2002年10月1日(火)「しんぶん赤旗」
小泉純一郎首相は三十日、政権発足後初の内閣改造を行い、柳沢伯夫金融担当相を事実上更迭、金融機関への公的資金投入に積極姿勢をみせる竹中平蔵経済財政担当相を金融担当相と兼任させました。防衛庁長官には、中谷元氏にかえて石破茂元防衛副長官を起用、有事法制を推進する構えを強めました。
今回の改造は「一内閣一閣僚」という小泉首相の意向で、「非核三原則」否定発言で批判を浴びた福田康夫官房長官、機密費流用の実態を「忘れた」という塩川正十郎財務相ら十一閣僚が留任。連立を組む公明、保守からの入閣も、坂口力厚生労働相(公明)、扇千景国土交通相(保守)がそれぞれ留任し、新たな入閣者は六人にとどまりました。
一方、防衛庁リスト問題で責任を問われた中谷氏は交代。BSE(狂牛病)問題で責任を問われた武部勤農水相も交代し、後任の農水相には大島理森自民党国対委員長が就任しました。しかし、原発損傷隠ぺい問題で国と電力業界の責任が問われるなか、平沼赳夫経済産業相は留任しました。
このほか、国家公安委員長・食品安全担当相に谷垣禎一元科技庁長官、環境相に鈴木俊一自民党副幹事長、沖縄北方・科学技術担当相に細田博之同党総務局長、防災担当相に鴻池祥肇同党参院国対委員長をあてました。
鴻池氏は参院自民党の要望による「参院枠」で、片山虎之助総務相(留任)を含め、同枠は二人となりました。鴻池氏は、新設された構造改革特区担当相を兼任します。
志位委員長がコメント
日本共産党の志位和夫委員長は三十日、国会内で記者会見し、小泉改造内閣について感想を問われ、次のようにコメントしました。
一、「構造改革」の名で、国民にたえがたい「痛み」をおしつけ、経済を破たんに導く道をしゃにむにすすむ布陣であり、有事法制など憲法を破って米軍との海外での共同の武力行使の道をすすめる布陣となっている。
一、とくに、「不良債権の早期最終処理」という路線を、大銀行に公的資金を投入することで、強引にすすめようというものだ。
しかし、この方針は、この一年間の経済の現実によって、破たんが明りょうな方針だ。中小企業からの資金の引きはがし、倒産の激増、景気の悪化、不良債権の拡大という悪循環におちいっている。その反省もなくこの道を無理やりすすめば、いよいよ経済危機は深刻なものとなる。
一、わが党は、小泉政権の内政・外交の基本路線とひきつづき正面から対決し、国民の立場にたった日本改革のために力をつくす。
総理 小 泉 純一郎(こいずみじゅんいちろう)60 元森派 法務 森 山 真 弓(もりやままゆみ) 74 高村派 留 外務 川 口 順 子(かわぐちよりこ) 61 非議員 留 財務 塩 川 正十郎(しおかわまさじゅうろう)80 森 派 留 文部科学 遠 山 敦 子(とおやまあつこ) 63 非議員 留 厚生労働 坂 口 力(さかぐちちから) 68 公明党 留 農水 大 島 理 森(おおしまただもり) 56 高村派 再 経済産業 平 沼 赳 夫(ひらぬまたけお) 63 江藤・亀井派 留 国土交通 扇 千 景(おおぎちかげ) 69 保守党(参院)留 総務 片 山 虎之助(かたやまとらのすけ) 67 橋本派(参院)留 官房長官 福 田 康 夫(ふくだやすお) 66 森 派 留 防衛庁長官 石 破 茂(いしばしげる) 45 橋本派 初 環境 鈴 木 俊 一(すずきしゅんいち) 49 堀内派 初 行革・規制改革 石 原 伸 晃(いしはらのぶてる) 45 無派閥 留 金融・経済財政 竹 中 平 蔵(たけなかへいぞう) 52 非議員 留 国家公安 谷 垣 禎 一(たにがきさだかず) 57 旧加藤派 再 科学技術政策・沖縄北方 細 田 博 之(ほそだひろゆき) 58 森 派 初 防災・構造改革特区 鴻 池 祥 肇(こうのいけよしただ) 61 無派閥(参院)初 (初=初入閣、再=再入閣、留=留任) |