2002年9月17日(火)「しんぶん赤旗」

「基地のない沖縄」めざす

日本共産党のかけがえのない値打ち

沖縄・豊見城 志位委員長が訴え


志位和夫委員長(中央)とともに訴える(左から)ギマ盛昭、照屋つぎ子、さじ安夫、瀬長ひろし、瀬長ミサオ各市議候補=16日、沖縄県豊見城市

日本共産党の志位和夫委員長は十六日、大激戦となっている沖縄県豊見城市長・市議選挙(二十二日投票)の応援に入り、同市上田交差点で五百人が集まった街頭演説に立ちました。選挙戦は、今年四月に村政から市政に移行してから初の選挙です。

当銘市長候補、5市議候補勝利を

 「豊見城は、沖縄のなかでも革新と民主の素晴らしい伝統が脈打っている土地です」。こう切り出した志位委員長は冒頭、米軍占領下の一九五四年の村長選で、米軍の激しい妨害をはねのけて人民党公認の又吉一郎氏が当選したことは、その後沖縄の自治体を民主化していく画期的な出来事になったと指摘。五六年に瀬長亀次郎那覇市長、六一年には上原亀一郎糸満町長の誕生と続き、六八年には初の主席公選で革新統一の屋良朝苗氏の勝利となった歴史を振り返り、「革新・民主の統一候補・当銘カツオさんを必ず市長に、そして日本共産党の五人の市議候補の全員当選を」と訴えました。

 志位氏は、自民・公明連合の金城村政・市政が四年間におこなったのは、国保税の引き上げ、介護保険への責任放棄、子どもたちの教育予算の割合の削減、その一方で村長と村三役の報酬、議員報酬の引き上げという「血の通わない冷たい市政だった」と告発し、市長選・市議選での必勝を訴え。

訴える当銘カツオ市長候補=16日、沖縄県豊見城市

そのうえで志位氏は、「今年は沖縄人民党が一九四七年に創設されて五十五年、一九七三年に人民党が日本共産党と合流して来年で三十年になります。豊見城は、沖縄人民党をつくった瀬長亀次郎さんの生まれた土地でもあります」とのべ、「人民党と日本共産党が県民とともに果たしてきたかけがえのない役割」について語りかけました。それは「基地のない平和な沖縄」をめざすたたかいで、つねに県民の心のよりどころ、たたかいの柱になり、がんばりぬいてきたのが、沖縄人民党・日本共産党だということです。

 沖縄の基地の異常さについて志位氏は、(1)県土の11%を基地に奪われ、人口百三十万人の島に二万七千人もの米兵がひしめく世界に例のない重圧(2)世界で唯一、海兵隊が海外駐留しており、ブッシュ米政権がすすめる「テロ対抗」の名での報復戦争の出撃基地化(3)事故、犯罪、基地被害におびえる暮らしを強制され、本土との大きな経済格差をつくりだす根本にある(4)名護のサンゴ礁を埋めたてて最新鋭の基地の押しつけ――などを告発。「こうした沖縄の異常な米軍基地の重圧という現実を、『あってはならない現実』としてなくしていく立場に立つのか、『やむをえない現実』として県民に押しつける立場に立つのか。これが過去も、現在も、沖縄における政治対決の最大の焦点です」と訴えました。

 志位氏は、「基地のない沖縄」という願いは、「沖縄本土復帰の原点」であり、「沖縄県民のかわらない意思」でもあると強調しました。

 屋良琉球政府が日本政府にたいして提出した「復帰措置に関する建議書」では「復帰にあたっては、やはり従来通りの基地の島としてでなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでいます」と明記し、日本共産党の「事務所開き」で、屋良朝苗氏が「復帰は決まったが、沖縄でのあってはならない現実を乗り越えるために、共産党のみなさんの力をかりたい」とのべたこと、地元紙の五月の世論調査でも県内移設反対が69%、「縮小」「撤去」をあわせて87%と多数を占めていると指摘。「『基地のない沖縄』という本土復帰の原点、今日なお県民の圧倒的多数の願いに堂々とたって、県民とともにがんばりぬいている党が日本共産党。『あってはならない現実』を根本から変えるためにたたかいつづけているのが日本共産党。平和を願う『沖縄の心』をたくせる政党が日本共産党です」と訴えました。

 反対にこの沖縄の現実を「やむをえない現実」として県民におしつけてきたのが日米両国政府と、自民・公明連合です。

 志位氏は、新基地を沖縄に押しつけるため革新県政つぶしに政府・自民党が全力をあげた前回の知事選挙で、公明党が表では革新統一候補の支持を表明し、応援演説にも立ちながら、裏では“稲嶺候補(現知事)を応援するかわりに衆院沖縄一区で公明党候補を応援する”密約を自民党と公明党・創価学会が結んでいたことが関係者の証言でも明らかになったと強調。「これ以上のうそつきはないではありませんか。こういう勢力にまけるわけにはいきません」と訴えると、大きな拍手がおこりました。

 志位氏は、「基地の重圧の現実は、『やむをえない現実』では決してありません。県民の心が一つにまとまれば変えられる現実です」と訴え、本土復帰を勝ちとったたたかい、安保廃棄が本土でも多数派になる状況をつくったたたかいの意義を強調しました。

 最後に志位氏は、本土復帰闘争の先頭にたった瀬長さんが米軍占領下の初の知事選でのべた「沖縄の九十万人民が声をそろえて叫んだならば、太平洋の荒波をこえてワシントンの政府を動かすことができます」との言葉を紹介し、「『あってはならない現実』を変えていく、歴史に残る一歩をしるす選挙にしていきましょう」とよびかけました。

各候補が決意を表明

 街頭演説では、当銘カツオ市長候補(61)と、日本共産党のギマ盛昭(46)、瀬長ひろし(47)、瀬長ミサオ(40)、照屋つぎ子(54)、さじ安夫(51)=いずれも現=の各市議候補が決意表明し、赤嶺政賢衆院議員・県委員長が訴えました。

 カツオ市長候補は、国民健康保険税の引き下げ、介護保険料・利用料の市民負担軽減の実現などを公約し、「市民が主人公の新生・豊見城をともにつくりましょう」と呼びかけました。

 五人の党市議候補は、市民のくらし・福祉、教育や平和などの問題で、党市議団の役割と値打ちを訴えました。

 志位氏の訴えを聞いた女性(50)は「基地がなくなると困る人もいるのではと複雑な気持ちでしたが、沖縄がイラク攻撃の拠点になることなど聞いて、気持ちが変わりました」と話しました。

 また、「沖縄人民党以来の歴史と伝統を踏まえた演説で、非常に勇気づけられた」(六十七歳の男性)、「訴えを聞いて何度も鳥肌が立った。もっと若い人を集め、何としても革新・民主市政の再建と五候補の勝利を勝ち取りたい」(二十二歳の与那城亮さん)などの決意も聞かれました。