2002年9月16日(月)「しんぶん赤旗」

住民の福祉と暮らしを守る

“自治体らしい自治体”取り戻そう

いっせい地方選勝利・躍進へ全国遊説スタート

神奈川・川崎で3500人 志位委員長が訴え



演説会の参加者から声援をうける志位和夫委員長や各候補=15日、川崎市の教育文化会館ホール

 半年後に迫った、いっせい地方選挙の勝利をめざす日本共産党の全国遊説のトップを切って、志位和夫委員長が十五日夜、衆院神奈川八区(川崎市宮前区、横浜市青葉区)補選もある神奈川県入りし、川崎市川崎区の教育文化会館での党演説会で訴えました。

 川崎市内全域はもとより横浜市など県内各地から同会場の演説会では史上最高の大型バス、マイクロバス計四十五台を運行。川崎では、地域の町内会、老人会、商店会、宗教者などに演説会への参加を申し入れ、各種団体、「しんぶん赤旗」読者、党支持者に約一万枚の案内はがきも手渡し、郵送しました。

 大ホールと第二、第三会場を埋めつくし、ロビーまであふれる約三千五百人の聴衆がつめかけ、むねた裕之衆院神奈川八区候補と、いっせい地方選の勝利をめざす熱気につつまれました。

 志位委員長は、長野県知事選と県議補選での勝利の意義、三・二兆円の国民負担増計画、米国がねらうイラク攻撃の危険性など日本と世界をめぐる情勢、日本共産党が果たしている役割を縦横に語りました。そのうえで、「『住民の福祉と暮らしを守る』という地方自治体の役割はいよいよ切実です」と、神奈川県での「地方政治をめぐる二つの流れの対決」を詳しく解明し、いっせい地方選挙での躍進・勝利をよびかけました。

 志位氏は、「自治体が自治体でなくなる」という変質の流れが、神奈川では「絵に描いたようなひどさで県民を苦しめている」と指摘。県全体で特別養護老人ホームの入所待機者が介護保険開始時の二倍に急増していること、〇〜五歳人口あたりの保育所数は全国最下位となっていること、川崎市が発表した「行財政改革プラン」が、六十七歳からの老人医療費助成制度、敬老パス、敬老祝い金事業、民間福祉施設への運営費補助など革新市政時代に築いた福祉施策を根こそぎ破壊する市民いじめの大計画になっていることなどを明らかにしました。

 こうした福祉と暮らしの予算を削る一方で、破たんした巨大開発が「都市再生」などと看板をかえ、さらに進められようとしていると告発。

 横浜市では、三千億円の市費を注ぎ込んでも業務・商業用地の半分が売れ残っている「みなとみらい21」を、「都市再生」の指定地域として、さらに超高層ビルを林立させる計画がすすめられています。川崎市では、巨大コンテナバースが累積五十億円の赤字となり、市の検討委員会も“市は手を引け”と答申しているのに、あくまで継続しようとしています。

 志位氏は、「この自治体変質に『オール与党』のなかでももっとも熱心なのが公明党・創価学会」と告発。川崎市の「行財政改革プラン」を「川崎再生を目指す市長の並々ならぬ意欲と決意の現れ」と天まで持ち上げ、学童保育事業の廃止に反対して存続を求める三十万人の請願署名が出されると、「市民の不安をあおる」(「公明新聞」)と敵視していることなど、公明党・創価学会の住民いじめ、反共と反民主主義の本性を示して批判すると、大きな拍手がおこりました。

 第二の「自治体らしい自治体」を取り戻そうという新しい流れについて志位氏は、神奈川県では前回いっせい地方選挙で党県議団が二議席から六議席になり、中間選挙を含め史上最高の百十四議席、95%の県内議会で党議員が議席をもって活躍するなかで、介護保険の保険料と利用料の減免実施自治体の割合がそれぞれ45%(十七自治体)と広がっていると強調。

 また日本共産党が野党の自治体でも、大和市の土屋市長が「財政状況が厳しいなかで市民に説明がつかない」と「県新幹線新駅設置期成同盟」から脱退宣言し、米空母の横須賀母港撤回を強く主張したり、茅ケ崎市の添田市長が三市三町の合併を「国の押し付け」として正式参加を拒否するなど、前向きの変化がおきていることを指摘しました。

 志位氏は、「オール与党」の暴挙で一般質問が制限された県議会でも、党県議団が意見書、決議案、文書質問などあらゆる権利を活用し、特養ホームへの特別助成、乳幼児医療費助成の対象年齢引き上げの来年四月実施の検討に入らせるなど、要求実現に全力をあげてきたと強調。「新しい政治を生み出す条件は、国政でも地方政治でも熟しています。この条件を現実の躍進につなげようではありませんか」とよびかけ、大きな拍手がおきました。

候補者ら訴え

演説会では、コスモス女性クリニック院長の野末悦子さんがあいさつ。県議・横浜市議・川崎市議の各候補をはじめ、いっせい地方選をたたかう全候補者が紹介され、宮下泉県議団副団長、竹間幸一川崎市議団長、大村洋子横須賀市議候補が決意を表明しました。

 むねた八区候補は、「小泉内閣に審判を下し、人のいのちとくらしを最優先にする政治をつくるために国会に送ってください」と気迫を込めて訴えました。

 川崎市中原区に住む男性(67)は、「阿部市長の『行革プラン』はとんでもない。長い間、革新市政がきずいてきた福祉施策を根こそぎ奪うのは許されない。大型開発に税金をつぎ込むために福祉を奪うやり方には道理がない」と怒りをぶつけ、党の躍進を願っていました。