2002年10月23日(水)「しんぶん赤旗」
“共産党に資本主義のことを教えてもらっているのか”。議場からこんなヤジが飛んだ二十二日の衆院本会議の代表質問。破たんした「構造改革路線」を突き進む小泉首相にたいし、日本共産党の志位和夫委員長は、「国民生活の再建なくして、日本経済の再建なし」という立場で、深刻な経済危機から国民の暮らしを守るための「四つの緊急要求」を示し、実現を迫りました。
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グラフ1
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小泉首相は、大不況によって苦しめられている国民にたいして社会保障の分野で三兆円をこえる負担増や庶民増税により巨額の負担増をおしつけようとしています。
この道は、九兆円の負担増を負わせた橋本内閣の大失政によって破たんは証明ずみです。当時は雇用者所得は六兆円増えていたのに、負担増によって家計は底割れしました。小泉内閣が発足して以来、雇用者所得はすでに九兆円も減っています(グラフ1)。そこに社会保障と増税で数兆円の負担増の追い打ちをかけたら、日本経済を大破たんに陥れることは明らかです。
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グラフ2
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こうした国民負担増政策が日本経済にどのような影響を及ぼすのか。志位氏の追及に小泉首相は「制度改革は避けられない」と答え、まともな認識を持ち合わせない姿を示しました。
さらに小泉内閣は、この一年余り進めてきた「不良債権の早期処理」という方針を「加速」しようとしています。
「不良債権の早期処理」で実際におきたことは何だったのか。この一年間で十兆円の不良債権が「処理」されたにもかかわらず、新たに二十兆円もの不良債権が発生したのです(グラフ2)。銀行の中小企業向け貸し出しは、約一年間で三十兆円も減少(グラフ3)。地域金融を支えてきた信金・信組は五十六も破たんしました。
志位氏は、東京・大田区の大田区産業振興協会の専務理事が「中小企業の面倒見がよかった信組が倒産したため、手形の割り引きさえ困難をきたしている」と告発し、「中小企業にとって現在の金融システムは役立たないどころか、重石になっている」とのべていることを紹介(別項)しました。
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グラフ3
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深刻な経済危機から国民の暮らしをまもるための四つの緊急要求
(1)社会保障での3兆円負担増の中止を要求します
(2)国民や中小企業への増税に反対します
(3)「不良債権処理」の名による中小企業つぶし政策の転換をもとめます
(4)職場での無法の一掃、失業者に生活保障を
▽退職強要やサービス残業など職場での無法を一掃しよう
▽失業者に生活保障を
●東京・大田区の中小業者「金融システムが重石に」
「中小企業のやる気を失わせる大きな要因が、金融問題である。(中略)新しい製品を開発した、また、優れた技術を持っている企業に限って、決算状況が良くないところが多い。こうした資金需要のある企業には融資がおこなわれない」
「中小企業の面倒見の良かった信用組合が昨年11月に倒産したため、手形の割引にさえ困難をきたした企業が現れている。取引先金融機関の破たんにより、普段の手形割引の流れが遮断された」
「中小企業にとって現在の金融システムは役立たないどころか、重石になっている。(中略)0%の金利で金融機関が調達した資金が国債市場に流れ込み、市中に金が出てこない。異常な事態が進行し続けている。中小企業に回る金はない」
「先立つものがあれば回復できる可能性をもった中小企業はたくさんある。かつては経営者の資質を見抜いて資金を供与してくれたプロのバンカーが存在した。(中略)金融の役割は実体経済をサポートすることであり、決して押しつぶすことであってはならない」
(ITソリューション フロンティアセミナー2002で大田区産業振興協会専務理事の講演から=9月18日)