2002年8月30日(金)「しんぶん赤旗」

地方議員代表者会議

激動の地方政治 やりがい見えた

志位委員長報告 心通った150分


 一心にメモをとる参加者、笑いと拍手も随所にあふれた、全国地方議員代表者会議での志位和夫委員長の報告。「二十一世紀に、やりがいと展望のある時代になってきていることが実感できた」(福島・あべ裕美子県議)との感想が聞かれました。地方政治の激動的情勢と変化の可能性を豊かな実例で示し、議員活動の困難にも心を通わせた百五十分の報告のハイライトを紹介します。

注目 3つの流れ

新たな変化に確信の拍手

 「自治体が自治体でなくなる」。志位氏は、自民党政治による地方自治体への反動支配が自治体の存在意義まで失わせるところまできたことを、(1)「営利企業」化(2)「開発会社」化(3)市町村合併押し付けと財政切り捨ての三つの角度から明らかにしました。

 老人医療費助成廃止から高齢者への紙おむつの枚数削減まで、自治体として「恥ずかしくなるような」「重箱の隅をつつくような」切り捨てをすすめる「営利企業」化。

 「開発会社」化では、財界からみて“非効率”な地方・農村部では公共事業は削減し、都市部では見通しのない「都市再生」事業に税金を注ぎ込むという「効率化・重点化」の方向がとられている。

 そのうえに市町村合併と財政切り捨てが“車の両輪”で襲いかかる――詳細なデータを駆使した志位氏の告発に、参加者は熱心にメモをとっていました。

 会場から驚きと感動をもって受けとめられたのは、「それと対照的に『自治体らしい自治体』をとりもどす、新しい希望ある地方政治の流れが、たしかな広がりをみせている」との報告でした。

県段階での胎動

 一つは、徳島、長野、高知など県段階でおきている「住民が主人公」への新たな変化と胎動です。

 ――吉野川可動堰(かどうぜき)反対の住民運動の広がりで民主県政が誕生した徳島県。

 ――長野県では「脱ダム」宣言、公共事業の土木型から福祉・環境型への転換、三十人学級の実現など希望ある変化が、車座集会で県民参加の運営をする田中知事の姿勢と無党派の人々の運動、日本共産党の道理ある主張が合流してつくられた。

 ――高知県では、ひきつづき住民利益にかなった施策がすすみ、「県政の最大のがん」であったゆがんだ同和行政の終結へ急速な転換がはかられた。

 さらに自民党政治の枠を脱していないものの、前向きの変化が注目される鳥取県の例。

 次々と示される実例は、自民党と「オール与党」による自治体の反動支配が、二十一世紀には通用しなくなりつつあることを鮮明に示しました。

党員首長の誕生

 二つ目は、革新・民主の自治体の流れです。

 志位氏は、この四年間で六市町村で共産党員首長が誕生したことにふれ、(1)自治体運営の実績が有権者に評価されての二期目の勝利の意義(2)党の力が特別強いわけでない、「普通の自治体での普通の首長選挙」の勝利、という二つの特徴を紹介しました。

 とくに、新たに党員首長が誕生した秋田・湯沢市、福島・霊山(りょうぜん)町の選挙結果を「予期せぬ勝利」などと報じた地元紙記事の紹介には、爆笑に次ぐ爆笑が。“利権型政治が地方でも通用しなくなっている”ことや“党への誤解の壁も「意外と簡単に越えてしまう」変化”を会場全体で共有しました。

地方議員の成果

 三つ目の流れは、四千四百人にのぼる党地方議員団のかけがえのない値打ちです。

 参加者にとっては、みずからの活動そのものであるだけに、介護保険の利用料・保険料の減免を自治体総数の四分の一まで広げるなど、さまざまな成果に確信にみちた拍手がおこりました。


強く大きな党を

公明党・創価学会の反動的企て打ち破ろう

 「量質ともに強大な党建設のための努力を片時も握ってはなさず、党勢拡大の上げ潮のなかで選挙をたたかおう」

 志位氏のこの呼びかけに、会場は引き締まった雰囲気になりました。“客観的情勢が党躍進の可能性をはらんでいても主体的な力がそれに追いつかなければ選挙では勝てない”――これが、総選挙・参院選からの最大の教訓だったからです。

 同時に、志位氏は、党の前進にとって避けては通れない課題として、公明党・創価学会の反動・反共のくわだてを本格的に撃破する論戦と活動に本腰をいれてとりくむことをよびかけました。

 参加者は、選挙の現場で公明党・創価学会の異常な反共・反動攻撃に対峙(たいじ)してきただけに、真剣な表情で聞き入り、決意をこめた拍手や掛け声でこたえていました。

国民の目線で

 “このたたかいは単なる「反共反撃」にとどまらず、日本の民主主義を守り、国民の暮らしと平和を守り、『国民が主人公』の日本の道をすすむうえで避けて通れない課題だ”――こう提起した志位氏は、そのくわだてを打ち破る二つの角度を提起しました。

 一つは、公明党・創価学会の反動的役割を、国民の目線にたって、また確かな事実にそくして、徹底的に明らかにする論戦をすすめることです。

 もう一つは、公明党・創価学会とは、そもそもどういう集団かを明らかにしていくことです。

 自分たちは何をやっても「仏」、それを批判するものは「仏敵」――批判者の存在を許さないこうした反共・反民主主義を本性とする謀略集団という本質を、動かない事実にもとづいて明らかにすることを提起しました。


悩みをどう解決

アンケートにこたえて

 「議員としての重さにおしつぶされそうになりながら、必死にがんばっている」―会議開催にあたって党中央委員会が全国の地方議員から寄せてもらったアンケートには、政策問題の悩みや議員活動のうえでの困難なども寄せられました。

 志位氏は「党活動全体にわたる『けん引力』の仕事を前進させるために、苦労を重ね、困難をかかえながら、日夜奮闘されている全国の議員のみなさんの活動に、まず心から敬意と感謝を申し上げたい」とのべ、政策と議員活動の両面から議員の声にこたえました。

 政策の悩みで多かった一つが、「国保料の引き下げや、介護保険の減免は、住民の切実な願いだが、予算がなくて実現が難しい」というもの。

 これに「万能の方程式」はないが、基本的な姿勢を整理したいとのべた志位氏。(1)住民の福祉と暮らしを守るという自治体ほんらいの基本姿勢に立たせる提起と論戦をすすめる(2)大型開発優先などの「逆立ち」政治をただすことが住民要求実現の財源的保障になる――東京・狛江市の実例をおりまぜた報告に、参加者は熱心にペンを走らせていました。

 「そうはいっても、なかなかただすべき大型の無駄づかいが見つからない」という声に、志位氏は「無理に『大型の無駄づかい』さがしをする図式主義はうまくないが、本気で住民要求の実現にたって知恵をしぼれば道が開かれる場合も多い」。党員首長が誕生した秋田・湯沢市で、市長の提起に担当部局が知恵をしぼって、国保料引き下げを実現した経験には拍手がわきました。

 市町村合併問題にどう対応するか、地域経済の振興をどうはかるのか――多くの地方議員が直面する数かずの問題について、丁寧な解明が加えられました。

過重負担は…

 議員活動の改善と強化で多く寄せられた悩みは、議員の過重負担問題です。志位氏は「住民の期待にこたえて議員活動を豊かで充実したものにしたいという真剣な立場からの声だ」と指摘します。そして、議員、支部、党機関が協力して「三つの努力目標」(2面目次参照)にとりくむことを提案しました。

 議員は支部とともに住民要求をとりあげ実現に努力するし、支部も毎回議会傍聴をして議員活動を励ましている――埼玉・鴻巣市を例に、議員団と支部の支え合いを具体的に示しました。また、機関と議員との「心の通った指導・援助の関係」を築く努力の重要性を訴え。議員団の確立と強化について、「何でも話し合える温かい人間集団をつくってこそ知恵も勇気もわきます」とよびかけ。党中央が援助して都道府県に議員相談員をおけるようにしたいとの提案に、参加者は歓迎の大きな拍手を送りました。