2002年9月24日(火)「しんぶん赤旗」
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青森県で開かれた日本共産党演説会で訴える志位和夫委員長=23日、青森市 |
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第一は、原子力施設を受け入れ、それに依存する問題です。
二〇〇五年に操業開始する六ケ所村の使用済み核燃料の再処理施設が、原発八個分の放射能をかかえこみ、重大事故時の危険はきわめて深刻なものとなること、再処理過程で放射性ガスが発生し、平常運転でも放射能をまきちらす問題を指摘。「とほうもない危険が押し付けられる」と批判し、計画中止を求めました。
さらに、高速増殖炉によるプルトニウム利用も、軽水炉によるプルトニウム利用(プルサーマル計画)も見通しがないもとで、再処理工場でプルトニウム燃料をつくっても燃やすところがなく、使い道のないプルトニウムがたまりつづけるとのべ、青森県が「核のごみ捨て場になってしまう」と指摘しました。
新潟でも福島でも地元自治体からプルサーマル計画が拒否されているのに、青森県の木村知事だけが「原子力施策をゆるがず推進すべき」だとする立場であると批判。「子々孫々まで危険をおよぼす無謀な方針を大本から見直し、原子力施設に頼らない安心して暮らせる青森県を」と訴えました。
第二は、破たんした自治体の「開発会社」化への道を、無反省に続けている問題です。
むつ小川原開発は、工場用地の四割しか売れず、事業をすすめた開発会社が経営破たんしています。ところが、巨額の財政負担のうえに、三万九千トンの放射能廃棄物が残される危険な国際核融合実験炉(ITER)の誘致が計画されています。
志位氏が、地元紙から「年に300日前後も稼働せず遊ぶ」と指摘された七里長浜港、十年連続立地なしの記録更新中で、未分譲地が「原野と見まがいかねない状態だ」と地元紙に皮肉られた金矢工業団地の問題をのべると、会場から何度も笑いがおきました。
さらに、木村知事は「ロマンのない行政はやるつもりはない」とのべて津軽海峡大橋建設にのりだそうとしています。知事が大橋建設の必要性を示せず、「原子力事故のさいの逃げ場のためにも重要」とのべていることを紹介すると、会場から怒りのどよめきがおこりました。そして志位氏が、「本当の自治体の『ロマン』とは、福祉や暮らしに役立つ仕事をすることです。巨大開発を『ロマン』として熱中する勢力に青森の未来はたくせません」とのべると、大きな拍手がわきおこりました。
第三は、福祉と暮らしを守るという自治体の仕事放棄の問題です。
国保料が一世帯あたり平均で東北六県最高の十七万九千三百六十九円で、市町村の国保会計への県支出が全国平均の二十分の一であること、介護保険料がマスコミ調査でも全国最高水準で、県が圧力をかけるため独自減免市町村がゼロであることなどを告発しました。
志位氏は、「青森県の希望ある未来は、原子力依存や大型開発でなく、ここに住む住民の福祉と暮らし、ここでがんばっている農林漁業や中小企業を大切にする政治にきりかえてこそ開けます。日本共産党を伸ばして、『自治体らしい自治体』の新しい流れをいっしょにつくりだしましょう」とよびかけ、日本共産党は県議会で二議席にもかかわらず、県民の運動と力をあわせ、リンゴの価格補償制度実現に力を尽くし、県独自の制度と国の制度がつくられ、全国をも励ましていることを紹介。全国の自治体でおこっている希望ある変化を生きいきと報告しながら、「国政でも地方政治でも前進の流れは広がっています。この条件を生かして前進しましょう」と訴えると、会場から大きな拍手と歓声がわきました。
澤田温子日本共産党県女性後援会代表委員のあいさつの後、富士克郎党青森県委員長が、県議候補四人をふくむ二十三人の県市町村議候補を紹介。代表してすわ益一、高橋ちづ子、三上和子、神田洋一の四県議候補があいさつしました。その中で、すわ氏は、東電のトラブル隠しで福島と新潟の県知事は「協力できない」と発言する中で青森県知事とオール与党の県議会は逆にプルサーマルの実施を迫る異常ぶりを批判。「この流れを食い止めるために日本共産党の躍進を」と訴えました。
弘前市から友人らと来た女子学生(19)は「原発のトラブル隠しは、安全性のこととか心配です。きょう志位さんの出した五つの提言は、原発の是非はともかく絶対にやる必要があると思います」と話していました。
使用済み核燃料の中間貯蔵施設がある、むつ市からきた男性(74)は「はじめて聞いた志位さんの話はとてもわかりやすかった。県政の問題も参考になりました。危険な原子力施設を県につくって自分の世代より後のことは知らないという政治はあり得ない。むつは生活がたいへんな状況、この状況をどうにかしたい」と話していました。