2002年2月8日(金)「しんぶん赤旗」

人間を人間として大切にする経済社会を

小泉「改革」は"強きをたすけ、弱きをくじく"

雇用、社会保障、税制 志位委員長が「3つの提案」

衆院本会議


 「“強きをたすけ、弱きをくじく”血も涙もない弱肉強食をすすめるものだ」――。日本共産党の志位和夫委員長は七日、衆院本会議で代表質問にたち、発足から九カ月たった小泉政権の政治姿勢、経済、外交の問題点を究明しました。


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代表質問する志位和夫委員長=7日、衆院本会議
3つの提案
 (1)雇用をまもる社会的責任を企業に果たさせるために政府が本腰を

 (2)ほんとうに持続可能な社会保障のために、国が最優先で財政支出を

 (3)累進性の原則にもとづいて、税制の民主的再建を

 志位氏はまず、「小泉政権がこれまでの自民党政治の古い枠組みを少しも変えるものではなかった」とのべ、NGO(非政府組織)排除問題、公共事業の「口利き」疑惑、狂牛病(BSE)問題で小泉純一郎首相の認識をただしました。

 さらに志位氏は、小泉内閣が推進している「構造改革」について、「すでに破たんした九〇年代の歴代自民党政権の大企業中心の経済政策と、いったいどこが違うのか。それをもっと乱暴に、もっと冷酷非情にしただけではないか」と小泉首相の認識をただすとともに、「人間を人間として大切にする経済社会のルール」づくりにむけて三つの分野で提案しました。(別項)

 志位氏は、日本経済が長期不況から脱出できない原因に「庶民の家計からお金を吸い上げ、大銀行や大手ゼネコンに注ぎ込むという、ゆがんだ政策」があると指摘。「不良債権の早期最終処理」の先に残るのは一握りの巨大銀行で、中小企業、地域経済は壊され、労働者は失業に追い込まれ、暮らしを痛める政治では税収も落ち込むなど「財政も景気も共倒れという最悪の結末になる」とのべ、小泉内閣の「構造改革」路線を厳しく批判しました。

 小泉首相は、従来型の公共事業が景気に「効果がなかった」と認めながらも、「だから『構造改革』だ」というだけで展望を示すことができませんでした。

 志位氏は、日本共産党の「三つの提案」のなかで、欧州委員会が企業に社会的責任を果たすよう求めている流れをあげ、人減らしとリストラ競争に走る日本の大企業と、その応援に終始する日本政府の異常な姿を指摘しました。

 医療保険制度で小泉内閣は、患者の窓口負担の引き上げで医療抑制をはかろうとしています。これにたいし志位氏は「欧州主要国では患者の窓口負担は少額で、重い負担を求めている国はない」とのべ、政府の政策転換の必要性を強調しました。

 さらに、「税収の空洞化」は、歴代政府が高額所得者の減税、大企業減税をくりかえしてきた結果だと指摘。「貧富の格差が拡大するときに国が関与し、富める人から貧しい人に所得を再分配し、格差を是正することに税制が果たすべき役割がある」と述べました。

 小泉首相はこれにまともに答えず、官僚の作文の棒読みに終始しました。


平和の「備え」は憲法9条

 代表質問で志位委員長は、“テロ根絶”を看板に、米国が報復戦争をアフガニスタン以外の世界各国に広げる動きをきびしく批判。米国の同盟国からも批判と懸念の声があがっていることを示し、「日本政府としてきっぱり反対の立場をとるべきだ」と小泉首相に迫りました。

 志位氏は、ブッシュ米大統領が一般教書演説で北朝鮮、イラン、イラクという特定の国を「悪の枢軸国」と決めつけ、一方的な軍事力行使を辞さない姿勢をとっていることについて、「国連憲章にもとづく平和の世界秩序を破壊する無法そのものだ。これを是とする立場をとるのか」と追及。

 小泉首相は「(ブッシュ大統領は)報復戦争や特定の国に対する将来の具体的な軍事行動について述べていない」と、対米追従姿勢をあらわにしました。

 志位氏は、「備えあれば憂いなし」として政府・与党が狙う有事立法の真の狙いは、日米共同の海外での戦争に乗り出していく体制づくりにあると指摘。「日本にとって最大の『備え』は憲法九条だ」として、卑屈なアメリカ追従外交から憲法九条を生かした自主・自立の平和外交への転換を求めました。