初頭には就業者及び就学者を約一万八千人と見込んでいたが、・・・現在でもわずか数百人の就業者数にすぎず、計画の実現は著しく遅れている」「アカデミアパーク構想全体の実現は、現時点においては非常に難しい状況といわざるを得ない」「現状のままでは、今後も多額のランニングコスト(維持管理費)が必要とされ、千葉県の長期的な財政負担になる事業である」。
たいへんきびしい評価でしょう。この事業をこのまますすめても、見通しはありませんよ、ますます税金の負担ばかりがのしかかりますよ、というのが第三者機関による外部監察の結果なのです。
ところが、この報告書を受けての昨年六月の県議会の議論をみましたら、自民党議員が「新たな投資を含む積極的な推進を」と要請する。これにたいし県の側は、「バイオを中心にした先端技術産業の拠点づくりをすすめていきたい」と答える。今後も「重点施策」として推進の立場を変えようとしない。しかし、これは見通しがないという、外部の監査機関の報告書が出た以上、すべてを洗い直して、抜本的に見直すのが、あたり前の姿勢ではないでしょうか。(拍手)


東京湾口道路――アクアラインが全国一の赤字道路なのに、もう一本とは

 それから、東京湾口道路計画です。これもむちゃくちゃな話です。というのは、すでに建設したアクアラインがたいへんな赤字です。
「朝日」が道路公団の内部資料をもとに報道していますが、全国の赤字道路の「ワースト1」がアクアラインです。一日あたりの赤字額は、九千七百九十六万円。つまり毎日、毎日、一億円の赤字を出しているのが、あの道路です(どよめき)。二位が京奈道路の二千二百九十五万円です。京奈道路というのは、京都と奈良を結ぶ道路で、ここも現地にいきますと、赤字道路でたいへん評判が悪い。しかし、二位が二千二百九十五万円でしょ。アクアラインが九千七百九十六万円でしょ。ダントツ一位ですよ。ですから、この事業は、自民党のある幹部ですら、「全国の三大バカ事業」と言っているのです(笑い)。「三大バカ事業」とは、アクアライン、本四架橋、関空二期工事です。
にもかかわらず、東京湾にもう一本、湾口道路をつくる計画をすすめている。知事はこのことを問われて、「アクアラインは渋滞緩和に寄与している。湾口道路は地域の経済の活性化を図るうえでも重要な道路だ」と答えたそうです。あのアクアラインがどこの「渋滞緩和」をしてくれているんでしょうか(笑い)。あんなに車がスカスカな道路で、どうして「渋滞緩和」になるのか、どうしてもう一本架けることが「地域の活性化」になるのか。まったく説明がつかない。
ところが、来年度予算も含めて累計で二億五千万円以上も調査費をつけています。みなさん、「まさかもう一本は」と思うでしょ。でも、「まさか」と思うことも平気でやるのが自民党です(笑い)。あの本四架橋だって、まさか三本も架けるとは思わなかった。でも三本架けてしまい、大赤字です。ですから、いまストップの声を上げなかったら、もう一本、ほんとうに架けることになりかねません。
やはりみなさん、税金の無駄遣いをストップし、ここを改革する勇気がなくては、県民の暮らしは守れない、これが真実ではないでしょうか。(拍手)


暮らしと福祉――貧しい独自施策すら根こそぎ切り捨ては許せない

さて、それでは自治体の本業である、暮らしと福祉はどうでしょうか。千葉県というのは、県独自の福祉の施策が、たいへん貧しい県です。
みなさんがお払いになっている一人あたりの住民税は、全国四十七都道府県で五位です。ところが、県民一人あたりの民生費――福祉費は、全国四十七都道府県で、四十七位です(どよめき)。ところが、その貧しい福祉すら、県独自の施策を切り捨てる動きがすすんでいるのです。


特養ホーム――待機者急増なのに、県の独自補助を廃止

たとえば、特養ホームの待機者の問題です。私が、調べて驚いたのは、二〇〇〇年二月には四百六十三人だった待機者が、二〇〇二年十月には一万三千二百七十人と、介護保険が始まってから二八・六倍になっているのです。千葉県では、お年寄りの介護の三つの施設の定員率が2.6%、全国四十位と低い。国が決めた不十分な基準――3.4%という基準にすら、千葉県はおよんでいない。これだけ特養ホームの整備が立ち遅れていたら、県は推進の手伊達をとるのがあたりまえです。
ところが、いまの県政のやっていることは逆さまです。社会福祉法人や市町村が特養ホームを建設するのを応援するための、わずかな県独自の建設事業の補助金を、来年度からすべて廃止しようとしています。介護保険料は今年四月から値上げされようとしています。これではますます、「保険あって介護なし」になってしまうではありませんか。


国保証取り上げ――“取り上げ率”は全国一、調査も拒否するという冷酷さ

それから国保証取り上げの問題です。高すぎて保険料が払えない世帯から、国保証を取り上げて、短期保険証とか資格証明書に置き換える。取り上げられた世帯は千葉県内で、九万二千五十一世帯。これはたいへんな数です。全国で取り上げられている世帯は、約百万世帯です。百万世帯のうち一割ちかくが、千葉県の取り上げなのです。国保世帯比の“取り上げ率”を、私は四十七都道府県で比較してみました。そうしたら、千葉県の“取り上げ率”はなんと全国一です。県が保険証の取り上げを、「負担の公平化を図るため」と当然視してきた結果です。
丸山県議が、「取り上げられた世帯の健康状態が心配だ。調査をしなさい」ということを県に要求したら、県はこう答えたそうです。「それは市町村が判断すべきことであって、県として調査するつもりはない」。なんと言う冷酷な姿勢でしょうか。
この根本には、高すぎる国保料という問題があります。これは国の責任もある。同時に、県の責任も大きい。県が市町村の国保会計に、いったいいくら支出しているかというと、被保険者一人あたりわずか百六円。すずめの涙です。全国平均は七百四十九円。平均の七分の一しか、市町村の国保財政を応援していない。隣の東京都は四千九十一円。東京都の四十分の一です。
みなさん、介護をみても、国保をみても、こんなに血も涙もない政治を続けていていいのかが、問われているのではないでしょうか。(拍手)


「千葉県財政再建プラン」――生身の爪をはぐような福祉切り捨てを許すな

さらに、県は、「千葉県財政再建プラン」というのを昨年九月に発表しました。ここには二〇〇三年から二〇〇五年までの三年間で二つのことをやると書いてあります。
一つは、「県単独の補助金については、原則として廃止します」。
もう一つは、「すべての使用料・手数料の見直しを行うとともに、無料施設については有料化をすすめます」。
来年度予算案で廃止される県単独補助金の主なものを読み上げてみますと、特養ホーム運営費の補助、保育所整備費の補助、幼稚園・保育所等緊急安全対策事業、心身障害者小規模作業所建設事業補助、知的障害児通園施設大規模修繕事業、肢体不自由児通園施設大規模修繕事業、民間保育所備品購入費補助。これらがぜんぶ廃止です。生身の人間の爪(つめ)をはぐような、最後の最後まで予算を削り取るようなやり方で、切り捨てがすすめられようとしています。
 なかでも影響が大きいのは、私学助成の県単独の上乗せ措置を二年間で廃止するという方針です。千葉県の私立学校の授業料はたいへんに高い。初年度納入金は、四十七都道府県中十五位です。それは、これまでの県単独の私学助成が貧しかったことに、一つの原因があります。私立高校生一人当たりの県単独の私学助成は、わずか一万四千五百八十円。このわずか一万四千五百八十円を、二年間でゼロにする。
福祉と教育という、自治体が何をさておいても、まっさきに税金をつかうべき分野で、「財政再建」を理由に、こんなひどい切り捨てをやる。こんな計画は絶対許さないという声を、どうか日本共産党に託してください(拍手)。


県立高校つぶしは許せない――「この学校で卒業させて」という声をふみにじるのか

 さらに腹が立つのは、県立高校つぶしです。県は、昨年秋、県立高校を十年間で十五校減らす計画を決めて、実行に移そうとしています。
この動きを、「千葉日報」も告発しました。「地元軽視の高校再編計画 大多喜女子高校一年生の抗議 この学校で卒業させて 対話集会で怒りの声続出」という特集記事です。大多喜女子校が、大多喜高校に統合されて、つぶされてしまう。「みんな一生懸命努力して入学したんです。『二十一人で三年間頑張ろう』って約束した。この学校で卒業させてください」という女子高校生の抗議の声を紹介しています。この春、一年生が二十一人、大多喜女子高に入学した。みんな仲良くなって、みんなで卒業したい。ところが三年生からは、別の学校に移れという。こんな情けないことがあるでしょうか。みんなが一番心配しているのは、学校の雰囲気はそれぞれ違うということです。行政の勝手な都合で、子どもたちのささやかな願いもつぶされようとしている。
これが十五校ですよ。その理由を、県は何と言っているか。「理想の教育の実現のため」と言っている(どよめき)。しかし、ほんとうの理由は、借金財政のツケ回しなのです。一方で、「かずさアカデミアパーク」、東京湾口道路、こちらの方には、ばく大な金を注ぎながら、そのツケ回しを子供たちに押しつけると言うのは、絶対に許せない話ではありませんか。(拍手)


県政動かした共産党県議団の値打ち――この力を大きくして県政の転換を

 みなさん、やはりいまの千葉県政は、おおもとから変える必要があります。この悪い政治を推進しているのは、自民、公明を中心とした共産党以外の諸党です。この勢力に千葉県の明日を託すわけにはいきません。「住民が主人公」の千葉県へと変える力を持っているのは、日本共産党だけです。
日本共産党は、前回の県議会選挙で六議席を得ることができました。議席の数はまだまだ少ないですが、県民のみなさんのたたかいと共同して、ずいぶん県政を動かす仕事をしてきました。


三番瀬の埋め立ての白紙撤回――長年の県民と共産党の共同のたたかいが実る

たとえば三番瀬の埋め立てについて、とうとう白紙撤回というところまでおいこんできました。これは、前沼田県政時代に、長年の県民のたたかい、共産党のたたかいがあって、計画を当初の七分の一に縮小させるところまでいきました。そして、二年前の知事選で大論争になりました。はっきり「埋め立て反対」を主張したのは、「明るい会」の河野泉さんだけでした。堂本候補は、はじめは「見直し」だけで、はっきりしたことは言わなかった。しかし、論争のなかで「白紙撤回」という公約をいいました。
ところが、知事になりましたら、当選後の県議会で、「埋め立てるのか、埋め立てないのか、どちらもお答えしようがない」と、ハムレットみたいな(笑い)答弁になっちゃったのです。そこで、共産党の県議団がきびしく公約を守れと追及した。そのなかで二〇〇一年の九月に、ようやく「埋め立ては行わない」という言明をおこない、白紙撤回の方向になった。これは、長年の県民のみなさんのたたかいと、共産党のがんばりの成果ではないでしょうか。(拍手)


乳幼児医療費の窓口助成――県の言い分を一つひとつつきくずす奮闘で

 それから、先ほど小松(実県議団長)さんが紹介されていた、乳幼児医療費の窓口助成の実現です。
千葉県では、県民のたたかいで乳幼児医療費の助成制度をつくったのですが、償還払い(窓口で払ったうえで、後で手続きをおこない払い戻す制度)と、十八種類の所得制限という、たいへん使いづらい制度でした。私も、この場で、「これは全国一使いづらい制度だ。あらためる必要がある」と訴えたことを思いだします。
それがとうとうあらためられて、今年の四月から、所得制限なしの窓口助成制度が実現しました。ここにくるまでは、県民の運動と共同した、共産党県議団の大奮闘があったのです。
県は、窓口無料と所得制限の廃止という要求に対して、いろいろないいがかりをつけて抵抗しました。
最初に言ったのは、「市町村が窓口無料化方式を望んでいない」ということです。そこで日本共産党県議団が、全市町村にアンケートをだした。七十八市町村から回答がありました。大半が、「県が実施するなら協調してやりたい」というものでした。このいいがかりは成り立たなくなりました。
つぎに県が言ったのは、「事務手続きがたいへんになる」。そこで日本共産党の県議団は、これを実施している神奈川県と伊勢原市を訪問し、事務手続きの調査をした。なんと、窓口無料化の方が事務手続きが簡素化することがわかった。あたりまえのことですね(笑い)。この理屈も成り立たなくなりました。
県は、今度は、「医療機関の協力を得るのがたいへん」という言い訳をはじめました。そこで共産党議員団が、医師会や保険医協会、国保団体連合会の関係者と懇談を重ねました。そうするとお医者さんも窓口無料化に賛成で、「使いやすい制度にしてほしい。そのために医療機関としても大いに協力したい」という姿勢だとわかりました。
こうして、県はこれを拒否する理由が、すっかりなくなりました。そして、とうとう実現に道を開いたのであります。長年のみなさんのたたかい、共産党の六議席、この力が合わさっての成果ではないでしょうか(拍手)。
 この六名のかけがえのない議席を守り、さらに前進をかちとらせてください。そして、この千葉県でも「自治体らしい自治体」という希望ある変化をつくっていこうではありませんか。どうかみなさんの力を、日本共産党躍進のためにおかしください。よろしくお願いします。(大きな拍手)