県民不在の「オール与党」県政
――日本共産党の躍進で流れをかえよう

茨城県つくば市・演説会での志位委員長の訴え(2002年9月29日)


 

全国に先がけた茨城県議選――新しい条件くみつくし、必ず勝利を

茨城県のみなさんこんにちは(「こんにちは」の声)。日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。
 今日は、大きな会場いっぱいの、そして第二会場、第三会場もふくめて、たくさんの方々がお集まりくださいました。つくば市の市長さん、他の会派の方々もおこしくださっているとうかがいました。まず、こんなにたくさんの方々が、私どもの演説会にお運びくださいましたことに、私からも心からのお礼を申し上げたいと思います(拍手)。
 十二月八日投票で茨城の県議会選挙があります。四年前の選挙のことを思い出しますと、それまで水戸の大内さん一人だった議席が、取手で勝ち、つくばで勝ち、三議席と、三倍になりました。いっせい地方選挙の躍進は、茨城から始まりました。今度の選挙では、現有三議席を必ず確保して、さきほど壇上に上がられたすべての候補者――下館でも、土浦でも、日立でも、全員当選をかちとるためにがんばりぬきたいと思います(拍手)。
 この選挙に勝つことは容易でないことですが、勝利の条件は大いにあると考えています。今月のはじめに、長野の選挙で素晴らしい結果が出ました。県知事選挙が行われまして、日本共産党が支援した田中康夫候補が圧勝するという結果になりました。そして同時に定数一を争った上田の県議補欠選挙――ここは相手が県政会との一騎打ちの選挙になりましたが、相手候補を一万票以上引き離して堂々の勝利を日本共産党の候補がかちとることができました(拍手)。
 長野県で起こっている流れというのは、この茨城県で日本共産党が主張してきたことと同じ前向きの流れなのです。巨大開発の無駄づかいにメスを入れ、福祉と暮らしという自治体のほんらいの仕事にお金の使いかたを変えようということが、長野県ですすんでいる県政改革ですけども、そういう方向が圧倒的な支持を受けたのです。
 私は、八月の最初に上田の駅頭に応援にいった時のことを忘れられません。私が、マイクを握り始めますと、時あたかも雷が(笑い)ドシャーンと落ち始めて、大雨がどんどんふりはじめる。前もみえないような豪雨です。私は、お年寄もいらっしゃって、ずぶぬれになっていくので、風邪でも引いたらどうしようかと、早く演説をおわりにしなければとはらはらする心も出てきたんですが(笑い)、しかし、だれもその場を離れる人はいなかった。ずぶぬれになりながら聞いてくださって、どんどん輪が広がって、とうとう二千二百人という、上田では始まって以来の大演説会になりました。私は、その様子を見て、たいへんな深い変化がおこっていることを実感しました。
 もはや自民党型の政治が通用しなくなっているというのが二十一世紀ですから、この条件をくみつくして、必ず勝利をかちとりたいと思いますので、どうかみなさんの大きなお力ぞえをよろしくお願いいたします(大きな拍手)。
 (この後、志位委員長は、日朝首脳会談、イラク攻撃、有事法制など平和をめぐる問題、社会保障の負担増をはじめ暮らしと経済の問題、原子力行政にかかわって国民の命と安全の問題などについて、国政の中心課題と日本共産党の役割を縦横に語りました。そして、茨城県政の問題に話をすすめました)。

福祉と暮らしを守るという仕事が、こんなに粗末に扱われていることはない

 さて、茨城県政の問題に話をすすめたいと思います。住民の福祉とくらしを守るということが、地方自治体の役目です。この点で、橋本・茨城県政をみますと、自民党と「オール与党」によって、一言でいって「自治体が自治体でなくなる」というべき変質が起こっています。
 第一に、福祉とくらしを守るという自治体の本業が、こんなに粗末に扱われていることはないと思います。

介護保険――「入所待ち解消遠く」(茨城新聞)など矛盾の解決を

 たとえば介護保険です。茨城新聞が「入所待ち解消遠く」という記事を、今年の二月二十三日付で出しました。特養ホームの待機者が急増している。介護保険導入前は八百三十六人だったのが、今年三月末には全県で三千六百人と、四・五倍になりました。介護保険が導入されて、みなさんが保険料を払うようになったら、ほんとうだったら待機者がなくなるのがあたりまえでしょう。ところが逆にどんどん増える。これではなんのための保険かということになります。
 茨城新聞は、こういう実態を紹介しています。日立市内で両親の介護をしている五十歳の主婦が入所を申し込んだところ、「受け付け順番が九十番台。入所待ちは最低でも二年、と言われた」、「この特養ホームは介護保険がスタートして以来の通し番号で、二百二十八番目の入所申し込みを受け付けた。現在、実際に入所できたのは二十番目までという」。二百二十八人が申し込んだが、二十人しか入れないというわけです。この方は九十番目に申し込んだわけで、入るまでに最低でも二年かかる。二百二十八番目だと五年ぐらいかかるのでしょうか。とてもじゃないけど待てませんよ。これが実態なのです。
 もちろん国の責任は重い。介護保険という制度をつくっておきながら、国が介護にたいする財政的な責任を果たしていないということが一番の問題です。しかし、県の責任も私は重いと思います。茨城県の場合、国が決めている基準に照らしても、整備が遅れています。国は、お年寄りの介護の施設は、お年寄りの人口の3.4%は作りなさいという「参酌標準」という基準を決めているんです。私は、これについて国会で論争をしたことがあります。実は、3.4%をやっても待機者はなくならない。こんな低い目標ではだめだ。もっと必要な数をちゃんと作らなければだめだという、論戦をやったことがありましたが、ともかく3.4%という基準がある。この3.4%をやったとしたら、茨城県の定員数は一万七千四百八人になります。ところが現在は一万三千九百二人です。三千五百六人の不足なのです。国の基準どおりやっただけでも、三千六百人の待機者は茨城県の場合には解消されるのです。国が決めた基準すらやっていないというのは、県政の責任もたいへん重いといわなければなりません。これは日本共産党を伸ばして、改善をぜひともはからなければならない問題ではないでしょうか(拍手)。
 県の責任ということでいいますと、こういう問題もあります。市町村では、利用料や保険料が高すぎる、これを何とかしなくてはと、減免制度をつくっています。十三市町村で保険料の減免制度、十八市町村で利用料の減免制度ができました。住民の運動と日本共産党のがんばりがあわさって、市町村ではこういう措置をとっているところもずいぶん広がっています。
 それでは、橋本県政はどうしたかというと、こういっているのです。「いくつかの市町村の減免制度については制度の趣旨に反する点があり、改善に向けた指導をやっている」。要するに、国のいいなりで市町村を抑えつけようというのです。国はいろいろな難くせをつけて、「保険料の減免をやるときは一般財源からお金を繰り入れてはいけない、お年寄りの減免をやったら別のお年寄りから取り立てなければいけない」など、市町村が減免制度をつくることを抑えつけようとしている。しかし、そのなかでもいろいろやりくりして、市町村ががんばっているのですから、それを応援するのが県政じゃありませんか。市町村が暮らしを守るためにやっていることを抑えつけるのだったら、県政なんかいらないじゃありませんか(「そうだ」の声、拍手)。

全国第2位の国保料――県の市町村への繰り入れは全国平均の5分の1

 国民健康保険料を調べてみましたら、茨城県の国保料は全国二番目です。一世帯当たり平均で十八万五千三百三十九円です。高すぎる保険料と不景気で払えないという悲鳴が、県内どこでもあがっています。
 これにたいして無慈悲に保険証を取り上げる。保険証を取り上げて、資格証明書に変えられたのが、全県で三千八十五世帯です。一カ月から数カ月の短期保険証に変えられたのが、一万三千四百十七世帯です。資格証明書になりましたら、窓口で全額払わなければならない。もう医者にかかるなというのと同じです。
 この問題でも、大もとは国の責任ですが、やはり県の責任もある。市町村などの国保会計にたいして県がどれだけお金を繰り入れているか。茨城県の場合、一人当たりでたった百九十一円です。ほんとうにスズメの涙です。東京は四千百十三円を繰り入れています。茨城は何と二十二分の一です。全国平均でも八百八十六円を繰り入れている。茨城県はその五分の一です。国保についても、県民が苦しんでいる、市町村が困っているときに、県がそれを支えていく姿勢を示せないのですから、これも県政の流れをほんとうに変えなければならないのではないでしょうか(拍手)。

乳幼児医療――一部負担金制度をなくし、無料化の充実を

 茨城の県政を調べていまして、乳幼児医療の問題には驚きました。いま乳幼児医療は、どこでも無料化を充実させるという方向です。ところが、茨城県では、一九九八年から、それまで無料だった三歳未満の乳幼児医療費を改悪して、一部負担制度を導入した。一日五百円、一月千円の負担制度を導入したのです。逆に値上げをやってしまったのです。これはさすがにひどいということで、県下三十八の市町村――45%の市町村で、独自に一部負担を市町村が肩代わりして無料を継続する努力がやられました。住民運動や日本共産党の運動のなかで、少なくない市町村も力をつくしているのです。ところが知事は、一部負担は続けるという態度を変えようとしません。
 国は、ことし十月から、乳幼児医療費の三歳未満の自己負担を三割から二割に引き下げる措置をとりました。そうしますと、県の負担分は減ることになります。県当局がわが党の県議団に最近明らかにした試算によると、これによって県の負担は二億七千万円軽減されるということです。一方、一部負担の廃止で無料化に要する県の負担は、二億三千万円ということです。ですから国の措置で軽減された負担分をあてれば、一部負担というけちけちした制度はやめることができるではありませんか。もしできなかったらお金の流用になりますよ。一部負担をやめさせて無料化の充実を――この願いを日本共産党の一票に託していただきたいと思います(大きな拍手)。

自治体とは何か、県政とは何かの根本が問われる

 こういうふうに話してきますと、自治体とはなにか、その根本が問われていると思うのです。たとえ国がやらなくても、住民のくらしや福祉に必要なものだったら、独自の施策をしてこそ自治体といえます。そして県政のありかたが根本から問われていると思います。県政というのは、市町村が困っていたら、それを支援し、それを助けてこそ、存在意義があります。国がいったことを、ただ市町村におしつけるというのでは、これは悪代官みたいなものです(笑い)。そんな県政は、ほんとうの県政の名に値しない。この根本も問われています。
 みなさん、暮らしを粗末にする県政を、日本共産党の躍進で切りかえる選挙にしていこうではありませんか(大きな拍手)。

“開発神話”――大破綻しても無反省でつづける県政でいいのか

第二の問題は、自治体の「開発会社」化という問題です。ここには一つの「神話」があります。それは「開発をすれば、需要がおこる」という神話です。“開発神話”です。この“開発神話”については、茨城新聞の去年の八月二十日付の記事が、こう書きました。
 「開発神話は曲がり角にきている。…受け皿を用意すれば、黙っていても、人や企業が寄り集まってくる時代は去った。従来型の開発行政に代わる新たな県政発展への道筋が求められている」。
 地元の新聞も、もう“開発神話”はおしまいですといっている。しかし、橋本県政はあいかわらずこの“神話”にしがみついている。とっくに破綻しているのに、“神話”の世界に住んでいるのが、この県政の実態だと思います。

常陸那珂港――船は流れてこないで、税金と砂浜が流出する

 たとえば常陸那珂港の問題です。これは国と県と市と村が投入した税金で、二千百二十億円、総事業費六千八百億円の巨大事業です。四年前にも、私は選挙でこの港の問題点を訴えましたが、この間、北ふ頭が完成したと聞きました。五万トンの大型コンテナ船が入れるようにと、水深一五メートルの巨大なコンテナバースができた。スーパーガントリークレーンといいまして、巨大な5万トンの船がはいってきたときに、巨大なコンテナを運ぶ巨大なクレーンがつくられました。二つもつくりました。しかし、待てど暮らせど、巨大な船は入ってこないんです(笑い)。
 この港で、コンテナ航路ができたのは、現在のところ韓国と中国の三航路だけです。そのうち二航路は、おとなりの日立港からもらってきたものです(笑い)。新たに開拓したのは一つの航路しかない。しかも入ってきているコンテナ船の規模を見ますと5万トンなんて一つもありません。三千トンから七千トン(爆笑)。これではせっかくの五万トンバースが泣くではありませんか。
 そこで、ポートセールスに奔走する。「港はいりませんか、港はいりませんか」(笑い)。世界中歩くわけです。そして北米航路というのを開拓したそうです。しかし開拓したと思ったらアメリカの船会社が倒産して、この話はとん挫したままだと聞きました。こんなわけですから、経営は赤字続きです。毎年税金が三億円から四億円も、この港の運営のために流出している。
 私がうかがってびっくりしたのは、税金に加えて砂浜まで流出していることです。常陸那珂港の南側の阿字ケ浦海水浴場の砂浜が、港ができて水流が変わったために、最大五十四メートルも後退したそうです。海底のゴツゴツした砂利が露出して、今年の夏だけでも救護本部から救急車で運ばれたけが人が九百八十六人。比較的にけがの軽かった人をふくめると約3千人とのことです。阿字ケ浦というのは「東洋のナポリ」といわれているほど美しい海岸だと聞きました(笑い)。私はナポリにいったことがないので(笑い)、比較はできないのですが、子どものころよく茨城の鹿島灘の近くまで、父と行きましてよく泳ぎました。海が青く透き通っていて、何ときれいかとよく覚えています。あのあたりも鹿島工業地帯をつくったことで、だいぶん荒れているということを聞きました。
 だいたいみなさん、港というのは、貨物が外国から流れて入ってくるところでしょう。ところが流れて入ってくる貨物はなくて、その港から流れ出て行くのが、税金と砂浜というのでは、なんともこれは笑い話にもならないですね。こんなでたらめな巨大開発は、即刻あらためるべきだと思います(拍手)。
 ところが自民党県政は、反省の色がありませんね。昨年の二月から、なんと中央ふ頭建設に乗り出しているということです。二〇一三年の完成だそうです。いまからでもこの無謀な計画は中止すべきではないでしょうか(大きな拍手)。
 太平洋の荒波から港を守るための六キロの巨大防波堤も建設中です。すでに四キロが完成している。これはケーソンという地上七階建てのビルに匹敵する巨大な構造物を、ドボン、ドボンと海の中に沈めてつくる方法で、ケーソンは一個四億円(どよめき)。これまでに百三十三個沈められている。五百三十二億円が太平洋の中に沈んだわけです。
 これも実にばかばかしい話で、やっぱり荒海のところに港をつくるのがまちがっているのです。「ワシントン・ポスト」に「船がまずやってこない港湾に一個七千五百トンのコンクリートの塊がつぎつぎに投げこまれている」という記事を、メアリ・ジョーダンさんいう記者が書きました。世界からも笑いものにされているのです。
 四億円といいますと、さっきいった乳幼児医療費の自己負担の撤廃に必要な予算が年間でだいたい二億円です。二年分がケーソン一個です。この巨大防波堤は、あと二キロメートル分はつくっていないのですから、いまからでもこんなムダな工事はやめるということを求めていこうではありませんか(大きな拍手)。

霞ヶ浦道水路ーー縮小などという小手先のごまかしでなく中止を

 霞ケ浦導水路というのも驚きました。霞ケ浦を中継して利根川と那珂川を二つの地下トンネルでつないで、利水をはかろうという計画です。しかし、水需要そのものが過大で、見通しがない。
 霞ヶ浦と利根川を結ぶ利根導水路は、二・六キロのものが完成して十一年たちましたが、一度も使われていません。
 霞ケ浦と那珂川を結ぶ那珂導水路は、四十二・九キロ、総事業費は千九百億円だそうです。十三キロまでトンネルを掘ったところで、三十キロは未着工です。とうとう県自身が水需要の見通しが過大すぎたということを認めて、水需要の見込みを四割減らすことになり、未着工の三十キロのトンネルは狭いトンネルにするそうです。奇妙な導水路ですね。太い導水路が十三キロ続いて、途中から狭くなる(笑い)。そのうちもっと狭くなるのではないか(笑い)。これもほんとうに見通しのない話です。
 こういう愚かな開発に入れ込んだつけが、高い水道料金になっています。関東七都県で調べましたら、茨城県が一番高い。月二十立方メートル使った料金は、神奈川千七百九十五円、東京二千九十九円、埼玉二千三百九十円、群馬二千三百九十三円、茨城三千七百二円(「えー」と驚きの声)と、とびぬけて高いのです。
 霞ケ浦導水事業は、縮小ということを余儀なくされたわけですから、事業は破たんなのです。破たんしたわけですから、これは縮小なんていう小手先でごまかすのではなく、大本から見直し、中止すべきではないでしょうか(大きな拍手)。

3議席で変わった県政ーーこの力がのびるかどうかが最大の焦点

みなさん、自治体の本業である福祉と暮らしを粗末に扱い、巨大開発はどんなに破たんしても無理やりつづける、この逆立ちした県政をただす力をもっている政党は日本共産党だけです。

地元新聞も、共産党がのびるかどうかが「県政界の流れを方向づける」

 「茨城新聞」が、九月二十五日付けのコラムでこういっています。いま県議会の議席が六十六議席ある。このうち自民党五十二、民主党七、公明党三、共産党三、無所属一となっている。そしてこのコラムがいうには、「全国的にみても、定数の八割近くを一つの政党が独占するケースはほかに見あたらない」。そして共産党が前回の選挙で、「一気に三議席を獲得したのは県政史上初めて」として、コラムはこう続けています。「王国の土台を揺るがすには至らないものの、強固な壁に微小ながらも穴をあけたとはいえないだろうか」(爆笑)。「微小」というのがちょっと気になりますけれども(爆笑)、「あれから四年。小さな穴が広がるのか、それともふさがるのか(笑い)。県政界の流れを方向づける戦いだ」。こういっているのです。
 ここに選挙の焦点があるというのです。共産党が伸びるかどうかに、今度の県議会議員選挙の最大の焦点がある。そこに、県内マスコミも一番注目している。県議会の六十六の議席のうち八割近くが自民党、民主党も与党、公明党はもちろん与党、無所属の人も与党、六十六分の六十三が与党なのです。95%が与党なのです。野党は三議席だけ。日本共産党だけです。95%が与党というのは、みなさん、どう考えても気持ちが悪いじゃありませんか(笑い)。これはどう考えても、県民の気持ちと県議会の構成が、とてつもなく離れているということです。日本共産党をのばして、この異常な状態を変えていく選挙が、今度の県議選だということを、心から訴えたいと思うのです(大きな長い拍手)。

 三倍になった力はすごい――少人数学級のとりくみで

 ただみなさん、日本共産党は三議席でも「微小」ではないのです。これまでの一議席から、三倍の三議席になった力は、すごいものがあるのです。
 さきほども大内さんからお話がありましたが、私が大事な成果だなと思う問題の一つに、少人数学級実現の取り組みがあります。
 これは一議席時代には、そのための問題提起をしても、自民党議員は「少人数学級だとかえって刺激が少なくなる。たくさんいた方が刺激があっていい子が育つ」(どよめき)などということを議会で平気で発言していたものでした。教育長も少人数学級の問題を提起しても、「国の方針とおりやります」と、木で鼻をくくったようなことしかいわなかった。一議席ではそういう状態だったのです。
 ところが、三議席になったらやっぱり変わるのです。最初の一般質問で、共産党県会議員団が三十人学級を提案しました。もちろん最初はなかなかうまくいかない。しかし、県議団として教育庁に、三十人学級になったら予算がいくら必要かを計算させたんです。県当局として、はじめて計算の結果を出しました。そうしたら小中学校で毎年一学年ごとに三十人学級に移行するには、年四十億円あればできるということがわかりました。ケーソンでいえば十個分でできるという試算が出てきた。これならやれるではないかということになって、県民世論がどんどん広がり、署名が広がりました。この県民運動に励まされて市町村も変わっていった。市町村の九割で請願が採択されました。そういうなかで今年四月から小学校一年生を対象にして、三十五人でありますけれども少人数学級への一歩が踏み出されたのは大事な成果ではないでしょうか(大きな拍手)。さらに日本共産党議員を増やして、小中学校三十人学級の本格実現をはかろうではありませんか(大きな拍手)。

全国に広がる「自治体らしい自治体」の希望ある流れ

 私は、全国を歩きますと、「自治体らしい自治体」をとりもどそうという新しい流れをひたひたと感じます。最初に長野県でおこっている変化の話をしましたが、長野県政だけではありません。
 たとえばこの四月には、徳島で、吉野川可動堰に反対する市民運動のみなさんと、日本共産党などがずっと共同してきた流れが、合流して大きな川になって、大田民主県政が誕生しました。
 高知県の橋本県政でおこっている変化も注目すべきです。茨城県の橋本知事と同じ名前ですけれども、中身はだいぶん違っているんですね(笑い)。ここでは、最初は米軍機の低空飛行に反対するとか、減反のおしつけに反対するとか、そういう変化に着目したものでした。それが一歩一歩、よい方向に変化してきている。最近の大きな変化では、「解同」という利権あさりの集団による乱脈に、抜本的にメスを入れる転換がはかられた。大きな変化が起きています。
 それから先日私は、鳥取県にいってきました。鳥取県は自民党の知事です。自民党推薦、「オール与党」推薦の知事なんです。片山さんという方が知事をやっている。ところが、やっている中身をみると、ずいぶん自民党らしくないことをやっているんですね(どよめき)。たとえば、西部地震が起こったら三百万円の個人補償をしました。県営中部ダムは無駄遣いだからと中止しました。それから三十人学級に踏み出しました。鳥取大学の統廃合も反対でがんばっています。ですから私が、地元で記者会見をやりましたら、「日本共産党の議員団は、野党なんだけれども一番与党らしくなってきている」という声もあったほどです。鳥取県といいますと人口六十万人です。県が丸ごと切り捨ての対象になっているようなところですから、そういうところでは、自民党知事であっても自民党政治ではやっていけなくなっている。そういうなかでの変化だと思います。
 最近、日本共産党員が、首長――市長さんや町長さんや村長さんをやっている自治体が、この四年間で七つだったのが十に増えました。東北でもこの四月に秋田の湯沢市で日本共産党員の鈴木さんが市長になり、福島の霊山町というところでも日本共産党員の町長さんが誕生しました。
 1らし、市長の交際費を半分にし、黒塗りの公用車をやめたというんですね。これだけで千五百万円が出てきて、利用料は半額にできましたというんです。やる気になれば財源はあるんですね(拍手)。
 もっと驚いたことに、湯沢市では国保料を二万円下げている。鈴木さんも、国保は下げられないと思っていたらしいですね。だから公約に入れなかった。下げるといって、できなければ公約違反といわれますから。しかし市長になって、「国保料が高すぎる」という市民の声が多いので、市の福祉局長さんに、「なんとかできませんか」といったというのです。そうしたらすぐ案を持ってきた。「市長、こうしたら下げられます」。実によく考えられた案で、国保の積立金をとり崩すとか、いろいろな工夫がしてありました。これを議会に出したら全会一致で通って二万円を下げることができました(拍手)。
 やる気になればやれるのです。やる気になれば、姿勢を変えれば、ずいぶんやれることはたくさんある。これが自治体なのです。やっぱり要は姿勢です。この姿勢をちゃんとしたものにする必要がある。それができるのはみなさん、日本共産党議員をのばすしかないではありませんか(大きな拍手)。
 みなさん、全国に先駆けて、この茨城から「自治体らしい自治体」の新しい流れをつくりだしましょう。そして、二十一世紀には、日本の政治もほんとうに希望ある政治にしていくために、日本共産党はがんばりぬく決意です。みなさんの絶大なご支持を重ねてお願い申し上げて、私の訴えといたします(「がんばろう」の声、大きな拍手)。