志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

演説・あいさつ

2017年4月19日(水)

対決構図は「自公対共産党」

首都東京の底力を発揮し、必ず勝利を

東京演説会 志位委員長の訴え


 日本共産党の志位和夫委員長が17日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれた東京演説会で行った演説は次の通りです。

都議選の本当の対決構図は「自民・公明対日本共産党」

写真

(写真)演説する志位和夫委員長=17日、東京都千代田区

 東京のみなさん、こんばんは(「こんばんは」の声)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。今日は、広い会場いっぱいのたくさんのみなさんが、ようこそお越しくださいました。私からも心からのお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 首都決戦は目前に迫りました。4年前の都議会議員選挙で、日本共産党は8議席から17議席に大躍進し、それは、その後の参議院選挙、総選挙など、国政選挙での連続躍進の出発点となりました。すべてはここ首都の躍進から始まりました。(拍手)

 今度の都議選では、17議席を絶対に確保し、新たな議席をかちとる。これが目標です。たいへんな大激戦ですが、首都東京の底力を発揮して、必ず勝利をかちとろうではありませんか。(大きな拍手)

 都議選の政党対決の構図はどうなっているでしょうか。ズバリ「自民・公明対日本共産党」、ここにこそ本当の対決の構図があるということを私は訴えたいと思います。

米国は軍事的選択肢をとるな――外交交渉のなかで北朝鮮の非核化を

国連憲章と国際法に反する米国トランプ政権によるシリア攻撃

 まず国政についてお話しさせていただきます。

 4月6日、米国トランプ政権はシリアに対するミサイル攻撃を行いました。

 トランプ大統領は「化学兵器を防ぐことは、米国の死活的利益だ」と言って合理化を図りました。しかし、国連憲章では、武力の行使を禁止し、その例外を二つしか認めていません。一つは、国連安保理の決定があるときです。もう一つは、侵略された場合の自衛の措置です。どちらにもあてはまらないではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。米国の軍事攻撃が、国連憲章と国際法に反することは明らかであります。

 化学兵器使用については、国際社会が一致協力して、真相を突き止め、使用した者に厳しい対処を行い、二度と使われることのないよう取り組みを抜本的に強めることこそ必要ではないでしょうか。(拍手)

米国と北朝鮮――軍事対軍事の危険なエスカレーションが起こっている

 私たちが、たいへん心配しているのは、トランプ政権が、シリアに続いて、北朝鮮に対しても軍事力行使につながりかねない、きわめて危険な動きを見せていることです。トランプ大統領は、安倍首相との電話会談で、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応として、「全ての選択肢がテーブルの上にある」とのべました。軍事力の行使も選択肢とするということです。これに対して北朝鮮は昨日、弾道ミサイル発射というさらなる挑発行為を行いました。厳しく抗議します。軍事対軍事の危険なエスカレーションが起こっていることを、私たちは強く憂慮しております。

 米軍による先制攻撃となったらどうなるでしょう。カーター前米国防長官は、「米国が北朝鮮を先制攻撃すれば、北朝鮮は韓国を攻撃するだろう。その戦争は、朝鮮戦争以来、見たこともないきわめて破壊的なものになるだろう」と強く警告しました。韓国、日本を巻き込んでの戦争に発展し、おびただしい犠牲が出る。誰が考えてもわかることであります。

 米国は、軍事的選択肢を絶対にとるべきではありません(「そうだ」の声、拍手)。経済制裁の強化と一体に、北朝鮮との外交交渉に踏み切り、外交交渉のなかで北朝鮮の核・ミサイル開発の手を縛り、放棄させるという外交的選択肢こそとるべきではないでしょうか(拍手)。私はそのことをトランプ政権に強く求めたいと思います。

安倍首相は、外交的解決の立場に立つよう、米国に働きかけよ

 それでは安倍首相はどうしているのか。トランプ政権がシリア攻撃を行うと、すぐに支持を表明しました。わが党の井上哲士議員が「攻撃を容認した国際法上の根拠はなんですか」とただしたところ、安倍首相は答えられなくなりまして、「いまアメリカに聞いているところです」(笑い)。これは順番が逆ですね。

 そして、安倍首相は、北朝鮮に対して軍事力行使も選択肢とするというトランプ大統領の発言を、「力強い発言」だと歓迎しました。私は、安倍首相に言いたい。「あなたが止めなければだめでしょう」。(「そうだ」の声、拍手)

 安倍首相は、米国に対して軍事的選択肢はとるなときっぱり要求すべきであります。北朝鮮問題の外交的解決の立場に立つよう、強く働きかけるべきであります。それが日本国民の命と安全に責任を負うべき総理大臣の当然の務めではないでしょうか。(拍手)

“ボロボロの暴走車”――安倍自公政権に、日本共産党躍進で退場の審判を

 さて、みなさん。安倍・自公政権が発足して4年あまりです。この政権の今の特徴はどこにあるでしょうか。私は、次の二つの点をあげたいと思います。

 第一は、一昨年9月の安保法制=戦争法の強行を境に、暴走政治にまったく歯止めがなくなってしまっているということです。

「テロ対策」は偽りの看板――恐るべき監視社会つくる「共謀罪」法案は必ず廃案に

 たとえば自民・公明が今国会での強行を狙っている「共謀罪」法案です。この法案の問題点は山ほどありますが、最大の問題は、何を考え、何を合意したかが処罰の対象になる――「心の中」を処罰するということです。それは実際におきた犯罪行為のみを罰するという日本の刑法の大原則を根本からひっくり返すものです。思想や内心の自由を絶対に「侵してはならない」と定めている憲法19条に反する違憲立法にほかなりません。

 そして、「心の中」を処罰しようとすれば、電話の盗聴、メールやラインの傍受などが必要となってきます。人々は萎縮させられ、自由な社会は窒息させられ、恐るべき監視社会をつくることになります。

 安倍政権は「テロ対策」のためだといいます。これは、まったくのウソ・ゴマカシです。「国際組織犯罪防止条約」の批准のためといいますが、この条約はマフィアなど経済犯罪に対応するためのもので、テロとは関係がありません。だいたい条約の起草段階では、日本政府自身も、「テロについては本条約の対象にすべきではない」と主張していたのです。

 条約をその時々で都合よく解釈し、「テロ対策」という偽りの看板をかけて、憲法をひっくり返すとんでもない法案を押し付ける。このやり方は、長年の憲法解釈を一片の「閣議決定」で覆し、戦争法に「平和安全法制」という偽りの看板をかけて、強行したやり方と同じではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 法案の審議入りで合意した4月3日の自民・公明の協議について東京新聞はこう報じました。「自民党は『共謀罪』法案の成立が遅れた場合、六月十八日までの今国会の会期を延長する構えを示した」「公明党は、……東京都議選に国会日程が重なるのを避けるために、歩み寄った。ある党幹部は『(審議を急ぐ)首相の意向を忖度(そんたく)した。都議選には全議員が集中しなければならない。会期延長はとんでもない』と漏らした」(4月4日付)。

 “都議選のためだ。「共謀罪」を早く通してしまえ”。日本国憲法より自分の党利党略を優先させる許しがたい態度ではありませんか。(拍手)

 「現代の治安維持法」=共謀罪は、必ず廃案に追い込もうではありませんか(拍手)。そして、こんな悪法をもちだした自民党と公明党には、都議選で退場の審判を下そうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

「勝つ方法はあきらめないこと」――沖縄県民のたたかいに全国が連帯を

 いま一つ、暴走という点で訴えたいのは、安倍政権が沖縄県・名護市辺野古の新基地建設を無法なやり方でごり押ししようとしている問題です。

 沖縄県が国に出していた岩礁破砕許可が、4月1日、期限切れとなりました。ところが政府は、1日以降も、無許可でボーリング調査を続け、今週中にも護岸工事の建設を開始しようとしています。文字通りの違法行為です。

 政府の言い分は、“辺野古漁協が漁業権を放棄し、漁業権が消滅したため、岩礁破砕許可の更新は必要ない”。こういうものです。しかし、政府は、1985年、「漁協が漁業権の一部放棄を議決しても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではない」という答弁書を決定しています。30年以上示してきた自分自身の見解を平気で覆し、新基地建設に突き進む。ここでもやり方は同じではないですか。安保法制=戦争法と同じやり方ではないですか。「法治国家」とは到底いえないやり方ではないでしょうか。(拍手)

 私は、3月上旬、3日間かけて沖縄を訪問し、辺野古の美しいサンゴの海を視察し、稲嶺名護市長、翁長県知事と会談しましたが、みなさん意気軒高でした。辺野古のテント村には「勝つ方法はあきらめないこと」という看板が掲げられていました。政府は、“ともかく埋め立て工事を進めてしまえ、既成事実をつくれば県民はあきらめるだろう”。この一点にかけています。それに対する沖縄県民の回答は「勝つ方法はあきらめないこと」。この言葉が現地でたたかっているみなさんの合言葉となっていることを、私は、強い感動をもって受け止めました。(拍手)

 翁長知事とも会談いたしましたが、新基地建設は絶対に許さないという知事の烈々たる気迫が伝わってきました。翁長知事は、3月25日、辺野古の新基地建設反対の集会で、「(埋め立て承認の)『撤回』を力強く、必ずやります」と宣言しました。(拍手)

 みなさん、沖縄の基地問題は、沖縄だけの問題ではありません。日本の民主主義が問われる大問題であります。「基地のない平和な沖縄」をめざす沖縄県民のたたかいに、全国が連帯のたたかいを起こすことを、心からよびかけたいと思います。(大きな拍手)

「森友」疑惑、目を覆うばかりの大臣たちのモラル崩壊

 安倍政権には、もう一つ特徴があります。

 第二の特徴は、こうしてあらゆる分野で暴走を続けながら、同時に、モラル崩壊のボロボロの姿になっているということです。ボロボロです。(笑い)

 「森友」疑惑はその象徴です。疑惑の核心――8億円もの国有地の値引きがどうして行われたかをめぐって、安倍首相夫人の昭恵氏の関与の疑惑がきわめて濃厚になっています。真っ黒に近いグレーであります。

 国有地取引に関して、籠池氏が昭恵氏付きの政府職員に手紙を送っていた。政府職員は籠池氏の要望を財務省に取り次ぎ、その結果の回答ファクスを籠池氏に送っていた。そして籠池氏の手紙に照らしてみると、土地の超格安払い下げをはじめ、要望は「満額回答」になっていた。昭恵氏の関与があったからこそ「満額回答」になったのではないか。誰が考えてもそうとしか考えられません。

 追い詰められた安倍首相は、明らかに公的な存在である夫人を「私人」と強弁し、「首相夫人付の職員が個人的にやったこと」と弁明しています。「私人」ならどうして5人もの公務員がついているのでしょうか。職員が指示もなく勝手に動くということがありうるでしょうか。絶対にありえない。夫人付職員に全責任を負わせて自分は保身に走る。あまりに冷酷、身勝手な態度ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 この疑惑を解明する道はあります。それは昭恵氏に国会にきてもらい、真実を語ってもらうことであります(拍手)。官邸のツイッターを見ていましたら、新宿御苑の「桜を見る会」で夫婦そろって花見に興じている写真がアップされていました。花見をするなというつもりはありません(笑い)。しかし、まず国会に出て真実を語ることが先決じゃないですか(拍手)。私は、昭恵氏をはじめとする関係者を国会に招致し、徹底的な真相究明を行うことを強く求めるものであります。(大きな拍手)

 モラルという点では、大臣たちのモラル崩壊も目を覆うばかりです。稲田防衛大臣は、南スーダンに派兵された自衛隊の「日報」をめぐる虚偽答弁にくわえ、「森友」問題でも「法律的な相談を受けたことはない」という虚偽答弁を行い、虚偽が明らかになっても「私の記憶に基づいて言った。虚偽答弁という認識はない」と居直っています。こんな強弁が通用するなら、どんな虚偽答弁をやって、それが虚偽とわかっても、「記憶に基づいて言いました」の一言ですむことになります。事実にもとづく国会質疑はおよそ不可能になるではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 今村復興大臣は、原発事故のいわゆる「自主避難者」について「本人の責任」という暴言をはき、問い続ける記者に対し、「出て行きなさい」「うるさい」と激高する異様な姿をさらしました。今村大臣が復興大臣失格であることはいうまでもありませんが、これは彼一人の問題ではありません。原発再稼働のために、原発事故はもう終わったことにしようと、被災者を切り捨てる冷酷な政治を進めている安倍政権の本性を体現したのが、今村大臣ではないでしょうか。(拍手)

「教育勅語」は“天皇の命令書”――徹頭徹尾、国民主権とは相いれない

 「森友」疑惑、稲田問題、今村問題――モラル崩壊をさらしながら、安倍政権が国民に押し付けようとしているのが「教育勅語」です。

 「教育勅語」を学校教材として活用することを否定しないとする答弁書を閣議決定したことは、モラル崩壊の極致といわなければなりません。(拍手)

 「憲法に反しない形」(で活用する)といいますが、「教育勅語」というのはそのすべてが天皇が臣下の国民に命令するというもので、徹頭徹尾、日本国憲法の国民主権とは相いれないものです。だいたい、「教育勅語」は、「勅」といったところで、もうアウトなのです。「勅」というのは、「天皇の命令」という意味です。「教育勅語」というのは“天皇の命令書”なのです。こんなものが国民主権と両立するわけがありません。

 そして「教育勅語」に書いてあることのすべては、“国の非常時には天皇のために命を投げ出せ”という殺し文句につながってくる。

 だからこそ、戦後、衆参両院で排除、失効決議が採択され、歴史によって葬り去られたものなのです。

 「教育勅語」が多くの若者たちを戦場にかりたてたという歴史への反省もなく、なし崩しの復権をはかろうという企てを絶対に許すわけにまいりません。(拍手)

都議選で日本共産党を伸ばすことは、国政での野党共闘を発展させる力にもなる

 安倍政権は、よく「1強」といわれます。しかし、その内実はボロボロではないですか。ボロボロのモラル崩壊の姿をさらしながら暴走を続ける。こんな内閣には、もうお引き取り願うしかありません。(拍手)

 都議選では、どうか日本共産党を躍進させていただいて、“ボロボロの暴走車”――安倍政権と、自民・公明に退場の審判を下していただきたい。よろしくお願いいたします。(「がんばれ」の声、大きな拍手)

 前回の都議選での日本共産党躍進は、その後の国政選挙での連続躍進の出発点となり、野党と市民の共闘を発展させるうえでの大きな貢献となりました。野党共闘の発展のために知恵と力を尽くすことをこの場でもお約束したいと思います。

 同時に、この都議選で自公と正面対決する日本共産党を伸ばすことは、国政での野党共闘を発展させる力にもなることを訴えたいと思います。日本共産党への絶大なご支持をよろしくお願いいたします。(大きな拍手)

都議選の最大争点は豊洲問題――「移転中止」の声はこぞって日本共産党へ

 さて、都政に話をすすめたいと思います。

 この都議選の最大争点は何でしょうか。築地市場の豊洲新市場への移転問題であります。築地市場は、水産物取扱量で世界一を誇り、全国に流通する水産物の4分の1以上を扱っています。私は、千葉県の船橋市に住んでおりまして、いつもいくお寿司(すし)屋さんに「どこで仕入れますか」と聞きますと、「それは築地です」と。船橋市にも市場があってそこでも仕入れますが、築地が多いといいます。首都圏の多く、さらに日本各地から築地に行って、水産物や青果などを仕入れる。ですから、この問題は、都民はもとより、国民の食の安全にかかわる大問題だと、私たちは考えております。

政府・農水省の立場――“汚染土壌の上に市場をつくることはとんでもない”

 今度の都議選で、自民党は、「豊洲市場の安全は証明された」として「豊洲市場への早期移転」を最大公約に掲げています。公明党も、「豊洲移転に向け、着実かつ確実な前進に取りかかるべきと強く要望する」と、推進の旗を振っています。自民・公明は、豊洲移転推進を掲げて選挙をやろうというのです。こういう政党に都政をまかせられるでしょうか。私は、この問題に今日は、少々立ち入ってお話しさせていただきます。

 まず生鮮食料品の中央卸売市場を所管する政府・農水省は、土壌汚染と市場の関係についてどう言っているでしょうか。

 ここに農水省がつくった資料(2011年3月)があります。土壌汚染対策法という、汚染土壌から国民の健康を守る法律がありますが、この法律の概要について農水省が作成した資料であります。この資料では、土壌汚染対策法では、一般の土地利用の場合には、汚染土壌を除去しなくても盛り土などを行って汚染が遮断されれば、土地利用ができるが、「生鮮食料品を取り扱う卸売市場用地の場合には(そういうことは)想定し得ない」と明記しています。

 先日、4月10日、参議院決算委員会での日本共産党の吉良よし子議員の質問に対して、山本農水大臣も「東京都が汚染の除去の措置を行わず、盛り土等のみを行った状態で(生鮮食料品を取り扱う)卸売市場の用地とすることについて想定し得ない」という「認識を持っている」と答弁しました。大臣の答弁ですから、重い答弁であります。吉良さん、大事な質問をやったんですね。(拍手)

 これを、ひらたく言うとどういうことかといいますと、“汚染土壌の上に生鮮食料品の市場をつくることはとんでもない”ということです。これが土壌汚染に対する政府・農水省の基本的立場なのです。農水省もいいこというじゃないですか。(笑い)

 「想定し得ない」=「とんでもない」とまで言うのはなぜか。汚染土壌が残っていれば、たとえ盛り土などで遮断したとしても、たとえば地震によって地盤が液状化した場合、あるいは老朽化がすすんだ場合などに、汚染が遮断を破って表に出てくる危険性があるからです。現に、東日本大震災のときには、豊洲市場用地が液状化し、土砂が噴き上がるという事態が起こりました。そういう時に、一般の土地利用ならいざ知らず、生鮮食料品の市場が造られていたら、甚大な被害が生まれ、国民の健康被害にもつながりかねない。だからそんなことは「想定し得ない」=「とんでもない」と強調しているのです。

 そして、だからこそ、2008年の都の環境調査で、豊洲市場の予定地から基準値の4万3千倍の発がん性物質ベンゼンや、シアン、ヒ素、水銀が見つかったさいに、東京都は、都民のみなさんに二つの約束をしたのです。

 第一は、「汚染土壌はすべて除去・浄化します」。

 第二は、「そのうえで盛り土を行い遮断します」。

 この約束は果たされたでしょうか。

「汚染土壌は除去・浄化」「盛り土を行い遮断」――都民への約束は果たされていなかった

 第一の約束――汚染土壌の除去・浄化がされていたか。

 今年1月、衝撃の数字が発表されました。地下水から基準値の79倍ものベンゼンが検出されたのです。さらに3月、基準値の100倍ものベンゼンが検出されました。こうした事態を受けて、都知事が設置した市場問題プロジェクトチームは、3月29日、「操業由来の汚染物質は、すべて除去・浄化することはできなかった」とはっきりと認めました。

 豊洲市場は、東京ガス豊洲工場の跡地に建てたものですが、東京ガスによる土壌汚染は桁違いに深刻なものでした。東京ガスは、1956年から約30年間にわたって石炭や原油から都市ガスを製造していました。都市ガスの製造は、石炭を高温で蒸し焼きにしてガスを取り出します。その過程で大量のコールタールが滴り落ちます。コールタールのなかには発がん性物質のベンゼンが大量に溶けています。24時間、365日、約30年間にわたって、都市ガスをつくり続けてきた。日本共産党都議団が、現場で働いていた東京ガスの元労働者から行った聞き取りでは、コールタールを直接地面に流して、おがくずと混ぜる作業までやっていた。相当な面積にわたってコールタールが地中深くに大量に浸み込んでいるとの証言でした。

 日本共産党都議団は、このような桁違いの土壌汚染を取り除くことは不可能だとして、この上に市場を建設することに当初から一貫して反対してきましたが、結果は、わが党が警告した通りとなったのであります。(拍手)

 第二の約束――盛り土によって遮断されていたか。

 この約束も果たされていませんでした。昨年9月、日本共産党都議団の調査によって、豊洲市場の主要な建物の地下は、盛り土がされず、地下空間になっていることが明らかにされました。

 地下空間があるということは、どういう事態を引き起こすか。3月19日、都の専門家会議が発表した資料を見ますと、現状においては問題が生じないとしながらも、「将来想定されるリスク」として、次のようにのべています。「地下水から気化した水銀、ベンゼン、シアンを含むガスの地下ピット(地下空間)内への侵入が発生する」「1階床面のコンクリートにひび割れ等が生じて地下ピット内から1階部分への空気の侵入・拡散が発生することにより1階部分でリスクが生じる可能性がある」

 この日の専門家会議の平田座長の一部発言などを引用して、「地上は安全」などの言説が一部に流布されました。しかし、その日に発表された資料では、1階部分――地上部分にも有毒物質が侵入・拡散するリスクについて明記されているのです。

 都民への二つの約束――「汚染土壌はすべて除去・浄化します」「盛り土を行い遮断します」は、どちらも果たされていませんでした。汚染土壌は残され、盛り土による遮断も行われていなかった。二つともアウトではないですか。

 “汚染土壌の上に生鮮食料品の市場をつくることはとんでもない”――土壌汚染に対する政府・農水省の基本的立場にてらせば、豊洲新市場への移転など、二重に「とんでもない」ということは、いまや明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

築地市場への自民党などの攻撃――「営業妨害」との厳しい批判が

 自民党などは、豊洲市場移転推進の旗を振りながら、「築地市場も汚染されている」といった口汚い攻撃を行っています。

 しかし、築地市場の80年あまりの歴史で、有害物質による食品汚染があったでしょうか。一度たりともないじゃないですか。食中毒を起こしたこともありません。80年余の歴史で安全性が証明され、「築地ブランド」として世界中に信頼されているのが築地市場ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 3月29日、「築地女将(おかみ)さん会」は次のような「声明」を発表しました。

 「都議会で最大の勢力を誇る自民党による(築地市場への)ネガティブキャンペーンは執拗(しつよう)且つ陰湿で、これ以上看過できるものではありません。私たち築地市場の事業者は歴史的にも自民党とのお付き合いは長く深く、これまでの団体・個人による献金も相当な額に及ぶだろうことを思えば、これがその“お返し”なのかと情けない気持ちでいっぱいです。……先般、都議会自民党の諸先生方が築地市場を訪れ、築地市場の老朽化したところ、破損した箇所を嬉々(きき)として探し回り、カメラに収めている図が報道されました。私たちが今、築地市場に働いているにも関わらずです。これは、明白な営業妨害なのではないかと言わずにおれません(拍手)。実際、築地市場は憤りの声で一杯になっています。確かに築地市場の施設の衛生面、老朽化、耐震などに問題があることは私たちも承知しています。しかし、これらの問題を放置してきたのはこれまでの都知事であり議会ではないでしょうか」(拍手)。女将さん、さえています。(拍手)

 そして、こう結んでいます。「私たちが都知事に提出した移転中止を求める請願署名は、築地市場水産部・仲卸事業者の70%に達しています。『築地市場にこそ、未来がある』が私たち関係者の意思なのです」(拍手)

 痛烈な批判です。私は言いたい。「営業妨害の自民党よ。恥を知れ」、こう言いたいと思います。(拍手)

 築地の仲卸の山治(やまはる)の山崎康弘さんは、都の専門家会議で、次のように発言しました。「僕らは安心・安全で、世界から、最高に安全な魚だとか野菜をつくってくれた人たちのために大事に評価して売るという場所が欲しいんです。これでは実験場です。僕らは市場をつくってほしいんです」。

 豊洲市場のような「実験場」では困る。「安心・安全な市場」こそ必要だ。これが築地で働き、築地を支えている方々の共通の思いではないでしょうか。(拍手)

豊洲移転はきっぱり中止、築地再整備の道に本格的に踏み出せ

 解決の道はもはや明瞭であります。

 日本共産党は、築地市場の豊洲新市場への移転はきっぱり中止することを強く求めます。(拍手)

 築地再整備は、費用の面でも、工事期間の面でも、営業との両立の面でも、十分に可能であります。都民、専門家の英知を集め、市場関係者のみなさんの合意を得ながら、この道に本格的に踏み出すべきであります。(拍手)

 2001年以来、石原元知事とともに無謀な豊洲移転を推進し、ここまで破たんが明瞭になっているのに一片の反省もなく、なお推進にしがみつく自民・公明に、都政を担う資格はありません(拍手)。自公に退場の審判を下し、都民の命と安全に責任を負う都議会をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

 「都民ファーストの会」は、豊洲移転についてどう考えるか、明らかにしていません。同時に、「都民ファーストの会」は、豊洲移転推進の公明党と選挙協力を行っています。いったい、豊洲移転問題という都議選の最大の争点にどういう態度をとるのか。そのことが「都民ファーストの会」には問われていることを、私は、率直に指摘したいと思うのであります。(拍手)

 豊洲新市場への移転は中止、世界に誇る築地市場を次の世代に引き継ごう――どうかこの声をこぞって日本共産党にお寄せください。よろしくお願いします。(歓声、大きな拍手)

「逆立ち都政」を大本からただす――日本共産党の躍進でまっとうな都議会を

 それにしても、なぜ豊洲市場移転などという無謀きわまることが進められたのか。それは私たちが「逆立ち都政」と言ってきた都政のゆがみと深くかかわっています。

「巨大開発が福祉と暮らしをおしつぶす」――このゆがみにメスを入れてこそ

 もともと2001年に、石原知事が豊洲移転を表明したとき、この事業は、東京駅丸の内周辺の再整備、秋葉原の区画整理という巨大開発仕事とならぶ、開発仕事として位置づけられていました。食の安全・安心から出発した事業ではもともとないのです。それは築地市場跡地の開発仕事と、豊洲埠頭(ふとう)の区画整理事業という、二つの巨大開発仕事を同時に生み出す、ゼネコンと大手デベロッパーにとって“金の卵”の事業でした。それは「築地のような一等地で、ただ魚を売るとはもったいなさすぎる」(笑い)というゼネコンの要望にこたえたものでした。

 石原・猪瀬・舛添――3代の都知事のもとで、都民の税金の使い方がどう変わったか。石原都政の前年の1998年度決算と直近の2014年度決算を比較しますと、東京都の民生費(福祉費)の割合は全国47都道府県で3位から35位に転落しました。老人福祉費の割合は2位から43位に(どよめき)転落しました。反対に、土木費割合は40位から26位にグーンとアップしました。

 「巨大開発が都民の福祉と暮らしをおしつぶす」――「逆立ち都政」のゆがみが極端なものになりました。自民・公明は、3代の都知事が提案した議案にすべて賛成し、知事と二人三脚で都政をゆがめてきました。この都政のゆがみにメスを入れてこそ、都民のみなさんの福祉と暮らしを良くする道が開けてくるということを、私は、訴えたいと思うのであります。(拍手)

共産党都議団の「予算組み替え提案」――都民の緊急で切実な願いを実現しよう

 それでは小池都政になって、この都政のゆがみはどうなったか。

 一連の問題で、都民の願いにこたえた前向きの変化がおこっています。同時に、「逆立ち都政」のゆがみを引きずった問題点もかなりあります。そういうもとで、日本共産党都議団は、「良いことには賛成、悪いことには反対」という「是々非々」の立場で、都政を前に動かすために頑張ってきました。

 小池知事が編成した最初の予算案――2017年度予算案に対して、共産党都議団は前向きの変化の面を評価して賛成の態度をとりました。同時に、福祉・暮らし最優先の予算にするために、「組み替え提案」を行いました。ホームページで見られますので、どうかご覧になってください。都民の緊急で切実な願いが実によくまとまっています。

 たとえば「高すぎる国民健康保険料を減免する区市町村に補助を行います」(拍手)。高すぎる保険料が払えず滞納する世帯が2割を超えています。保険証の取り上げも深刻です。共産党の提案は、都内の国保加入世帯のうち所得が少ない約3割の世帯を対象に、1人あたり年額3000~4000円の負担軽減を行おうというものです。ぜひ実現して、保険証の取り上げで命の危険にさらされるという事態をなくそうではありませんか。(拍手)

 それから「公立保育園建設に、整備費補助を行います」。なぜ公立保育園か。保育園を緊急に増やすには自治体が自前で公立保育園をつくるのが一番早い。保育士さんの確保でも、公立保育園の保育士募集には応募が殺到しています。にもかかわらず都内の公立保育園は減少しています。ならば都が補助をして増やそうではないか。これが共産党の提案です。待機児解消の決定打です。ぜひ実行に移そうではありませんか。(拍手)

 それからもう一つ、「シルバーパスの負担を軽減し、3000円パスを発行するとともに、多摩都市モノレールなどでも使えるようにします」(拍手)。いいですね。シルバーパスは、石原都政のもとでの改悪で、住民税課税者は一律2万510円となりました。そのためシルバーパスを利用する高齢者の割合が72%から46%に落ち込んでしまいました。所得の少ない方に3000円パスを発行して使いよくしようではありませんか。(拍手)

 財源はどうするか。「組み替え提案」では、東京外環道路など、巨大開発にメスを入れることを提案しています。組み替えの規模は、予算案の2・8%。都の予算案は巨額ですから、わずか2・8%、政治の姿勢を変えれば「組み替え提案」は実行できるのです。実現可能な提案であり、当たり前の提案です。日本共産党を伸ばして、この内容を丸ごと実現しようではありませんか。(拍手)

“東京外環道路をさらに延伸せよ”――救いがたい“巨大開発病”の自民・公明

 それでは自民・公明はどうか。都政の「逆立ち」をもっとひどくするとんでもない大暴走をしようとしています。

 東京外環道路の問題です。東京外環道路は地上道路を含め、多数の住民の立ち退き、環境破壊、莫大(ばくだい)な税金投入につながる不要不急の高速道路です。いま進められている関越高速から東名高速までの16キロの整備費は1兆6千億円。1メートル1億円です。

 ところが自民、公明などの都議会議員がつくる「議員連盟」は、「まだ足りない、これをもっと伸ばせ」、「東名高速から湾岸道路までの区間について、早期に計画の具体化をはかれ」と旗を振っているのです。そうなれば1兆6千億円にくわえて、さらに2兆円ものお金がかかる。こんなところにお金をじゃんじゃん注いでいたら、福祉と暮らしに使うお金はなくなってしまいます。都民の暮らしそっちのけ、救いがたい“巨大開発病”にかかっている自民・公明には、お引き取り願うしかありません。(拍手)

 これに関連して、私が、率直に指摘しておきたい問題があります。小池都知事が、この問題では、自民・公明と同じ立場に立っているということです。都議会で、自民党議員が「外環の早期整備」を求めたのに対し、小池知事は「東名―湾岸道路間も早期具体化に取り組む。よろしいでしょうか」と推進の答弁を行いました。この時ばかりは自民党席から大きな歓声があがったということです。こういう立場を続けていて、都政のゆがみを大本からただすことができるでしょうか。私は、そのことを、小池知事に真剣に考えていただきたいと、この場でいいたいと思うのです。(拍手)

 小池知事のこうした姿勢を変えるためにも、日本共産党が都議会でもっと力をつけることがどうしても必要ではないでしょうか。(拍手)

 都政のゆがみを大本からただす日本共産党の躍進で、福祉と暮らしに光をあてるまっとうな都議会をつくろうではありませんか。どうかよろしくお願いします。(大きな拍手)

調査・提案・論戦――「宝の議席」をさらに前進させ、都政を動かすさらに大きな仕事を

 みなさん。日本共産党都議団の4年間の実績は素晴らしいものです。私は、4年前、「日本共産党都議団は、調査・提案・論戦、3拍子そろった強力な議員団です」と訴えました。17議席に躍進したことで、3拍子のどれもがパワーアップしまして、この4年間、都政を動かす大きな仕事をしてきたのが、日本共産党都議団だということを、みなさんにご紹介したいと思います。(拍手)

「調査」――徹底調査で豊洲市場の地下空間を発見、都政を揺るがす

 まず「調査」という点では、豊洲市場の地下空間を発見し、この問題を都政を揺るがす大問題におしあげました。共産党都議団が撮影した地下空間の写真は、テレビ、新聞で、「日本共産党都議団提供」というクレジット付きで(笑い)繰り返し使われました。

 なぜ地下空間の発見ができたか。「たまたま」ではありません。歩いていて偶然見つかったわけではない(笑い)。共産党都議団が、豊洲市場の安全について、とことん調査する過程での発見でした。

 2016年8月に、豊洲市場には耐震上の問題があるとの建築エコノミストのコメントが報道されたため、共産党都議団はこの専門家から直接お話を聞きました。そのうえでこの問題に対する詳細な説明を都に求めました。その際に、都の担当者に、市場の設計図を広げ、さまざまな場所を指さして、各部の耐震性を確認していきました。そして建物の下を指さした時に、都の担当者から「盛り土がない」という言葉が飛び出しました。共産党都議団は、地下空間の視察を要請しました。都は、「酸欠になるから」(笑い)、「底地は凸凹(でこぼこ)で危険」(笑い)、「議員が入るのは危ない」(笑い)など、あれこれの理由をつけて視察を拒否したそうでありますが、ことの重大性から繰り返し視察の受け入れを強く迫るなかで、現地視察が実現し、証拠写真を撮影できました。地下空間の発見は、こうした徹底調査の過程での発見だったということであります。(拍手)

 「朝日」は、「都政追及 共産が存在感」という大きな見出しで、地下空間発見にいたる経過とともに、それを支えた力としてこう報じました。

 「共産都議団は議員17人と事務局職員9人の計26人で構成。調査は都議と職員とが協力して取り組む。調査には人手が必要で、政務活動費の3割を人件費に充てているという」。

 政務活動費を飲み食いを伴う新年会などの会費に使う自民党や公明党とは、まったく使い方が違う(笑い、拍手)。議員と職員が協力して、日頃から徹底的な調査活動を行ってきた蓄積が、都政を揺るがす発見につながったことを、私は紹介させていただきたいと思います。(拍手)

「提案」――議案提案権を活用、認可保育園増設、入札制度改革、議会改革が進む

 次に「提案」という点では、17議席への躍進で取り戻した議案提案権を活用して、共産党都議団は、4年間で13本の条例案を議会に提出しました。これが都政を動かす大きな力を発揮しています。

 躍進した直後の2013年9月議会に、共産党都議団は、認可保育園の増設のために用地費を補助する条例案を提出しました。都有地活用を一貫して提案し続けてきました。条例案は否決されましたが、用地費補助は一部実現しました。格安の都有地貸与や情報提供も実現しました。その結果、認可保育園が増え始めました。この4年間で認可保育園の定員を5万3千人増やすことができました。4年前に公約した3万人増を超過達成しました。都民のみなさんの運動と日本共産党都議団の共同の成果といえると思います。(拍手)

 共産党都議団が条例提案を行ったときに、自民党、公明党は「パフォーマンス」とさんざん悪口を言って否決しました。厳しい反省が必要ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。もちろんまだまだ足りません。日本共産党は、さらに9万人分以上の大幅増設の提言を発表しています。どうか日本共産党を伸ばして、これを実現する力をあたえてください。よろしくお願いします。(拍手)

 さきほど「予算組み替え提案」でシルバーパスのことを紹介しましたが、シルバーパス負担軽減の条例案を、共産党都議団は、2006年、2008年、2009年と提出してきましたが、自民・公明の反対で否決されてきました。ところが、今年3月議会に生活者ネットと共同で提出した条例案は、4度目で初めて「継続審査」になったとのことであります(拍手)。日本共産党を伸ばしていただき、認可保育園増設に続き、シルバーパス負担軽減を実現しようではありませんか。(拍手)

 ゼネコンの談合にメスを入れる改革も実現しました。豊洲市場の主要3施設の建築工事は、鹿島、清水、大成のスーパーゼネコン3社を中心とする三つのジョイントベンチャー(JV)が、それぞれ競争なしの「1者入札」で落札、落札率はなんと、平均99・87%という異常な高値となりました(どよめき)。談合そのものです。共産党都議団は、談合の温床となっている競争なしの「1者入札」問題を追及し、「1者入札」の場合は無効としている宮城県のような踏み込んだ対策を求めました。これを受けて都は、3月31日、入札参加者が1者のみとなった場合には、入札を中止する「1者入札」排除の制度改革を発表しました(拍手)。入札制度の民主的改革にむけた大きな前進となりました(「そうだ」の声、拍手)。これであわてたのは都議会自民党です。都議会自民党の幹事長は、談話を発表し、こうのべました。「この改革の内容は、これまで長年の歳月をかけて構築してきた入札契約制度のあり方にまったく逆行する」(笑い)。長年かけて“談合の仕組み”をつくってきたのに(笑い)、なんということだと非難しました。自分が「逆立ち」しているから、良いものが悪く見えてしまうのですね。(笑い)

 都議会改革でも前進が始まっています。議会に出るたびに1日1万円から1万2千円が支給される費用弁償という仕掛けがありました。2年前の2015年3月議会で、共産党都議団は他会派とともに廃止条例案(実費支給)を提案しました。ところが自民、公明などが採決に反対し、2年間にわたって実現が阻まれてきました。しかし、とうとう今年3月議会で廃止が実現することになりました。(拍手)

「論戦」――豊洲問題百条委という舞台で浮き彫りになった日本共産党の値打ち

 さらに「論戦」という点で、私が特筆したいのは、豊洲問題究明の百条委員会での大奮闘です。浜渦元副知事は、「(都と東京ガスの)基本合意以後については、土壌汚染に限らず、豊洲開発に関して、いっさい相談にあずかっておりません」、こう証言しました。だから責任がないと大きな顔をして開き直りました(笑い)。これに対して、共産党の吉田信夫都議は、「基本合意」以後も浜渦氏が関与していたことを示す文書をつきつけて追及しました。文書をつきつけられた浜渦氏は「都はたくさんの文書をつくるでしょうけれども、私の手元でそういうのは記憶にございません」と関与を示す文書の存在を否定できなくなりました。吉田都議は、「基本合意以降はまったくかかわっていないという証言自体、偽りの可能性がある」――偽証の可能性があると告発しました。

 このときの自公の姿勢はひどかった。自民党は、「豊洲市場の土地買収交渉は、浜渦副知事でなければなしえなかった大事業」と礼賛しました。公明党は、「心からお礼を申し上げます」ともみ手で尋問を開始しました(笑い)。浜渦氏の「反論していいか」の一言に、「お尋ねしたことにお答えいただければ」、「申し訳ありません」と謝りだす始末。

 百条委員会という舞台でも、自民・公明との対比で日本共産党の値打ちが鮮やかに浮き彫りになったのではないでしょうか。(拍手)

 調査・提案・論戦――躍進した日本共産党都議団の実績の一端を紹介させていただきました。その多くが自民・公明の妨害をはねのけてのものであることは、とりわけ意義あるものではないでしょうか。(拍手)

 私は、演説を準備する過程で、さまざまな資料を拝見して、本当に17議席の値打ちはすごい。文字通り都民にとっての「宝の議席」だと思います(拍手)。この17議席を絶対に守りぬき、さらに前進させ、都政を動かすさらに大きな仕事をどうかさせてください。よろしくお願いします。(大きな拍手)

「核兵器のない世界」をめざす歴史的大激動、日本共産党の貢献に確信をもって

写真

(写真)弁士の訴えに聞き入る演説会参加者=17日、東京都千代田区

 さて最後に、世界に目を向けてみたいと思います。

 私は、3月27日から31日にニューヨークの国連本部で開催された「核兵器禁止条約の国連会議(第1会期)」に参加いたしました。その詳しい報告は、4月7日の報告会で行いましたが、せっかくですので、参加した実感を2点ほどお話しして、今日の訴えを終わりにしたいと思います。

世界は大きく変わりつつある――「小さな国」が「大きな存在感」を発揮

 一つは、世界は大きく変わりつつあるということです。

 五つの核保有大国はこの「国連会議」をボイコットしました。会議の初日には、米国のニッキー・ヘイリー国連大使が、わずか20人ほどの同盟国の大使とともに、議場の外で、「核兵器禁止条約反対」と叫びました。これまでは、議場の外では、NGOのみなさんがサイドイベントなどをやっていました。ところが、今回の「国連会議」では、多くの政府代表とともにNGOは議場の中にいて、米国などが議場の外にいる(笑い)。立場が入れ替わってしまいました。

 「国連会議」には115を超える国ぐにと被爆者をはじめ市民社会の代表が参加しました。核兵器大国の妨害をはねのけて会議を堂々と成功させました。私が、特に印象深かったのは、コスタリカ、オーストリア、アイルランドといった「小さな国」が「大きな存在感」を発揮していたことです。会議の議長をつとめたエレン・ホワイトさんはコスタリカの外交官です。みごとな采配ぶりで、会議を成功に導きました。

 私が実感したのは、いまの世界で大切なのは、国の大小でもなければ、経済力の大小でもなければ、ましてや軍事力の大小ではありません(「そうだ」の声、拍手)。世界の道理にかなっている主張をしている国は、小さな国でも尊敬され、大きな力を発揮します(拍手)。道理にかなっていない国、他の国の言いなりになっているような国(笑い)は、何を言っても相手にされません(笑い、拍手)。世界のすべての国ぐにが、対等・平等の資格で、世界政治の主人公になる新しい時代が到来している。このことを「国連会議」に参加して一番強く感じたということを、ご報告しておきたいと思います。(拍手)

日本政府不在のもとで、被爆国・日本国民の声を、国連に届けた

 もう一つは、日本政府が、被爆国の政府であるにもかかわらず、こうした世界の本流に背を向け、米国に追随して、会議をボイコットするという惨めな姿をさらしたということです。この態度は、多くの参加国、参加者の批判を招きました。

 会議の初日が終わった後、空席だった日本政府の席を後ろから見ますと、何か置いてある。それで、私たちが席まで行ってみましたら、大きな折り鶴が置いてあるんです。そこには「あなたがここにいてくれたら」と書かれてありました。多くの参加者の気持ちだと思います。私は、今からでも日本政府は考え方をあらためて、核兵器禁止条約に賛成の立場をとるべきだと強く言いたいと思います。(大きな拍手)

 私たち日本共産党代表団は、会議への「要請文」の提出、「文書発言」、そして短いものですが演説を行いました。(拍手)

 私は、演説で、次のように表明しました。「日本政府が、この議場にいないことはたいへんに残念なことです。しかし、被爆者の方々と日本国民の大多数がこの『国連会議』を支持していることは明らかです」(拍手)

 日本共産党代表団の活動は、日本被団協、日本原水協の代表団のみなさんの活動とともに、日本政府不在のもとで、被爆国・日本国民の声を、国連に届けるという点で、大きな意義ある活動だったと考えるものであります。(大きな拍手)

都議選と同時並行で世界の大激動が進行している――勝利を必ずつかみとろう

 みなさん。この「国連会議」第1会期は、私たちの想像をこえる成果をあげました。ホワイト議長は、閉会のあいさつで、第2会期が終わる7月7日には核兵器禁止条約を採択する(拍手)という決意を語りました。そうなれば歴史上初めての核兵器禁止条約が今年中にも誕生する可能性があります。(拍手)

 世界はここまで変わっているのです。トランプ大統領の方ばかり見ていると、全然こういうことが見えないでしょ(笑い)。しかし、世界の本流はここにあるのです。(拍手)

 参加されたみなさん。都議会議員選挙と同時並行で、「核兵器のない世界」をめざす歴史的大激動が進行していることに確信をもち、私たち日本共産党が、この大激動の前進に貢献していることに誇りをもち、都議選での勝利を必ずつかみとろうではありませんか。(割れるような拍手)

 私も、党の委員長として、みなさんと心を一つに頑張り抜いて、勝利をかちとる決意を表明して訴えとさせていただきます。ありがとうございました。(歓声、長く続く大きな拍手)