住民の福祉と暮らしを守る
“自治体らしい自治体”をとりもどそう

神奈川県川崎市・演説会での志位委員長の訴え(2002年9月15日)


 十五日、川崎市で開かれた日本共産党演説会で、志位和夫委員長が訴えた、神奈川県内の地方政治にふれた部分の大要は次のとおりです

地方自治をめぐる二つの流れの対決

 いま全国でも神奈川でも、「地方政治をめぐる二つの流れの対決」が鮮やかに浮かびあがってきています。           
 一方で、「自治体が自治体でなくなる」ともいうべき変質の流れがあります。多くの自治体で、自民党と「オール与党」によってすすめられている変質です。巨大開発に巨額の税金を流しこみ、「住民の福祉と暮らしを守る」という自治体の仕事は放り投げる。これがいよいよ深刻になって、これではもう自治体とはいえないというほど変質がひどくなっている。                
 他方に、「自治体らしい自治体」を取り戻そうという希望ある新しい流れもあります。長野県政の変化はその象徴ですが、こういう変化は、いま全国各地に広がりつつあります。そして、その変化は、自民党による自治体支配の矛盾が深いだけに、全国各地どこでも起こる条件があります。                   
 それでは、神奈川県での「地方政治をめぐる二つの流れの対決」はどうなっているでしょうか。

「自治体が自治体でなくなる」(1)――「営利企業」化の実態

 第一の流れ――「自治体が自治体でなくなる」という変質の流れは、神奈川では、岡崎県政をはじめとする県内の多くの「オール与党」の自治体で、絵にかいたようなひどさであらわれ、県民を苦しめています。                        
 その一つは、「営利企業」化ともいうべき変質です。それは「住民の福祉と暮らしを守る」という自治体のほんらいの仕事について、(1)国の基準以上の自治体独自の仕事はやらない、(2)「民間でできることは民間で」といって、民間まかせで責任放棄をする、(3)残った自治体の仕事にも採算第一を持ちこんでそれにあわないものは切り捨てる、ということを特徴としています。この変質が、神奈川県の自治体も深刻にむしばんでいます。

特養ホームの待機者急増――国の基準に満たず全国46位 

 たとえば、特別養護老人ホームの待機者の急増です。神奈川新聞の六月二十九日付に、「特養ホーム待機者急増 介護保険開始時のほぼ二倍」という見出しの記事がでました。介護保険の始まった二〇〇〇年の十月には、待機者の数が八千三百三十八人だったのが、今年の七月には一万六千七百十八人と、二倍になっています。  
 どうしてこんな実態になっているのか。神奈川では、国が決めた基準にもはるかに追いつかない状態のまま、まともな手だてをとっていないからです。国は、介護保険の三つの施設について、高齢者人口の3.4%の定員としなければならないという「参酌標準」という基準を決めています。その基準でいくと、神奈川県ではお年よりの施設を、四万二千九十二人分つくらなければならない。ところが実際には、二万九千五百三十人分しかつくっていない。つまり、国の基準にてらしても、一万三千人分も足らないのです。全国四十七都道府県ありますけれど、定員率でみて神奈川県は四十六位です。                             
 しかもこの「参酌標準」の3.4%という数は、これ自体が低すぎるのです。これをやっても待機者は解消されないのです。私は、政府と大論戦をやりまして、「『参酌標準』をはずしなさい」「3.4%では待機者はなくならない」「希望者全員が入れるだけの施設をつくりなさい」と求めました。そういう不十分な基準なのですが、その基準すらやろうとしない。最小限のことすらやらないでおいて、保険料の値上げだけはやるというのは、詐欺同然のやり方といわなければならないではありませんか。(拍手)

保育所数は47位、待機児童数が5千61人

 それから神奈川県の状況をみて、心が痛むのは保育所です。ゼロ歳から五歳の人口あたりの保育所数を調べてみたら、神奈川県は四十七都道府県のうち四十七位(どよめき)。となりの東京都が乳幼児十万人あたり二百七十九カ所なのに、多摩川を渡って神奈川にくると百四十三カ所です。半分です(九八年)。         
 待機児童が五千六十一人もいる。この子どもたちは、民間の無認可保育所などが支えているわけですが、不幸な事故も起こりました。だいたい待機児童といいますが、子どもは待っていられませんよ。待ったらおとなになってしまいます(笑い)。子どもにとっては、その瞬間瞬間が大事であって、二度と取り返しがつかないのです。こんな不名誉な全国最下位から抜け出すのは、急務中の急務だということを訴えなければならないと思います。(拍手)  

川崎市の「行財政改革プラン」――福祉切り捨て計画が満載                         

 それから、「行政改革」の名による福祉の切り捨てです。国から号令がかかって、神奈川でもいろいろな自治体ですすめられています。  たとえば川崎市の計画は、きわめて悪質です。川崎市は、九月三日に、「行財政改革プラン」というのをだしました。これは大変な中身です。革新市政時代に、市民のみなさんの運動で築いた数々の福祉施策を、根こそぎ破壊してしまう、市民いじめの青写真が満載されています。
 この「プラン」の第六章に、「市民サービスの再構築」という章があります。この章ではまず、ゴミの毎日収集、公立保育、高齢者の医療費助成制度、老人いこいの家、子ども文化センター、敬老パスなど列挙して、こう書いてあるのです。「これらの市民サービスは、まさに全国に誇るべき川崎市の単独・上乗せの施策展開でした」
 ここまではそのとおりです。しかし、「全国に誇る」といったら、続けるのが当たり前でしょ(笑い)。それが、「ところが」とつづけて、いろいろと状況が変わったといって、「これまでの単独・上乗せ型の施策を見直す必要があります」としている。     
 では「見直し」の中身は何かというと、これがひどいものです。老人医療費の助成事業、高齢者に対する敬老祝い金事業、寝たきり老人等に対する介護手当、民間福祉施設への補助制度、敬老パス、これらを具体的にあげて、廃止・縮小・見直しの対象にするという。
それから「民間でできるものは民間で」として、市の直営でやっている仕事を民間に放り投げてしまう計画も書かれています。何を民間まかせにするのかというと、公立保育所、市立の葬祭所、介護老人保健施設、母子生活支援施設、養護老人ホーム、知的障害者施設、身体障害者施設、事業系ゴミの収集、何から何まで民間まかせにする。                          
 そして「職員の配置を見直す」といって、福祉部門と生活密着型の職員を中心に三年間で千人の職員を減らす。職員を減らすというのは、福祉のサービスの水準低下の宣言にほかなりません。

自治体とは何かが根本から問われている

 みなさん、自治体とは何かが根本から問われているのではないでしょうか。たとえ国がやらなくても、住民の暮らしのために必要だったら、自治体単独でも仕事を果たしてこそ、自治体といえるのではないでしょうか(拍手)。たとえ目先の採算があわなくたって、命や福祉を守るために必要な仕事は、みなさんの税金で仕事をしているのですから、やってこそ自治体といえるのではないでしょうか(拍手)。神奈川の「オール与党」の自治体がやっていることは、「自治体が自治体でなくなる」という流れです。これにきっぱり対決して、日本共産党の躍進でその転換を求めていこうではありませんか。(拍手)

「自治体が自治体でなくなる」(2)――「開発会社」化の実態

 もう一つは、「開発会社」化です。ただこれは破たんがおおい隠しようもないのです。しかし破たんした巨大開発に、「都市再生」という看板をつけてあくまで進めようとしているのが、実態です。 

横浜市――「みなとみらい21」を「都市再生」指定地域としたが

 横浜市では、「みなとみらい21」を、もっと大規模にやろうと
いう計画です。すでにこの事業には、市の税金を六千七百億円も流し込んでいます(二〇〇〇年度まで、関連事業含む)。しかし破たんは明りょうです。商業・業務用用地が八十七ヘクタールありますが、半分以上が売れ残っている。空き地だらけになっているのは、見たとおりです。しかも利用されている土地も、その三割が、住宅の展示場など暫定利用なのです。働いている方々の数も、計画では十九万人だったのに、五万人しかいない。           
 ところが、いまやろうとしているのは、この地域を「都市再生」の指定地域として、規制緩和をやっていく。もっと超高層ビルを建てようというのです。さらに巨大開発にお金を流しこもうとしているのです。だいたい私は、「みなとみらい21」に「都市再生」というのはおかしいと思うんですよ。だって、一度もまともな都市になってないじゃないですか(笑い)。なってもいないものを「再生」させようがないじゃないですか。(拍手)          
 しかもこれは、まったく見通しがない。朝日新聞が三月二十四日付で、「みなとみらい 『二〇〇三年問題』の影暗く」という記事を出しました。「二〇〇三年問題」というのをご存じでしょうか。二〇〇三年に、東京の都心部で、たくさんの巨大ビルが開業を始めるのです。来年オープンする巨大ビルの延べ床面積は、東京ドーム四十八個分。東京で四十八個分のオフィスが新たにできて、横浜のオフィスビルがやっていけるでしょうか。           
 実はもう影響が出ています。「みなとみらい21」関連街区に最近つくられた、横浜アイランドタワーというビルがあります。二十七階建てのビルです。しかしつくったけれど、一般の入居者は入らない。そこでどうしたかというと、このビルをつくった事業主体である都市基盤整備公団の本社が入ることになった。なんのことはない。税金入れて、自分の会社のビルをつくった。タコが自分の足を食べているようなものです。さらに、横浜の日立ソフトの本社が、品川に移るといいます。そうしますと「みなとみらい21」に入っている日立の関連各社も品川に行ってしまいます。       
 私は、「みなとみらい21」計画は、根本から見直すべきだと強く訴えたいと思うのであります。(拍手)

川崎市――赤字続きのコンテナ港に税金の流し込みをつづける

 川崎市では、巨大コンテナバースの破たんが惨たんたるありさまです。三百億円を投じてつくった港です。ところが、船が来てくれない。ポートセールスといって、世界のあちこちにいって、市の幹部が売り歩くわけですよ(笑い)。それでもなかなか来ない。  
 この港では、その「最大限の活用が必要」だといって、川崎市が筆頭株主になって川崎港コンテナターミナル株式会社(KTC)をつくりました。しかしこれが九六年以来赤字続きです。九九年以降はコンテナ量が減る一方になってしまった。累積五十億円の赤字です。どうしようもなくなって、川崎市は、この会社に業務委託金を支払っているうえに、ガントリークレーンの使用料を全額免除してやる、港の施設の利用料を二分の一免除してやる。税金で、年間一億六千万円もの支援をやっています。             
 しかし、このままではらちがあかないというので、市の諮問機関として、川崎市港湾関連出資法人検討委員会がつくられました。KTCをどうするかの検討委員会をつくったのです。この検討委員会の答申書が去年の十月にでました。ここではつぎのように書いてあります。
 「現状においては運営を続けるほど損失を拡大するだけの結果となってしまう」(笑い)、「KTCは現在の事業形態のままでの存続は極めて困難である」、「赤字を累積させ続けてまでも公共が関与する必要性を認めることは難しい」、「同社については存廃を含め早急に検討すべき」。                   
 ところが、この答申書を受けても、川崎市は「支援を継続します」という。この検討委員会の答申書は、要するに「市は手を引け」ということでしょう。「民間にまかせろ」ということですよ。民間まかせで責任のがれをしてはならない保育園などを民間まかせにしようとして、民間がほんらいは始末をつけなければならない港には税金を流し込む。これは本当に間違ったやり方と言わなければなりません。(拍手)

県――新駅の見通しがないのに「ツイン・シティ」計画

 それでは、神奈川県は何をやっているのか。これも負けずに巨大開発に熱中しています。たとえば、「ツイン・シティ」計画です。これは、新幹線の新しい駅を寒川町に誘致して、相模川を挟んで平塚市と橋をかけて、巨大な都市をつくるというのです。橋で結んで、寒川町と平塚市で「ツイン・シティ」だというのです。(笑い)
 この計画は、開発面積が百から百五十ヘクタール。「みなとみらい21」が百八十六ヘクタールですから、「みなとみらい21」のようなものを県央にドーンとつくろうというのです。これも「都市再生」の指定地域にしてもらって、高層ビルをどんどん建てようというわけです。
 ところが肝心のJRは、神奈川県内の新幹線の新駅の設置の可能性を否定しているのです。今年四月に滋賀県に新駅設置を発表した時点で、「今回で東海道新幹線の駅設置は終わりです」と、JRははっきり言っている。そこで困ったのは岡崎知事です。これまでは「新しい駅ができるから、町づくりが必要だ」というふうにいっていた。そういえなくなって、ひっくり返して、「町をつくれば、新駅ができるだろう」(笑い)というのですね。「港を掘れば船がやって来るだろう」というのはよく聞く話ですけれども(笑い)、「町をつくれば駅ができる」というのははじめて聞いた(笑い)。これはまったく見通しのない、でたらめなやり方です。      
 「みなとみらい21」にしても、川崎市のコンテナバースにしても、「ツイン・シティ」にしても、福祉と暮らしを切り捨てて自治体を「営利企業」にしたあげく、巨大開発につぎ込んで「開発会社」にする。こういうやり方に未来はありません。逆立ち政治をただす願いをどうか日本共産党に結集していただきたい。心からお願いいたします。(拍手)

公明党・創価学会――自治体の悪い方向への変質に最も熱心な党

 こういう自治体の悪い方向への変質に、「オール与党」の中で最も熱心なのが公明党・創価学会です。さきほどの川崎市の「行財政改革プラン」を、「川崎再生を目指す市長の並々ならぬ意欲と決意のあらわれだ」と天まで持ち上げているのが公明党です。川崎市がその第一歩として位置づけて取り組んでいるのが学童保育事業の廃止です。その動きにたいして、「これは許せない」「心配だ」ということで、存続を求める署名が三十万も集まった。この三十万の署名にたいして公明新聞では「市民の不安をあおる」署名だといって攻撃しています。    
 私は、全国をまわりますと、保守系の議員でも共産党の議員と協力して、地域振興のために力をあわせるといったケースがずいぶん生まれています。しかし、いつでもどこでも(笑い)、かならず悪い政治、住民いじめの政治の推進勢力になっているのが公明党・創価学会であります。(拍手)                 
 住民のみなさんの切実な請願に、いたるところで反対している。しかしそれがどんどん盛り上がって、実現しそうだとなると、ちょっと質問したりして、自分の「手柄」だと言って宣伝し、住民の運動や共産党がみんなでかちとった成果だというと、「ハイエナ」だと攻撃する。
 これは、みなさんの暮らしがかかった問題であるとともに、日本の民主主義がかかった問題なのです。いま公明党・創価学会は、たいへん危ない姿をむき出しにしています。創価学会は一九六九年から七〇年にかけて、言論・出版事件といいまして、自分を批判した本を弾圧して、社会から猛批判を受けました。そこで池田大作会長は、「猛省」――猛烈に反省するということを天下に言いました。しかし、最近になって、この言論事件は「仏敵」――「仏」の「敵」の「悪逆な攻撃」から「信教の自由」を守る「正義の闘争」だった。こういって開き直っている。自分はいつも「仏」。反対するものは「仏敵」。そして「仏敵」は「撲滅」の対象なのです。存在を許さない。私たちは自民党政治の批判をやります。しかし「自民党撲滅」とは言わないでしょ。存在を許さないなどという立場は、それ自体、反民主主義です。だから選挙で謀略ビラをまくなど手段を選ばない。まあ、自分は「仏」だというけれど、仏様がこんな口汚い攻撃をするのかと、思うくらい口汚いでしょ。(笑い、拍手) 
 私は、この勢力から日本の民主主義を守り、日本の政治の暗黒支配を許さないことは、民主主義のかかった重大な課題として、わが党はたたかいぬく決意を申し上げたいと思うのであります。(大きな拍手)

「自治体らしい自治体」を取り戻す新しい希望ある流れ

 第二の流れ――「自治体らしい自治体」を取り戻そうという新しい流れはどうでしょう。全国をまわりますと、うれしい話がたくさんあります。変化をひたひたと感じます。長野県政だけじゃありません。

全国どこでも前向きの変化が起こっているところでは

 たとえば、徳島県では、大田民主県政が今年の四月に生まれました。吉野川可動ぜきに反対する市民運動のみなさんと、日本共産党が長いことスクラムを組んで運動をしてきて、とうとう県政を変えるところまですすみました。                 
 高知県では、橋本大二郎知事のもとで県政が一歩一歩住民本位の方向に変化しています。最初に変化してきたなと思ったのは、非核港湾宣言を提案したり、米軍機の低空飛行訓練に反対したり、減反のおしつけに反対する、そういう変化だったのです。ところがこの間、これまでの県政の一番の弱点だった「解同」(部落解放同盟)という利権あさりの集団をのさばらせる同和問題、ここに橋本知事はズバリとメスを入れたのです。大転換です。これは日本共産党がずっと主張してきた方向ですが、そういう前進があった。    
 それから先日私は、鳥取県に行きました。鳥取県の片山知事は、「オール与党」推薦の知事です。私たちはもちろん野党です。しかし、自民党知事なのに、やっていることはまともなことがずいぶん多いのですよ(笑い)。たとえば、三十人学級をやりました。中部県営ダムを中止しました。鳥取県西部地震が起こったときに、一世帯三百万円の個人補償を実行しました。鳥取大学の統廃合にたいして絶対反対と国に言っている。私が鳥取で記者会見をやりましたら、「最近の県議会は日本共産党がいちばん与党みたいだ」(笑い)という声もありましたが、与党じゃないんです、野党なのですが、そのなかでもこういう変化が生まれている。鳥取県は人口六十万人ぐらいです。六十万人といいますと、川崎の半分ぐらいでしょ。県ぐるみ切り捨ての対象なのです。だから、ここで少しでも自治体らしい仕事をしようと思ったら、従来の自民党流のやり方ではもうたちゆかないというところまで、矛盾が深くなるなかでの変化が起こっているのだと思います。
 全国どこでも、前向きの変化が起こっているところでは、三つの要素があります。第一の要素は、自民党の政治が矛盾し破たんしていること。二番目の要素は、住民の運動が起こっていること。第三の要素は、全国四千四百人の日本共産党議員が頑張っていることであります。(拍手)

95%の自治体での日本共産党議員の奮闘の力があわさると

 神奈川県でも、「自治体らしい自治体」を取り戻そうという流れは、日本共産党議員団の奮闘と結びついています。前回のいっせい地方選で、わが県議団は二議席から六議席に躍進した。中間選挙を含め、県下の議員の数は史上最高の百十四議席です。神奈川県内では三十八の議会があります。そのうち三十六の議会で日本共産党が議員を持っています。95%の議会に議員を持っています。これは、全国平均が70%ですから、平均よりずいぶんうえです。これは誇れる数字なのです(拍手)。全国をみますと、大阪と京都が100%です。神奈川でも100%だったときがある。いまでも、大阪、京都に続く全国三番目ですから、これはおおいに誇りにすべきだと私は思います。100%に今度の選挙で必ずしようではありませんか。(拍手)                    
 これだけの多くの自治体でわが党の議員が頑張っている。その力があわさると、大きな仕事ができるのです。介護保険の問題で、私たちは全国で高すぎる保険料・利用料の減免制度をつくれと運動してきました。全国の到達点では、保険料の減免をしている自治体は四百三十一自治体で13%、利用料の減免は八百二十五自治体で25%であります。神奈川県は、保険料の減免は十七自治体で45%。全国平均13%に対して45%です。利用料の減免も十七自治体。全国平均25%に対して45%です。日本共産党の議員がそれぞれの議会で頑張っているっていうことの証しがここに示されているのではないでしょうか。(拍手)

日本共産党が野党の自治体でも前向きの変化が

 共産党議員の頑張りのなかで、わが党が野党の自治体でも変化が起こるんです。神奈川県内の自治体でも、たとえば大和市の土屋市政です。さっき言った寒川町に新駅を誘致する「期成同盟」があるのですけど、土屋市長は、そこから脱退宣言をしました。そんな公共事業にばく大なお金を使うなんて、「財政状況が厳しいなかで、市民に説明がつかない」といって、脱退宣言をした。知事は怒って「無責任だ」といった。自分の方が無責任なことをやっているのに(笑い)。それに対して土屋市長は意気軒高で、「この経済状況でも相変わらず公共事業重視だ」と堂々と批判した。土屋市政は、米軍基地の問題でも、厚木基地の米軍訓練にきびしく抗議して「友好中断」を表明しました。空母の横須賀母港の撤回も強く主張しています。わが党は野党ですけれども、そういうところでも私たちが主張していた方向に、首長の姿勢が変わってくる。
 もう一つ、茅ケ崎の添田市政も注目すべきです。添田市長は、市町村合併に正式参加はしないと宣言しました。この地域では、藤沢、茅ケ崎、平塚、寒川、大磯、二宮の三市三町の合併計画が進んでいます。合併のプラスとマイナスを考えたら、マイナスの方が大きい。「ツイン・シティ」計画の受け皿という思惑もあるようです。ここに「湘南市」をつくろうという合併計画ですが、正式参加の拒否の宣言を堂々とやった。            
 国や県のいいなりでは、もうやっていけない。保守の市政でも、もうついていけない。そういう状況は神奈川県でも生まれています。日本共産党の頑張りが、住民運動の頑張りが、そういう変化をつくっているのではないでしょうか。(拍手)

県議団の奮闘――妨害の中で県民要求にたって県政を動かす

 日本共産党県議団は、前回の選挙で二から六議席に大躍進しました。そのあとひどいことがやられました。交渉会派の資格が五議席だったのを、選挙が終わったら八議席に引き上げた。これは全国から「ひどい議会もあったものだ」と、批判が集中しました。代表質問をやらせない、議会運営から排除する、ひどいことをやっています。 
 いかに道理がないことをやっているか。たとえば、日本共産党の県議団が「公費による飲み食いは廃止しよう」と、当たり前の主張をしたら、気に食わないといって議会の視察から、共産党の議員を排除するという異常事態が起こりました。一昨年の十月の決算特別委員会です。自民党の議員が「懇談会費の廃止をいう共産党とは、現地調査にいっしょに行けない」といって、バスに乗せない。それで別の車で行ったのですが、これはマスコミでも報道されて、朝日新聞にはきびしい批判の投書が載りました。横浜市の五十三歳の女性ですが、紹介したい。    
 「えっ、これ戦前の話? 二日の神奈川県版を読んで、我が目を疑った。県議会の決算特別委員会の県内視察に、共産党議員と一緒に行くのは嫌だと、他会派の議員が言ったという。かねて共産党が、視察後の懇親会費の公費支出に反対してきたからだ。今回は日帰りで懇親会はないが、視察に参加したいなら、バスには乗せないから別の車に乗って欲しい、昼食も別に、というのだ。夜の宴会を税金でやっていたというのも驚きだが、それに異をとなえる公党の議員をバスに乗せないうんぬんというのは信じられない。戦前はお上の言うことに反対でもしようものなら、村八分にされたと聞いたことがあるが、今や一応民主主義の時代だ。ましてや議会という場で、こんなことが行われているとは。それでよく『いじめのない社会に』などと言えるものだ(笑い、拍手)。昨年度は各委員会の視察後の懇親会費に二百四十七万円の公費が使われたという。飲み食いする議員が、飲み食いしない議員を仲間外れにする議会って、何なのでしょう」(笑い、拍手)。痛快に言ってくれました。
 みなさん、まさにそういう極めてレベルの低い、異常な事態が起こっているのです。こんなことをやっていたら、長野と同じ運命になるということを、「オール与党」のみなさんにきびしく警告しておきたいと思います。(拍手)                
 そういう妨害をされながら、わが県議団が一般質問を制限されている議会でも、意見書を出す、決議案を出す、文書質問を出す、あらゆる権利を行使して要求実現に力をつくしてきた。特養ホームへの特別助成が実現し、乳幼児医療の無料化の助成制度も、対象年齢引き上げを来年四月から実行する方向での検討に県が入るというところまで前進させることができました。(拍手)        
 つぎの選挙では、相手は交渉会派を八議席以上にしてきたのですから、その逆流を打ち破って、県民の要求を実現する道を堂々と開こうではありませんか。(拍手)               
 国民いじめの政治、住民いじめの政治がやられていますが、一方で希望のある新しい流れが広がっている。長野で、高知で、徳島で起こり、この神奈川でも新しい流れが脈々と広がりつつある。前途にはいろんな山や谷があるでしょうが、二十一世紀の未来は洋々と開かれていると思います。新しい政治を生み出す条件は、熟しています。この条件を現実の躍進に結びつけようじゃありませんか。(大きな拍手)