志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

演説・あいさつ

2015年9月26日(土)

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が、25日の党国会議員団総会で行ったあいさつを紹介します。


通常国会での奮闘――新しい国民運動が日本の未来に希望を開いた

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(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=25日、国会内

 この通常国会は245日間という長期の国会でしたが、まず、みなさんが元気いっぱいに奮闘されたことに対して、心からの敬意を申し上げたいと思います。(拍手)

 そして、9月19日、安倍自公政権が国民の多数の声を踏みつけにし、憲法を踏みつけにして戦争法案の採決を強行したことに対して、みなさんとともに満身の怒りを込めて、糾弾するものです。(「そうだ」の声、拍手)

 同時にたたかいを通じて、私たちは、大きな希望を得ることができたと思っております。

 何よりも主権者である国民が、一人ひとりの意思で、「今声をあげなければ」と、全国津々浦々で、そして国会を取り巻いて、新しい大きな国民運動が起こっている、そのなかでとりわけ若い方々が素晴らしい役割を果たしている、これは日本の未来にとって大きな希望といえるのではないでしょうか。この国民の歩みを止めることは誰にもできないということを、私は強調したいと思います。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 いま一つ、国民の声、国民の運動にこたえて、野党が結束して、戦争法案阻止のために最後までたたかったことも大きな意義をもつと思います。この国会では衆議院(での審議の)段階で2回、参議院段階で4回の野党の党首会談が行われました。一国会でこれだけ野党の党首会談がもたれたことは近年にないことであります。そして、9月18日の野党党首会談では、内閣不信任決議案と問責決議案の提出を決めるとともに、「どんな事態になっても、今後とも憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を守るために協力をしていこう」ということを確認したことも、今後につながる大事な意義をもつものとなったと考えております。(「そうだ」の声、拍手)

「国民連合政府」――「提案」の一番の要は、この政権構想の提案

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(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=25日、国会内

 そういう到達点を踏まえまして、わが党として、19日に、第4回中央委員会総会を開き、その議論と確認を経て、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の「提案」を発表いたしました。

 すでにこの「提案」に対して、多くの団体・個人の方々から歓迎、賛同、激励の声が寄せられているのは、うれしい限りであります。私は、そういう声を寄せていただいているすべての方々に心からの感謝を申し上げるとともに、その期待にこたえる奮闘をやりぬいていく決意を申し上げたいと思います。(「よし」の声、拍手)

 私たちの「提案」に対して、メディアでは、「選挙協力」という角度からの報道が多いのですが、この「提案」というのは単なる選挙協力の呼びかけではありません。「戦争法廃止の国民連合政府をつくろう」という政権構想をお示ししたというところに、私たちの「提案」の一番の要があるということを強調したいと思うのであります。

 なぜ政府をつくる必要があるのか。二つのことを強調したいと思います。

 一つは、本気になって戦争法を廃止し、わが国の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すという課題を実行するためには、衆議院と参議院の選挙で「戦争法反対」の勢力が多数を占めて、「戦争法廃止法案」を提起して衆参で可決することがもとより必要です。

 しかしそれだけでは足りません。それだけでは、昨年7月1日に、安倍政権が強行した集団的自衛権行使容認の「閣議決定」が残るわけです。この「閣議決定」が残れば、自衛隊の海外での武力行使をすすめる大きな火種が残ったままです。そして、立憲主義が踏みにじられた異常事態がつづくわけです。この根っこまで断たないと問題は解決しない。「閣議決定」を撤回させる、そしてここまでゆがめられた政府の憲法解釈を、少なくとも元に戻す、これをやらなければ問題は解決しない。

 この二つの仕事――戦争法の廃止と「閣議決定」の撤回をやりきるためには、安倍政権を退陣させて、そうした課題を実行する政府をつくることが、どうしても必要になってくることを強調したいと思います。

 いま一つ、そこまで腹をくくっての協力が確認できてこそ、野党間の選挙協力も本当に力のあるものになるということを、私は強調したいと思います。

 選挙に勝って安倍政権を倒すことは、もとより簡単なことではありません。多くの国民のみなさんに、野党は本気だ、本気で安倍政権を倒し、戦争法を廃止し、立憲主義を回復するという大仕事をやる覚悟と意志を持っている――この真剣な意気込みが伝わってこそ、衆院選でも参院選でも自公を打ち倒して、勝利することができるのではないでしょうか。

 そして、安倍政権打倒という場合、打倒した後にどういう政権をつくるのかの展望を示してこそ、そういう展望のもとに選挙協力をやってこそ、本当に力のあるものになるのではないでしょうか。

 たしかに野党間には政策上の違いがありますが、この間の野党共闘の到達点にたてば、「戦争法の廃止、立憲主義を取り戻す」という点で合意しうる基礎があると、私は考えます。そして、立憲主義の回復という課題は、日本の政治の根幹、土台をしっかり立て直すという仕事なのです。あれこれの政策課題の問題ではない。そういう次元の問題ではなく、もっと根本的な、政治の根幹、土台を立て直すという、ほんとうに大きな国民的意義を持つ仕事です。

 この問題で合意ができれば、当面する国政のその他の問題は、一致点で協力し、相違点は横に置くという原則で、私は解決できると考えています。国民のみなさんに責任を持った政権を構成できると思います。安倍政権打倒という点では、内閣不信任案を共同して提出したわけですから、暴走を止めるという点でいろいろな一致点も見いだせるのではないでしょうか。

 ただ同時に、この政府は、「戦争法廃止、立憲主義を取り戻す」という一点で一致する政党、団体、個人による連合政府ですから、その性格は、当然、暫定的なものになります。私たちの「提案」でもそのことは率直に書いてあります。国民に約束したこの仕事を、この政府がしっかりと達成したら、解散・総選挙によって、その先の日本の進路についての審判を仰ぐということになると考えております。

 これがいま日本の政治の前途を考えた場合、一番、合理的かつ現実的な政権構想だと、私は確信をもって言いたいと思います。(大きな拍手)

国民の願いに応え、野党が責任を果たすべき歴史的局面

 今回の「提案」は、わが党にとっても歴史上初めてのことであり、新しい踏み切りです。私たちが、なぜこの「提案」に踏み切ったかについて、2点ほど強調しておきたいと思います。

 第一に、何といっても私たちが国民の運動に参加し、国会前で、全国で、国民の中に飛び込んで、そのなかで私たちにぶつけられた声、たくさんの願い、これを真剣に受けとめなければならない、ということを痛切に感じたということが、この「提案」にいたる経過で大きな要素になりました。

 「戦争法をつぶしてほしい」「安倍政権を倒してほしい」という声とともに、いま私たちに寄せられているのは「野党はバラバラではなく、結束してほしい」という声であります。本当に痛切な声であります。そのときに野党が、この痛切な声に応えなければ、「日本の現状をよくしよう」「こんな間違った政治は何としてもただそう」と立ち上がりつつある人々の思い、さらにもっと広く今の日本の政治の前途を憂うる人々の思い、こうした思いを裏切ることになりかねません。ですから、そこは思い切った決断が必要だと思いを定めまして、この「提案」を行いました。

 第二は、いまの日本の政治は非常事態にあるという認識です。安倍政権の暴挙によって、日本の平和主義、立憲主義、民主主義が、根底から脅かされる非常事態に、日本の政治は立ち至っている。その時に、わが党が従来の枠組みの対応にとどまっていては、政党としての責任を果たすことはできません。

 昨日、維新の党の松野(頼久)代表とばったり(国会の)渡り廊下でお会いしました。「今回の『提案』は、清水の舞台から飛び降りる覚悟でつくりました」と先方にお話をし、握手をしました。穀田(恵二)国対委員長も一緒だったのですが、穀田さんは、「一緒に飛び降りましょう」という話もしていましたが(笑い)、まさに思い切って責任を果たすべき歴史的局面にあるということを、私は、強調したいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

 この「提案」は、一党一派の利害得失に立ったものではありません。いまお話ししたように、国民の声に応え、日本の政治の非常事態を打開して、まともな政治をつくっていく――そういう国民的大義にたったものだということを、私は訴えたいと思います。(「よし」の声、大きな拍手)

憲法の立憲主義、平和主義、民主主義を貫く新しい政治をつくろう

 提案したからには、何としても、実らせたいと決意しております。本日(25日)午後、民主党の岡田(克也)代表とお会いします。月曜日(28日)にも社民党の吉田(忠智)党首、生活の党の小沢(一郎)代表とお会いすることを調整しております。まずは、私たちの考えを先方に丁寧にお伝えするところから始めたいと思います。合意を目指して一歩一歩進んでいけたらと願っています。

 いろいろと難しい問題もあるでしょう。しかし、「戦争法の廃止」と「立憲主義の回復」という国民的大義のために、過去を乗り越え、未来に向けて、連携が図れればと心から願うものであります。

 また、私たちの「提案」というのは、政党とともに、団体、個人に対する呼びかけであります。この政府をつくるうえでは、政党が大事な仕事を果たすことになることはもとよりですが、多くの団体・個人の方々と一緒につくる、まさに「国民連合政府」であります。

 これまで一緒にたたかってきた多くの方々、さらに今の日本の前途を憂うる多くの方々に、この「提案」をお伝えし、語り合い、国民的な流れをつくっていくために、力をつくしていきたいと決意しております。

 まさに、この「提案」の成否は、何よりも国民の世論と運動にかかっています。そのために、この場をお借りして、国民のみなさん、どうか応援していただきたい、ともにたたかおうということを、心から呼びかけたいと思います。(大きな拍手)

 今日は、(事実上の)国会の閉会日なのですが、「閉会」という感じがしない、新たなたたかいが始まった日だと、つくづく思います。

 戦後最悪の安倍政権を一刻も早く打ち倒そうではありませんか。(「よし」「そうだ」の声、大きな拍手)

 そのために、政治的立場の違いを超え、思想・信条の違いを超えて、力をあわせて、日本国憲法の立憲主義、平和主義、民主主義を貫く新しい日本をつくろうではありませんか。

 以上をもって、私のあいさつといたします。頑張りましょう。(大きな拍手)