2002年1月9日(水)「しんぶん赤旗」

小泉政治は国民には痛み、大銀行には“大甘”の政治

志位委員長がCS放送で発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は、八日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」に出演し、小泉政治について「『痛みを等しく分かち合おう』という話があるけれど、国民には痛み、大銀行には大甘の政治だ」と指摘しました。

大銀行には痛みどころかいたれりつくせり

 志位氏は、朝日新聞の峰久和哲・政治面編集長の質問に答えて、小泉「改革」八カ月を中間総括。「私たちは、この『改革』は、国民に耐えがたい痛みを強いる、そして経済もだめにしてしまうと一貫して批判してきたが、そのとおりになりました」とのべました。

 このなかで志位氏は、「痛みがくるどころか、いたれりつくせりの分野がある」として、大銀行にたいする小泉政権の姿勢を批判。(1)銀行支援の七十兆円の枠組みはそのままにして、さらに大銀行に公的資金を再注入するという議論が出てきていること、(2)大銀行に邪魔なものは、郵政民営化や、住宅金融公庫廃止のように「民業圧迫」の掛け声でつぶしていく―ことをあげました。

 志位氏は、「大銀行には税金を入れてやる。もうけ口を新しくつくるために、(郵政事業や住宅金融公庫を)国民が望んでもいないし、反対しているのにつぶす。大銀行優遇政治極まれりという感じです」と指摘しました。

 また、国民の預金保護に一千万円の限度をつけるというペイオフ制度に関連して、「ペイオフという問題をテコにして、地域の経済を支えている信金や信組をどんどんつぶしているのです。この淘汰(とうた)がおこって、結局、資金を巨大銀行に集中させる流れが起こってくるというのも非常にまずいことです」と指摘しました。

小泉対米追随外交は「アジアの恥部」

 国際問題で「米国の武力行使はアフガンのために貢献したという見方についてどう思うか」と問われた志位氏は、米軍の報復戦争がもたらしたものを、アフガン国民の犠牲、パレスチナ問題でのイスラエルの暴走、戦争の拡大の危険という三点にわたってきびしく告発しました。

 そして、アフガニスタンの新政権についても、北部同盟が過去に残虐行為などを働いてきたことへの不安があることをあげ、「アメリカは(政権主体の北部同盟を)反タリバンに都合がいいから使ったというだけ」と指摘。「いまの政権にたいするアフガン国民の期待は当然あると思いますし、この期待は実らせたいと思うけれども、その保証というものはない」とのべ、こんごの推移を注視する見方を示しました。

 峰久氏が「小泉政権の外交はテロ問題にかんしていえば、対米追随型の外交を展開していますが、これでいいのか」と質問。志位氏は、「これは大問題で、私たちだけの批判ではなく、アジアの国々の批判が強い」として、韓国の英字紙「コリア・ヘラルド」が「韓国、朝鮮人や中国人を含め、多くのアジア国民が現行のテロとの戦争における日本の役割を、安全のための盾というより、むしろ恥部として認識している」と評していることを紹介し、「対米従属姿勢をあらためることが、いま強く求められている」とのべまし た。

有事法制はアメリカの戦争に備えた総動員体制づくり

 また、「不審船」事件を有事法制の口実にする議論をきびしくいましめ、「『不審船』の問題は、あくまでも領海あるいは排他的経済水域のなかでの警備活動、警察活動という問題です。戦争がおこったときに非常時体制をつくるというのが有事法制ですから、全然次元の違う話なのです。そのことはきちんと区別する必要がある」とのべました。

 志位氏は、防衛庁長官も日本への侵攻作戦は「想定できない」としていることをあげ、「結局、なんのための有事法制かというと、アメリカがアジアで戦争をやる、その戦争に日本が参加する、それに備えて日本国民を総動員する」ためのものだとのべ、きびしく反対していく姿勢をあらためて強調しました。

選挙制度の問題、解散の問題について

 最後に、衆院の選挙制度の区割り案について、格差二倍以内におさまっていないことを指摘し、「一票の価値の平等を担保するうえでも小選挙区制がだめだというのが結論ではないか」と主張。

 峰久氏が「小泉首相が解散にうって出るとすればどんな状況か。小泉首相は抵抗勢力と一緒にたたかうのか」と質問したのにたいし、「ぜひわれわれの力で、小泉政権を経済政策の破たんという点でも、アメリカ追従外交の破たんという点でも追いこんで、(国民に)信を問えという状況をつくりだしたい。『抵抗勢力は協力勢力だ』と首相は自分でいっている。(自民党の悪政をすすめる点では)カレーライスとライスカレーぐらいの違いしかない」とのべました。