2001年7月17日(火)「しんぶん赤旗」

大倒産、大失業ひきおこす暴政

小泉内閣の「不良債権の最終処理」問題

外国特派員協会で 志位委員長が講演


 日本共産党の志位和夫委員長は十六日、日本外国特派員協会で、「不良債権と日本経済」をテーマに講演しました。志位氏は、小泉政権が「構造改革」の第一の課題としている「不良債権の最終処理」について「深刻な打撃を日本国民の暮らしと日本経済に与える」と指摘し、四つの角度から詳しく解明しました。

 第一に、政府が「処理」しようとしている「不良債権」は「バブル型」ではなくほとんどが「不況型」だとのべ、その実態は、中小企業が中心で、「最終処理」が実行に移されれば、「恐るべき大倒産ラッシュ、大失業が起きるのは火を見るより明らかだ」と指摘。帝国データバンクの専門家が「倒産スパイラル」の危険を指摘するなど、経済専門家の間でもこのことが共通の認識になりつつあることを紹介しつつ、「国策として数十万という中小企業をつぶすというのは、世界のどの国でも、わが国の歴史でも行われたことのない空前の暴政だ」と批判しました。

 第二に、政府の「不良債権の最終処理」の狙いが、大銀行の「収益性」を引き上げることにあると指摘。政府が「不良債権があるために、新しい産業に資金が回らない」ことを口実にしていることについて、日銀総裁が、「資金はありあまるほどあり、いまさら資金を出してもなんの効果もない」と指摘していることを紹介しつつ、「借り手がつかないのは、景気の見通しがたたないからだ」と強調しました。

 第三に、政府が「改革」の「痛み」は「セーフティーネットを張るから大丈夫」だとしていることについて、それは大倒産と大失業を前提にしたものだと指摘するとともに、政府は五百三十万人の新規雇用を創出するとしているが、「そんなすばらしいものがあるならなぜ、いまの三百四十八万人にものぼる失業者にそれを適用しないのか」と批判しました。

 日本では、完全失業者の失業給付受給者が三割にすぎないこと、失業前の給料に対する失業後五年間の失業給付の割合が、日本はフランスの四分の一、ドイツの三分の一という低さであることなどを指摘し、失業給付をヨーロッパなみに引きあげることこそ重要なのに、政府は逆にきりちぢめていることを批判。「政府は、失業者への給付をけずりながら、絵にかいたもちの『セーフティーネット』論をふりまいている」と強調しました。

 最後に志位氏は、日本共産党の景気回復のための提案を詳しく紹介。「国民の家計を応援し、経済を草の根から温めることこそが日本経済のあらゆる問題を解決する道だというのが私たちの確信。このことを訴え、参院選でも躍進したい」とのべました。




著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7