2002年1月26日(土)「しんぶん赤旗」

真のねらい見抜き、たたかいの輪広げよう

「有事法制を考える、市民と議員の緊急集会」での

志位委員長の発言

(大要)


 二十五日に開かれた「有事法制を考える、市民と議員の緊急集会」で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなった発言(大要)は次の通りです。


 今日、こういう会がもたれまして、たくさんのみなさんがお集まりくださったことに、私もまず心から感謝を申し上げ、たたかう決意をともに固め合いたいと思います。(拍手)

 この有事立法の真のねらいはどこにあるのか。ここをいまはっきり見抜いて、たたかいの共同の輪を広げていくことが大事になっていると思います。

 私はこの有事立法のねらいというのは、「日本が武力攻撃を受けた際の備え」というところに、“本命”のねらいがあるのではないと思います。

 そこが“本命”ではなくて、日本を根城にして米軍がアジアにたいして干渉の戦争を始める、そのときに、自衛隊だけではなくて日本国民を総動員する。そこに真のねらいがあるのではないでしょうか。

 私は、このことを裏付けた文書が、三日前に内閣官房から出されたこの文書だと考えています。「有事法制の整備について」という文書です。

 これを見ますと、「有事法制が対象とする事態」について、まず、「わが国に対する武力攻撃」が項目として第一に出てきます。ところが第二項目として、「武力攻撃にいたらない段階から適切な措置をとる」、これが入っています。

 「武力攻撃にいたらない段階」とは何でしょうか。「周辺事態法(ガイドライン法)」が発動の要件としているのは、(同法のいう)「日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態」。これは「武力攻撃にいたらない事態」です。「周辺事態」と認定し、米軍が戦闘行動を起こしたらそれに自衛隊がいっしょになって出て行く。

 そういうときにも、有事法制を発動する道を開こうとしているのが、この文書ではないでしょうか。本音が見えてきたではありませんか。私は、ここが一番危険な点だと思います。

 ガイドライン法は、米軍がひきおこした戦争への自衛隊の参戦のさまざまな内容を決めました。同時に、自治体や民間を動員することについても書いてあります。しかし、あくまでもガイドライン法の中では、「協力を求める」とか「協力の依頼」なのです。たとえば民間の業者や働く人、運送業者さん、あるいは看護婦さん、お医者さん、そういう方々を動員するとき、あくまでも「協力の依頼」までしかできない。協力義務は生じないし、罰則もない。

 これではまだダメだということで、アーミテージさん(現米国務副長官)や、グリーンさん(現米国家安全保障会議日本・韓国部長)など、アメリカから「もっとガイドラインがしっかり実施できる立法をおこなえ」という圧力がかかっていまの事態が起こっているのではないでしょうか。

 私はここに、今度の事態の一番危険な側面があると思います。

 小泉首相は、有事法制について「備えあれば憂いなし」といいます。これは、私は、逆の意味で真理を言っていると思います。危険な「備え」を作ることが、後顧の「憂い」なく日本が海外での戦争に加われることになるということではないでしょうか。

 まさにこうした「備え」を作ることこそもっとも危険なのだということをしっかり見抜いて、これをつぶすために共同のたたかいをやろうじゃないかということを心から訴えたいと思います。(拍手)

 この場に、日本共産党の議員とともに、社民党の議員のみなさんも土井党首をはじめおみえになっています。大橋巨泉さんなど民主党の議員さんもいらっしゃる。無所属の議員さんもいらっしゃる。

 私は、国会内でも可能な限り共同の輪を広げたいと思いますが、やっぱり国民のたたかいです。国会のなかではまだまだ少数ですから、国民のたたかいを草の根で起こして、この悪法――憲法九条を破り、首相に権限を集中させて、基本的人権を踏みつけにする、この悪法を絶対通さないために、みなさんとスクラムを組んで、最後までがんばり抜く決意を申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)