2002年11月22日(金)「しんぶん赤旗」

高知で志位委員長、沼津で市田書記局長、鳥取で筆坂政策委員長

日本共産党演説会で躍進訴え


流れを変えた同和、福祉、農業 橋本県政と日本共産党の値打ち
高知演説会に1400人 志位委員長が躍進訴え

 日本共産党高知県委員会は二十一日、高知市で志位和夫委員長を迎えていっせい地方選挙での勝利をめざす演説会を開きました。高知県民文化ホールは、千四百人が会場を埋めました。

 春名直章衆院議員があいさつし、一九九六年以来常に県民の願いと怒りを込めて論戦に臨んできた国会活動を振り返り、「国民負担増の中止など、くらしを支える政治の旗印を掲げて、今後もがんばりぬきたい」と決意表明しました。

 「いま日本共産党の値打ちが、世界でも、日本でも、高知県政でも光っています」。こう切り出した志位委員長は、イラク問題の見方や平和解決にむけ独自の外交努力を重ねる党の活動、日朝問題と拉致問題を党略の道具にした公明党への反撃、日本経済たて直しの党の提案などを縦横に語りました。

 このなかで志位氏は、政府・与党が、今年から来年にわたり三兆円もの社会保障負担増、庶民増税を押しつける一方で、数兆円規模の今年度補正予算を組もうとしている動きを批判。その中心は「都市再生」の名による旧来型のゼネコンだけが潤う公共事業の積み増しだとして、「そんなお金があるならば三兆円負担増を中止し、社会保障にまわせ」と訴え、大きな拍手に包まれました。

 地方政治に話を転じた志位氏は、徳島、長野など県段階で「住民が主人公」の新しい流れが生まれ、「この高知でも橋本県政のもとでおこっている変化はたいへん注目すべき、全国に先駆けたものです」と強調。党県議団が、(1)橋本県政にたいしては是々非々の立場を貫く(2)自民党県政の“負の遺産”にメスを入れ、自民党県政の復活を許さない(3)県民の切実な要求を具体的・建設的に提案し、実現する――との立場に立ってきたこと、「橋本県政の変化」をつくりだすうえで大きな役割を果たしていることを、三つの角度で明らかにしました。

同和行政の大転換―究明と知事の責任問題

 第一は、「高知県の同和行政の大転換をかちとったこと」です。

 高知県では、「解同」の利権あさりに唯々諾々と従う行政のゆがみが、橋本県政でも引き継がれました。「解同」県連幹部が支援する縫製企業に「高度化資金」と称して融資が行われ、経営破たんに直面すると県商工労働部が知事にも議会にも知らせず、予算を流用して「やみ融資」が行われました。

 党県議団は「同和行政だからこそ、異常な融資が行われた」と問題の本質をずばり指摘。縫製企業と暴力団組長のつながりを独自調査の裏付けで追及した質問は、「やみ融資」問題を究明する「百条委員会」を全会一致で県議会に設置させる決め手となりました。

 同じ問題を追っていた高知新聞取材班がこの質問を聞き、「一瞬、《やられた》と思った。…暴力団の介在疑惑が浮上したことで真相究明の流れは一気に加速した」と、その後の連載で書いたことを志位氏が紹介すると、会場から「おお」と驚きの声も。「百条委員会」での証人尋問は五十九人にのぼり、元副知事、元出納長、「解同」県連正副委員長ら二十六人を刑事告発し、捜査当局を動かしました。

 「県議団は道理ある責任の取り方を提案し議会を動かしました」と続けた志位氏。党県議団は、橋本知事に同和行政への「全面的かつ深い総括」をきびしく要求し、知事も「きびしく総括し、出直すことが必要」と答え、責任問題がテーマになりました。

 自民党などは橋本知事を辞めさせる絶好の機会として辞職勧告決議案を提出しましたが、党県議団は、(1)「やみ融資」が過去の自民党県政のときにレールが敷かれたあしき遺物で、知事の姿勢や体質が原因で生まれたものではない(2)行政のトップとしての重い責任はまぬがれないが、橋本知事だけが責任を負うべき問題ではなく、自民党も議会も責任がある(3)橋本知事は就任以来、改革の努力と実績がある――として問責決議案を提出。道理ある主張の前に、自民党は辞職勧告を強行できず、全会一致で党提出の問責決議案を一部修正して可決したのです。

 橋本知事は、予算を伴う七十三の同和事業のうち四十九事業を終了・廃止しました。削減額は三十三億六千万円にのぼります。「高知県は、見事にこの病気を克服しつつある」と志位氏がのべると、大きな拍手がおきました。

県民の要求担い、県政動かす

 第二は、「県民の福祉と暮らしの要求を担って、県政を動かしたこと」です。

 前回選挙で議案提案権を獲得した党県議団は、三歳未満児の医療費を無料にする条例案を提出しましたが、自民、公明などは「共産党が議案提案権をつかったのがけしからん」「所得制限がないのがけしからん」「財源がない」などと難くせをつけ否決しました。

 志位氏は、党県議団が「提案権の積極的行使は県民への重大な責務」「県内市町村で所得制限をかけているところはない」「わずか一カ月前の知事選で自民党候補も“三歳児までの医療費無料化”を公約していた」と反論し、自民党の言い分をうちくだいた論戦を紹介。党の議会でのとりくみと県民運動で橋本知事も動き、昨年四月から就学前までの入院医療費無料化が実現しました。

 一方、党県議団は、県が独自施策である重度障害児(者)の医療費助成制度について、入院給食費などを助成対象外とする案を打ち出すと、“撤回し制度を守れ”と論戦。「『福祉医療の対象者にとって(給食費負担が)家計に及ぼす影響は大きいと』とした知事答弁を引き合いに出し、知事に『痛い点を突かれた』とまで言わせた」(高知新聞三月十三日付)事態となりました。「非は非」と県民の立場でがんばっているのが、党県議団です。

政府いいなりでなく、住民の立場の県政

 第三は、「政府いいなりでない、住民の立場の県政」です。

 志位氏は、非核港湾条例の提案や米軍機の低空飛行訓練反対、有事法制への批判など橋本知事の「筋を通す発言」を評価したうえで、農業政策をめぐって党議員団の論戦が橋本知事の姿勢を大きく変えたことを報告しました。

 たとえば、一期目の橋本知事は、減反を「やむをえない」、中山間地の所得保障は「国民の理解を得られにくい」、セーフガード(緊急輸入制限)の発動も消極的でした。しかし、農家と心を一つにした行政のあり方を情熱を込めて説いた党議員の質問などを踏まえ、知事は全国に先駆けて「減反おしつけ反対」を表明。セーフガードも「すみやかに発動するべきだ」とのべ、中山間地への所得保障制度も全国に先駆けて導入し、国の制度になるまでになりました。

 「日本の農業の再生は『土佐の山間より出ずる』となるようにがんばりましょう」と志位氏の訴えに大きな共感の拍手がおきました。

 最後に志位氏は、県内ではすでに九市町村が革新・民主の自治体となり、前回のいっせい地方選挙後、日本共産党が二十四の市町村議選で五十五人の候補者をたて全員当選をかちとり、現在全県で九十八人の議員団になったことを報告。「ここにも高知県での深い変化があります。この日本共産党を大きくし、二十一世紀に明日の希望をもてる日本と高知をつくっていきましょう」とよびかけ、大きな拍手に包まれました。

 いっせい・中間地方選挙の候補者が壇上で紹介され、代表して、公文豪県議団長が「地方自治を守り、誰もが安心して暮らせる自治体めざして総力をあげる」と力強く決意を述べました。

 主婦(44)は「イラク攻撃を止めさせるための日本共産党の野党外交はすばらしい。北朝鮮の問題でも、高知県民の暮らしをまもるためにも頑張っている。その共産党を攻撃する公明党はおかしい」と話していました。


国民の立場で道理ある改革を提起する建設者の党の躍進を

市田書記局長迎え沼津で演説会

 来春のいっせい地方選、総選挙勝利をめざす日本共産党大演説会が二十一日、市田忠義書記局長を迎え、静岡県沼津市の市民文化センター大ホールで開かれました。千人の人々が演説に聞き入りました。

 佐々木憲昭衆院議員、中田たかゆき県議(沼津市区)、川口三男沼津市議団長ら四市議候補が決意をのべました。

 市田氏は、熊本市、尼崎市で党が支持する市長が誕生したことを紹介、「自民・公明の悪政に立ち向かい、保守とも力を合わせ、国民の立場で改革を提起する党の躍進を」と訴えると大きな拍手に包まれました。

 市田氏は、日朝問題、米のイラク攻撃問題での党の道理ある外交を紹介。公明党による北朝鮮の拉致問題を利用した日本共産党攻撃にたいし、事実をねじまげた党利党略だときびしく批判。

 経済危機打開の問題では、くらしを守る「四つの緊急要求」での共同をよびかけました。

 「みなさんの大きな心配が原発問題です」とのべた市田氏は、原発損傷隠ぺい事件をふまえた党の「五つの緊急提言」を紹介。中部電力・浜岡原発自体の安全性が問われていると同時に必ず起きる東海地震のど真ん中につくるという異常さを指摘。「中電、国にきっぱりとした態度をとれる県政への転換は急務。ただちに同原発1、2号機を廃炉にしよう。そのためにも党の議席を伸ばしてほしい」と訴えました。

 静岡の地方政治について、市田氏は「自治体の《を投げすてた変質が静岡でもすすんでいる」とのべ、静岡空港建設など無駄な公共事業の一方で、県民一人あたりの社会福祉費・老人医療費が全国最下位など県民に冷たい県政を告発。

 党県議団が、全国初の県の木造個人住宅耐震補強助成制度創設や、介護保険料・利用料減免制度を県内73%の自治体で実施させた(全国一)実績を示し、「徳島や長野でおきた新しい、希望ある流れを県議会からつくりだしていこう」と、いっせい地方選挙での躍進を訴え、大きな拍手につつまれました。


暮らし守る共産党を

鳥取市議選 筆坂政策委員長が応援

 二十四日投票でたたかわれている鳥取市議選は、定数三十二に対し三十六人が立候補している激戦です。筆坂秀世党政策委員長・参院議員の応援をうけ二十一日、日本共産党の村口英子(60)、角谷敏男(50)、小橋太一(61)=いずれも現=の三候補は「市民の命を守り、くらしを支えるために全力でがんばります」と政策を訴えています。

 筆坂氏は、「国政でも地方政治でも問われているのは、くらしをどう守るのか、経済をどう立て直すかです」とのべ、日本共産党の「四つの緊急要求」を紹介しました。

 「鳥取市政でも、市民の命とくらしをどう守るかが問われている」と指摘し、日本共産党市議団は前回二人から三人になり、三つの役割と値打ちを発揮してきた、と訴えました。

 第一に、議案提案権を使って介護保険減免条例の提案をするなど建設的提案で市政を動かしてきたこと。第二に、高層マンション建設、産廃施設建設、中電の市街地への変電所建設などの中止を市民と共同してたたかってきたこと。しかし、自民党系、公明党は介護保険減免条例などに反対、市民の願いに逆行してきたことを対比して解明。第三に公約を破ったことがないのが日本共産党です。公約を守ることは民主主義の基本であり政治への信頼を勝ち取ることと話し、三人の党候補をなんとしても押し上げてくださいと訴えました。

 公明党が北朝鮮の拉致問題を使って日本共産党を攻撃していることについて、国会で本格的に取り上げ、最初に拉致問題を政府に認めさせ、交渉でどう解決するかを示したのも日本共産党だったと指摘し、公明党・創価学会のデマ攻撃に反撃しました。