2002年1月30日(水)「しんぶん赤旗」

党国会議員団会議(29日夜)での志位委員長の発言(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長が、二十九日深夜の党国会議員団会議でおこなったあいさつの大要は、次の通りです。

議長も「このやり方はひどい」、与党予算理事は「謝罪」――採決強行はひとかけらの道理もない暴挙

 みなさんごくろうさまです。

 いま、同時並行で本会議がはじまったわけでありますけれども、この強行は、二重三重に道理がないものであります。

 ことの発端は、アフガン復興支援会議からのNGO排除問題をめぐって、昨日の予算委員会で、外務大臣と外務事務次官の答弁の間の食い違いがおこって、これは大変な事態だということで官房長官が内閣の「統一見解」をだすという約束をしました。しかし、出てきた「内閣見解」というものは「統一見解」ではなくて、「意見の食い違い見解」というひどいものでありました。

 このひどさについては、だれもがひどいと思っています。衆議院の正副議長が「これは見る必要もない」「論評に値しない」とそこまで言いきっています。そして、さきほど穀田国対委員長が本会議開会のベルを押さないようにと働きかけにいったときも「このやり方はひどい」と議長もはっきりいったそうであります。そのくらいひどいのであります。

 それから、今日、もうひとつでてきた政府側の文書で、これは外務大臣はみていないそうですけれども、「申述聴取結果」というものがでてきました。しかし、これは双方に言い分を聞いて政府の「統一の見解」をだしたというものではなくて、一方の外務官僚の側にきいたアンケート調査みたいなものをもってきただけで、何の意味もないものであります。

 この全体の経過、昨日の予算委員会での採決の強行という事態にたいして、さきほど予算委員会の理事会が開かれて、その場で佐々木憲昭議員が追及しますと、与党の予算委筆頭理事が「謝罪する」というのです。「昨日の採決は間違っていました」「謝罪いたします」と。謝罪するのなら、元にもどすのが筋であるはずですけれども、「それはもうすんでしまったことなので、ぜひ」といいはる。

 まったくひとかけらの道理もない、謝りながらとにかく強行するというまさに二重三重に道理のない強行劇ですから、私たちが、これに断固たる抗議の意思として欠席でのぞむということは当然だと思います。(拍手)

問題の本質は、重要な国際問題での小泉内閣の無責任な対応

 いま起きてる問題の本質的な性格はどこにあるか。

 今日、扇大臣が「これは外務省のなかのもめごとだ」というなど、ことさらこれを小さく見せるような発言がいろいろ政府・与党の側から聞こえてきます。

 しかし私は、そういう次元の問題ではないと思います。この問題というのは、本質的に言えば、アフガン復興支援会議という重要な国際会議が、日本政府の反民主的な行為によって大きく傷つけられた。重要な国際会議が深く傷つけられた。こういう問題だと思います。すなわち重要な国際問題なのであります。

 ですから、そういう問題が起こった以上、きちんと日本の政府として、内閣として、どこに問題があったのか、どこに責任があったのか、内外に明らかにする責任が当然生じます。そういう重大な性格の問題なのです。

 ところが、そういう重大な国際問題であるにもかかわらず、小泉内閣はただそうとしない。無責任な対応に終始している。私は、ここをいま、きびしく追及しなければならないと思います。ああいう問題が起こっても、問題をまともにただそうという姿勢の片りんもない。

 だいたい、官房長官の発言をずっと思い起こしてみますと、まず、「時間が解決するでしょう」。ああいう問題は時間がたったからといって解決するわけじゃないでしょう。それから、「勘違いじゃないですか」。こうとぼける。今日は「そんなに高いレベルの話ではないように思う」とも言った。NGOを排除しておいて、これは低レベルの話と平気で言うわけですから、これは、およそまともにこの問題の性格を認識してない。

 それから首相の発言は、あの「涙は女性の最大の武器」でしょう。この程度のひどい認識なわけです。そういう、小泉内閣の無責任な対応が、まさにいま、問われている。ここを、私たちは問題にしていかなければならないと思います。

 昨日、今日と出たこの「政府見解」にしても、「申述聴取結果」にしても、小泉内閣の無責任ぶりの象徴みたいな文書が、ここにあるということをはっきり見る必要があると思います。

有力政治家の国政私物化をうやむやにしてはならない

 小泉内閣がなぜそういう無責任な対応をやったかという根本に、鈴木宗男氏の問題がある。つまり、自民党の一有力政治家が、国政を私物化するような形で外交をろう断していた。この実態がある。しかし、それをまともにただそうとすることをやらないわけですね。

 昨日の衆院予算委員会の質疑のなかで、中東アフリカ局長が「大西(健丞)さんに電話をした。朝日新聞の記事について、問題だといった。鈴木先生に何らかの説明をした方がいいといった」。こういったでしょう。私は、これはまさに、鈴木宗男さんが圧力をかけたことの動かぬ証拠がここにあると思います。

 「鈴木先生に何らかの説明をした方がいい」と。これは圧力がかけられているから、そのために説明にいってくださいという以外の何物でもない。こういう証言が、答弁として政府側から出ているわけですね。何よりも介入の証拠ですよ。

 この問題では、鈴木議員が外務省に不当な介入をやって、国政を私物化し、外交を私物化したということについては、これは真っ黒の黒ですよ。

 問題がこれだけはっきりしているのに、小泉内閣がこれをうやむやにしようとしている。私は、ここに、いまの小泉内閣の性根が見えたということがいえるのではないかと思います。

 国際的な重要な問題を、内閣がうやむやにしようとしている。そのときに国会がうやむやにしたら、国民の代表機関としての責任は果たせないということになりますから、国会が本当にがんばる必要があるというのが、いまの局面だと思います。

国民の前での堂々たる審議で問題点を明らかにしていく

 私たちは、明日からのたたかいがまた大事になってくると思います。政府にちゃんとした統一見解を出させて、食い違いの白黒の決着をつける。NGO排除問題での鈴木代議士の外務省への圧力について、きちんと解明をおこなうこと。そして、小泉政権がとった無責任な対応について、追及・究明すること。こういう課題が非常に大事になってくると思います。

 これらは当然、国会審議を通じてこそ明らかにできるわけで、わが党は明日から予定されている参議院の予算委員会の審議に堂々とのぞんで、この問題についても国民の前での堂々たる審議を通じて究明していきたい。

 今度の国会はさまざまな問題があります。経済の問題、外交の問題、さまざまありますけど、この問題も一つの大きな、小泉内閣の政治姿勢の根本にかかわる問題として重視して、追及していきたいと思います。ともにがんばりたいと思います。(拍手)