2001年7月13日(金)「しんぶん赤旗」

「国民に痛み」を押しつける「小泉流改革」か「国民が主人公」めざす日本共産党の日本改革か

東京・新宿駅頭での志位委員長の第一声


 参院選が公示された十二日、日本共産党の志位和夫委員長が新宿駅西口でおこなった第一声(大要)はつぎのとおりです。

 みなさん、おはようございます。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

 いよいよ歴史的な参議院選挙が始まりました。昨日、日本記者クラブ主催の党首討論会がおこなわれまして、その最後に今度の選挙をどう名づけるかということを問われまして、私は「日本改革選挙」といいました。自民党政治を国民の立場で変える「日本改革選挙」――こう位置づけてがんばりぬきたいと考えております。(拍手)

 こんどの選挙の対決軸は明りょうです。国民に「痛み」を押しつける小泉流「改革」なのか、それとも「国民が主人公」の政治をめざす日本共産党の「日本改革」なのか――「自共対決」こそ対決軸であることは、すでに明りょうではないでしょうか。(大きな拍手)

 堂々とこの対決をたたかいぬき、勝利をつかみとりたいと思います。比例代表選挙での日本共産党の躍進へのお力ぞえを、まず心からお願いするものです。(大きな拍手)

 「自共対決」というのは、二十一世紀の日本の進路をめぐる対決です。三つの大きな争点が、私は浮きぼりになってきたと思います。

不景気をどうする

日本共産党─家計を応援して景気回復

「小泉改革」─大銀行のもうけのために中小企業つぶし

 まず第一は、この深刻な不景気をどうするのかという問題です。自民党政府が一九九〇年代の十年間にやった「景気対策」というのは、どれもみんな失敗して、ゆきづまってしまっています。打つ手なしの状態です。

 まずやったのは、ゼネコンむけの公共事業の積み増し。「景気対策」と称して十一回にわたって七十六兆円もの公共投資の積み増しがやられましたが、効果があがらず借金だけが残りました。

 つぎにやったのは、大銀行への七十兆円の税金を使っての支援策ですが、中小業者のみなさんへの貸し渋りはいっそうひどくなり、大銀行を太らせるだけにおわりました。

 そして国民のみなさんにたいしては、消費税の増税と社会保障の切り捨てが押しつけられました。

 こういうやり方が、いまの泥沼の消費大不況をつくりだした。この経済失政の責任は重大です。(「そうだ」の声、拍手)

 大銀行とゼネコンを応援する政治がゆきづまったのだからここを切り替えよう、国民の家計を直接応援する対策に転換しよう――これが日本共産党の立場であります。(大きな拍手)

消費税を3%にもどし5兆円減税を、雇用拡大での三つの提案

 そのために消費税の減税を、まず実行させる必要があります。この数年間のとりわけひどい景気の後退というのは、四年前の消費税の5%への引き上げがきっかけだったというのは、国民のみなさんの共通の実感ではないでしょうか。消費税というのは毎日の売り買いに直接かかわる税金ですから、暮らしと経済にそれだけ重大な影響を与える。

 私たちは消費税の廃止が目標ですけれども、5%に上げたのがまちがいならば、まず3%に戻す五兆円減税を実行すべきだ、というのが私どもの主張です。どうか力を合わせてこじあけようではありませんか。(大きな拍手)

 もう一つは、雇用の拡大です。

 私は、昨日の党首討論で、雇用の拡大策として三つの提案を申しました。

 一つは、「サービス残業」、ただ働きを一掃することです。連合の調査でも、全国で一千万、二千万という規模でただ働きがやらされている。これを一掃しただけで、九十万人の雇用が増えます。

 二つ目に、残業野放しの状況をあらため、きちんとしたルールをつくるということです。ヨーロッパでは、残業というのは、法律で「ここまでしかできませんよ」という上限が決まっています。日本では法律の歯止めがありません。青天井になっている。ここにきちんとしたルールをつくって、賃下げなしに労働時間を短縮して雇用を増やすという政策に本腰を入れて乗り出そうではないかというのが、二つ目の提案であります。

 そして三つ目に、若い方々の就職難がとりわけ深刻です。大学を出ても、二人に一人しか就職先がないというのは、日本社会全体の大問題ではないでしょうか。ヨーロッパの諸国では、多くの国々で職業訓練の応援など、若者のための対策を特別に力を入れてやっています。ドイツでは、政府がポスターを張り出して、「若者の方で職業のない方はありませんか、もしそういう方がいたら、電話かメールでお知らせください」と、よびかけている。そのぐらいのとりくみをやっているのです。若者の就職難にたいしては、ヨーロッパでやっているように、国をあげて、対策に乗り出していくことが必要ではないかというのが、三つ目の提案であります。(拍手)

 消費税の減税、雇用の拡大などで家計をあたため、草の根から景気を良くしていこうという願いを、どうか日本共産党に託していただきたい。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

「小泉改革」では倒産、失業、景気悪化の悪循環に

 それでは、小泉「改革」は何をやろうというのでしょうか。

 この前、小泉内閣が経済運営の「骨太方針」というのをつくりました。ところがこの長い方針のなかに、景気対策が一言もないのです。この大不況のなかに、景気を回復する方針をまったくしめせない。これ一つとっても、政権をになう資格が問われるではありませんか。(拍手)

 それでは、何が書いてあるのか。「構造改革」の連呼です。「痛みを恐れず」と、繰り返しいっています。その筆頭にあがっているのは、「不良債権の最終処理」という方針です。

 しかし、いま「不良債権」といわれているのは、バブル型の乱脈企業ではありません。まじめに働いてきたけれども、長い不況のなかで、売り上げを伸ばせず、やむなく赤字に苦しんでいる中小業者のみなさんがほとんどです。「最終処理」というのは、そういう業者への融資を打ち切り、担保を回収し、生きて働いている企業をつぶしてしまうということです。

 この方針が実行されますと、大手銀行だけの分で、二十万社から三十万社の中小企業がつぶされてしまう。私は、昨日の党首討論で小泉さんに聞きました。「これは大手銀行だけの分です。これに加えて地方銀行の分もある。景気の悪化で、新しく不良債権になった分も処理するという。全部あわせて、いったいどれくらいの中小企業をつぶすつもりなのですか。見通しぐらいはっきりしめしてください」。こう聞きました。

 そうしましたら小泉さんは、「倒産の目標などたてられません」。こういうごまかしをいいました。中小企業をつぶす政治を自分で進めようとしていながら、その見通しさえ語れない。ごまかしで押し通すというのは、無責任きわまる態度ではないでしょうか。(大きな拍手)

 私は、これまでの自民党政治も、中小企業にたいして冷たい政治だったと思います。だいたい、国の予算のうち中小企業にあてている予算は、たったの0・4%、一千九百四十八億円です。米軍への「思いやり」予算は約二千五百億円ですから、「思いやり」予算よりも、日本全国の中小業者のみなさんへの対策費が少ないというのは、だれがどう考えてもこれは逆立ちした政治ではないでしょうか(「その通り」の声、拍手)。自民党がこれまでやってきたやり方というのは、不況で苦しくなった中小業者のみなさんにたいしては、つぶれるにまかせるという政治でした。

 ところがみなさん、こんどは違うのです。それにとどまらないのです。無理やり中小企業をつぶしてしまう。これがこんどの方針なのです。国策として、国が圧力をかけて中小企業をつぶすなんて、こんな政治が世界にあるでしょうか。

 これをやったら倒産と失業がひどくなります。景気がもっと悪くなります。景気が悪くなったらますます不良債権が増えてしまいます。

 ここでも悪循環が始まるではありませんか。そんな政治ではなくて、家計を応援して、景気を良くして、業者のみなさんの売り上げが伸びるようにして、いま赤字で苦しんでいらっしゃる中小業者のみなさんも経営が立ち行くようにすることこそ、政治の責任ではないでしょうか。(大きな拍手)

 もう一つ、それではなぜ、何のためにこんなひどい政治をやるんでしょうか。政府の「骨太方針」には、「銀行の収益性をあげるためだ」とはっきりと書いてあります。つまり、大銀行に中小企業からの資金を引き揚げて、もっともうけの効率のいい分野にお金を回そうというのです。大銀行にもっともうけさせてやるために、中小企業をつぶすというところにこんどの方針の本質があります。

 しかも、「不良債権の処理」で大銀行の資本が減ったら、また国民のみなさんの税金で穴埋めしてやるということを財務大臣はいい出しています。大銀行が持っている株を買い取る機構をつくって、株が下がって損が出たら、これも二兆円の国民の税金で穴埋めしてやる。こんな計画まで出されています。

 小泉首相は、国民には口を開けば、「自立、自助」を説きますね。しかし、大銀行にはどうですか。国が「甘やかし」の限りをつくしている。私は「自立、自助」をいうのであれば、大銀行こそ「自立、自助」でやるべきだ。自分たちの不始末は自分の責任で処理するという当たり前のルールに戻すべきだと考えます。(拍手)

 私は、昨日の党首討論で、「構造改革」の「痛み」という問題について、三つの重大な問題があると申しました。

 一つは、いま押しつけられようとしている「痛み」は、国民が到底耐えられるような「痛み」ではないということです。倒産という「痛み」は、業者のみなさんにとっては、もうそれっきりということです。失業も、家族もふくめて人生の深刻な一大事です。

 二つ目は、「痛みに耐えて明日があるか」といったらそうじゃない。失業でも、倒産でも、社会保障切り捨てでも、増税でも、すべて家計を直撃し、消費を冷え込ませ、経済悪化の悪循環をつくりだします。

 そして三つ目に、「痛みをひとしくわかちあえ」という議論も、とんでもない。「痛み」を押しつけられるのは国民だけで、大銀行にはいたれりつくせりの優遇策をやる。

 みなさん、こういう間違った小泉流「構造改革」には、日本共産党はきっぱりと反対をつらぬいて、国民のみなさんの暮らしを守り抜くという決意を、申し上げたいと思うのであります。(大きな拍手)

民主などは「もっとやれ」と小泉流「改革」の応援団に

 そして、みなさん、昨日の党首討論をお聞きになった方は、おわかりだと思いますが、この小泉流「改革」にたいして、民主党などは、「まだ足らない」「もっとやれ」「本気じゃない」と、推進役、応援団にまわるという立場です。

 いまやられようとしている「改革」の名での「痛み」押しつけの政治に、きっぱり対決できる党といえば、日本共産党しかない。本当に国民の立場にたって暮らしを守れる党は、日本共産党しかないというのがはっきりしたというのが、いまの論戦の到達点だと私は思います。(拍手)

税金の使い方─財政の改革

日本共産党─公共事業、軍事費の無駄遣いに本格的なメスを入れる

「小泉改革」─「見直し」いうが中身なし

 第二の争点は、税金の使い方、財政の改革の問題です。

 国と地方の借金は、六百六十六兆円と空前の規模に膨らみました。このもとで、国民の暮らしの充実をはかりながら、財政再建を進める道は、はたしてあるのか。日本共産党は、ちゃんと答えを持っております。

 財政制度審議会が、今年の三月に興味深い世論調査をやりました。「国の予算で役に立ってないと考えるものは何ですか」という設問にたいして、第一位は、公共事業費で43%、第二位は軍事費で24%。そして「これらの予算を減らしてほしい」と回答している方は92%。この国民の声にこたえた財政改革をやるのが、大道ではないでしょうか。

日本共産党の提案なら、減税と社会保障の財源をつくり財政再建の道も開ける

 一つは、年間五十兆円の公共事業の無駄遣いを一掃するということです。

 私も、全国を回りますと、目的不明のダムとか、環境破壊だけの干拓とか、採算の見通しのない海上横断道路とか、全国あちこちで“あとは野となれ山となれ”式の巨大開発が進められています。そういう巨大開発の浪費を一掃して、公共事業はお年寄りのための老人ホームとか、公営住宅とか、本当に暮らしと福祉に必要なものに重点化する。そのことによって年間五十兆円の規模を段階的に半分にすることができます。

 二つ目に軍事費の問題です。今年から五年かけて二十五兆円のお金を使う新中期防衛力整備計画――新中期防という軍拡計画が始まっています。この新中期防というのは、前の中期防と比べても、一兆円増やして二十五兆円という巨額の予算を使う、これを五年間でやることになりますと、毎年五兆円の軍拡予算を組むということになります。

 しかも、中身をみますと、日本の防衛とはまったく関係ない、空中給油機を買い入れるとか、ヘリコプターを積んだ空母まがいの巨大な護衛艦を買い入れるとか、海外派兵用の武器の買い入れが進められようとしています。世界の主要国がみんな軍事費を減らしているときに、どうして日本だけ軍拡を続けなければならないのか、これも道理に合わない話ではありませんか。(拍手)

 私たちは、毎年五兆円の軍事費を半分に減らす。とくに、日米地位協定でも払う義務のない米軍への「思いやり」予算は、きっぱり廃止する。これが私たちの主張であります。(拍手)

 みなさん、この二つの無駄遣いを思い切ってなくしていけば、減税の財源をつくり、社会保障の財源をつくり、借金を減らしていく道も開かれる。これが私どもの財政改革、財政再建の道筋ですが、これこそ道理ある唯一の道ではないでしょうか。(大きな拍手)

「小泉改革」では二つの大問題が――社会保障予算の圧迫と大増税

 では、みなさん、小泉「改革」はどうでしょうか。

 小泉さんも無駄遣いの「見直し」ということをいいます。しかし、私は「見直し」をいっても“表紙だけで中身なし”、これが小泉「改革」の正体だと思います。

 たとえば、公共事業の「見直し」ということをいいます。しかし、あの「骨太方針」のどこを見ても、年間五十兆円の公共事業の総額を減らすとは、ただの一言も書いていないじゃありませんか。「見直す」と書いてあるだけです。「見直す」というのは、減らすか、増やすかわからない。

 それからみなさん、全国をまわりますと、個別の無駄遣いの巨大開発をやめているところがありますか。諌早湾の干拓だってどんどん進める。川辺川ダムだってどんどん進める。関西国際空港の二期工事だってどんどん進める。個別の巨大開発は、決まったものはみんなやるという方針ではありませんか。

 軍事費についてはどうでしょう。

 私が、昨日の党首討論で「軍事費を聖域にするんですか」「新中期防を聖域にするんですか」と小泉さんに聞きましたら、この問題についてはじめて「見直す」ということを言わざるをえなくなりました。しかし、私はもう一つ、「軍事費を見直すというんだったら、減らすんですね」と聞きました。その後の小泉さんの答弁はふるっておりまして、「減らすことがあるかもしれないし、増やすことがあるかもしれない、これが見直しなんだ」というんです。これではみなさん、何もいってないにひとしいのではありませんか。(拍手)

 表紙だけで中身がない「見直し」ということになりますと無駄遣いがなくなる保障はなにもない。そうなると、そのしわ寄せがたいへんなところに押しつけられることになります。

 二つの大問題が起こってきます。

 まず一つは、社会保障予算の圧迫です。今年一月からお年寄りのみなさんの医療費が値上げされ、一割定率負担になって、お金の心配で病院への足が遠のく、受診抑制が深刻になっております。

 ところが、来年には小泉さんは「医療改革プラン」として、お年寄りの医療費の自己負担は二割まで引き上げる。サラリーマンは三割まで引き上げる。介護保険と同じようにすべてのお年寄りから、保険料を取りたてる新しい仕組みをつくる。こんなことまで計画されております。

 さらにもう一つ、昨日の党首討論でたいへん重大な問題が議論になりました。「骨太方針」のなかに書いてあるのですが、医療費の総額を抑制するという方針を実行しようとしているのです。つまり、あらかじめ医療費はここまでしか出しませんよということを決めてしまって、その限度を超えたら、保険の適用からはずして、全額自己負担にするという話につながる重大問題です。

 これについて昨日の党首討論で各党の態度が問われました。私はこんなことやったら、今でさえ受診抑制がたいへんなのに、それがいっそう深刻になって、国民的規模での健康悪化が進む。健康悪化が進めば、医療費も増えて悪循環におちいる。こんなことをやってはいけないといいましたが、きっぱり反対したのは日本共産党だけ。小泉さんはこの問題の「検討を進める」といいました。民主党も同じような立場だといいました。こういうやり方は絶対に許すわけにはいきません。

 なぜ、社会保障で、負担が増え、給付が減るということが続くのか。おおもとには社会保障にたいする責任を、国がちゃんと果たしていないということがあります。二十年前には、社会保障に使うお金の29%は国が出していました。これがどんどん減らされて、今では19%しか、国が出していない。

 私たちは、ここをあらためて、せめてもとの29%という水準に戻す。そのぐらい国が責任をもつのは当たり前だと主張しています。ぜひこの道で、医療でも介護でも年金でも、将来に安心のできる仕組みをつくっていこうではございませんか。(拍手)

 もう一つ、無駄遣いにメスを入れないと、結局増税にしわ寄せがいく。塩川さんという財務大臣は、「消費税について、二〜三年後には増税の検討をやる」といいました。竹中さんという経済財政大臣は、「最低でも税率14%」というのが持論なんです。こんな不景気のときに増税の話を持ち出すというのは許せません。

 さらに、「骨太方針」のなかには、中小企業のみなさんにたいする外形標準課税が入っているのです。これは売り上げにかかる税金です。いま不況のもとで六割から七割という業者のみなさんが赤字ですが、この業者のみなさんからも法人税を取りたてようという。業者のみなさんにとっては「第二の消費税」ともいうべき悪税ですが、これも「骨太方針」のなかに入っている。

 みなさん、この不景気のときに増税の話を持ち出すなどということはきっぱりごめんだという審判を、はっきり下していこうではありませんか。(拍手)

外交と憲法

日本共産党─9条をいかした自主・自立の外交をめざす

「小泉外交」─こんな“アメリカいいなり”でいいのか

 第三に、外交と憲法も大きな争点です。

 “こんなアメリカいいなり外交を続けていていいのか”が、いま問われています。この間、日米首脳会談がやられましたが、三つの大きな問題が浮かび上がってきました。

沖縄の暴行事件翌日に日米会談――抗議もしない小泉氏はどこの国の首相か

 一つは、沖縄の基地問題です。沖縄では六月二十九日に、またも米兵による女性にたいする暴行事件がおこりました。この翌日に、小泉さんはブッシュさんに会って首脳会談をやった。ところが一言も抗議せず、言及すらしなかった。

 この容疑者に逮捕状が出たのは七月二日です。そのニュースをロンドンで聞いた小泉さんはなんと言ったか。「あまりぎすぎすするな」。こういったんです。沖縄県民の怒りをおさえつける発言をした。

 これは独立国の首相のとる態度でしょうか。日本人がひどい犯罪にであったら、アメリカの大統領に抗議をし、犯人の身柄をすぐに渡しなさいと要求するのが、首相の役目ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 みなさん、犯人の引き渡しが四日遅れたことには、日米地位協定の問題もあります。犯人が米軍基地のフェンスのなかに逃げ込んでしまったら、日本の警察は起訴するまでは手が出せない。この屈辱的な仕組みは、すぐにでもあらためさせる必要があります。

 しかし、それだけでは問題は解決しない。沖縄のみなさんは、「基地があるかぎりこういう事件はなくならない」と、みんないっています。アメリカのあるマスコミの調査を見ましたら、在日米軍のおかしている性犯罪事件の率は、アメリカ本国の率の三倍から五倍だというのです。ヨーロッパの駐留米軍とくらべても突出して、特別に日本ではひどいんですね。占領者意識が抜けていないのです。この前、ヘイルストンという司令官が、海兵隊の削減を求めた沖縄県民の声にたいして、「ばかな弱虫」という暴言をはいて、大問題になりました。占領者意識から抜け出していないで、自分の属国のように考えているのがアメリカだとしたら、そんな軍隊には帰ってもらおうじゃありませんか(拍手)。米軍基地を撤去することこそ問題の解決だということを、私ははっきり申し上げたいと思うのであります。(拍手、「そうだ」の声)

地球温暖化防止めぐる米国のルール破りに批判もせず――「京都議定書葬る日米同盟」

 二つ目は、地球温暖化防止の京都議定書への対応です。

 九七年に、京都で温暖化ガスを規制しようと、「目標を決め、期限を決め、まず先進国がとりくもう」ということを、十年越しの交渉のすえにやっとまとめた議定書をつくりました。それにはアメリカも合意したんです。署名もしたんです。ところがブッシュ政権になったら、離脱すると突然いいだした。これはだれがどう考えても、国際信義違反、国際ルール違反そのものではありませんか。

 ところが小泉さん、アメリカにいってどうしたか。そういうアメリカの国際ルール破りを批判しない。批判しないでおいて、「日米で協議を始めましょう」といいました。みなさん、国際ルール破りのアメリカの批判もしないで、協議を始めましょうということは、結局、“京都議定書を葬る日米同盟”をつくったといわれても仕方がないではありませんか。(拍手)

 私は、この前のNHKの討論会、きのうの党首討論会でも小泉さんに聞きました。「あなたはいったい、アメリカのとっている横暴な態度について、国際ルール違反だという認識はあるんですか」。小泉さんは、まったく答えられない。事実上アメリカを擁護する発言を繰り返す。最後にいったのは、「(共産党の)反米と、(私の)親米は、立場が違う」。しかし、「反米か親米か」の問題ではないのですよ。国際ルールを守るかどうかという問題なんです。国際ルール破りを批判もできないということは、自分も国際ルール違反の仲間入りするということになるではありませんか。(拍手)

 すでに、EU、東欧、ロシア、カナダも批准の方針を決めたわけですから、日本が批准をすれば、京都議定書は発効する。まず日本が批准をして、そして身勝手なアメリカを国際的に包囲をして、この京都議定書のなかに加えていく。これが議長国としての務めだと考えます。(拍手)

憲法九条が危ない――米国仕込みの集団的自衛権、改憲をゆるさない国民の大同団結を

 三つ目に、“アメリカいいなり”に、憲法九条まで変えようとされているということをいわなければなりません。

 集団的自衛権の「研究」ということを、小泉首相は繰り返しています。「自衛」という言葉が入っていますから、日本が攻められたときに「集団」で守る話かというと、まったく違う。アメリカと日本が「集団」で海外の戦争にのりだそう。これが「研究」の中身であります。小泉さんは「憲法の枠内で研究する」といいますけれども、これが「憲法破りの研究」であることは、火を見るよりも明らかではないでしょうか。(拍手)

 これも“アメリカいいなり”ではじまっている動きなんです。アーミテージさんという、こんどの政権で国務副長官になった人が、リポートをつくった。この中で、集団的自衛権の採用をということを、日本に迫りました。ここから始まっているのです。みなさん、アメリカ仕込みの憲法九条改悪を断じて許さない国民的な大同団結をはかろうではありませんか。(大きな拍手)

 日本共産党は、二十一世紀には日米安保をなくして、基地のない、本当の独立国といえる日本をつくることを、「日本改革」の大目標としている党です。ただその前にも、いまのべたような、“アメリカいいなりの外交”は、ただちにあらためて、憲法九条を生かした、自主・自立の外交に転換しようではないかということを訴えたいと思うのであります。(拍手)

自民党政治を変えたいというう本当の改革の願いをこぞって日本共産党へ

 いまいった三つの争点景気対策をどうするか、財政再建をどうするか、外交と憲法をどうするか。どの問題でも、「自共対決」は鮮明です。どちらが道理に立っており、どちらが国民の側に立っており、どちらに未来があるか明らかではないでしょうか(拍手)。どうか自民党政治を変えたいという、本当の改革の願いを、こんどの選挙ではこぞって、日本共産党へとお寄せください。(大きな拍手)

 二つの選挙がございます。比例代表では、どの一票もすべて議席に結びつくことになります。

 そして選挙区選挙では六年間にわたって都民の苦しみを自らの心として、都民の願いを国政につなぐかけ橋としてかけがえのない役割を果たしてきた、東京だけではなくて、日本にとっても、世界の平和にとってもかけがえのない政治家の勝利を必ず勝ち取らせていただきたい。このことを最後にお願い申し上げまして、私のこの場をお借りしての第一声にかえさせていただきます。ありがとうございました。(大きな拍手)

 (注)選挙法との関係で「しんぶん赤旗」報道の一部を省略しました。




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