2002年10月17日(木)「しんぶん赤旗」

世界でも、日本でも、地方政治でも

日本共産党の値打ちが光っている

札幌・演説会に5000人 志位委員長が訴え


五千人の聴衆を前に志位和夫委員長が訴えた日本共産党演説会=16日、札幌市

 日本共産党北海道委員会は十六日、札幌市で志位和夫委員長を弁士に、総選挙・いっせい地方選挙での勝利をめざす演説会を開きました。

 会場の月寒グリーンドームには約六十台の貸し切りバスが並び、演説会のポスターを見てやってきたという学生や「日朝国交、拉致問題で志位さんの話を聞いてみたい」という人など、札幌圏を中心に道内各地から五千人が会場を埋め、熱気にあふれました。

 演説会にあたって約二千五百の団体に参加を呼びかけ、七万枚のビラと五千枚のステッカーを活用。一週間前から札幌圏千五百カ所でハンドマイク宣伝などして参加を呼びかけました。

 大きな拍手のなか登壇した志位委員長は冒頭、前回いっせい地方選挙の前半戦で北海道では道議が二人から六人へ、政令市の札幌市議も七人から十一人に増え、後半戦でも躍進したことをあげ、「現有議席を必ず確保し、さらなる躍進をめざしたい」と力強く訴えました。
 

日本共産党演説会で訴える志位和夫委員長=16日、札幌市

 そのうえで志位氏は、日本共産党が、国民生活を守る緊急経済要求を発表し、暮らしと経済をたて直す道をしめしていること、外交問題でも米国によるイラク攻撃に反対し、国連憲章にもとづく平和秩序を守り、日朝間の平和・友好関係にむけて積極的に役割を果たしてきた姿を詳しく紹介。「日本共産党こそ二十一世紀をになう資格のある政党です。世界でも、日本でも、地方政治でも日本共産党の値打ちが光っています。この党をぜひ大きくしてください」と訴え、北海道政、札幌市政をめぐる争点を解明しました。

 志位委員長の演説に先立ち、大和田基夫道委員長、児玉健次衆院議員、紙智子参院議員があいさつ。いっせい地方選挙の候補者が紹介され、大橋晃道議が代表としてあいさつしました。二、四〜七区の衆院小選挙区候補者が発表されました。

 初めて日本共産党の演説会に参加した男子学生(21)=札幌市=は、「共産党が戦争に反対し、イラク問題や有事法制反対にがんばっている話を聞いて、はっきり物を言うのはすごいことだと思った。有事法制などで戦争が近くに感じてしまう。選挙のときは、それに反対の立場の政党に入れようと思っています」と語りました。


札幌市演説会

志位委員長の訴え

 志位委員長は地方政治の問題で、「堀・北海道政、桂・札幌市政には、自民党と『オール与党』によって『自治体が自治体でなくなる』というべき深刻な変質がもちこまれています」として、二つの角度から告発しました。

 第一は、「福祉と暮らしを守る」という自治体の本業が実に粗末になっていることです。

 特別養護老人ホームの入所待機者が急増しているのにもかかわらず、道は国の基準を盾に新規整備を認可せず、八十四市町村で介護保険料の減免制度、百十三市町村で利用料減免制度が実施されているのに、堀知事は「保険料を減免する場合にあっては一般財源を繰り入れることは適当でない」と国いいなりで市町村を抑えつけています。

 昨年十月からは、道の乳幼児医療費助成、母子世帯医療費助成、重度障害者医療費助成の三つの福祉医療制度に所得制限が導入され、二万五千人が制度から排除されました。

 札幌市は五月に発表した「中期財政見通しと今後の財政運営の考え方」で、四十歳以上を対象にした「すこやか検診」や敬老パス、老人医療費助成など、市民の運動で実現してきた福祉の独自施策を切り捨てのやり玉にあげています。

 第二は、「開発会社」化を破たんしても無反省に続けていることです。

 その典型の一つとして志位氏がとりあげた苫小牧東部開発(苫東)事業は、九八年に推進母体の旧開発会社が千八百億円の債務をかかえて経営破たんしました。当時、国土庁幹部までが、破たんは廃止にふみきる「最大のチャンス」といいましたが、事業継続をごり押ししたのが、当時の北海道開発庁長官だった鈴木宗男衆院議員と堀自民党道政でした。

 九九年に道が百七十億円、苫小牧市が十億円を出資して発足した新会社は三年たって、「分譲不振にあえぐ『苫東』 昨夏から進出ゼロ」(北海道新聞十月二日付)と書かれるありさまです。「新会社が破たんなら百七十億円の道の出資は返らず、処理のため新たな負担がおしかぶさってくる。いまからでも道民負担が最小になるよう、計画の見直し・中止をはかるべきです」との訴えに大きな拍手がおきました。

 そのうえで志位氏は、「北海道の公共事業は大改革が必要」と強調。(1)道の公共事業総額を膨張する前の水準に戻し、福祉と暮らしにあてる(2)浪費型の巨大開発にメスを入れ、中身を福祉・環境型に切り換える(3)道内農業予算の七割が公共事業というゆがみをただし、農業予算の主役を農産物の価格補償にかえ、道独自の農産物の価格補償制度をつくる――という三点を提案しました。

 「この逆立ちした道政をただす力をもっている政党は日本共産党だけです」とつづけた志位氏は、「オール与党」道議会のひどさを告発。公費による海外視察で、世界の観光名所めぐりをしていたことを紹介すると、会場に笑いとどよめきがおきました。

 志位氏は、六人の日本共産党道議団のかけがえのない働きについて、(1)腐敗政治の一掃(2)浪費の一掃(3)暮らしを守るという三点で紹介。

 道の農業土木工事をめぐる官製談合事件では各種委員会で二十回以上も追及、「談合」で異常な高値落札になっていることを追及した結果、落札率がこの三年間で3%下がり、二百七十億円の税金節約になったこと、浪費の問題でも、党道議団が一貫して中止を求めてきた日高横断道路計画に、堀知事が「一度立ち止まって考え直す時期」と表明し、中止も視野に大きく動いていること、国の制度として三歳未満の医療費の負担割合が三割から二割になって道の負担が軽減されるなかで、「少なくとも一歳の対象年齢引き上げを」と要求し、道に「検討していきたい」と答弁させたことをあげ、「この力をもって大きくのばしてほしい」とよびかけ、大きな拍手に包まれました。