2001年3月3日(土)「しんぶん赤旗」

内閣不信任案の提出をめぐる日本共産党の立場について

志位委員長の会見(大要)


引き続き審議で自公保を徹底的に追い詰める努力が必要―それをつくさないままの提出は適切でない

 一、きょうの四野党党首会談で、民主党の鳩山代表から、不信任案については予算案の衆議院通過直後に提出したいということでご理解をいただきたいという話があった。私は、まず三点についてのべた。

 第一は、内閣不信任案は、自公保にとって、もっとも打撃が大きい時期をしっかり見極めて対応するということが一番大事な点だということだ。自公保が不信任案を否決したとしても、国民との関係で大きな傷になって残る、そういうもっとも打撃が大きい時期を見極めて対応することが大事だ。これが第一の点だ。

 第二に、そういう点からすれば、今後、衆院で予算案通過が強行されるとしても、参議院での審議が非常に重要になってくる。参議院で、テレビ(中継)を入れた予算委員会での総括質疑をはじめ、徹底した追及で自公保を追い詰める場がある。そうした場を存分に活用して、国民との関係で自公保をさらに追い詰める努力を、野党ははかることが重要であると考える。KSDの問題をはじめ、かなりのところまで追い込んできたので、さらに追及をはかって、自公保を国民の前で“死に体”になるまで追い詰める努力が必要だ。

 第三に、その努力を尽くさないまま、(一国会で)一つの内閣に対して一度きりしか行使できない不信任案という手段を、いま予算案の通過直後という時期に使うことは、私たちは適切だとは考えない。これがわれわれのいまの、不信任案提出の時期判断についての態度だ。

衆院で予算案採決が強行されても、参院でのたたかいが肝要

 一、私は、「いったい直後というがいつ出すのか」「どういう効果をあげると考えているのか」「成算はあるのか」などもただした。

 鳩山代表の答えは、「最も打撃が大きい時期を見極めて選ぶことはその通りだ。しかし参議院の審議に入ると、不信任の提出時期は見極めるのは難しくなるのではないか」、「かりに森首相が辞任してしまうと(不信任案提出の)時期を逸するのではないか」という話だった。

 私は、それにたいしては、不信任案というのは憲法上、衆議院で出すことになっているが、国会全体を拘束する問題だ。だから衆議院の予算審議が終わったからそこで節目になるというものではない。参議院での審議に入ったら、時期判断が難しくなるわけではない。参議院の審議はたいへん重要なたたかいだ。とりわけいま重大な問題になっているKSD汚職は、参議院選挙でおこった問題である。この問題で党費肩代わり問題をはじめ、かなりの真相に迫るところまで追い込んできたわけだから、もう一太刀、二太刀、参院のたたかいで相手に浴びせて追い詰めることが肝要ではないか、ということをいった。

 いま一つ、「森首相が辞任してしまうと困る」という話だが、そんなことはない。この前の四野党党首会談で「即時・無条件の森首相の退陣」を一致して要求しているのだから、辞任したらわれわれの要求が通ったことになるわけであって、野党が責めを負うことはさらさらない。野党はそのとき国民と祝杯をあげたらいいというような問題だ、と言った。

 野党が国会の中で少数であるという状況のもとで、いまこの時期に不信任案というカードを切ってしまうのは、どうしてもわれわれは納得できない。ここで出してもただ否決されるだけで、参議院でのたたかいが不信任案という“武器なきたたかい”になってしまう、ということもいった。だいぶ理をつくして議論したが、ここは残念ながら他の野党とは平行線だった。

提出時期についての考えは異なるが、不信任案の共同提出という行動は統一してのぞむ

 一、最後に私は、態度表明として、「予算案通過直後というのは適切な時期ではない、という判断には変わらない」といった。ただし森内閣を一刻も早く退陣に追い込んでほしい、この点では野党は結束してほしいというのは、多くの国民の声だから、その声にこたえて内閣不信任案を共同で提出するという行動はやっていくという立場である、とのべた。

 これは戦術問題だから、時期についての考えは異なるが、行動は統一するということだ。他の党は時期について違う判断をした。どちらの判断がよかったのかの判断は、現実の流れが証明するだろう。われわれの考えは変えないけれども、行動においてはそういう行動をとることを最後にのべた。




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